杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

ジャンパー 試写会

2008年02月29日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
会場:ルテアトル銀座 

2008年3月7日公開予定 アメリカ 88分

この会場は初めて行ったかも。
綺麗な劇場で、750人収容の会場はほぼ満席。
椅子が前後に分かれていて、長時間の観賞でも疲れないような作りでした。今年は閏年=リープイヤーということで、閏日の今日、リープ=跳躍→ジャンプ→ジャンパー繋がりでの試写会でした。

ごく普通の高校生だったデヴィッド(ヘイデン・クリステンセン)は、15歳のある日凍結した川に落ち、図書館への瞬間移動を体験した。その力を悪用し、銀行から大金を盗み取ったデヴィッドは、母の失踪後人が変わってしまった父との生活を離れ、ニューヨークで「世界中のどこへでも瞬時に移動できる」という自由を満喫していた。しかし、8年後、謎の組織『パラディン』に命を狙われる。偶然出会った同じジャンパーと協力し、何千年も続くというジャンパーとパラディンとの戦いに巻き込まれていくのだが・・。

エジプトのスフィンクスのてっぺんからロンドンのビッグベン、オーストラリアでサーフィンと瞬間移動での世界各地へ現れる映像に目を見張ります。
東京も渋谷・秋葉原・新橋・お台場でロケが行われたというその映像を見つける楽しみもあります。渋谷の109の後に別の町の地下鉄出口が映ったとしても(^^;

だが、映像にお金をかけた分、話の内容が中途半端に終わっているような・・。
そもそも、これは原作のある話なのかしらん?

何故パラディンがジャンパーを抹殺しようとするのか、理由は狂信的な集団ということで片付けられているし、デヴィッドを助けてくれるもう一人のジャンパー・グリフィン(ジェイミー・ベル)にしてもまだ秘密がありそうだ。
そもそもデヴィッドの母(ダイアン・レイン)が家を出た理由というのもかなり中途半端に思えるんですが(^^;

デヴィッドを執拗に狙うローランド(サミュエル・L・ジャクソン)らパラディンとの戦いも宿命の対決にしては緊張感に欠ける気が・・。
科学的な武器を使って捕まえて、最後はそのナイフですか?そのナイフにも何か秘密があるのかしらん。

視点を変えれば、かなり人間臭い主人公で、そもそも超能力に目覚めてやったことが、仕返しと銀行強盗ですから(^^;ヒーローとは呼べないよなぁ。
追われているのに恋人と呑気にローマ旅行してみたり。その恋人を守るために戦うのはカッコイイけどさ。

演じてるのがヘイデン君なので、どうしてもアナキンを連想してしまう。デヴィッドというキャラも自分の欲に負けてるのでその辺も被ってくるのです。彼はそういう役が上手いのかも。
そのデヴィッドの陰の保護者役のようなグリフィン役のジェイミーの方がキャラとしては好みです♪

話自体には突っ込みどころが多いけれど、ロケーションとスピード感を楽しむには良い作品です。テレポート時の音が独特でリアル感が出てます。

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

デジャブ

2008年02月28日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2007年3月17日公開

06年2月28日、海軍の水兵とその家族たちを乗せたフェリーが、突如大爆発を起こした。ATFの捜査官ダグ(デンゼル・ワシントン)は現場を捜査し、爆発がテロだった事を証明。さらに爆発現場の近くで発見された女性の死体も、鋭い観察力で殺人によるものだと見抜いた。と同時に、ダグはその死体の女性・クレア(ポーラ・パットン )に奇妙なデジャヴを感じる。爆破事件とクレアの殺人が関係あると見たダグは、彼女の部屋の捜索へと向かった。するとそこにあったのは…。

デジャヴ=既視感(初めてなのに以前に覚えがあるという感覚)という言葉に惹かれて選んだ作品だが、結局はタイムスリップなのね(^^;

冒頭から543名の犠牲者を出した悲惨なフェリー爆破のシーンに目を奪われる。ド派手な爆発が真に迫っている。ジム・カヴィーゼルが狂気の爆破犯を不気味なまでに演じていて恐ろしい迫力だ。

ダグがクレアの家で目にした「U can save her」と並べられたメッセージボード・留守禄から流れる自分の声・犯人の隠れ家に突っ込んでいた救急車など、伏線は前半にたっぷり隠されている。

政府が極秘に開発した『タイムウインドウ』という映像装置で4日と6時間前の映像を自在に見ることで捜査を進めるというのはとても斬新な手法で面白い。
1度に見れるのは一箇所だけで、巻き戻しは出来ず、何を見、どう判断するかはダグに委ねられているため、一緒に捜査をしている感覚で見ることが出来る。
(しかし、実際にあんな装置が開発されてたらプライバシーなんて皆無だわ)

装置を付けての時空を超えたカーチェイスは、過去と現在が同時に映されて、かなり興奮してしまう。

この装置がタイムマシンになりうることに気付いたダグがクレアやフェリーの犠牲者を救うために過去に戻る展開に至って、今までの伏線が鮮やかに生かされてくる。同一時間に同じ人物が存在してはならないという理論に叶ったラストも安易なようだが、すっきり終われるのでま、いっか~~。

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アポカリプト

2008年02月25日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2007年6月16日公開

マヤ文明後期の中央アメリカ。ジャガー・バウ(ジュディ・ヤングブラッド)は部族長の父や妻、幼い息子、仲間たちとともに、恐怖も争いも存在しない平和な日々を送っていた。しかしある日、村がマヤ帝国の傭兵により焼き討ちの襲撃にあい、目の前で父を殺されたジャガーは、捕まって都会へと送られる。干ばつを鎮めるための生け贄になりかけるが、日蝕により救われる。だが次に待ち受けていたのは人間狩りの標的となることだった。村に残してきた妻子を救うため必死に逃げるジャガーは・・・。

セリフも全てマヤ語で撮影されたそうです。英語でも字幕が頼りなのに、マヤ語ときては、言葉は耳を通り過ぎていくだけだわん。

『パッション』もですがメル・ギブソン監督って痛みを好む人なのかしらん?(^^;
村の襲撃の様子も、捕虜となって都に送られる場面も、生け贄の儀式も人間狩りも、生々しくリアルな描写に何度か目を瞑ってしまいました。ジャガーが出会う「ジャガー=黒豹」も本物だとか。逃げるシーンの迫力も納得です。

村が襲撃を受けた際に、部族長の息子としての誇りを失い恐怖が心に入り込んだ彼が、人間狩りの的になった時に、妻子を救いたい一心で逃げるうちに、恐怖に打ち勝ち、誇りを取り戻すといった展開のようですが、見所は敵に追われて逃げるジャングルのシーンのスピード感とスリルにつきるようです。

それにしてもジャガーは不死身人間か?と思うほどタフ。
一本の矢であっけなく命を落としていく仲間と対照的に、どう見ても致命傷じゃないの?という矢を二本も受けてなお、走る・泳ぐ・底なしの泥から這い上がる、その間にも敵を倒す超人的な活躍ぶり。逃走の途中で傷の手当てはしたようだけど、ろくに薬もないあの時代に化膿もせずに熱も出さずに生き延びること自体が驚異的ですが(^^;

で、その妻子が隠された場所って村の井戸だったんですね~~。
雨が降るとあっという間に水が流れ込む、その中で身重の妻の出産シーンまであるのには驚きました。

敵を振り切り、妻子を救い出したジャガーが目にしたのは西洋からやってきた白人の船。物語はここで終わってしまいます。その後は歴史が語る、ということね。

襲撃を受ける前の平和な村の様子は大らかでいかにも平和そのもの。笑いの質はやや低俗で男受けするものだけど、時代を考えたら仕方ないかぁ・・。

思想や正義は二の次で、生き延びるために逃げるシーンが全ての映画かな。
スプラッター・ホラーの要素も大きく、好みではなかったなぁ。

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ライラの冒険 黄金の羅針盤  先行上映

2008年02月24日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2008年3月1日公開予定

映画を観る前に原作を読むと大抵後悔するのだが、今回は違った。
本の持ち味を生かしながら論議を呼びそうな問題点を非常に上手く避けて作られている。いくつか設定を変え、酷いシーンをカットし、小さな子供にも十分に楽しめる内容だ。

冒頭に原作の扉書きの文章「これは三部作である云々」のテロップが出る。
完結の物語だと思って劇場に足を運んだ人にとっては「え???」であり、最後にも「は?ここで終わり??」という思いをさせられることになるのは覚悟した方が良い。それを「神秘の短剣」「琥珀の望遠鏡」まで続けて観ようと思うかどうかは観る側の興味次第。おそらく二部ではもっと中途半端に終わるだろうから。

(あらすじ)
パラレルワールドのイギリス・オックスフォード。12歳のライラ・ベラクア(ダコタ・ブルー・リチャーズ)は、ダイモンのパンタライモンと悪ガキ集団と遊ぶお転婆娘だ。そんなライラの周りではゴブラーに子供たちが連れ去られる事件が勃発。親友ロジャーも行方不明になり、ライラはパンタライモンと真実を告げる「黄金の羅針盤」を手に捜索の旅に出る。旅の途中で出会う、敵か味方かわからない大人たち。ライラを助ける鎧熊族のイオレクや気球乗りのリー(サム・エリオット)、魔女(エヴァ・グリーン)やジプシャンたち。北の地で彼女を待っていたのは驚くべき真実だった・・・。

コールター夫人のニコール・キッドマンがまさに本から抜け出してきたような美しさと品を魅せる。豪華な衣装も目に楽しい。アスリエル卿のダニエル・クレイグの活躍は今作ではないけれど、イメージは彼も原作通りだ。

イオレクのCGもファンタジーの世界観を壊すことなく描かれている。
ダイモンたちも同様だ。

ダストと「切り離し」については、コールター夫人がライラに語る形で簡潔でわかりやすく説明されている。宗教的に問題にならない程度に原作の毒を抜いた形だ。

以下は原作との大きな相違点。ネタバレになるかも。

・行方不明になった子どもで「切り離し」をされて発見されるのはトニーではなくビリー・コスタになっている。
・ボルバンガーに行く前にスバールバルでイオレクが王を倒す。
・ライラに出生の真実を話すのはマ・コスタではなくコールター夫人。
また王の名前がイオファーではない。
・物語はリーの気球の中でアスリエル卿に会いに行く途中で終わる

二部そして完結編の三部が早くも楽しみだ。

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

あるスキャンダルの覚え書き

2008年02月23日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2007年6月2日公開 イギリス

ロンドン郊外の中学で歴史を教えるバーバラ(ジュディ・デンチ)は、厳格で辛辣な性格から教え子だけでなく同僚からも疎まれ、孤立していた。そんなある日、若く美しい美術教師シーバ(ケイト・ブランシェット)が赴任してくる。「彼女こそ、私が待ち望んだ女性」と直感したバーバラは、彼女をこっそりと観察しては毎夜日記に“報告”していた。計画的にシーバに近付き、親しくなっていくバーバラ。だがそんなある日、シーバと15歳の教え子のセックス現場を目撃し…。

物語はバーバラの目線で始まる。客観的な事実を語っているように見えて、実は彼女の主観によるものだとわかっていくのだが、それこそがこの物語の恐さと醍醐味と言えるのかも。

劇中の入浴シーンは初めシーバか?と期待させて、実はバーバラのもの。この場面こそ、積年の孤独に心を蝕まれた老女の恐ろしさ・醜さ、そして悲しみを見事に表現している。

ダウン症の息子がいるにせよ、不自由のない幸せな家庭を営むシーバが道を踏み外していくのは、彼女自身の落ち度であるから、そこに同情はしない。だが、バーバラに絡め獲られていく様子には同情の余地がある。演じたケイトはブルジョワ階級の人妻の心と肉体の疼きを表現し、「エリザベス」の女王とは全く異なる演技を披露している。

後半、バーバラの意外な過去が暴露され、ラストでも今回の「事件」に懲りていない老女の強かな姿が浮き彫りにされる。

愛猫の死に慰めを求めにシーバを訪れたバーバラが、息子の学芸会を理由に拒否されて激怒するシーンなど、ジュディ・デンチの鬼気迫る演技に背中が寒くなる。

物事を自分の思う通りにしか受取らず、相手の気持ちを慮っているように見えて、結局は自分のことしか考えていないバーバラのような人は案外世の中に多いのではないだろうか?


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

グインサーガ117 暁の脱出

2008年02月21日 | 
栗本薫著 早川書房出版 

ガンダルは豹頭王に看取られ大往生を遂げたが、その最後の反撃にグインも重傷を負う。マーロールはグインに代わり、タイス伯爵への裁きを上申し、タイ・ソンは失脚、マーロールが新たなタイス伯爵となる。そして後夜祭の夜、脱出作戦が始まった。地下水路を通っての脱出行は困難をきわめ、巨大ワニの出現に絶体絶命の窮地に陥ったところをヴァレリウスに救われる。夜が明ける頃、一行は、パロを目ざして、船上にあった。 (裏表紙より)

やっとやっと、タイス編の終了です。
9巻を費やすほど作者がのめりこんだ退廃の都の結末は、そうきたか!ですが。
思わぬ重傷を負ったグインのピンチを助けたのはヴァレちゃん♪
魔道で空中に浮かび、水の上を渡り、布や薬を取り出して手際よく治療をする姿に再び惚れ~~。例え貧相だという描写があっても心の中でひたすら美化!!
イメージ的には最近観た「L」のような姿を想像。

悪者役のタイ・ソンの失脚はざま~~みろ!ですが、マーロールにも変な情が出てきちゃってキャラ変わってません?(^^; 

これだけ長く引っ張っても、グインの状況はさっぱり進展してないし、まだまだ先は長そうだわ。

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

エリザベス ゴールデンエイジ

2008年02月20日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2008年2月16日公開 イギリス 114分

1585年、エリザベス1世(ケイト・ブランシェット)はプロテスタントの女王としてイギリスを統治し、未婚であることを武器に王位を得ようとする諸国と友好な国際関係を保っていた。だが欧州全土をカトリックの国にしようと目論むスペイン国王フェリペ2世(ジョルディ・モリャ)は彼女の失脚を画策し、スコットランド女王メアリー(サマンサ・モートン)を陰謀に巻き込んでいく。一方、新世界から戻ったばかりの冒険家ローリー卿(クライヴ・オーウェン)の出現で、女王の心は揺らいで・・。

前作では、国王の娘として生まれながら私生児の烙印を押されたエリザベスが運命を切り開いていく姿が描かれたが、今回は女王の座に就いてからの様々な圧力をはね返し「ゴールデン・エイジ=黄金時代」を築きあげていく姿を、女王の内面をも浮き彫りにしながら描いている。

未婚の女王と結婚することで、イングランドを手中にしようと各国から花婿候補が押しかけるのを如才なくあしらう姿がユーモラスに味付けされている。
当時50代の女王の求婚者に年端もいかぬどこぞの王子?が外交辞令丸出しの棒読みセリフでプロポーズするのが笑える。

そんな女王が心を動かされたローリー卿にクライブ・オーウェン。
このところあまりパッとしない役が多かったけれど、この作品では野性味溢れる冒険者として、けっこう決まってる!のである。

自分の恋心を抑えるために、信頼する侍女のベス(アビー・コーニッシュ)をローリー卿に近づけるエリザベス。そりゃ、男なら若い綺麗な女性に目も心も奪われるってもんで、二人が親密になるのは当然の成り行きなんだが、そうなったらやはり嫉妬で苦しむんだな~~女王は。

じっと自分の顔の皺を見る、全裸を鏡に映してみる・・いくつかのシーンに盛りを過ぎた女性の哀しさを見事に表現したケイト・ブランシェットの演技が素晴らしい。

新教と旧教の間の憎しみは無宗教の身にはさっぱり理解出来ないのだが、何しろそれが元で戦争にまでなっちゃうんだから。
どっちの神様だって元は同じでしょ?
時の権力者(王や教会)が信仰を隠れ蓑に自分の私利私欲を満足させるためだけに利用した気がしてしまうんだな~~。

エリザベス女王の側近であるウォルシンガム(ジェフリー・ラッシュ)の目をも欺きなされたスペイン側の陰謀、その道具に使われたメアリー女王(カトリック)はエリザベスの従姉妹でもある。死に臨むメアリーの姿は誇りに満ちていて威風堂々の様だ。
自分の母が父により断罪された過去を持つエリザベスはメアリーの処刑に反対し、署名した後も苦しむ。その姿が痛々しい。さらにベスの妊娠が判明し、しかもローリーと式まで挙げちゃってるし(^^;
孤立無援の女王だけれど、そんなことで挫けてはいられないのであります。
 
旧教派の女王を処刑したことで、スペインは「聖戦」の口実を得て英国に攻め込む。世に名高い無敵艦隊の登場というわけ。
圧倒的に不利な戦いの中で、自ら甲冑姿で兵士を鼓舞するエリザベスの毅然とした姿に兵士たちは奮い立ち、自然も味方しちゃうんだな~~。
この時の女王のマントが素敵。凛々しさと裾のレースの女らしさがマッチしてため息が出そう。

かくて無敵艦隊敗れたり!英国の黄金期の幕開けとあいなったのでありました。
この戦い(というか、焼き討ち)のシーンはなかなか凝っているけれど、POCの戦闘シーンと比べちゃったらちょっと・・ではあります。

そういえば、許されて船の人となったローリー卿がロープ掴んで立ってる姿にキャプテン・ジャックをほんの少しだけ重ねてしまいました。♪

この作品、衣装がまた素晴らしい。
フランスほど華やかではないものの、衣裳部屋?でとっかえひっかえドレスを選んだり、鬘を選んだり、女王蜂のような羽飾りを頭や肩につけたり・・・当時のデザインは昆虫っぽいなぁ~~と思ったのでありました。

最後に、スペイン王の娘イサベル。人形を抱いた少女なんだけれど、なかなかに恐そうな存在感。無敵艦隊が全滅したスペイン王に背を向ける姿は背筋がゾクゾクしたなぁ。

もちろん、史実を基にしてはいますが、あくまで娯楽作品なわけで・・。
「ゴールデンエイジ」と銘打ってる割にはそこに至る直前のお話だし、女王の苦悩はともすればヒステリックな面も否めず、スペイン側の陰謀の見せ方もわかりにくかったのは残念。でも俳優陣と豪華な衣装で十分お釣りがくるかな。

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ライラの冒険シリーズⅢ 琥珀の望遠鏡

2008年02月19日 | 
フィリップ・プルマン/著 大久保寛/訳  新潮社

不思議な力を持つ短剣で窓を切り開き、羅針盤を頼りに旅を続けるライラとウィル。失った友と父と話をするために、ふたりの旅は〈死者の国〉にまで及ぶ。ライラの担った役割とは一体? そして共和国建設を目指すアスリエル卿と〈権力(オーソリティ)〉との世界を二分する闘いが、今はじまる――

「黄金の羅針盤」では敵役、「神秘の短剣」でも追っ手側だったコールター夫人は、教会が娘の命を狙っていることを知り、ライラを拉致して別世界の山に隠れます。ここでは純粋に母性に目覚めたようにも見えますが、物語の最後まで、本心を隠した行動をとるので、やや判りづらいキャラでした。

夫人に眠らされていたライラは夢の中で啓示を受け、ウィルと共に死者の国を目指します。この旅でダイモンと分かたれたライラですが、ウィルも魂の半分を分かつ苦しみを味わいます。このことで、ウィルの中にもダイモンが存在するという描き方がなされ、それは後にウィルのダイモンという姿を伴っての再会となるのです。

この巻ではトンボに乗った小さなガリベスピアンの戦士、シュバリエ・ティアリスとレディ・サルマキアが登場します。彼らは子供たちの成長を助け、信頼の絆で結ばれて行きます。

死者の世界は楽園などではなく何もない世界、何も生み出さない世界であり、ライラたちは死者を連れて地上への出口を求めます。地上に出た死者の魂は粒子となり、森羅万象の一部となるのです。

物語に登場するオーソリティ(神)は無力の老人であり、オーソリティの摂政の天使メタトロンは権力欲に目が眩んだ悪として描かれています。

この物語においては、ライラはイブ、ウィルはアダムに見立てられ、ふたりの成長を通して聖書の「堕落と原罪」を作者なりに解釈したお話ともいえるでしょう。

イブは人間の罪の源ではなくて、彼女の堕落(楽園の追放)は人間の魂の解放を意味し、苦難のもとどころか、神による抑圧の終わりであり、思想の自由の始まりであったとする作者の視点は、天上の神を崇めるのではなく、地上に楽園を築いていこうという結末で終わるこの物語に色濃く投影されています。

しかし、作者は神や宗教そのものを否定しているのではなく、それがもたらす狂信性からくる偏見や差別、抑圧、テロ行為などといった行為をこそ問題視しているのでしょう。

題名の「琥珀の望遠鏡」はメアリー(マローン博士)がミュレファの助けを借りて作った小さな漆の望遠鏡で、これを覗いてダストの正体をつかむのです。
ダストとは一種の「希望」であり、スペクターはダストを食らって成長する負の因子だということが判明します。更にウィルの持つ短剣が窓を作るたびにスペクターが生まれることも明かされます。

子供だったライラが、困難な旅の中で思春期を迎えたこの巻では、ウィルとの間に「愛」が芽生え、束の間の幸せの後に辛い別離が待っているのですが、彼らなら、自分の世界で立派に大人になっていくだろうと疑いもなく思えるのです。

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

輝ける女たち

2008年02月17日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2007年4月14日公開 フランス 

南仏ニースのキャバレー“青いオウム”のオーナー、ガブリエル( クロード・ブラッスール)が急逝し、離れ離れに暮らす家族が久々に顔を合わせる。遺言により店は、かつて一世を風靡した人気マジシャンで息子同然に育てられたニッキー(ジェラール・ランヴァン )を飛び越え、その子どもであるニノ( ミヒャエル・コーエン )とマリアンヌ (ジェラルディン・ペラス)の異母兄妹に譲られることになる。子どもたちとも元妻たちアリス(カトリーヌ・ドヌーヴ)シモーヌ( ミュウ=ミュウ)ともしっくりいかず、遺産相続からもはじかれたニッキーの寂しい心は美しい歌姫レア( エマニュエル・ベアール)に向かうのだが…。

いかにもフランス映画らしい笑いとペーソスが混じり合った作品。
少し前に観た「ヘンダーソン夫人の贈り物」と舞台ものという点では似ているけれど、その質が全く異なるのが面白い。

ニッキーは浮気癖のある甲斐性無しの落ちぶれたマジシャン。
彼の「家族」もなかなか複雑。
シモーヌは本当はガブリエルを愛してたし、逆にアリスは今でもニッキーを憎みきれない=愛してる。
マリアンヌは夫との関係が破綻しているし、ニノはゲイだ。

そもそもガブリエルの死は病気を悲観した自殺のようだし、店を譲られたニッキーの子供たちはさっさと売却しようとする。今までの状況に満足し、若い歌手に色目を使っていたニッキーは、これからの人生を考えなくてはならなくなるのだ。
しかしそれは彼にも家族にも新たな人生を見つけ出すきっかけになっていく。

「青いオウム」の裏の顔(過去には売春窟だった)などビックリもあるが、総じて家族関係が頭に入るまでに時間がかかるのが難点。経営が苦しい店の再建を予感させる終わり方は安易ではあるが、順当かな。(^^;

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鏡の国の戦士

2008年02月16日 | 
グイン・サーガ外伝21 
栗本薫著 早川書房出版

真夜中、ケイロニア王グインのもとを訪れた美しい少年カリュー。彼の怪しげな頼みを入れたグインは、異様な世界に引きずり込まれてしまう。そこは、奇怪な法則が支配し、怪異のものが跳梁する、鏡の国だった!かつてサイロンを揺るがした恐るべき『七人の魔道師』事件も過去のものとなった時代、新たな連れ合いを得た豹頭王がくりひろげる幻惑の冒険行。
「鮫が池」「闇の女王」「ユリディスの鏡」連作各150枚を三篇収録。(裏表紙より)

この外伝は本編が未だタイスを脱出してパロへという段階であるのに、かなり先の話が書かれている。グインがケイロニアに戻り、シルヴィアとの間に悲しい別れ(おそらく死別)があり、更に時を経て愛妾(ヴァルーサ)を持つに至り、嫡男を授かるという、何だかこの先の本編の何十冊かが端折られてしまったような・・・最終回を迎える前に、「それから」が書かれてしまったような、ちょっと拍子抜けしてしまうのだ。

いや、案外作者からの「この先まだ何巻続くの~~?」という疑問への「あのね~~大体こんな感じで落ち着くのよ~」というメッセージだったりして。だって、世捨て人ルカの予言に引っ掛けて王子たちの物語まで続く匂いを出してるし。

外伝は、ここ暫くはナリス様やイシュトの若い頃の話が続いてたけど、グインに戻ったからといって、それはどうよ?と思いつつ、最近の牛の反芻状態の展開から一気に飛んでしまった未来における物語が、ちょっと愉快でもありました。

真に愛する者を持った勇者はつけ入る隙もまた増えるということで、小物の妖魔が入れ替わり立ち代りグインの前に現れるのだが、それ自体は彼にとっては取るに足らない事件なんだな(^^;

時間と闇の幾千万の扉を開けていく「闇の女王」の部屋部屋の鮮やかな色合いの描写が

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

L チェンジ・ザ・ワールド

2008年02月13日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2008年2月9日公開

『デスノート』で夜神月/キラ(藤原竜也)と熾烈な頭脳戦を繰り広げ、圧倒的な存在感を示したもうひとりの天才<L>(松山ケンイチ)。キラ事件に決着をつけるため、自ら究極の選択をしたLに残された最期の「23日間」。本編には描かれなかった濃密の空白である、Lの決断から衝撃のラストシーンへと至るその23日間の、謎の全てが今明かされようとしている・・・。

本編で好評を得たキャラ、卓越した頭脳を持つ天才探偵Lを主人公にしたスピンオフ作品。あらゆる事件をモニター越しに解決してきたLが、生身の人間(少女と少年)と触れ合い、体を張って動かなくてはならなくなるという点で、本編とは違ったLの魅力に触れることができます。

バイオテロを企む危険人物には特殊メイクをした高嶋政伸や工藤夕貴が、少女役はTVドラマ「女王の教室」で注目された福田 麻由子ちゃん、ボケ役でナンちゃんも出演しています。

ホラー映画かとびびっちゃうほどの熱演を見せる鶴見辰吾さんには悪いけど、
インフルエンザとエボラ出血熱のウィルスを掛け合わせたという設定はともかく、発症のプロセスがとんでもなく早過ぎるのはどうよ!(^^;
そして抗体を投与されてあっという間に症状が消えるのもなんだかな~~。

Lの人間性を魅せてくれるストーリー運びには満足です。
子供たちとのぎこちない触れ合いや、必死に彼らを守る姿に惚れます。

背筋を伸ばしてとリクエストする子供たちに応えて姿勢を正すLが可笑しくて・・・椅子にぴょんと飛び乗ったり降りたりする姿や、お菓子を次々口に運んだりバーベキューのように串に刺す様子は、原作(アニメ)のキャラのものに見える松山君の演技力にも拍手です。

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ライラの冒険 神秘の短剣

2008年02月11日 | 
フィリップ・プルマン著  大久保 寛訳  新潮社出版

ライラの冒険シリーズ第2弾。
ライラは別の世界からやって来た少年ウィルと出会う。空間を切り裂き別世界への扉を開くことのできる「短剣」を持つ少年と、羅針盤を持つライラに課せられた使命とは…。

冒頭、「今回はわれわれ自身の世界からはじまる」とあるように、もうひとりの主人公であるウィルの住む我々の世界と、パラレルワールドの中の一つであるライラの世界、そして二つの世界を結ぶ中間地点(交差点)のようなチッタガーゼという世界が舞台となる。

ウィルは行方不明になった探検家の父を持ち、心の病に侵された母の面倒を見る少年だが、子供特有の幼さは微塵も見られない。周囲から浮かず、目立たずに生きてきた彼とライラが出会う時、二人の間の運命の歯車が大きく音を立てて回り出す。

彼らに共通しているのは、自らの意思で動き、未来を真っ直ぐに見つめて切り拓いていこうとする姿勢だ。殺人や裏切りといったおよそファンタジーには相応しくない展開で進んでいく物語の芯がしっかり揺らがないのは、主人公たちの強い心にあるのだろう。

「黄金の羅針盤」ではほんの少ししか登場しなかった人物が、異なる名前で(例えばチャールズ・ラロラム卿=ボーリアル卿のように)出てきたりするので注意が必要だ。

気球乗りのリー・スコーズビーはグラマン博士を探しに行き、博士が別の世界から来たことを知る。魔女のセラフィナ・ペカーラは天使と出会い、ダストの謎に近づく。
アスリエル卿やコールター夫人のライラに対する感情もなかなか掴み難い。
ライラにとって敵なのか、味方なのかも曖昧さを残している。

ダストに加え、チッタガーゼに存在している大人の精神を破壊してしまう(吸い込む?)スペクターと呼ばれるものの正体もまだはっきりしない。
さらに天使とオーソリティまで出てきて、いよいよ宗教的要素が強まってくる。

もう一人、ウィルの世界のマローン博士もまた重要人物となっていく運命を予感させる。ライラがイブならマローン博士はヘビという役どころらしい。

最終巻への中継ぎの面があるので、謎を残したまま「続く・・」という感じなのだが、一気に読み進めたくなってしまう。

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ヘンダーソン夫人の贈り物

2008年02月09日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2006年12月23日公開 イギリス 103分

第二次世界大戦前夜の1937年、莫大な遺産を受け継ぎ未亡人となったローラ・ヘンダーソン(ジュディ・デンチ)は、ロンドン・ウエストエンドのソーホーにある劇場「ウィンドミル」を買い取る。支配人として雇われたヴィヴィアン・ヴァンダム(ボブ・ホスキンス)の提案するノン・ストップ公演が当たるが、周囲の劇場がマネをし出すと客足は減る。そこで夫人が提案したのは当時では考えられなかったヌードレビューだった・・・。

劇場で観なかったことを後悔した一本。実話を基にしている作品。
とにかくヘンダーソン夫人のキャラが良い。
自由で率直で常識に捕らわれない考え方と、好奇心や夢に溢れている彼女の行動や言動にすっかり魅了されてしまう。夫人の友人のレディ・コンウェイ(セルマ・バーロウ)との会話も楽しい。

支配人のヴァンダムを雇うにあたっての、「それはどうよ!」と思う言動に驚き、だが歯に衣着せぬ二人のやり取りが妙に心地良く感じられる。ヴァンダムに妻がいると知り嫉妬する夫人の姿は70過ぎの老女というより、小娘の可愛さに近い。
意見の対立からヴァンダムに劇場の出入り禁止を言い渡されると、中国人や白クマに変装して潜入を試みる夫人に大爆笑だ。

ヌードを躊躇う踊り子たちにバーティー(ウィル・ヤング)が提案した「その場の全員がヌードになる」というシーンで、夫人がヴァンダムに言ったセリフと彼女が抱いていた犬の目線に大笑いしてしまった。
(DVD観賞だからこその遠慮のない笑いではあるけれど。)

夫人が踊り子のモーリーン(ケリー・ライリー)のために良かれと思って仕掛けたことが悲しい結果に終わった時には彼女の世間知らずを責めるヴァンダムだったが、劇場が戦争による空襲のためクロマー卿/トミー(クリストファー・ゲスト)により閉鎖されようとした時、夫人の劇場にかける真意を知ることになる。

ことごとく対立するようで、いつしか二人の間に芽生えていく友情が心地良い。
まさに極上のエンタテイメントだ。

裸に対して強い規制があった時代にヌードレビューを提案した夫人は、初めのうちは型破りな性格だから?と思って見てしまう。年下の?知人である検閲官トミーへの有無を言わさぬ陳情の可笑しさや、「額縁ショー」の斬新さに目が行ってしまうのだ。けれど夫人の本当の思いを知ることで、ショーへの見方が確実に変わってくる。まさに劇場、そしてヌードこそが夫人の兵士たちへの愛情溢れる贈り物なのだ。

劇中夫人が何度か訪れる愛息の眠るフランスの墓地。この映画は静かなる戦争批判でもあるだろう。

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

レミーの美味しいレストラン

2008年02月07日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2007年7月28日公開 アメリカ

すぐれた鼻と舌を持つネズミのレミーは、今は亡き名シェフ・グストーの料理本とビデオを見て一流シェフに憧れる。ある夜、家族とはぐれてしまったレミーはグストーの幽霊の導きでパリの彼のレストランへ辿り着く。そこで料理の才能ゼロの見習いシェフ・リングイニが、スープを台無しにしてしまうのを見て、思わず味を整えに走る。レミーの才能を知ったリングイニは、二人でパリ一番のシェフを目指すのだが・・。

内容はとても良いのだが、どうもネズミのリアルな質感が逆に気になってしまう。あのピンク色の手や毛並みがどうしても・・・

レミーの作る料理は文句なく素晴らしい。美味しそうなソースはまさに仏料理の真骨頂だし、盛り付けも綺麗でお腹が鳴ってしまいそう。

字幕版は敵役のスキナーをイアン・ホルムが、料理評論家のアントン・イーゴをピーター・オトゥールが声をあてているのが聞き所。

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アメリカンギャングスター

2008年02月06日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2008年2月1日公開 アメリカ 157分

1968年、フランク・ルーカス(デンゼル・ワシントン)は長年仕えたハーレムの黒人ギャングのボス・バンピーの死後、独自に麻薬ルートを開拓し、大物マフィアをも出し抜く成功を手にする。目立たないことを信条にする彼の素顔はベールに包まれたままだった。一方、汚職がはびこる警察組織にあって、刑事リッチー・ロバーツ(ラッセル・クロウ)はその正義感故に鼻つまみ者として干されていた。だが新設された麻薬捜査チームのリーダーに任命されたことで、二人の運命が大きく動き出す・・。

観客はレディースデーなのに男性が多いのが特徴的。

実話を基にした話だそうだが、うーーーん・・・特別にスリリングだとか起伏に富んでいるわけではなく、どちらかというと淡々とした展開で、クライマックスの二人の対決シーンも物足りなさが残った。エンドロール後のアレはどういう意味のサービスショット?

冒頭バンピーが仲介業者を排除したスーパー的経営を嘆くセリフがあるけれど、彼の死後、フランクが取ったのはまさに仲介を省き、直接製造元と取引をすることによって、安く売るという麻薬の流通システムを作り上げることだった。

ベトナム戦争で兵士の間に麻薬が蔓延している事実にヒントを得て、自ら東南アジアのジャングルに赴き、製造元から直接買い付け、軍幹部を抱きこんで、軍用機に載せて密輸をするという大胆な手口と、純度の高いものを安く売るスタイルで瞬く間にギャングスターの地位に登りつめるフランク。そのビジネス感覚を他に活かせば良いのに・・。

彼はまた、イタリアンマフィアに倣って、自分の家族を組織に引き込み、麻薬売買の拠点・幹部に仕立てる。ギャングの世界も白人の地位が高いようだが、フランクは彼らとの抗争は避けて、自身も目立たぬように振舞うことで無用な敵を作らない慎重さを持っている。腐敗した汚職刑捜査官に対しても同様だ。このへんの生ぬるさは、後の総逮捕でだいぶ溜飲が下がるけれど・・。

一方で、犯罪への正義感は強いけれど、女癖が悪く、家庭的な夫でもないリッチーの描かれ方がやや弱い気が・・・。クライマックスまではどちらかというとフランクの方に目がいってしまう。ラッセル・クロウはこういう女優との絡みがお好き?

犯罪者フランクを正義の捜査官リッチーが追い詰める図というよりは、両者の中にある長所と欠点を見せられた上で、尚且つ、麻薬犯罪を暴いてみせる=正義は勝つという印象だ。

で、二人の対決シーンだが・・司法取引ってヤツでしょうか?
罪の軽減のために、が前提としてあっても、「悪いヤツ」検挙に率先して強力してるフランクの姿はギャングじゃなかったな。

フランクが売りさばいていた麻薬「ブルーマジック」の名前の由来は麻薬の純度を測る薬品で青く染まる(=高純度)ことから来ているようです。

デンゼルって悪人に見えないんだよね

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする