杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

ロスト・キング 500年越しの運命

2024年04月09日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2023年9月22日公開 イギリス 108分 G

フィリッパ・ラングレー(サリー・ホーキンス)は職場で上司から理不尽な評価を受けるが、別居中の夫(スティーブ・クーガン)から生活費のため仕事を続けるように言われてしまう。そんなある日、息子の付き添いでシェイクスピア劇「リチャード三世」を鑑賞した彼女は、悪名高きリチャード3世も実際は自分と同じように不当に扱われてきたのではないかと疑問を抱き、歴史研究にのめり込むように。1485年に死亡したリチャード3世の遺骨は近くの川に投げ込まれたと長らく考えられてきたが、フィリッパは彼の汚名をそそぐべく遺骨探しを開始する。(映画.comより)


500年にわたり行方不明だった英国王リチャード3世の遺骨発見の立役者となった女性の実話をもとにしたヒューマンドラマです。

フィリッパは勤め先で上司から正当な評価を与えられていないと感じます。それは彼女の持病も理由になっているようです。そんな時、シェイクスピア劇の「リチャード3世」を観た彼女は、リチャード王もまた不当な評価をされている人物と感じ彼にシンパシーを抱きます。直後から彼女は王の幻影を見るようになります。

リチャード3世について調べ始めたフィリッパは、シェイクスピア作品によりテューダー朝の敵役(甥殺しのせむし男)として描かれ後世に伝わっていることを知ります。
リチャード3世協会に入会した彼女は、王の墓を探すことに情熱を燃やします。
川に投げ捨てられたという説もある中、伝手を辿って教会に遺体が埋葬されていると確信したフィリッパは、王の幻影に導かれるようにして訪れたレスターの社会福祉事務所の駐車場北端で『リチャードの墓の上に立っているんだ』と感じるのです。彼女の動機や原動力はまさに「感情」に突き動かされたというのが理由です。

発掘の協力を求めて色々な団体に声をかけますがことごとく断られます。彼女は諦めず、知り合いの名を借りて市長に面会し、考古学者に会い、レスター大学の協力を得ることができますが、探知機での調査で反応が無く、資金も底を尽き大学も手を引いてしまいます。

それでも諦めず、クラウドファウンディングで資金を集めて駐車場を掘り始めると、早速足の骨が見つかります。フィリッパはその骨こそが王のものだと直感しますが、考古学者は別の人物のものだろうと他の場所を掘ろうとします。

釈然としないながらも強く主張できずにいたフィリッパでしたが、元夫のアドバイスに吹っ切れて、足の骨を掘り進めるよう迫ります。それはまさしく王の骨だったのです。せむしと言われきた王は側弯症だった(その違いがいまいちわからない😓 )ことも判明します。

リチャード3世の遺骨発見に世間は沸きますが、その功績はレスター大学に横取りされ、記者会見の場にフィリッパの席はありませんでした。抗議するフィリッパをいなす大学の広報?の男が非常に利己的な人物として描かれ悪役になっていました。

王の遺骨が厳かに葬られる場面の裏で、講演を頼まれたフィリッパが学生たちの前で「正当な評価をされない人を正当に評価されるためにした」と語るシーンで映画は幕を閉じます。

前半、精神を病んでいるかのように突き動かされるフィリッパに引いてしまいます。
二人の息子の世話も夕食の支度もせずに自分の想いだけに囚われる姿は異常に感じました。仕事を休んで探求に没頭する彼女に元夫も心配と懐疑の目を向けます。しかし映画が進んでいくと、息子たちも夫もフィリッパを応援するようになっていくんですね。クラウドファウンディングに匿名で寄付したのも息子たちの発案で元夫が新車を買う資金を出したものだったという。😊 

骨が王の遺骨とわかったとたん掌を返す大学側の対応に憤慨する頃にはフィリッパの側に心情が傾いていました。😁 

王の幻影は彼女が遺骨を見つけたことで消えていきます。王にとっては名誉の回復がなされることより遺骨が安らかに埋葬されることの方が嬉しかったのかなぁと感じてしまいました。
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