何で?と思ったがその疑問は祖父が教えてくれた。
「あのおなごは人を殺しすぎた。大富豪家の花嫁候補という肩書きが無くなった今、お上に捕まれば、死刑は免れまい。後は逃亡生活が待っておる」
「そんな……どうにかならないの?」
「ならんな。人の命はそれほど軽くはない」
「スカートに操られていただけなのに……」
「操られていただけだろうが、何だろうが、人を殺めていたのは事実。何ともならぬ」
「どうして……」
「それより、お前には更なる飛躍をしてもらうぞ」
「お、おじいちゃん、何を?」
「今は、眠るがよい」
祖父は、花梨に当て身をした。
花梨の意識は遠ざかった。
その後の譲の行方は解らなかった。
捕まったとも聞いていないので、逃亡を続けているのだろう。
花梨が目を醒ました時には既に譲の姿はなかった。