杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

ロマンス

2018年06月30日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2015年8月29日公開 97分

新宿・箱根間を結ぶロマンスカーで、車内販売を担当しているアテンダントの北條鉢子(大島優子)。仕事の成績も常にトップで、今日もつつがなく業務をこなすつもりだったある日、鉢子は怪しい映画プロデューサーの桜庭(大倉孝二)と出会う。ふとしたきっかけで桜庭に母親からの手紙を読まれてしまった鉢子は、桜庭に背中を押され、何年も会っていない母親を探すため箱根の景勝地を巡る小さな旅に出ることになる。(映画.comより)


タナダユキ監督の 小田急線のロマンスカー60000形MSEを舞台に描かれたオリジナル脚本作品で、小田急電鉄の全面協力のもと撮影が行われたとか。公開当時、冒頭に秒単位で登場するだけの窪田君を観に行こうか迷って結局止めてしまった記憶が 内容も興味なかったというのもありますが、思い出してレンタルしてみたら・・・あら~~けっこう好きかも

噂通り、窪田君はほんのちょっとの出番でしたが、エンドロールでは3,4番手のクレジットなのがちょっとツボです

冒頭すぐに登場する恋人の直樹(窪田正孝)君はだらしなく部屋を散らかしたまま朝寝を決め込んでいます。(萌え袖だ~!服を着てても寝返りシーンで逞しい背筋がわかっちゃうぞ見事過ぎてキャラ的に合わないから裸はNGなのか??)呆れ顔?で見つめる鉢子は「私、なんでこんな男に引っ掛かっちゃったんだろう」とか思ってそう なんだか今夏ドラマ「ヒモメン」の役柄とかぶって見えてきます 目を覚ましたと思ったら「お金貸して」だもんな~~「一万円」と言って返事がないのを見て「五千円」・・それでも反応がないと「千円」そして諦めたのかまた寝てしまう直樹。この時の表情の変化が実に見事。そしてカットが変わると寝ている直樹の枕元に二千円が置かれていてたった数十秒の出番なのに彼らの関係がしっかり伝わってきます。

職場での鉢子は成績優秀。コネ入社の新人・久保美千代(野嵜好美)は逆に要領が悪く失敗が多くて、カバーするのも限界に近付きつつあるようです。おまけにこの日は出がけにポストにあった手紙に余計にイラついていました。というのも、鉢子が小学生の時に離婚してから人が変わったように男にだらしなくなった母親(西牟田恵)から、また男に振られたという内容だったから。

そんな時、客の万引きを目撃した鉢子は口論となります。話し合いのために下車した途端、その中年男・桜庭は逃げ出し、追いかけて捕まえたものの、乗る予定のロマンスカーは出発してしまい、桜庭もお咎めなしということになり、彼女のイライラはMAXに。おまけに破り捨てた母からの手紙を桜庭が読んで「あなたとの思い出の場所から遠い旅に出る」とはお母さんは死ぬつもりかもしれないから探しに行こうと強引に連れ出されることになります。内心気になっていた鉢子は強く抗うこともせず、二人は彼女の思い出の地である箱根を小旅行することにというのが筋書です。

映画プロデューサーを名乗った桜庭は、追いかける時に破れたスカートに気付いてまず鉢子に洋服を買ってあげます。(彼女は制服のまま無一文の状態でしたからね)レンタカーで小田原城や大涌谷、芦ノ湖、仙石原を回りながら、やけに調子の良い桜庭に冷静な突っ込みを入れる鉢子。この二人の会話が面白いのその中で互いの身の上が少しずつ語られていきます。母親を探すという割には全く真剣に探してないけれど、そもそも二人とも本当に見つかるとも思ってないのよね夜になり道に迷った末に辿り着いたラブホで、彼らの本音が交差します。これは傷を抱えた二人が出会って現実と向き合うためのきっかけを掴む、一種のファンタジーなんだね 「マイ・フェア・レディ」を初め懐かしい映画の題名が登場しますが、映画に全く関心のない鉢子がスルーするのも可笑しかったです。彼女が唯一反応したのが「いい日旅立ち」の歌。これは昔母が機嫌よい時によく口ずさんでいた曲だったから。

翌朝。新宿駅での別れ間際に桜庭が鉢子に渡したのは大涌谷の土産店で買ったキーホルダーです。子供の時の家族旅行では見つけられなかった「はちこちゃん」の名前の入ったもの。桜庭は別れた妻子の名前入りのものも買っていた筈。鉢子はそれを察して「いつか渡せるといいね」と言います。このシーン好き

出社して上司から厳重注意を受けた鉢子を、これまで自分がフォローする一方だった久保が懸命に庇うシーンも良かったです。これをきっかけに、この二人も良いコンビになりそうだと思わせてくれます。

ラストは、乗務に戻った鉢子が、客席で「いい日旅立ち」を口ずさむ客が母親だと気付くシーン。彼女は父親似の男と楽しそうに乗っています。だよね~簡単に死ぬタマじゃないよね

でも鉢子はもう幼い子供ではありません。母親の悲しさや苦しさに思い至れるようになった大人です。それがはっきり示されるとびきりの笑顔で映画は幕を閉じるのでした

大島優子のツンデレぶりも可愛いけれど、桜庭役の大倉さん、上手い!!この二人の掛け合いがまた楽しくて、公開時に見逃したことをちょっと後悔しちゃいました。


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ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー

2018年06月29日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2018年6月29日公開 アメリカ 135分

帝国の支配がはじまりを告げる、銀河の無法時代・・・自由に生きようとする若者がいた。彼の名は、ハン(オールデン・エアエンライク)。天才パイロットにして、知力や大胆さを兼ね備えながらも、不遇な生い立ちからチャンスに恵まれずにいた。やがて彼は、数奇な運命で結ばれた相棒チューバッカと共に、強烈なカリスマ性を放つベケット(ウッディ・ハレルソン)のチームに加わり、莫大な金を生む危険な仕事に挑むことに。乗るか反るか、命を賭けるに値する本物の自由を勝ち取るために、ハン・ソロの冒険がはじまる。(チラシより)


「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー」に続くアナザーストーリー第2弾は、ルークやレイアと出会う前のハン・ソロの若き日の姿を描いた作品です。監督は「ダ・ヴィンチ・コード」のロン・ハワード。

SWの熱心なファンの評価は分かれるかもですが、個人的にはなかなか面白い娯楽作品でした。私がはまったのはエピソード1~3のアナキンであり、旧三部作でルークを演じた俳優さんも好みではなく、ハン・ソロに関してはアウトロー的キャラは好きですが、演じているハリソン・フォードは「インディ・ジョーンズ」シリーズの方が好みなので、今回若いハン・ソロを誰が演じるかはさほど重要ではなかったのです。それよりも冒険の中身の方が気になっていました。

ハンの故郷のコレリアは宇宙船の造船が生業の惑星で、帝国軍部隊が駐留しています。ハンと幼馴染で恋人のキーラ(エミリア・クラーク)は、自由を得るためにコレリア脱出を試みますが、キーラが捕まり、ハンは咄嗟に帝国軍に志願します。この時「俺は一人きりだ」と言ったことでソロという名前が付くようになったみたい

パイロットではなく歩兵として激戦地に送られますが、ベケット率いる強盗団に加わり、やがてパイロットとして腕を磨くこととなります。チューバッカとの出会いもこの時。 粗暴なウーキーの餌食になるべく最悪の出会いをした二人ですが、ハンの機転で自由を得たチューバッカと、彼を気に入ったベケットの仲間のリオ(ジョン・ファヴロー)のおかげでハンも自由を得ることができたというわけね。

ベケットの相棒のヴァル(タンディ・ニュートン)はハンを嫌っていますが、帝国軍が輸送する宇宙船燃料のコアクシウムを奪う目的のため渋々ハンを仲間に入れることを了承します。この強奪作戦はなかなかスピード感もあってでしたが、この作戦はエンフィス・ネスト(エリン・ケリーマン)一味の邪魔が入って失敗し、リオとヴァルが命を落としてしまいます。パイロットとしてのハンの役割が大きくなったエピになっていました。

依頼主であるドライデン(ポール・ベタニー)のところに向かったベケットとハンはキーラと再会。彼女はドライデンの副官になっていました 単純に再会を喜ぶハンですが、その地位に上るために彼女が払った犠牲を想像してしまいますよね (以後の会話の中にもその片鱗が顔を出しますがディズニー映画らしくソフトにカムフラージュされていました

失敗を取り戻すため、コアクシウム鉱山のある惑星ケッセルで精製前の原料を奪おうと、宇宙一速い船の持ち主ランド(ドナルド・グローバー)と賭けをしてあっさり負けるハン でもキーラの交渉が成功し、一行はケッセルへ辿り着きます。この時はまだパイロットはランドと相棒のドロイドのL3-37(フィービー・ウォーラー=ブリッジ)。L3との機知に富んではいるもののどこかずれた会話が楽しいです。ドロイドなのに権利を主張するL3は、鉱山で重労働に従事させられているドロイドを見て義憤にかられ大騒動を起こします。ちょっとドン・キホーテっぽいぞ。そしてやっぱり命を落としてしまうのねでも彼女のメモリーデータのおかげでハンたちは目的を遂げることができました。

とまあ、ここまでは明快な冒険劇なのですが、エンフィス・ネストの正体や、ドライデンとの駆け引きなど、後半は二転三転の裏切りの連続で、一体誰が敵か味方かな入り乱れた展開となります。

一番意外だったのはキーラの行動。でもだからこそ彼女が今の地位を手に入れたんだろうなと妙に納得です。このことがハン・ソロのシニカルな性格を作り上げたのかもねと思ってしまう旨い演出かと 

ジェダイ不在の時代なので、ライトセーバーが出てこないのは物足りないですが、ミレニアム・ファルコンの雄姿はファンにはたまらない光景かも シリーズに繋がるキャラも登場しているので、思わぬトリビアがあるかも。


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万引き家族

2018年06月27日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2018年6月8日公開 120分

東京の下町。高層マンションの谷間に取り残されたように建つ古い平屋に、家主である初枝(樹木希林)の年金を目当てに、治(リリー・フランキー)と信代(安藤サクラ)の夫婦、息子の祥太(城桧吏)、信代の妹の亜紀(松岡茉優)が暮らしていた。彼らは初枝の年金では足りない生活費を万引きで稼ぐという、社会の底辺にいるような一家だったが、いつも笑いが絶えない日々を送っている。そんなある冬の日、近所の団地の廊下で震えていた幼い女の子(佐々木みゆ)を見かねた治が家に連れ帰り、信代が娘として育てることに。そして、ある事件をきっかけに仲の良かった家族はバラバラになっていき、それぞれが抱える秘密や願いが明らかになっていく。(映画.comより)

 

「三度目の殺人」「海街diary」の是枝裕和監督が、家族ぐるみで軽犯罪を重ねる一家の姿を通して、人と人とのつながりを描いたヒューマンドラマです。2018年・第71回カンヌ国際映画祭・パルムドールを受賞したことで一躍脚光を浴びた感じシネコンでも大きなスクリーンで一日の上映回数も公開半月経っても多いままです。ということで気になる他の映画を一通り観た後でやっと鑑賞です

冒頭、協力して万引きをする親子の様子が映し出されます。(いや、これ真似するバカが出てきたらどうすんの?とか思ってしまったぞ)首尾よく成果をあげての帰り道、商店街で出来立てのコロッケを、今度はお金を出して買うというのが不思議な感がありましたが、後に彼らの万引きは日々の糧の足りない分を補う分にとどめていることがわかってきます。だからって許されるわけではありませんがね

場面は冬の凍えるように寒い夜です。そんな日に外に出されている幼い子供を見たら、放っておけない気持ちはわかります。それでも普通は勝手に連れ出したりはしないけど、治はしちゃうんですね~~。祥太に万引きを教えたのも治です。「俺にはそれしか教えられることがなかった」と述懐する場面が出てきますが、彼は本来優しい人間であり、子煩悩な側面もあります。(というよりある意味う子供)車上荒らしや万引きを生きる術とすることに罪悪感を持たないのも、治自身の境遇が大きく関わっていそうです。

ゆきと名乗った女の子の身体に虐待の後を見つけ、彼女の両親の激しい喧嘩の様子と「産みたかったわけじゃない」という言葉を漏れ聞いて、ゆきを「家族」に迎えることを決めた信代には、過去に同様の虐待経験があったのかな。二人の腕に残る「アイロンの火傷」跡のシーンが印象的です。

春。5歳の女の子が行方不明のニュースがTVで流れ、ゆきは「じゅり」という名前であること。両親は娘の疾走を隠していたことがわかります。両親の元へ帰ることを拒んだゆきの髪を切り、彼らは「りん」という名を与えます。「私たち、選ばれたのかしらね」と治に話す信代はどこか嬉しそうです。(そういえば彼らは子供たちから父さんとか母さんとは呼ばれていません。

家族に見えた4人の関係も実はそれぞれ血縁で結ばれたものではないことがわかってきます。縁側で花火の音を楽しんだ夏の夜、海水浴場への小旅行・・・でも疑似家族の幸せは初枝の死で崩れ始めるんですね。

葬式代がないことを言い訳に、彼らは初枝を床下に埋め、その死を隠して年金を不正受給します。初枝のへそくりを見つけて喜ぶ二人の姿に亜紀はこの家族のありかたに疑問を持つようになります。

ちなみに初枝と亜紀にも血縁関係はありません。亜紀は初枝の夫の後妻の子の娘のようです。おそらくは家族の中で居場所を失った亜紀を初枝が拾ったというところでしょう。初枝は時々亜紀の家を訪ねてお金を貰っていたようですが、亜紀の両親は娘が初枝と暮らしていたとは知らなかったようですから、これは初枝なりの一種の復讐あるいは養育費のような思惑があったと推察されます。そもそも初枝が治たちを受け入れたのも独り寂しく死んでいくのが嫌だったからであり、一種の保険だというセリフも出てきます。大人同士は多少の打算の上の同居というわけですね。

亜紀は親から与えられなかった愛情を初枝や、バイト先(JKリフレなんて仕事もあるんだ~~)の客(池松壮亮)で埋めようとしているように見えました。

祥太は治たちから「学校は家で勉強できない子が行くところ」と刷り込まれて育ったようです。11歳の彼の読んでいる教科書は小学校低学年のものですが、その中に出てくる「スイミー」の話は、そういえば子供の教科書にも載ってたっけ小さな魚が群れになって大きな魚を撃退するというストーリーがこの作品で何を暗示しているか・・・でもこの家族の戦い方は根本的に間違っているんだけどね。

りんに初めて万引きをさせた日、祥太は駄菓子屋のお爺さん(柄本明)から「妹にはさせるんじゃないよ」と言われます。お爺さんが全てを知った上で見逃してくれていたのだと気付いた祥太は、社会的な善悪について考え悩むようになっていきます。車上狙いを手伝わされ、自分が拾われたのもそういう行為の最中だったのだとも気付いてしまうのね。スーパーで自分の真似をするりんを見て祥太がとった行動の本当の意味は、りんを助けようとしたというより、自分の中で答えのでない出口を求めたのではないかしらん

祥太の入院で身元がばれると思った「家族」は逃げ出そうとしますが、警察の動きの方が早かった(こういう時だけ早いのね)一人ずつ事情聴取されるのですが、子供たちには猫なで声で、大人にはハナから決めつけて問い質す姿には嫌悪感を覚えます。何も知らない他人が偉そうに!ってな感じ 世間や社会の枠から治や信代は間違いなくこぼれた人間なんですよね。でも彼らのような状況を知らずに育ち暮らしている者が自分たちの物差しを振りかざして一方的に責めるのもなんだか違う気がして・・。

子供たちのその後・・亜紀については触れられていませんでしたが、おそらく実家に戻ったのでしょう。祥太は養護施設で学校にも通い「まともな」生活ができています。容疑を一身に引き受け収監された信代は治に祥太を連れて面会に来るよう頼み、祥太の本当の親の手がかりを伝えます。うろたえる治に「私たちではダメなの」と答える彼女は既にこの疑似家族の崩壊を認め、祥太の将来を想っているんですね。治と「親子の時」を楽しんだ翌日の別れは、祥太の中でこれが最後だとはっきり認識していたのだと思います。バスの中から治に向かって言ったのは声にならない「ありがとう」(海辺で初枝の唇が動いたそのシーンも「ありがとう」だったのかな)

逆に両親の元に戻されたりんは幸せに暮らせたのかというと・・・虐待が続いている様子。ラストシーンはまた冬の頃になっていて、外に出されて一人遊びをする彼女が通りをのぞき込む姿です。まるで連れ出してくれる誰か(治?)を待っているかのような・・・。このラストは評価が分かれるみたいですね。安易なハッピーエンドより私は納得できましたが。(人間簡単に変わるもんじゃないしね。それより虐待の事実を把握しているだろう然るべき機関が親元に戻す選択をしたことに呆れてしまいますが)

教育という点では治たちの間違いは明白ですが、愛情においては一概に非難できないかなぁ。それでも、信代の方が先に自分たちの間違いに気付いたんですね。治は変わるのかなぁ?色々考えさせられる作品です。


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ワンダー 君は太陽

2018年06月22日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2018年6月15日公開 アメリカ 113分 

10歳のオギー・プルマン(ジェイコブ・トレンブレイ)は、普通の子には見えない。遺伝子の疾患で、人とは違う顔で生まれてきたのだ。27回もの手術を受けたせいで、一度も学校へ通わずに自宅学習を続けてきたオギーだが、母親のイザベル(ジュリア・ロバーツ)は夫のネート(オーウェン・ウィルソン)の「まだ早い」という反対を押し切って、オギーを5年生の初日から学校に行かせようと決意する。夏休みの間に、オギーはイザベルに連れられて、校長先生に会いに行く。先生の名前はトゥシュマン(マンディ・パティンキン)、「おケツ校長だ」と自己紹介されて、少し緊張がほぐれるオギー。だが、「生徒が学校を案内するよ」と言われたオギーは動揺する。 紹介されたのは、ジャック・ウィル(ノア・ジュプ)、ジュリアン(ブライス・カイザー)、シャーロット(エル・マッキノン)の3人。いかにもお金持ちの子のジュリアンはオギーに、「その顔は?」と聞いてきた。オギーは毅然とした態度をとるが、帰宅してからは元気がなかった。だが、イヤならやめてもいいと言いかけるイザベルに、「大丈夫、僕は行きたい」と答えるのだった。初登校の日、両親と姉のヴィア(イザベラ・ヴィドヴィッチ)に校門まで送られるオギー。ネートは息子の頭から宇宙飛行士のヘルメットを外すと、「孤立してもお前は一人じゃない」と励ます。だが、生徒たちはオギーを遠巻きにしながらジロジロと眺め、ランチタイムでは誰もオギーのテーブルに座らない。それどころか、ジュリアンに食べ方がおかしいと指摘され、『スター・ウォーズ』のパダワンを真似た三つ編みを「ダサいぜ」とバカにされる。帰宅するなり三つ編みをはさみで切り、夕食の席でヘルメットをかぶったまま黙りこくるオギー。たしなめるイザベルにオギーは、「なぜ僕は醜いの?」と涙ながら訴える。イザベルは「顔は人の過去を示す地図」だから、「あなたは絶対に醜くないわ」とキッパリと答えるのだった。その日は、ヴィアの高校の初日でもあった。数週間前から、幼なじみで大親友のミランダ(ダニエル・ローズ・ラッセル)からの連絡が途絶え、ようやく学校で顔を合わせたら、髪を派手に染めて変身し、新しい友達を作っていた。ショックで涙ぐんでいると、演劇クラスのジャスティン(ナジ・ジーター)という魅力的な男の子から声をかけられる。だが、両親から“世界一手のかからない子”と呼ばれているヴィアは、心配をかけるようなことは何一つ話さない。本当は自分にも注目してほしいけれど、絵本のイラストレーターと美術の先生になる夢を封印している母に、甘えることなどできなかった。そんなヴィアの心の支えは、最大の理解者のおばあちゃん(ソニア・ブラガ)だった。でも、「お前は私の宝物なの」と言ってくれたおばあちゃんも、今では天国の住人だ。一方、オギーは触れたらペストがうつると噂されて増々孤立していくが、得意な理科の授業で目覚ましい才能を発揮する。ある日、ジャックに理科の小テストの答えをこっそり教えてあげたことをきっかけに、二人は意気投合する。オギーの自宅に招かれたジャックは、息子の初めての友達を大歓迎する家族とも仲よくなっていく。そして、オギーが心待ちにしていたハロウィンがやって来る。ジャックに約束していた『スター・ウォーズ』のボバ・フェットの衣装を愛犬のデイジーに汚されたオギーは、『スクリーム』のゴースト・フェイスで登校したので誰もオギーと気付かない。ウキウキしながら教室へ行くと、ジャックがジュリアンに耳を疑う“本音”を打ち明けていた。でも、オギーはもう一人じゃない。頭がよくて面白くて、前向きで優しいオギーの魅力に気付く生徒たちが現れ始めたのだ。オギーの存在の大きさに気付いたジャックとも劇的な仲直りを果たすが、理科研究大会に野外学習、ヴィアの演劇発表会とイベントの度に騒動が巻き起こる。 オギーと彼に関わるすべての人にとって、忘れ難い1年が終わろうとしていた。そして修了式の日、一生忘れられない出来事が彼らを待っていた─。(公式HPより)

 

R・J・パラシオの小説「ワンダー」を映画化したヒューマンドラマです。

ジュリア・ロバーツとオーエン・ウィルソンが両親役と知ってから、ぜひ観たいと思った映画でした。

オギー役を含めて子役たちはとても可愛くて、特にジャック役のノア君は「ピーター・パン」の時のジェレミー君にちょっと似ていて

オギーは外見は確かに特異ですが、中身は心優しい男の子。両親は彼が世間の荒波に押しつぶされることを恐れて自宅で勉強を教えていましたが、イザベルは夫の反対を押し切って中等部に進級する頃を見計らって学校に通わせる決意をします。もちろん、彼女の中にも息子が虐められるのではないかとの不安や傷つくのではないかという恐れはありましたが、いつまでも「温室」で育ててはいけないと十分わかっていたのですね。

家族は皆仲良しで、オギーの登校にも全員が付き添って励まして送り出します。でも、やはり学校では奇異の目に晒され、心無い接し方をされてしまいます。子供というのは時にこのうえなく残酷な振る舞いをそれが悪いことだと思わずにしてしまう生き物。だけど、彼らには柔軟な心があります。一度は親友になったジャックの思わぬ本音を耳にして傷ついたオギーですが、サマーと友達になったことで状況が好転していきます。自分がオギーを深く傷つけたことに気付いたジャックは、ネットゲームを通じて(いかにも現代的なエピ)オギーに謝り彼らの間に再び友情が戻ってからは、オギーの周りにどんどん友達が出来ていくんですね。

 優等生タイプのジュリアンは実は人を外見で判断し差別する嫌な子として登場します。オギーが人気者になってくると彼への嫌がらせがエスカレートしていきます。これがきっかけでジャックはジュリアンと決別しオギーと仲直りのきっかけにもなるんですけどね 遂には校長に両親と呼ばれて停学を言い渡されるのですが、この時の両親の態度がもう最悪!こういう親に育てられたから偏見を持つようになったんだろうなぁ 最後に校長に謝るジュリアンは根は悪い子じゃないんだとわかるエピソードでした。(同じようにオギーをペスト菌扱いする女の子はアジア系で、逆にオギーを受け入れる担任やヴィアのBFは黒人です。これも言ってみれば逆差別?と思うのは深読みし過ぎかな

手がかからない姉のヴィアには親友のミランダが急に離れていった悩みがあったり、そのミランダにも家庭に深刻な悩みを抱えていたりとそれぞれの内面も丁寧に描かれているのも好感が持てます。登場人物はその殆どが結局は善人だったりするので、「こいつは裏切るんじゃないか?」とか「ここで陥れるんじゃないか?」と疑って観ていた自分が恥ずかしくなるほど 

オギーの家庭は経済的にも豊かなようだし、校長や担任も人格者で、彼を見守る温かい大人が大勢います。容姿以外は羨ましい環境ですが、それゆえに悩みはその一点に集中してしまうんですね。それでも、持ち前の優しさや賢さや勇気でオギー自身が周囲の人々を惹きつけていく姿は十分に素敵です。

その容姿さえ、物語が進んでいくと全く気にならなくなっていくから不思議。観終わると何だか清々しい気持ちになる映画でした。

オギーの想像の中のこととして登場するSWネタ(チューバッカとか)が楽しくて、けっこうツボだったりします。


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探偵はBARにいる3

2018年06月21日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年12月1日公開 122分

「恋人の麗子が失踪した」。高田(松田龍平)の後輩からのありふれた依頼を安易に引き受けた探偵(大泉洋)。早速調査に乗り出すと、探偵は麗子(前田敦子)がアルバイトをしていたモデル事務所のオーナー・マリ(北川景子)と出会い、かすかな既視感を覚える。しかし周囲を嗅ぎまわる探偵はマリの手下に襲われ、これまで無敗を誇った高田も倒されてしまう。次第に麗子の失踪の陰に、裏社会で暗躍する札幌経済界のホープ・北城グループの殺人事件が見え隠れする。マリはグループの代表・北城(リリー・フランキー)の愛人だった。そんな中、何かを思い出す探偵。なじみの元娼婦・モンロー(鈴木砂羽)がかわいがっていた、今にも死にそうに震えていた女――「あれか…?あれがマリか…?」緊張が走る裏社会、巨額の薬物取引、2つの殺人事件――。すべてはマリによる、北城をも欺く作戦であった。そしてマリは、探偵に最後の依頼を託す。その時、探偵と高田の別れへのカウントダウンが始まっていた。(公式HPより)


東直己の「ススキノ探偵シリーズ」を実写映画化した「探偵はBARにいる」の第3作です。

マリはかつて妊娠がわかったとたんに自分を捨てた椿が北城の部下として覚醒剤の運搬をしていることを知って、この計画を立てます。北城から覚醒剤を奪って一億円を引き出そうとしたのね。そのために工藤も殺しています。 探偵との再会は偶然ですが、彼女はそれをも利用して目的を遂げようとします。

その目的こそが、かつて探偵に言われた「命を燃やせるものを見つけろ」への答えになっていました。不治の病で入院中のマリが、かつて流産した子供の命日と同じ誕生日の難病を抱えた子供と出会い、この子を救うことが使命と決めて、莫大な手術代を作ろうと、北城から奪った覚醒剤を一億で買い取らせる計画を立てたというのが真相でした。う~~ん、哀しすぎるぞ

高田をも倒してしまう半端なく強い手下を演じるのは志尊淳。朝ドラのゲイ役とは180度違う顔を見せますが、やっぱり最後は高田が勝っちゃうのね

前田演じる麗子はおバカな軽さが強調されたキャラで、なんかもったいない使い方だな~~

お馴染みのメンバーも健在で楽しませてくれます。ゲイバー「トムボーイズ」のママ(篠井英介)との会話や、サウナで情報交換する桐原組の若頭・相田(松重豊)とのシーンはコミカルで好きです。

外国に行ってしまう筈の高田が実は・・というのもお約束感はありますが、まだまだシリーズ出来そうね


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プラハのモーツァルト 誘惑のマスカレード

2018年06月19日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年12月2日公開 チェコ=イギリス 103分

1787年、プラハはオペラ『フィガロの結婚』の話題で持ちきりだった。上流階級の名士たちは、モーツァルト(アナイリン・バーナード)をプラハに招き、新作を作曲させようと決める。その頃、モーツァルトは三男を病で亡くし失意のどん底にあり、陰鬱な記憶に満ちたウィーンを逃れるために、喜んでプラハにやってきた。友人ヨゼファ夫人の邸宅に逗留して、『フィガロの結婚』のリハーサルと新作オペラの作曲にいそしむモーツァルト。やがて、彼は、『フィガロの結婚』のケルビーノ役に抜擢された若手オペラ歌手スザンナ(モーフィッド・クラーク)と出会い、その美貌と才能に大いに魅了される。一方、スザンナもモーツァルトが妻帯者と知りながら、その天才ぶりに引き付けられずにはいられなかった。急速にその距離を縮める二人。しかし、オペラのパトロンであり、猟色家との噂のあるサロカ男爵(ジェームズ・ピュアフォイ)もまた、スザンナを狙っていた。三人のトライアングルは愛と嫉妬と陰謀の渦に引き込まれてゆく―(公式HPより)


モーツァルトがプラハで名作オペラ「ドン・ジョヴァンニ」を初演した史実から着想を得、猟色家ドン・ジョヴァンニを主人公にしたオペラ創作の背景に、モーツァルト自身を巻き込んだ愛と嫉妬と陰謀の三角関係があったとする作品になっています。

「アマデウス」以来のモーツァルト映画です。以前天才ヴァイオリニストを描いた「パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト」が良かったのでこちらも期待したのですが・・・

パガニーニはそもそもが波乱万丈な破滅型のキャラだったからか、恋愛に関してもすんなり受け止められたのですが、モーツァルトは妻帯者だからか、子供を亡くして塞いでいるのに、若い美女に出会った途端恋に走り出すんかい!と引いてしまったんですね~ もちろん、彼らを引き寄せたのは音楽への情熱に他ならないとはわかってはいるんですが・・

映画の中での悪役はサロカ男爵であり、彼の性癖や女癖の悪さといったら同情の余地なしです。あからさまなシーンはほぼないのに、どういう悪癖を持っているかは観ている側にちゃんと伝わってきます。

モーツァルトを陥れるためザルツブルク大司教から派遣されたノフィが男爵に接近し、モーツァルトとスザンヌの関係を匂わせ焚きつけるのですが、彼には決定的な尻尾を掴むことができないの

スザンヌの父親はサロカ男爵からの結婚申し込みに大喜びで応じます。なんたって地元の名士の金持ちですから、男爵に関する悪い噂には耳を塞いで、モーツァルトの忠告に怒り出す始末。この時代、娘が父親の意に背くことは許されません。ましてモーツァルトは妻帯者。彼女は一夜の思い出に彼に身を任せるんですね~~そんな女心には気付かず幸福を噛みしめていたモーツァルトはスザンヌからの突然の別れの言葉に深く傷つきます。

二人が結ばれたことに気付いた男爵はスザンヌを自分の館に拉致して感情をコントロールできずに過って彼女を殺してしまいます。駆けつけた父親は自分の判断が間違っていたことを知り、男爵を断罪し、モーツァルトに詫びるのでした。

傷心の彼の元に駆けつけた妻子を抱きしめ、モーツァルトは新作「ドンジョバンニ」に心血を注ぎます。序曲を含んだ総譜を書き上げたのは公演初日の朝。オーケストラは初見リハ無しです。そして幕が上がり・・・

う~~ん・・なんだかなぁ そもそもモーツァルトが愛しているのは妻子な筈。スザンヌが自由の身であったとしても二人が祝福される道はなかったし、彼が現れなかったらスザンヌは死なずに済んだかもとも思います。(もちろん男爵との結婚は彼女にとって死より辛いものになっただろうけれど)フィクションではあるけれど、もやもやするなぁ

百塔の都と讃えられるプラハの美しい街並みや、要所で流れる『フィガロの結婚』の音楽が、二人の物語を悲劇に仕立てるのに大いに貢献していました。


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終わった人

2018年06月18日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2018年6月9日公開 125分

一流企業のエリート街道を歩んでいた田代壮介(舘ひろし)は、同期のライバルに負けたことで出世コースから外れ、子会社に出向させられてしまう。そのまま銀行に戻ることなく、ついに定年の日を迎えてしまった。「やることがない・・・」仕事一筋だった壮介は、翌日から時間を持て余してしまう。公園、図書館、スポーツジムなど時間を潰すために立ち寄った先は、至る所に老人ばかり・・・。美容師として忙しく働く妻・千草(黒木瞳)につい愚痴をこぼし、次第に距離を置かれてしまう。このままではマズイと職探しを始めるも、高学歴・高職歴が邪魔をして思うように仕事が見つからない。しまいには、千草や娘・道子(臼田あさ美)から「恋でもしたら?」とからかわれる始末。ある日、大学院で文学を学ぼうと思い立った壮介は、勉強の為に訪れたカルチャースクールの受付嬢・浜田久里(広末涼子)に想いを寄せるようになる。さらに、通い始めたスポーツジムで知り合った新興IT会社ゴールドツリー社長・鈴木直人(今井翼)から会社の顧問になって欲しいと頼まれ、壮介の人生が大きく変わろうとしていた。定年を過ぎて仕事に恋に、第二の人生を歩み出した壮介。順風満帆に思えたのも束の間、次々と壮介の身に災難が降りかかってしまう。そして、ずっと支えてくれていた千草からも愛想を尽かされ、「卒婚」を提案されるのだった。(公式HPより)


内館牧子の同名小説を映画化したハートフルコメディです。本当は先週観る予定が上映時間間違えて今日になりました。

話題の邦画が並ぶ中、初週から上映回数もスクリーンも控えめなので、早くしないとどんどん回数が減り、時間が遅くなりそうとちょっと焦ったんですが・・・DVDでも良かったかも

クスッと笑えたり、イタかったりと、決してつまらないわけじゃないんですが、主人公が普通の平サラリーマンだったらもっと感情移入できたかもと思ってしまいました。夫の視点で進むので、妻がどう思っているのかが伝わりにくかったのも一因かな。時間を持て余してうろつく壮介の冴えない姿を舘さんが演じているのは何だか新鮮 でも恋と仕事に燃えて張り切る壮介は、普段の舘さんのダンディさが遺憾なく発揮されてます

故郷の盛岡ではラグビー部のキャプテンとして仲間を引っ張り、頭脳明晰で東大に合格し、大手銀行のエリートコースを歩むものの、出世競争に負けて子会社に飛ばされたまま鳴かず飛ばずで定年を迎えた壮介。はっきりいって負け組ですね。会社を去る時の儀式は「まるで生前葬」この対比シーンが笑えますが、ちょっとイタイ。同じく再就職の面接では、採用する気ははなからないけど「東大卒」見たさに呼び出したのが丸わかりの「山下メディカル社」の社長夫婦との会話もかなりイタイ高学歴が邪魔をするなんて壮介は思ってもみなかったでしょうね

家にいてもすることがなく、妻の職場まで迎えにいって迷惑がられたり、愚痴をこぼして嫌がられる姿も哀れです。(逆に自分が千草の立場なら同じような感情を持つ気がしますが)退職の日に見せられた妻の母親からのビデオの中で「妻と子供を路頭に迷わせることなく勤め上げた」ことを感謝するというメッセージを聞いて、心の中で「(大きなことを成し遂げることもない)それだけの人生だったか・・・」と自らを揶揄する壮介にはイラっとしました。彼にとっては人生の成功の基準は仕事>家庭であることがわかるシーンでした。

大学院に進もうと思い立ち、妻のいとこの俊彦(田口トモロヲ)に勧められるままカルチャースクールに申し込みに行って、古本屋で会った久里に再会し胸ときめかせる姿も客観的には「男あるある」なわけで そもそも大学院行って何をする気だったの?

しかし、俊彦の設定って原作ではどうなんでしょ?映画の中では家族の一員のような扱いで登場するけど、いとこの立場より遥かに近しい。親よりずっと近しい・・というか、双方の親との距離感ってどうなの? 壮介と年はそれほど変わらないようですが、自由人設定で若い恋人にも不自由していない(後半、その恋人が登場しますが、これがまた・・・)し、言ってみれば彼こそ人生勝ち組かも。

ジムで知り合ったIT会社の鈴木社長に声かけられたのも彼の学歴と社歴が欲しかったから。(鈴木社長、何か裏があるんじゃないかと思いましたがそんなことはなく、普通に良い人でした。疑った自分がちょっと悲しい)面接を受けた山下メディカルとは真逆の理由ですね。理由がどうあれ、自分が必要とされていると感じ壮介は張り切ります。ITは畑違いでも、取引先との交渉(英語だもんね)や銀行への融資依頼などは得意分野ですもんね 久里とも親しくなり、第二の人生が順風満帆にスタートしたと思ったのも束の間、久里には逃げられ、鈴木社長の急死で社長を引き受けたら取引先が倒産して連鎖倒産に追い込まれ負債を抱えてしまいます。

社長を引き受けることに反対していた千草の忍耐もここで切れて、壮介は家を追い出されてしまいます。千草名義の資産は無事とはいえ、壮介の預金だって妻の協力があったればこそなんですから、「あなたはいつだって自分のことしか考えてない」と千草が怒るのも無理はないよね~

カプセルホテルに転がり込んだ壮介ですが、悲壮感は感じられないどころか、スポーツ紙に載っていた母校のラグビーの試合の記事を見て応援に行っちゃうし・・・お~~い、お金ないんじゃなかったの?

でも昔の仲間と再会した酒席で遂に壮介が本音を吐露するシーンはちょっと感動的でした。そんな壮介にかけた仲間の言葉もね

結局壮介は負債を抱えたまま、妻からは卒婚を言い渡されて故郷に戻ります。(例えば老人ビジネスを思いついてもう一旗あげるとかの安易な展開じゃなかったのは)ラストは友人のNPO事業を手伝う壮介の元を訪れる千草。「髪を染めに来た」というのは、壮介が輝きを取り戻そうとするときに出てくるちょっとしたキーワードです。そっか~!この二人は卒婚であって離婚したわけじゃないのね

でもね・・・冷静に両親の姿を見て、ズバッと意見して、壮介と千草の娘の道子が一番大人な印象を受けました この娘を育てたという意味では、壮介の人生、捨てたもんじゃなかったかも


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ダウト・ゲーム

2018年06月16日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2014年製作 ドイツ=カナダ=アメリカ 91分

シカゴで暮らす新進気鋭の検察官ミッチ・ブロックデン(ドミニク・クーパー)は妻との間に娘を授かり、公私ともに充実した日々を過ごしていた。ある夜、仲間と飲んだ帰りに飲酒運転をして、突然飛び出してきたセシル・アッカーマンをはねてしまう。妻子のことが脳裏を過り、救急車を呼んで保身のためその場を立ち去り逃げてしまったミッチは、翌日、犯罪歴のある自動車修理工クリントン・デイヴィス(サミュエル・L・ジャクソン)がアッカーマン殺害の容疑者として連行された事を知る。デイヴィスは妻子を殺された傷ましい過去を持ち、当事件の裁判を担当することになったミッチは自責の念に駆られ、彼を擁護する。裁判後、デイヴィスが連続殺人事件に絡んでいることが判明し、ミッチは義兄のジミー(ライアン・ロビンズ)と2人で事件の全貌を明らかにしようと動くが・・。

 

ミッチは上流の出ではなく、犯罪歴のある義兄の存在を隠して妻と結婚しています。今の地位は自らの努力で勝ち得たものではありますが、彼の中では後ろ暗さもあるわけ。

飲酒の後、タクシーで帰ろうとした彼ですが、乗ってきた車(いや、初めから乗って来なきゃいいのに)を置いていくのが気になってつい運転してしまったミッチは、パトカーに気を取られた隙に人をはねてしまいます。救急車を呼ぼうとしてスマホの待ち受けの妻の画像を見てしまい、保身が頭を過った・・・これはわからなくもない。今まで築き上げたものが音を立てて崩れていくんですからね。でも逃げちゃったらダメでしょ・・・

デイヴィスが逮捕されたと知り、元は善良なミッチは悩みます。だって彼はひき逃げ犯じゃないもの。自らの勝ち点を減らしても彼を救おうとする姿は立派なようで、でも結局保身と罪悪感からの逃避に過ぎないのよね

ところが、このデイヴィスが曲者。妻子を目の前で拷問の末に殺されたことで、彼の精神も破綻してしまっているようです。実はアッカーマンは性犯罪者で、デイヴィスは彼を拷問して殺そうとしていたところを逃げ出され、そこにミッチの車が・・というのが真相でした。

他の事件にもデイヴィスが関与していることに気付いたミッチは、義兄に協力を頼みます。血は繋がらなくても共に育った兄弟の絆で結ばれているんですね ところがデイヴィスにばれて、逆にはめられ、ジミーを襲った犯人にされてしまうの。自らが正義と妄信するデイヴィスは、ミッチのためと称して彼の妻子を襲います。絶体絶命のピンチを救ったのは・・・ ま、流れからいくとあの人しかいないよね

一件落着してジミーもミッチの家族に受け入れられ・・・あれ?でもそもそも轢き逃げしたことは変えられない事実で、その罪は負わなくても許されるのかい?それとも司法取引というヤツでしょうか 


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スリー・ビルボード

2018年06月15日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2018年2月1日公開 イギリス 116分

アメリカのミズーリ州の田舎町を貫く道路に並ぶ、3枚の広告看板。そこには、地元警察への批判メッセージが書かれていた。7カ月前に何者かに娘を殺されたミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)が、何の進展もない捜査状況に腹を立て、警察署長(ウッディ・ハレルソン)にケンカを売ったのだ。署長を敬愛する部下(サム・ロックウェル)や、町の人々から抗議を受けるも、一歩も引かないミルドレッド。町中が彼女を敵視するなか、次々と不穏な事件が起こり始め、事態は予想外の方向へと向かい始める……。(公式HPより)

 

2017年・第74回ベネチア国際映画祭・脚本賞、トロント国際映画祭・観客賞、第90回アカデミー賞・主演女優賞、助演男優賞受賞と世界的評価を受けた作品です。舞台はアメリカなのでてっきりハリウッド作品だと思ってましたがイギリス製作なのね 

そんな高評価だった映画なのに劇場で鑑賞しなかった理由は、後味悪そうだと思ってしまったから。でも違った

人間は善と悪に分けられるほど単純じゃないことについて考えさせられる作品でした。賞を獲るにはなるほど理由があるわけですね

冒頭、何年も放置され殆ど剥がれている巨大なビルボードを前に考え込むミルドレッドの姿が。後でわかりますが、彼女の家からこの立看板が見えるんですね

愛娘を無残に殺した犯人が7か月経っても捕まる気配もない、その苛立ちと怒りが彼女を大胆な行動に走らせます。

三枚のボードには娘はレイプされて焼き殺された」「未だに犯人が捕まらない」「どうして、ウィロビー署長?」とのメッセージ。これは強烈です。警察も手をこまねいていたわけじゃなく、残されたDNAと容疑者たちが一致しなかったようですが、遺族にとっては納得できるわけもない。ここに既に深い溝があるわけです。

ウィロビー署長は末期がんで余命宣告されている身で、町の人たち(当然そこにミルドレッドも含まれます)も知っています。その人柄は部下たちからも住民からも慕われていたので、もちろん娘を殺されたことへの同情はあるのですが、ミルドレッドの行為は彼らの神経を逆撫でするものでした。何としても犯人を捕まえて欲しい一心に凝り固まってしまっているミルドレッドは、他の事はもう考えられなくなっているんですね。

署長を慕う部下のディクソンは差別主義者です。(どうやら母親の影響らしい)ミルドレッド憎しの思いが、彼を不当逮捕や脅しという行為に走らせます。後に署長が自殺すると怒りを抑えきれずにレッド(ビルボードを設置した広告会社の社長)に暴行を加え、それを目撃した新署長からクビを宣告されます。怒りの連鎖ですね。

署長はミルドレッドに同情的ですが、広告の設置自体は人格攻撃だと考えていました。やがて自らの死期が近いことを悟って自殺してしまいます。一見、その行為は妻を想って(死の苦しみに付き合わせたくない)のように見えますが、結局自身が死に向かう苦しみから逃れたかっただけな気がしました。 彼は妻の他にミルドレッドやディクソンへも手紙を遺します。ミルドレッドには憎しみだけで生きないで欲しいと、ディクソンには警察官に最も必要なものは愛だと諭します。実はビルボードの維持費も彼が払っていたのです。いや、本当人格者!!でも自殺しちゃったんだよなぁここにも人間の持つ複雑な心の揺れが表現されていました。

あのビルボードが署長の死を早めたと町の人たちはミルドレッドへの嫌がらせを募らせます。ビルボードが燃やされる事件が起き、警察署の仕業と思い込んだミルドレッドは署を放火。偶然、署内で署長の手紙を呼んでいたディクソンが巻き込まれ大火傷を負います。運び込まれた病室には彼が暴行したレッドがいました。優しく気遣ってくれるレッドに謝るディクソン・・このシーンは憎しみは憎しみで返すのではなく、赦すことが癒しであり許しであると気付かせてくれます。

一方、放火の際に彼女のアリバイを証言して助けてくれた小男のジェームズと食事にいった店で、元夫に自分がビルボードに放火したと告げられ動揺したミルドレッドは、ジェームズを心無い態度で傷つけてしまうの。苦しんでいる君を支えたかっただけなのにと立ち去るジェームズを見て、彼女の頑なだった心が少しだけ開いたようです。

改心したディクソンはミルドレッドの娘の事件を本気で調べるうち、犯人と思しき男を見つけ、酷い暴行を受けながらもDNA採取に成功しますが、その男には強力なアリバイがありました。このことを通じてディクソンとミルドレッドは和解します。男がミルドレッドの娘を殺した犯人ではなくても、別の事件を起こしているのは間違いないと、二人は彼を殺しに向かうのです。途中、ミルドレッドは署に放火したのは自分だと告白しますが、ディクソンは「あんた以外誰がいる」と返します。解った上で彼は彼女の「同志」になろうとしているんですね。

本当に殺すつもりゆかと問うディクソンに「道々決めよう」と返すミルドレッド。この会話には希望が見えます。赦すことを知った二人です。きっと・・・

というわけで、後味は決して悪くなく、むしろ痛みからの再生への物語に思えてきました。


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空飛ぶタイヤ

2018年06月15日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2018年6月15日公開 120分

ある日トラックの事故により、1人の主婦が亡くなった。事故を起こした運送会社社長、赤松徳郎(長瀬智也)が警察から聞かされたのは、走行中のトラックからタイヤが突然外れたという耳を疑う事実だった。整備不良を疑われ、世間からもバッシングを受ける中、トラックの構造自体の欠陥に気づいた赤松は、製造元であるホープ自動車に再調査を要求する。しかし、なかなか調査が進展を見せないことに苛立った赤松は、自ら調査を開始。そこで赤松は大企業によるリコール隠しの現実を知ることとなる。(映画.comより)

 

あれ?今までジャニーズの顔出しはチラシもNGだったような・・普通に出てるのほんとうに今回初めて気付いたぞ

池井戸潤の同名小説の映画化で、池井戸作品の初映画化でもあるそうな。TVドラマも原作も未見未読のまま劇場鑑賞です。

出てる俳優さんも豪華だし、予告段階で劇場で観ようと決めてましたが、本当は今日は「終わった人」を観ようとしてました。(だって「万引き家族」やこちらと比べて上映回数も初めから少なくていつ縮小されるかわからないんだもの)でも上映時間間違えていて、予定していた時間と5分しか違わないこちらを急遽みることに

町の運送会社の二代目社長役を長瀬君が好演しています。大企業のエリート・販売部の沢田役のディーン・フジオカも、銀行の営業本部の切れ者井崎役の高橋一生も、それぞれ適材適所といった感がありました。いつもはおちゃらけキャラを演じることが多いムロツヨシさんですが、今回は沢田にリコール隠しの事実をそれとなく教える小牧役で光ってます

弱気になった赤松を明るく支える妻役のフカキョンは、そのほんわかしたキャラが一層癒しを与えてくれます専務役の笹野高史さんは二代目を支える番頭然とした雰囲気を漂わせ、整備士の門田の、外見とは逆の真面目な人柄も好感が持てました。

赤松社長が孤軍奮闘する形で進んでいきますが、別の角度では、大企業の内部の人間である沢田や、その系列銀行の井崎、大企業の論理に泣き寝入りせざるを得なかった地方の業者(柄本明、佐々木蔵之介)、事件を追う刑事(寺脇康文)や週刊誌の記者(小池栄子)といった視点からも語られるのです。そして最後の池井戸流大どんでん返しは赤松の力だけでは成しえませんでした。でも彼の諦めない精神と粘りがなかったらこの結果は得られなかったことも事実なんですね。もう一つ、亡くなった被害者の幼い息子の書いたお母さんへの思いのこもった「手紙」が赤松や沢田のどこか他人事だった気持ちを我が事として捉えるきっかけになったことも大きいです。あれは泣けます

一人の力は微々たるものですが、権力は決して一枚岩なんかじゃなくて、「間違っている」という思いや信念により徐々に崩されていく様が胸を熱くします。現実も映画のように奢った権力者をやっつけてくれたらいいのにね~~ってその時点ですでに他力本願じゃん それにしても常務取締役の一徳さん、憎たらしかったな~

池井戸作品のTVドラマは前半のこれでもかという主人公たちの苦境が辛くてちょっと敬遠してましたが、映画は二時間の枠の中ですっきり終わるので、短気な私には丁度良かったです


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gifted ギフテッド

2018年06月11日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年11月23日公開 アメリカ 101分

「とにかく、子供らしく」─7歳のメアリー(マッケナ・グレイス)が初めて小学校に登校する日、叔父のフランク(クリス・エヴァンス)は、そう言って送り出した。ところがメアリーは、早速フランクの忠告を無視し、算数の授業で簡単すぎる足し算にイラつき、担任の先生のボニー(ジェニー・スレイト)が試しに出した、他の生徒には絶対にムリな暗算の問題を次々と解いてしまう。フランクと、頭がよくて鳥にも優しい片目の猫フレッドと暮らすメアリーは、生まれついての数学の天才だった。隣人で何かとメアリーの面倒を見てくれるロバータ(オクタヴィア・スペンサー)だけが、事情を知っている。メアリーの才能に気付き、好奇心に駆られたボニーは、フランクの名前をインターネットの検索にかける。すると、「著名な数学者ダイアン・アドラーが自殺。残された遺族は弟のフランク」という記事にヒットする。金曜の夜、街のバーでよくフランクを見かけていたボニーは、その夜も店に出掛けると、思い切ってフランクに声を掛ける。フランクはボニーに、7年前の出来事を打ち明ける。姉のダイアンが赤ん坊のメアリーを連れて、「話がある」と訪ねて来たのにデートへ出掛けてしまい、その間に姉は死を選んでいた。姉はメアリーの父親である男と別れ、妊娠を機に母親にも縁を切られていたため、フランクがメアリーを引き取るしかなかったのだ。そんななかメアリーは、学校で問題を起こしてしまう。校長はフランクに、“ギフテッド教育”で名高い学校への転校を勧める。だが、メアリーに“普通の暮らし”を求めていたダイアンの遺志を守るため、フランクは頑なに“特別扱い”を拒むのだった。少しずつ学校に馴染んでいくメアリーの前に、顔も見たことのなかった”おばあちゃん”、イブリン(リンゼイ・ダンカン)が現れる。メアリーの才能を知り、歴史に名を残す数学者になれたダイアンに代わって、偉業に挑戦させるべく迎えに来たのだ。メアリーはイブリンから贈られた、数学関係のソフトが入った最新のマックブックに夢中になる一方で、普段はケンカが絶えないけれど、本当は世界一大好きなフランクと引き離されることを恐れ始める。彼女の不安を察したフランクは、「俺たちは何があっても一緒だ」と約束するのだった。メアリーの親権をかけて、祖母対叔父の裁判が幕を開ける。弁護士を雇うのもギリギリのフランクに、イブリンは財力を駆使して一流弁護士に依頼した、驚くべき調査結果を突き付ける。しかし、フランクもまた、亡き姉から重大な秘密を託されていた─。(公式HPより)

 

ギフテッドとは、先天的に平均よりも顕著に高度な知的能力を持つ人のことを指しますが、映画では愛する才能という意味を持っています。

とにかくメアリーの可愛いことったら

天才的な数学の才能を持つ反面、とても子供らしい面も見せてくれます。特に印象的なのは、フランクの身体に足をかけて上る夕日を浴びたシルエット映像。こういう無邪気な遊びは小さな子がよくするよね

冒頭、ロバータがメアリーを学校に通わせることに反対するシーンが出てきますが、その理由はメアリーの特別な才能を知っていたからなんですね。そんなロバータの心配を押し切って入学させたのは、あくまで普通の子として育てたいフランクの強い意向(それは姉の願いでもあった筈です)からでした。

初めはクラスの子とうまく馴染めずにいたメアリーも次第に溶け込んでいきます。通学バスで、動物園模型を壊されたクラスメイト(この男子がまた可愛いの)のために上級生に殴りかかるというトラブルも起こしますが、それは彼女の正義感の現れでもあります。

母親が取り組んでいたミレニアム懸賞問題(ナビエ-ストークス方程式の解の存在と滑らかさ)など数学についてはさっぱりわからないけれど、わずか7歳のメアリーが大学クラスの複雑な数学の証明をいとも簡単に解くシーンは圧倒されます。

祖母のイブリンは孫のメアリーの母親に勝るとも劣らない才能を知り、彼女に自分とダイアンが出来なかった夢を押し付けてきます。そのために裁判を起こし、フランクから親権を奪う真似もやってのけます。メアリーは何があっても一緒との約束を破ったとフランクを責めます。こういうところはやっぱり子供なのね。

実はフランクはダイアンから、ミレニアム問題を証明した論文を預かっていました。姉はフランクにイブリンの存命中は発表しないよう頼まれていたのです。母と娘の確執の深さが垣間見えるエピソードです。フランクはメアリーを取り戻し普通の子として暮らせるよう、姉との約束を敢えて破り、イブリンに渡します。イブリンという女性はある意味究極の研究者ですが、母として祖母としてはおよそ及第点はあげられません。でもおそらく、彼女はそうすることでしか愛情を示せない人だったのかも

映画は、ギフテッド教育を受けながら、放課後は地元の小学校の友達と嬉々として遊ぶメアリーの様子を嬉しそうに眺めるフランクの姿で終わります。メアリーにとっては最良の選択なんですね


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ワイルド・ドライバー

2018年06月09日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年製作 ニュージーランド 105分

小説家として芽が出ず、家賃も払えなくなったジョンは、友人の家に居候していたが、そこからも追い出されてしまった。
丁度その日は、友人の結婚式。そこには、見放されてしまった恋人のスージーが出席しているはずだ。ジョンは彼女に会うため、オンボロの愛車ホールデンに乗り込むが、その道中、車が炎上してしまう。途方に暮れ、山道を歩き続けるジョン。
そこに、猛スピードでジョンの背後に迫ってくる1台のミニクーパーが。運転手の名はルーク(ジェームズ・ロールストン)。彼はジョンを乗せ、車を走らせるが、ほどなくして警官に止められてしまう。ルークは車が盗難車だったことから、その場から逃走。そこから無数のパトカーとのカーチェイスが始まった! (アマゾンより)

 

1981年製作『明日なき疾走 』のリメイク作品。未見だけど

元カノに未練タラタラなジョンですが、実は結婚に怖気図いて式の前に逃げ出しているんですね

それなのにもう一度会いたい、あわよくば復縁をなんてかなり身勝手なヤツ と思ったら意外と誠実で真面目な性格。だからこそ考えすぎて慎重になりすぎて、自ら幸せを逃してしまったのね。

そんな彼がひょんなことから乗り合わせたルークと警官相手の逃避行を演ずるはめになるドタバタロードムービーです。

ミニクーパーでの追跡劇といったら「ミニミニ大作戦」を連想しますが、こちらも山場でミニクーパー軍団が登場して彼らを助けます

くだらないけどまぁまぁ楽しい・・・でも一か月経ったらもう内容覚えてない・・・そんな作品


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光をくれた人

2018年06月08日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年5月26日公開 アメリカ・オーストラリア・ニュージーランド合作 133分

1918年、トム・シェアボーン(マイケル・ファスベンダー)は戦争の英雄として帰国したが、心に深い傷を負い、人生のすべてを拒むかのようにオーストラリア西部バルタジョウズ岬から160キロも離れた絶海に浮かぶ孤島、ヤヌス島の灯台守の仕事につく。ヤヌスとは、JANUARYの語源で、二つのものを見つめ、二つの物事の間で引き裂かれるヤヌス神から取られた名前。インド洋と南極海がぶつかる大海に浮かぶ、誰一人住む者のいない孤島だ。3カ月後、正式採用となったトムは、契約を結ぶためにバルタジョウズの町へと戻る。町でトムは、カモメに餌をやる若い女性に目をとめる。トムの心にさざなみがたった。彼女の名はイザベル (アリシア・ヴィキャンデル)。その地の有力者である小学校校長の娘で、眩しいほどの生命力に輝いていた。束の間の休日をイザベルと過ごすことになったトムは、彼女もまた戦争で二人の兄を亡くし、“兄を失った妹”とは別の生き方を求めていることを知った。ヤヌス島に戻ったトムは、イザベルとの出会いが、人生に光を取り戻させてくれたことに気付き、彼女に感謝の手紙を送る。二人は想いを綴った手紙をやり取りするうち、心を通い合わせ、やがてトムはイザベルにプロポーズ。二人は結ばれ、孤島での結婚生活を始める。島と外の世界をつなぐのは三ヶ月に一度の定期便だけで、本土に戻れるのは三年に一度。親の愛情にも恵まれなかったトムは、惜しみなく愛を与えてくれるイザベルとの暮らしに、初めて幸福とは何かを知る。二人にとって、何者にもじゃまされない孤島での暮らしは楽園だった。しかし、流産という試練がイザベルを襲う。一度目の流産を乗り越え、再び身ごもったのに、またも流産。失意から立ち直れないイザベル。そんな時、島に1隻のボートが流れ着く。中には既に事切れた男と女の子の赤ん坊が乗っていた。すぐに保全局へモールス信号を送ろうとするトムを、「赤ちゃんを少し休ませてあげて」と制するイザベル。一晩赤ん坊と過ごしたイザベルは、もはやその子を手放すなど考えられなくなっていた。自分たちの子供として育てようという彼女の強い懇願に負けたトムは、それが間違っていると知りながら、「赤ん坊が早く生まれた」という信号を送り、男の遺体を埋めるのだった。それから2年、赤ん坊にルーシーと名付け、ありったけの愛情を注ぐイザベルとトム。ところが、洗礼式のため、初めてルーシーを連れてバルタジョウズに戻った日、トムは教会の墓の前でむせび泣く女性を見かける。その墓は、ボートで海に消えたまま消息がわからなくなった彼女の夫と娘の墓だという。彼女の名前はハナ・ポッツ(レイチェル・ワイズ)。地元で一番の金持ちの娘だが、親の反対を押し切ってドイツ人の貧しい男性フランクと結婚した。ドイツは、敵国だった。ある時、戦争で家族を失った者たちにドイツ人と言う理由だけで絡まれたフランクは、生まれて間もない娘とボートに乗って海へ逃げた。その結末が、ヤヌス島に流れ着いたあのボートだった。罪悪感に苛まれたトムは島に戻る前に、「夫君は神の御許だが娘さんは大切にされている」とだけ記した匿名の手紙をハナの家に届ける。驚いたハナはその手紙を警察に持っていくが、何の手がかりもないまま時は過ぎた。さらに2年後。トムは、ハナのことは自分だけの胸に秘め、イザベルには何も知らせていなかった。親子3人だけの楽園で過ごす幸福と、ハナの悲しみ思い返す時の苦しみ。ある日、トムは、灯台建設40周年を祝う式典に出席するため、イザベルとルーシーを連れ、バルタジョウズに渡る。式典の会場にはハナがいた。ついにイザベルも真実を知った。「打ち明けるべきだ」「今さら手遅れよ」「彼女は母親だ」「あの子にとって母親は私よ」――自分たちのしたことの重大さにおののきながら対立するイザベルとトム。そして、トムは島へ戻る前に、思いがけない行動をとる――。(公式HPより)

 
孤島に流れ着いた赤ん坊を我が子として育てる灯台守夫婦の愛と葛藤を描いたM・L・ステッドマンの小説「海を照らす光」を映画化したヒューマンドラマです。
 
従軍で心に深い傷を負ったトムは、孤独を求めて孤島の灯台守の職に就きますが、イザベルという愛する女性を得たことで生き直そうとします。二人の幸せな時間は束の間、二度の流産のあと、流れ着いた小舟で見つけた赤子をイザベルは自分たちの子として育てようとトムを説得します。妻の深い悲しみを知るトムは抗えず、二人はルーシーと名付け我が子として慈しむのです。この時すでにトムはこれから起こる全ての事に責任を持とうと決意していたんじゃないかな。
彼はあまりに正直で誠実です。だからルーシーの身元がわかった時、それがどんな結果をもたらすかは彼にはわかっていたけれどどうしても口をつぐんで知らぬふりができませんでした。
 
トムは全ての罪をかぶって投獄されますが、イザベルは夫のせいで娘を取り上げられたと恨み、トムが小舟の男・フランク(ルーシーの本当の父)を殺した容疑をかけられた時に真実を話しませんでした。可愛さ余ってなんとやらというところかな。でもそれってやっぱり間違っている。それでも誰かを恨むことでしかイザベルは自分を保つことができなかったし、それをトムもわかっていたんでしょう。イザベルにはルーシーが、トムにとってイザベルこそが「光(希望)をくれた人」だったのです。
 
一方、我が子を取り戻したハナですが、ルーシーは「ママのところに帰る」と頑なに拒み続け、心を開いてくれません。娘が島に帰ろうと家を抜け出した夜、ハナは娘の無事を神に願い、ある決心をします。それは自らが母であることを諦めイザベルに託すという選択です。彼女はトムたちを赦そうとしたのです。このことが結果的にイザベルの心を動かし、目を背けていた夫からの手紙を読んで彼の深い愛に気付いた彼女は自らの罪を認めます。
 
ルーシーの心を開いたのは、ハナがドイツ人と結婚したことで絶縁していた父親です。そもそもフランクが小舟に逃れたのも彼がかつての敵国人だったからであり、戦争はこんなところにも影を落としています。 ハナがトムたちのしたことを赦そうと思うようになったのは夫の影響ですね。彼は憎むより赦すという生き方を実践した人物でもあったようです。
 
時は経ち、大人になったルーシーがトムを訪ねます。あれ以来の再会です。その間にイザベルは病死していました。二人は二度とルーシーに近づかないという司法の約束を守っていました。どんなに辛くてもそれが二人の贖罪でもあったのでしょう。ルーシーが連れてきた彼女の赤ん坊を見てトムが思い浮かべたのは、かつて人生を光で彩った島での三人の暮らしだったのでしょうか。

映画の中で登場する、トムとイザベルの間に交わされた手紙や、フランクとハナを繋いだ詩集も彼らの深く静かな関係を表す重要なアイテムとなっていました。(メールや電話ではこういう穏やかな余韻や感動は期待できませんね

ヤヌス島は二つの海が分かれる場所。夫と妻、母と娘、二人の母と二つのものが出会い、ぶつかり、混ざりあい姿を変えていく人生をも示しています。彼らの悲劇は戦争がなければ生まれなかったけれど、憎み合って生きるより赦すことで穏やかな心を得られるというのはまさにキリスト教的な考え方だと思います。この「赦し」というのが映画の主たるテーマだと感じました。


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バッド・ウェイヴ

2018年06月03日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年10月7日公開 アメリカ 94分 R15+

カリフォルニア州ロサンゼルス近郊のヴェニス。西海岸でも有数の観光地として知られる美しい海岸沿いの町で探偵業を営むスティーブ(ブルース・ウィリス)は、窮地を救ってくれた友人デイヴ(ジョン・グッドマン)の頼みで凶暴なギャングのボス スパイダー(ジェイソン・モモア)に奪われた車を取り返しに行く。激しい銃撃戦の末、何とか車を奪還したスティーブだったが逆にスパイダーの恨みを買ってしまい、襲撃を受けた挙句に愛犬のバディを誘拐されてしまう。そして再度スパイダーのアジトに向かったスティーブだったが、そこにバディの姿はない。なぜかスパイダーからバディと麻薬を持ち逃げした彼の妻の捜索を依頼されたスティーブは早速調査に乗り出すが……(公式HPより)


2013年の『REDリターンズ』以来4年ぶりの単独主演だそうですが、なるほど「体を張った」アクションを披露していて、トラブルの連鎖に巻き込まれる”世界一ついてない”探偵という触れ込みは嘘じゃないけど、『ダイ・ハード』シリーズと比べるとかなりのB級作でした。

冒頭から全裸でスケボーで疾走するスティーブ。ストーリーテラーは助手のジョン(トーマス・ミドルディッチ)ですが、彼も相当なおまぬけさんであることが徐々にわかってきます

依頼された探し人・ノラ(ジェシカ・ゴメス)をジョンに探させ、ちゃっかり彼女とお楽しみのところを依頼人である彼女の兄たちに急襲され、全裸で逃げ出したんですね~~ (そもそも手を付けちゃダメでしょ

窮地を救ってくれた親友のデイヴから奪われた車を取り戻すよう頼まれ乗り込んだスパイダーの家。激しい銃撃戦というのは後半のエピソードに当てはまると思うけど、とにかく車は奪還(逃走劇でボロボロになっているけど)ところが、「自分探し」に出かけた亭主に金を持ち逃げされた妹のケイティ(ファムケ・ヤンセン)と姪のテイラー(エミリー・ロビンソン)の家に泥棒が入り、姪の可愛がっている愛犬バディが盗まれてしまいます。回りまわってそれがスパイダーのところに持ちこまれたわけね。取り戻そうと出かけたスティーブは、逆に彼から麻薬を持ち逃げした妻を探すという交換条件を呑まされます。高利貸やら不動産屋とも交換条件の依頼を受け、それらが次々連鎖する「ついてない」感はまさにあのシリーズの刑事を連想させますが、スケールが違うね

いつの間にかくっついてるジョンとノラとか、あっさり大金を貸すデイヴ(しまいに相棒となって派手な銃撃戦に参加してるし)とか、女装させられるスティーブとか、ぐだぐだでゆるゆるな展開ですが、頭空っぽで観ればそれなりに楽しいかも。一件落着と思わせて、新たな火種もあるようだし・・・続編作りたかったのかな

女にだらしないけど、やるときはやる探偵を楽しそうに演じてるブルースでした たまにはB級で息抜きしたかったのか?


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あさひなぐ

2018年06月02日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年9月22日公開 105分

中学まで美術部だった東島旭(西野七瀬)は、二ツ坂高校に進学し、「なぎなたは高校部活界のアメリカンドリーム」といううたい文句に誘われ、なぎなた部に入部。一学年先輩の宮路真春(白石麻衣)に憧れ、同じく新入部員の八十村将子(桜井玲香)や紺野さくら(松村沙友理)、2年生の野上えり(伊藤万理華)、大倉文乃(富田望生)らとともに稽古に励む。やがて3年生にとって最後の試合となるインターハイ予選を迎えるが、圧倒的な強さを誇る1年生・一堂寧々(生田絵梨花)を擁する國陵高校に決勝で敗退。3年生が引退し、野上を新たな部長に再スタートを切ったなぎなた部は、地獄のような夏合宿を経て成長していく。(映画com.より)


なぎなたに青春をかける少女たちを描いた、こざき亜衣の漫画「あさひなぐ」を実写映画化し、「乃木坂46」のメンバーが主演の他、総勢8名出演している、いわゆるアイドル映画です。 ・・・え?そうだったの? 英勉監督は「ハンサム★スーツ」「ヒロイン失格」「トリガール!」などを手がけた人。ちなみに、漫画は未読です。

全くの初心者で運動部の経験もないヒロインが二年後には実力者であるライバルから一本取っちゃうなんて、いくら根性があって努力したからってそんな簡単にできるはずないけど、まぁ映画ですから

冒頭からコメディ色がプンプン匂っていて、通学路で変態に遭いガン見するエピソードでは一体どこへ向かうの?でしたが、以後は普通に部活に熱中するお話でちょっと安心

部活紹介のなぎなた部のパフォーマンスはけっこう素敵ですが、なぜあの曲なの??

夏合宿での猛特訓も、意外とあっさりついてってる旭ちゃん。メガネっ娘萌えです。

一緒に入った紺野は毒舌お嬢様、八十村は口は悪いが情に厚い剣道経験者。二年の先輩、新部長の野上や大倉らと共に、三年の先輩たちの雪辱を晴らし今度こそインターハイ出場するぞと頑張る姿が爽やかに描かれます。ちなみにどの子が乃木坂メンバーなのかさっぱりわからんけど (文乃ちゃん以外は皆それぞれ可愛いかった

顧問の小林先生(中村倫也)はなぎなたの知識のない素人の設定だけど、夏合宿で最強のなぎなた教士・寿慶(江口のりこ)の指導を受けさせたり、要所で彼女たちを良い方向に導いていくんですね。この人の正体って??

ちなみになぎなた協会理事の依田(角替和枝)と寿慶にはなにやら因縁がありそうでした。

真春の弟の夏之(森永悠希)とはちょっとな雰囲気になるのですが・・私のイケメン基準からは外れているので全くときめかなかったのが残念 というより、敢えて恋愛路線は外している感があるかな 

面をつけるとメガネの旭ちゃん以外は誰だか認識しずらいけど、試合場面も普通に良かったです。


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