杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

極楽征夷大将軍

2024年03月31日 | 
垣根 涼介 (著) ‎ 文藝春秋(発行)

やる気なし 使命感なし 執着なし
なぜこんな人間が天下を獲れてしまったのか?
動乱前夜、北条家の独裁政権が続いて、鎌倉府の信用は地に堕ちていた。
足利直義は、怠惰な兄・尊氏を常に励まし、幕府の粛清から足利家を守ろうとする。やがて後醍醐天皇から北条家討伐の勅命が下り、一族を挙げて反旗を翻した。一方、足利家の重臣・高師直は倒幕後、朝廷の世が来たことに愕然とする。後醍醐天皇には、武士に政権を委ねるつもりなどなかったのだ。怒り狂う直義と共に、尊氏を抜きにして新生幕府の樹立を画策し始める。
混迷する時代に、尊氏のような意志を欠いた人間が、何度も失脚の窮地に立たされながらも権力の頂点へと登り詰められたのはなぜか?
幕府の祖でありながら、謎に包まれた初代将軍・足利尊氏の秘密を解き明かす歴史群像劇。第169回直木三十五賞受賞作 (アマゾン内容紹介より)


尊氏の実弟・直義と尊氏の家宰の高師直の目線で描かれる尊氏は散々な低評価です。
およそ人の上に立とうという気概などまるでなく、物や人への執着心もない。ただ流されるまま、己の感情のままに動く子供のような人物です。
二人が陰で尊氏を「うすのろ、ぼんくら、極楽殿」と話すのを読んでいると何だか尊氏が可哀そうに思えてきます。

しかし反面、尊氏は情に篤く、万人に広い心で接し、私欲のない人物として描かれています。特筆すべきは実弟の直義が大好きで、普段は周囲に流されるままなのですが、弟の危機と知るやいつもの優柔不断の影もなく即決即断で駆けつけるのです。

直義は妻の彰子ただ一人を生涯愛した誠実実直な男です。頭もよく冷静な判断もでき政治的な能力にも長けていますが、何故か戦下手でことごとく負け続けます。😓 

お家の存亡がかかった大事な戦いの最中に出家すると髷を切った後で、弟の危機を知りざんばら髪で戦場に出ようとした尊氏に、家来も彼を守るために髷を切り落として従う逸話は捧腹絶倒です。髷は武士の誇りそのものであり、それを切り落とすことは恥です。しかもそのざんばら髪の上に兜と被った姿は敵の恰好の標的となる危険があります。なので家来たちは主君を守るために泣く泣く自分の髷を切り落としたわけです。裏返せばそれだけ慕われていたということですね。窮地に駆け付けてきた兄と家臣たちの姿を見て絶句した直義ですが、その目からは涙が溢れます。兄の自分への愛情をひしと感じたからです。😂 

煩雑な政務を嫌って丸投げされたり、気が向かないことに対しては仮病を使って逃げようとしたり、挙句は出家を言い出して直義を困らせまる子供のような兄ですが、何故か戦には勝ち続けます。裏表のない素直な(何も考えていない)性格が周りの武士たちの心を掴んで好かれる尊氏は、その天然のひとたらしと勝機の波に乗る天才的な戦上手だったのです。😲 

逆に物事に対して几帳面で融通の利かない直義は、少しでも味方に損害が出れば腰が引けて結果的に負け戦を重ねます。師直も同様です。
しかし彼らは絶対的なピンチの際に身を捨て死に物狂いで戦ったことで自分たちの欠点に気付き、それ以後は勝ち戦となるんですね。

直義と師直が手を取り合って尊氏を支え、念願の幕府が開かれたまでは良いのですが、その後はお決まりのお家騒動となります。
鎌倉幕府の例に倣うがごとく、執権の地位を狙った師直と直義の間で争いが起きるんですね。😨 

鎌倉幕府を倒すために担ぎ出した後醍醐天皇でしたが、実は彼に上手く利用されたことに師直たちは気付きます。この天皇の飽くなき権力欲には辟易させられます。 護良親王 も同様ですが倒れても踏まれても雑草のように蘇る執着心は直義でなくても怖気がします。😩 

武士は領地という褒美(恩賞)があるからこそ命を賭して戦うのですが、戦いが終わってみれば領地は公家に手厚く武士に不利な沙汰が乱発されます。
後醍醐天皇を崇めている尊氏は、直義や師直の苦情も受け流すだけです。

武士たちの不満が募る中で、直義と師直の考えの違いが生じてきます。
これまで自分たちを支えてくれた武士を優遇する師直と公平であろうとする直義の亀裂が深まっていくんですね。互いに相手を認めている二人だからこそ、その諍いの行き先も見えて深みにはまっていくのです。

後醍醐天皇問題に決着がついた後、尊氏の実子・直冬の存在が二人の仲を決定的にします。尊氏が一度だけ情を交わした女性が生んだのが直冬ですが、尊氏は決して実子と認めようとしませんでした。兄とは容姿も性格も似ていない直冬でしたが、妻から自分の子供の頃とそっくりだと言われた直義は確かに足利の血を引いていると確信して自分の養子にします。
尊氏と正妻の間に生まれた義詮より先に生まれ、利発で武士としての素質の見られる直冬がゆくゆくは将軍家の跡目争いの種になることを危惧した師直ですが、その本心は高家が義詮を傀儡とした執権となり栄える事のように見えました。
両者の戦いは直義が勝ち、師直は彼に恨みを持つ者に殺されてしまいます。

師直側だった義詮は直義を嫌い、直義もまた政治に倦み仏門に入ることを望みますが、尊氏は弟を手放そうとせず都にとどまり続けることになります。
しかし周囲の者が彼を旗印に担ぎ上げ、またまた戦が始まるんですね。
朝敵とされた直義は今度は南朝(故後醍醐派)を担いで応戦します。兄弟とも直接刃を交えることをせず、直義が負けた後も尊氏は彼の助命に奔走します。

極楽将軍と揶揄されていた尊氏ですが、師直を喪い、弟まで離れたことで自らの意志で物事を決めることを余儀なくされ人が変わったように文武の才を開花させていくのです。それなら最初からそうしろよ!と直義と師直は思ったかもね😛 

結局直義は深酒が祟って病死します。朝敵として刑を受けずに済んだことできっと兄は悲しみの中にも安堵を覚えたかもしれないな~。

読み始めた頃と読み終わった後では尊氏の評価は微妙に高くなりました😁 

楠木正成や新田義貞、赤松円心といった武将も登場し戦場での彼らの戦略家としての能力の高さにも感心しきりです。

これ、大河ドラマにしたら面白いんじゃないかな~~😀 




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シークレット・キングダム ピーターの奇妙な冒険

2024年03月30日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2024年3月8日公開 オーストラリア 98分

かつて統合されていた地上と地下はある出来事で分断されてしまった。その後、地下にはシュラウドと呼ばれる邪悪な生き物が誕生した。シュラウドから平和を取り戻すため、王に選ばれたのが地上に住むピーター(サム・エヴァリンガム)だったのだ。センザンコウと呼ばれる地下の住民のグループに率いれられ、土地に光と平和も戻すために魔法の冒険を始めることに。しかし、シュラウドの手下が現れるなど思いもよらぬ出来事が次から次へと巻き起こる。(公式HPより)


ピーターと妹のベリティ(アリラ・ブラウン)は両親に連れられて父がかつて暮らしたことのあるという古い家にやってきます。古いというよりどう見てもボロ屋敷😓 どうやら父親は事業に失敗して家を手放したようです。

ピーターは行動するための独特のルールを持っています。たとえば3つ数えるうちに出来たらOKとか😁 

妹を追って近所の骨董品店に入ったピーターが商品を過って落として買い取るのですが、そのパズルのピースのようなものがきっかけで妹と二人不思議な世界に迷い込むのです。

突然ベッドと共に地下に落ちた二人はセンザンコウに運ばれていきます。
このセンザンコウのキャラが可愛い😍 

彼らのリーダー曰く、5つのピースを集めて鍵を見つけ大時計の針を動かして二つに分かれた世界を一つにするという予言に出て来る王がピーターだと。
ベリティに半ば引きずられる形で渋々冒険の旅に出るピーター。案内役はプリング(ダリウス・ウィリアムズ)です。彼は歌で道を覚えているのですがどうみても下手くそな歌😓 

まずはピースの在処を示す本をGETした二人。謎掛けを解いてピースを入手すると次のピースへのヒントが白紙の本に文字が浮かび上がってくる仕掛けです。
途中ドラゴンっぽいキャラが助っ人に加わるのですが、その容貌と目つきが怪しいな~と思っていたら案の定な展開。彼がシュラウドでした。

ベリティもプリングも石にされてしまい絶体絶命のピーターの脳裏に自分で封印していた「事実」が浮かびます。
ここで、この物語が単なるファンタジーではなく、ピーターの心の闇が作り出した世界であることが判明するんですね😧 実は妹は・・・なかなり辛い真実でした。その真実と向き合う決意をしたピーターは見事に時計のねじを巻いて世界を修復します。それは彼が現実を受け入れる勇気を得たということでもあるのです。

冒険自体はどこぞの物語を焼き直したような感じで新鮮味はありませんが、ピーターが受けたトラウマの克服という意外性がありました。

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おまえの罪を自白しろ

2024年03月25日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2023年10月20日公開 101分 G

政治家一族の宇田家の次男・宇田晄司(中島健人)は建築会社を設立するも倒産し、やむなく政治スキャンダルの渦中にいる国会議員の父・宇田清治郎(堤 真一)の秘書を務め、煮え切らない日々を送っていた。
そんなある日、一家の長女・麻由美(池田エライザ)の幼い娘が誘拐された。犯人からの要求は身代金ではなく、「明日午後5時までに記者会見を開き、おまえの罪を自白しろ」という清治郎への脅迫。それは決して明かすことが許されない国家を揺るがす”罪”だった。権力に固執し口を閉ざす清治郎―。晄司はタイムリミットまでに罪に隠された真相を暴き、家族の命を救うことができるのか !?(公式HPより)


真保裕一の同名小説の映画化で、政治家一族の孫娘誘拐事件の行方を描いた社会派サスペンス作品です。

宇田家は晄司の他に、長男で埼玉県議員の揚一朗(中島歩)と、長女で市議・緒形恒之(浅利陽介)の妻の麻由美、その娘・柚葉(佐藤恋和 )がいます。

父の清治郎が、上荒川大橋建設にあたり総理の友人に便宜を図ったという疑惑がかけられてメディアを賑わせていたある日、柚葉が何者かに誘拐される事件が起こります。犯人の要求は身代金ではなく、清治郎に対して「明日午後5時までに記者会見を開き、お前の罪を自白しろ」というものでした。

現総理大臣・夏川泰平(金田明夫)を擁護するために、様々な汚れ仕事を引き受けてきた清治郎にとって、決して明かすことのできない「罪」でした。
権力に固執する清治郎は、指揮権発動(罪を問われない特例)と、自身の後継を宇田家の者にする確約を得ようと奔走しますが、党との駆け引きの末、指揮権発動のないまま記者会見の時間となります。清治郎は過去の2つの罪を自白しますが、総理が関わる上荒川大橋の件は口を閉ざします。
会見後に届いた犯人からのメッセージには「午後10時までに再度会見を開いて全ての罪を自白しなければ孫娘の命はない」とありました。

犯人の要求が上荒川大橋の件だと推察した晄司は、世間に漏れたのは政府内部の敵の仕業ではないかと調べ始めます。夏川総理の敵対派閥である党幹事長の木美塚(角野卓造 )への内通者の存在を突き止めます。 (清治郎の対抗派閥の若鷺議員(池田成志 )が宇田家に出入りしていた官僚を利用してリークしていました)木美塚と面会した晄司は、ここでなんと木美塚派へ寝返るのです。😮 それまで政治家に対して批判の目を向けていた彼の意外な行動に驚きますが、このあたりから晄司が政治家として目覚めていくようです。

犯人の要求通り2度目の会見を開いた清治郎は、上荒川大橋建設予定地の変更は自身と総理の利益のためだったと告白し、罪を認めて謝罪します。
会見後に「日の出町緑地を探せ」という犯人からのメッセージが入り、柚葉が救出されますがショックから声が出なくなり、犯人も捕まらないままでした。

晄司は独自に犯人捜しを始めます。
清治郎が推し進めていた公共事業は、橋の建設の他に「老朽化した競艇場施設の移設」と「日の出町緑地の再開発」がありました。そのどれもが荒川が舞台になっていることに気付いた晄司は、そこに犯人の本当の狙いがあると推理し、埼玉県警の平尾刑事(山崎育三郎)に協力を求めます。 

清治郎は3回目の記者会見を行い、議員を辞職すると告げます。さらに揚一郎と緒形が意志を継いで上荒川の研修センター移設を今後も進め、自費で研修センターの地盤調査を行うと発表し一方的に会見を終わらせました。騒然となる記者たちを前に、兄に代わり毅然と会見終了を伝える晄司には映画の冒頭で見られた虚無感は微塵もありません。

地盤調査が始まったある夜。緑地に怪しい2人組が現れて地面を掘り起こそうとする現場を、密かに監視していた警察がおさえます。この時抵抗された平尾が負傷しますが・・・このエピソード要る?😓 

逮捕されたのは、寺中初美(尾野真千子)と勲(柏原収史)の姉弟でした。最初に上荒川大橋の建設予定地だった場所で「寺中建材工業」を営んでいた彼らの父は立退料を見込んで会社の移転を計画して借金をしたのですが、急な場所の変更で借金だけが残った挙句、親子喧嘩の際に転落死していました。
困った二人は荒川土手に父の遺体を埋めましたが、清治郎の開発計画が決まれば地面が掘り返されて遺体が見つかるため、今回の犯行を企てたのです。清治郎が失脚すれば計画も流れると思ったのね。
初美の「誰が橋を変えたんですか、誰が私たちの人生を変えたんですか」の涙ながらの訴えが晄司の胸に突き刺さります。

柚葉が声を取り戻して笑顔が戻った頃、議員を辞職した清治郎が晄司に思わぬ告白をします。「俺のあとはお前にしか継げないと思ったから、おまえの会社を潰した」と。それを陰で聞いてしまった兄の存在って・・・😒 

場面は変わり、国会で新人議員となった晄司が木美塚新総理に向かって怯むことなく質問をする姿がテレビに映ります。そしてエンドロール・・・
父の清治郎が初心を忘れ自己保身にまみれていったその轍を彼が踏まないよう祈りたい😩 

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ミステリと言う勿れ

2024年03月24日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2023年9月15日公開 128分 G

ただの遺産相続という勿れ−−− 2023年秋、シリーズ最大級の 新たな謎が幕を開ける!!
天然パーマでおしゃべりな大学生・久能整(菅田将暉)は、美術展のために広島を訪れていた。そこで、犬堂我路(永山瑛太)の知り合いだという一人の女子高生・狩集汐路(原菜乃華)と出会う。「バイトしませんか。お金と命がかかっている。マジです。」そう言って汐路は、とあるバイトを整に持ちかける。それは、狩集家の莫大な遺産相続を巡るものだった。当主の孫にあたる、汐路、狩集理紀之助(町田啓太)、波々壁新音(萩原利久)、赤峰(柴咲コウ)の4人の相続候補者たちと狩集家の顧問弁護士の孫・車坂朝晴(松下洸平)は、遺言書に書かれた「それぞれの蔵においてあるべきものをあるべき所へ過不足なくせよ」というお題に従い、遺産を手にすべく、謎を解いていく。ただし先祖代々続く、この遺産相続はいわくつきで、その度に死人が出ている。汐路の父親も8年前に、他の候補者たちと自動車事故で死亡していたのだった…次第に紐解かれていく遺産相続に隠された<真実>。
そしてそこには世代を超えて受け継がれる一族の<闇と秘密>があった 。(公式HPより)


田村由美の漫画を菅田将暉主演で実写化した連続テレビドラマ「ミステリと言う勿れ」の劇場版で、原作のエピソード「広島編」をもとに、広島の名家・狩集家をめぐる遺産相続事件の顛末を描いた作品です。原作漫画は未読ですがTVドラマは見ていて菅田将暉がキャラにはまっていたので映画も観て見たくなりました😀 

冒頭で、車がカーブを曲がり切れずにガードレールを突き破って崖下へ転落し爆発炎上、乗っていた4人の男女が亡くなります。

8年後。
海岸で狩集汐路に犬堂我路が自分の代わりに久能整を紹介する場面の後、整を尾行していた汐路が、命と金のかかったボディガードの依頼をして強引に狩集家の遺言の場に連れていきます。

狩集家の顧問税理士の真壁軍司(角野卓造)と顧問弁護士の車坂義家(段田安則)により、汐路の祖父・狩集幸長の遺言状の内容が開示されます。孫たち4人それぞれに蔵の鍵が渡され、『蔵のあるべきものをあるべき所へ 過不足なくせよ』という言葉を解き明かした者が当主として全てを相続できるというものです。

祖父から「狩集家の遺産相続時に必ず人が死ぬ」と聞かされていた汐路は自分たちの親が自動車事故で死亡したのもそのためだと信じていました。
整は候補者の理紀之助、新音、ゆらと話し合うことを提案しますが誰一人応じません。ちなみに理紀之助はメガネをかけたインテリな臨床検査技師、新音はヤンチャな性格だが根は真面目、ゆらは専業主婦でさちという一人娘がいます。
狩集家に泊まることになった整は、魔除け効果があるとされるアメジストドームや、家の至る所にお札や祠があることに違和感を覚えます。 

翌日、汐路の蔵の中に9体の日本人形を発見し、着物の柄が各月を指していると気付いた二人ですが、牡丹、菊、桜の人形がありません。互いの蔵を見せる条件で覗いた新音の蔵には、本物と偽物が対になった有田焼が大量にありました。

蔵に向かう途中で汐路の頭上に植木鉢が落とされ、夜には階段に撒かれた油で汐路と新音が転落します。また、ゆらが自分の座敷牢のある蔵に閉じ込められる事件も起こり、疑いをかけられた理紀之助は無実を証明するため自身の血のついた日本刀が沢山置かれた蔵を見せます。

4人それぞれが疑心暗鬼に陥り始めた夜、柵の近くに短刀を埋める汐路に整は「それ以上はやってはいけない」と声をかけます。植木鉢も油もゆらを閉じ込めたのも汐路だと整は見抜いていました。父の居眠り運転で自分たちの父母が死亡したと長年責められていた汐路が、事故の原因が遺産相続のトラブルだったと信じることで自分を保っていたと知った3人は汐路を許し協力して謎を解くことを約束します。これで一段落と東京に帰ろうとした整でしたが、何者かに車で轢かれそうになったのと、狩集家代々の家族写真を見て思い直します。

4人と、車坂の孫で汐路の初恋の人・朝晴を呼び出し、遺産相続時のトラブルで死亡した過去の狩集家の人間が全員天パーで色白だったことを伝えた整に冗談かと思った5人でしたが、その条件を満たした人間が必ず早世していると分かります。

轢き殺されかけたことで俄然闘志に火が付き、4人の両親の死亡事故について調べ始めた整は、生前に汐路の父・弥(滝藤賢一)が兄姉妹たちと狩集家の謎を調べていたことを知ります。狩集家の真相を知った男性がそれを舞台の脚本にして発表し、その舞台を両親たちが観に行っていたことを知りますが、その男は後に自殺していました。
舞台のダイジェスト版DVDを借りて来た整は汐路たちに見せます。
戦後の動乱の最中に、1人の鬼と2人の従者が狩集家の人間を皆殺しにして乗っ取ったのが今の狩集家だったという内容に4人は動揺しますが、蔵の下に夥しい人骨が埋まっているのを発見して物語が事実だと知ります。
さらに物語には当主の幼い娘を逃がしてしまった鬼たちが、自分たちが偽物と露見しないよう、自分と同じ特徴(天パで色白)を持った子孫を殺すと誓ったと語られていました。

真実を知ってしまった弥を、その誓いを現代でも忠実に実行する誰かが殺したと気付いた整は、喫茶店に5人を集めてそれぞれが持つ情報を開示し合い、弥が「本当の狩集家の末裔」を発見して情報をUSBメモリに保管していたと結論付けます。
保管場所の情報はないまま朝晴が帰った後で、新音が飲み物を零したのを見た汐路は、父と最後に会った朝の出来事を思い出します。それを聞いた整はUSBメモリの隠し場所に思い至り一計を案じます。

誘き出された犯人が、USBメモリを手に入れて「本当の狩集家の末裔」の家を訪れ放火しようとしたところを、待ち構えていた刑事たちに取り押さえられます。

犯人は朝晴でした。
真壁家と車坂家が代々従者として誓いを守り続け、謎に近づく者と「天パーで色白」という特徴を持つ狩集家の人間を殺害してきたのです。
朝晴に疑いを感じていた整は、弥が飲んだジュースの中に睡眠薬が入れられていたと気付いて朝晴に偽情報を流して罠にかけたのでした。

朝晴は、あっさり犯行を認め、口止めしようとする祖父と真壁を無視して2人が脚本家を殺害したことも明かします。自分は正しいことをしていると信じている者特有の熱に浮かされたような表情は背筋が寒くなります。それまでが温厚で優しいお兄ちゃん然としていただけに一層不気味でした。

朝晴はまた「幼い汐路が弥の行動を全て教えてくれたおかげ」と言い放ち、汐路は強いショックを受けます。3人の従兄姉たちが慰め励ます中、整はアメジストドームに隠されていた弥のUSBメモリを渡して「本当の狩集家の末裔」を訪問しようと提案します。

玄関に置かれていたアメジストドームを作った女性(松嶋菜々子 )こそ、生き残った正統な後継者でした。弥たちは女性を訪問して日本人形(桜の柄・・・牡丹の柄の人形を届けようとして事故に遭っている。菊の柄は逃げた女の子が抱えていたもので、それが証拠となって弥が女性を探し出した)と有田焼を贈り、「『鬼』のルールは自分たちが終わらせる」と約束していました。
女性は汐路たち4人に、それぞれの親から注文を受けたパワーブレスレットを渡しました。

事件が解決し、新幹線で東京に戻る整。
弥が我路と知り合いだったことから、大隣警察署にも事件の報せが届きますが、事件の場にまたも整がいたと知って驚く刑事たち(伊藤沙莉、尾上松也、筒井道隆) 😁 
え?出番ここだけですか💦

逃亡生活を続ける我路が、クルーザーで汐路から届いた事件解決の報と整(めんどくさい性格)についてのメールを読んで笑みをこぼすところでENDでした。

『犬神家の一族』のようなおどろおどろしい連続殺人が起こるのかと思いきや、誰も死なない(親は事故死しちゃってるけど)のね。
整君のめんどくさい性格もドラマそのままで笑ってしまいますが、彼のセリフの多くにも心に刺さる含蓄があります。

・子供って乾く前のセメントみたいなんです
・どうして女性の幸せを決めつけるんだろう 
・犯罪とは、人間の努力が裏側に表れたものにすぎない

あ、宣伝に使われる「けっこうです」も😁 

舞台となった広島の観光地も登場するのでその景勝も楽しめました。😀 

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メゾン・ド・ポリス6 退職刑事と引退大泥棒

2024年03月23日 | 
加藤 実秋 (著) 角川文庫

”昭和の義賊”とおじさん軍団がタッグを組む!? シリーズ感動の完結!
柳町北署管内で少女の誘拐事件が発生。少女の祖父・然治は、かつて世間をにぎわせた窃盗団「忍び団」のリーダーで、誘拐は過去の窃盗と深い関りがあった。メゾンの面々は、少女を探す然治に協力するが……。(内容紹介より)


完結編となる今作は丸々一つの事件の捜査となります。
成長したひよりを突き放す迫田や夏目ですが、その心中はまさに親心。そして夏目にはそれ以上の感情が芽生えていて、それはひよりも同様でした。😀 
バーのマスターの草介と夏目がひよりを巡って密かな駆け引きがあったり、ナナちゃんの意外な一面も見られます。

小川然治 は共働きの息子夫婦に代わって孫の紬ちゃんの面倒を見ていましたが、寄り道せずまっすぐ帰宅する孫が今日に限って帰って来ないと警察に通報したことで事件が発覚します。

指揮本部の設置とマスコミと報道協定が締結される中、連れ去り現場から2kmしか離れていないビルで死体が発見されます。福沢猛という指定暴力団早戸組の配下組織の構成員で前科がある殺し屋でした。福沢のスマホの通話履歴には然治の番号があり、関与が疑われる中、本人から「襲われて仕方なく殺した」とひよりに連絡が入ります。

犯人から紬の父親に届いた動画を検証して送信者の米山新太を割り出し、住居に向かったひよりたちは、60前後の男の刺殺体を見つけます。鑑識を呼ぼうと外に出たひよりは然治の姿を見つけて後を追いビルの屋上に追い詰めますが、彼は逃げようとして転落しそうになり、助けようとしたひよりも力尽きそうになったとき・・・メゾンのメンバーが現れるんですね。😁 

容疑者である然治をメゾンに匿い、おじさんたちは独自に捜査を始めます。それ、犯人隠匿罪になるぞ💦
本庁の捜査一課に引き抜かれることが決まったひよりはおじさんたちから自分たちに関わるなと釘を刺され基本的に別行動です。

然治は昔世間を騒がせた「忍び団」のお頭で、殺されていたのはメンバーの一人だった服部とわかります。残りのメンバーを探す中で柳生は亡くなっていましたが、風魔と千代女が見つかります。忍び団は最後の仕事で入った宝石店で警備員を死なせてしまったことで何も盗らずに逃げそのまま解散していましたが、その時に盗まれたと世間に発表されていたブラックシャドウという高価な宝石を然治が隠し持っていると思った犯人が彼の孫を誘拐して宝石を手に入れようとしていたのです。

若い頃は美しかったという千代女の激変した容姿とスタイルを見て女性好きの藤堂はため息をつきますが、一緒に行動するうちに彼女に惹かれていきます。でも千代女は離婚した風魔のことがまだ好きなのね。事件解決後に藤堂は告白前に振られる形になりますが、彼の二番目の元妻の沙耶とよりが戻りそうな結末でした😁 

実は柳生は人生上手くいかずに自殺していたのですが、彼の息子が遺書に書かれていた(お頭が宝石を盗んでいたのではないかと疑う)内容を信じたことから事件が始まっていました。借金で首が回らなくなった息子が暴力団に情報を流し誘拐が計画されたのです。

犯人に要求された宝石は当然手元にないため、おじさんたちと忍び団は宝石店を継いだ若社長が隠し持っていると考えて、自宅に盗みに入ります。元副総監の伊達さんまで加わって良いのか???れっきとした犯罪ですけど💦
異常に防犯設備の厳重な家の窓ガラスを外して室内に入り苦労して金庫を開けますが、そこにはゲームカードしか入っていません。唖然とする彼らの前に、当時から務めていた宝石店の女性店員が現れ、自分が隠し持っていたと告白します。この宝石が誘拐の発端になっていると知って責任を感じたのね。

ブラックシャドウを持って犯人と人質交換に臨む然治と夏目たちでしたが、柳生の息子は父親の復讐だと言って然治の死を望みます。然治は建物の屋上から飛び降りますが、実はトリックがありました。
然治を庇った夏目が至近距離から撃たれますが、これも伊達が用意させていた偽物の宝石を左胸のポケットに入れていたため無事でした。ダイヤじゃなくて炭化ホウ素だったからで、もしダイヤだったら砕けてたらしい・・・トリビア~!紬ちゃんも救出されて事件は解決します。

春。捜査一課に移動になったひよりは早速事件現場へ。
遺体の状況から的確に見立てをしたひよりの前に現れたのは・・・メゾンのおじさんたち。独り立ちした筈なのにまたまた彼女はおじさんたちと捜査をすることになりそうです。😁

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リボルバー・リリー

2024年03月19日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2023年8月11日公開 139分 G

大正末期の1924年。関東大震災からの復興で鉄筋コンクリートのモダンな建物が増え、活気にあふれた東京。16歳からスパイ任務に従事し、東アジアを中心に3年間で57人の殺害に関与した経歴を持つ元敏腕スパイ・小曽根百合(綾瀬はるか)は、いまは東京の花街の銘酒屋で女将をしていた。しかしある時、消えた陸軍資金の鍵を握る少年・慎太(羽村仁成)と出会ったことで、百合は慎太とともに陸軍の精鋭部隊から追われる身となる。(映画.comより)


長浦京の「リボルバー・リリー」を映画化したアクションサスペンスで、監督は行定勲です。物語の舞台は第一次世界大戦後で関東大震災後の帝都です。復興しつつある中、モガと呼ばれる西洋風のファッションの流行も描かれ、特に百合のドレス姿は美しいの一言。💛その妖艶なドレス姿で拳銃を撃ちまくり大の男を次々倒すのだからたまりませんね😁 

墨田区の歓楽街にあるカフェ「ランブル」のオーナー・小曾根百合は、旧知の筒井国松(石橋蓮司)が犯人と報じられた細見一家殺人事件が気にかかり、現場の秩父に向かいます。国松が住んでいた小屋には銃痕があり、陸軍の軍人たちの姿もあり腑に落ちないまま帰路につきますが、列車の中で軍人に追われている少年をみかけて咄嗟に助けます。

少年は細見慎といい、殺人事件の生き残りでした。事件当日、突然軍人たちが父・細見欣也(豊川悦司)を探してやってきて、知らないと答えた家族や使用人を皆殺しにしたのですが、慎太は縁下に隠れて難を逃れたのです。慎太は父から何かを預かっていて「玉の井の小曾根百合の元へ行け」と言われたと話します。
追ってきた軍人を百合はS&W M1917リボルバーで急所を外して返り討ちにします。彼女は、かつて台湾でスパイを養成する「幣原機関」で訓練を受けた諜報員だったのです。

慎太を連れ「ランブル」に戻った百合は、敏腕弁護士の岩見良明(長谷川博己)に事件の調査を依頼します。すると、慎太の父欣也は軍の重要機密に関わっていたことがわかります。
欣也は、陸軍の軍資金の一部を自分名義で外国の銀行へ特殊な形で預けていました。慎太が預かっていた書類は、途中で百合の後輩の元諜報員・南始(清水尋也)に奪われていましたが、預金を下すには慎太の指紋と暗証番号が必要で、そのヒントが慎太が書類を腹に巻き付けていた布にありました。

生き延びた慎太は父の友人の国松の小屋へ行って助けを求めていました。そこへ外国へ行ったはずの父が戻ってきて慎太に書類を預け、小曾根百合を訪ねるように言ったのです。彼を逃すために国松は殺され、欣也も自害していました。

元海軍出身で暗号解読の知識のある岩見が布に書かれていた暗号文を解き、そこに書かれていた住所の寺に向かいます。一方、莫大な資金が消えてしまうかもしれない銀行の契約更新日まで10日と迫り、陸軍も必死で慎太を探していました。

百合は幣原機関の長・水野寛蔵と恋愛関係になり、子供が生まれましたが、組織の派閥争いで子供を喪い傷心を抱えて「もう人殺しはしたくない」とスパイを辞めて帰国していました。(国松と「ランブル」で働く奈加(シシド・カフカ)も水野家の関係者でした。)

百合と岩見は、陸軍と海軍の仲の悪さを利用して海軍に助けを求めることにします。
しかし海軍の山本五十六(阿部サダヲ)を訪ねようとした岩見は、内務省の植村(吹越満)のもとに拉致されます。植村はこれ以上国家機密に立ち入るなと忠告しながら、百合の正体を明かし、水野も「表向きは」病死したことになっていると話します。実は細見欣也=水野だったのです。
慎太と寺へ辿り着いた百合の方も、慎太が隠し持っていた家族写真を見て細見欣也が水野だったことに初めて気付きます。

慎太の母の遺骨箱の中に銀行口座の暗証番号が隠されていました。逃げ出してきた岩見と合流して山本五十六と会った二人は、慎太の保護を条件に銀行預金の全額を海軍が得ることを了承します。細見は陸軍が資金を持つことで再び戦争になることを恐れて資金を隠したのですが、海軍がその資金を持つことで陸軍を牽制するということらしい😔 

山本から慎太を連れて自力で日比谷の海軍省まで来るようにと指示された百合は、馴染の滝田(野村萬斎)洋装店でオーダーメイドした白いドレスに着替え「あとで春風堂のマロングラッセを食べましょう」と慎太と約束をし、陸軍が包囲する中を強行突破していきます。「ランブル」の仲間たち(シシド・カフカ、古川琴音)が援護射撃をし、山本五十六から拳銃を借りた岩見も駆けつけます。

百合は激しい銃撃戦で純白のドレスを真っ赤に染めながら海軍省の門の前に辿り着きますが、そこには陸軍勢がバリケードを作って待ち構えていました。
百合の援護射撃のもと、門に辿り着いた慎太の前には山本五十六ら海軍の軍人たちが居並び、山本五十六に「帝国海軍に向かって帝国陸軍が発砲するのか」と一喝された陸軍は撤退、慎太は保護されます。

暫くのち。留学することになった慎太に別れを告げにやってきた百合は、彼に春風堂のマロングラッセを差し出します。二人でお菓子を食べながら、慎太は「理想の日本にするのを待ってて」と百合に伝えました。

列車の中で向かい合って座る百合と岩見。自分の気持ちを伝えようとした岩見を止めた百合は「来た」と囁きます。客車のドアが開いて拳銃を手に入ってきた謎の男(鈴木亮平)に、百合は素早くバッグから拳銃を出して撃ちます。
新しい事件の始まりか?😁

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THE FIRST SLAM DUNK

2024年03月18日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2022年12月3日公開 124分 G

いつも余裕をかましながら 頭脳的なプレーと電光石火のスピードで相手を翻弄する 湘北の切り込み隊長、ポイントガード・宮城リョータ(声:仲村宗悟)。 沖縄で生まれ育ったリョータには3つ上の兄がいた。 幼い頃から地元で有名な選手だった兄の背中を追うように リョータもバスケにのめりこむ。 高校2年生になったリョータは、 湘北高校バスケ部で、桜木(木村昴)、流川(神尾晋一郎)、赤木(三宅健太)、三井(笠間淳)たちとインターハイに出場。 今まさに王者、山王工業に挑もうとしていた。(東宝サイトより)


1990年から96年まで「週刊少年ジャンプ」で連載された「SLAM DUNK」のアニメ映画。原作者の井上雄彦が監督・脚本を手がけ、「The Birthday」がオープニング主題歌、「10-FEET」がエンディング主題歌を務めています。

映画公開前の予告を見て「絵が荒いな」と感じて劇場鑑賞は見送りましたが、おそらくは敢えて、なのでしょうね。
声優さんもTVアニメ版とは異なるため違和感もありました。
世間的には高い評価を受けたようですが、個人的にはイマイチだったかな。

インターハイ2回戦での秋田・山王工業との試合が描かれます。高校バスケ界の絶対王者と呼ばれ、最強のセンター河田、高校ナンバーワンプレイヤー沢北を擁 する山王に対し無名の湘北という構図です。

試合開始早々、リョータのパスから花道がダンクシュートを決め、序盤は拮抗した内容となります。

試合の模様と並行して、リョータの生い立ちが描かれているのが特徴的でした。父を亡くし、自分がこの家のキャプテンになると言った兄も海に出て還らぬ人となり、宮城家は沖縄を離れて神奈川県へ移住しました。バスケの名選手だった兄を慕っていたリョータは塞ぎ込み、いつも独りでバスケの練習をしていましたが、中学生になったある日、スリーポイントを立て続けに決める少年に1on1を挑まれます。彼に兄の面影が重なったリョータは途中で帰ってしまいます。

前半を2点リードで終えた湘北でしたが、後半フルコートプレスディフェンスを展開した山王がリョータを徹底マークします。三井のスタミナ消耗も激しく、赤木は河田との競り合いで気力を削がれ、20点以上の点差がつます。
安西監督からリバウンドでの勝利というタスクを与えられた桜木は「山王(ヤマオー)は俺が倒す!」と宣言して観客から大ブーイングを浴びますが、天性の身体能力を発揮して空中戦を次々と制し、チームの空気を変え、点差は8点にまで縮まります。

湘北高校でバスケットボール部に入部したリョータは衝突を恐れず問題児と揶揄され赤木とも衝突します。ある日、不良グループを束ねる三井が、かつて1on1を挑んできた少年と気付いたリョータは「いつでも1on1を受けてやる」と喧嘩を売ります。三井との喧嘩でバスケットシューズを壊してヤケになったリョータは、原付で単独事故を起こして母に叱責され、退院後逃げるように故郷の沖縄へ行きます。母は夫と長男に続き次男まで失う恐怖にいたたまれなかったのでしょう。

秘密基地の洞穴で、隠されていた兄のバスケットシューズと山王工業が表紙を飾るバスケット雑誌を見つけたリョータは、雑誌に兄が書いた『最強の山王を倒す』という文字に、兄の夢を実現しようと決意してバスケ部に復帰。そこには三井の姿もありました。三井の復帰はTVアニメで観てたな~~。

山王のエース沢北が本領を発揮して流川を攻守で圧倒。桜木には最強センター河田をぶつけてきます。再び点差が開き始めますが、流川がパスの選択肢を持ったことで流れが変わります。桜木はコート外に出そうになったボールを追いかけ関係者席にダイブ。そんながむしゃらなプレーが観客の心を掴んで、アウェイ状態から一転して湘北に声援が送られ始めます。しかしプレー再開後、桜木は背中に痛みを覚えます。

インターハイ前日は、リョータとソータ兄弟の誕生日でした。その夜、母がソータの映像を見て涙する姿を見たリョータは、バスケットを続けさせてくれた母への感謝の気持ちを手紙に綴りました。それを読んだ母はインターハイ会場を訪れ、観客席から湘北対山王戦を見届けます。

山王の執拗なマークを強引なドリブルで破るリョータ。背中の痛みで交代させられながらも、桜木は「オヤジ(安西)の栄光時代はいつだよ、全日本の時か?」「俺は今なんだよ」と皆の制止を振り切って再びコートへ。逆境で食らいつく迫真の戦いを見せた湘北は試合終了直前、1点差で勝利します。

インターハイ終了後、湘南の海岸で母に会ったリョータは兄の遺品の赤のリストバンドを差し出しました。

敗れてコートを去る山王工業の面々の中、沢北は廊下で崩れ落ち涙を流します。高校ナンバーワンと呼ばれ日本では全てをやりつくしたと思っていた彼が望んだ『俺に必要な経験』は、彼が今まで知らなかった『敗北』だでした。

数年後。アメリカのチームで試合に出場した沢北は、相手チームの中にリョータを見つけます。特に言葉を交わさず肩を叩き合った二人。試合が始まったところでエンドロールに。

TVアニメではインターハイ出場が決まったところで終わった気がしますが、映画はその先の王者・山王との試合に絡めてのリョータが主役でしたね。

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デューン 砂の惑星 PART2

2024年03月18日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2024年3月15日公開 アメリカ 166分 G

その惑星を制する者が全宇宙を制すると言われる砂の惑星デューンで繰り広げられたアトレイデス家とハルコンネン家の戦い。ハルコンネン家の陰謀により一族を滅ぼされたアトレイデス家の後継者ポール(ティモシー・シャラメ)は、ついに反撃の狼煙を上げる。砂漠の民フレメンのチャニ(ゼンデイヤ)と心を通わせながら、救世主として民を率いていくポールだったが、宿敵ハルコンネン家の次期男爵フェイド=ラウサ(オースティン・バトラー)がデューンの新たな支配者として送り込まれてくる。(映画.comより)


フランク・ハーバートのSF小説を映画化した「DUNE デューン 砂の惑星」の続編です。大作なだけに難解で、前作のおさらい必須かも。
ちなみに前作は、新たな統治者として砂の惑星アラキスに降り立ったアトレイディス家が、前統治者のハルコンネン家と皇帝の策略でその地位を追われ、レト・アトレイデス公爵 は死亡、生き残ったポールが母レディ・ジェシカ(レベッカ・ファーガソン)と共にアラキスの先住民のフレメンの元へ向かったところで終わっています。

ポールはフレメンたちからスパイの疑いをもたれますが、フレメンのリーダーのスティルガー(ハビエル・バルデム)が評議会で協力を訴えます。ポールの母レディ・ジェシカは教母となる選択を強いられ「命の水」を飲んだことで、胎内の娘と会話したり過去を見たりすることができるようになります。
フレメンたちに認められたポールは、ポール・ムアディブ・ウスールを名乗り、フレメンを率いてハルコンネン家のスパイス収穫を妨害して致命的な打撃を与えます。

ジェシカは南部に行き、ポールに「命の水」を飲ませて力を覚醒させようとしますが、ポールは自分たちが南部に行くことで多くの人が飢え、チャニをも失う未来夢を見たために北部に留まろうとします。

ウラディミール・ハルコンネン男爵(ステラン・スカルスガルド)は、ラバーン(デイヴ・バウティスタ)の代わりに、彼の弟フェイド=ラウサをアラキスの統治者に任命します。 こいつが超残酷なキャラなんですね。ベネ・ゲセリットの教母の命を受けてレディ・マーゴット(レア・セドゥ)が彼に接近しますが、続編への伏線になっている?

スパイスの密輸業者を襲撃したポールは死んだ筈のアトレイデス家に仕える戦士 ガーニィ(ジョシュ・ブローリン)と再会します。(彼はポールの武術指南でもありました)ポールたちの戦力不足を知ったガーニィはアトレイデス家の核爆弾の隠し場所を教えます。 フェイド=ラウサによりフレメンの居住地と聖地タブールが破壊され、ポールたちは南部への移動を余儀なくされます。

南部で「命の水」を飲まされたポールは昏睡状態に陥ります。彼を助けるためチャニは涙を「命の水」に混ぜてポールに飲ませ彼を救います。 母同様に妹の声を聞き、未来と過去も見えるようになった彼は、母がウラディミール・ハルコンネン男爵の娘だったことを知ります。敬愛する父を殺したのが祖父だったという😫 ジェシカも命の水を飲むまでその事実を知らなかったらしい。

フレメンの指導者たちの前で、ポールはフレメンたちを緑の楽園へと導く救世主「リサーン・アル=ガイブ」だと宣言します。

皇帝シャッダム4世が、娘のイルーラン(フローレンス・ピュー)、ベネ・ゲセリットの教母ガイウス・ヘレン・モヒアム(シャーロット・ランプリング)と皇帝直属の親衛隊サーダカーを引き連れアラキスに来ると、フレメンを制圧できなかったハルコンネン家を咎めます。その最中、ポール率いるフレメン軍がやってきて皇帝と対峙します。
この頃にはサンドワームも乗りこなして戦いの陣頭に立つポールです。

ポールは父の仇ウラディミール・ハルコンネンを殺すと皇帝に退位を迫り、拒めば核爆弾を使うと脅してイルーランとの結婚を要求します。この直前、ポールはチャニに愛を誓っていたのでチャニは動揺します。原作ではチャニは政略結婚であることを受け入れたようですが、映画では違っていました。現代女性の視点で見たら当然だよな~。

皇帝は決闘を望み、代理にフェイド=ラウサ(ポールの血縁の従兄弟でもあるのね)が名乗りをあげます。ポールが負傷しながらも彼に勝利すると、イルーランは父を殺さないことを条件に結婚を了承します。 しかし大領家連合は即位を認めず、ポールはフレメンに進軍を命じます。聖戦の始まりです。

 一方、ポールの決断に傷ついたチャニは、決闘の場を後に砂漠へ向かうとサンドワームを呼び寄せて何処かへ姿を消します。

今作でもベネ・ゲセリットという女性で構成される秘密結社の存在が鍵を握っています。彼女たちは精神と肉体の鍛錬を積んで言葉「ボイス」で人を操る能力を持ち政治を陰で操ってきました。その真の目的はクウィサッツ・ハデラック(救世主=過去と未来を繋いで明るい未来へ導く存在)を誕生させることです。そのため彼女たちは数千年にわたって血統を操作してきました。
前作で、ジェシカがポールを鍛錬したことは、彼を男のクウィサッツ・ハデラックにしようとしたとガイウス・ヘレン・モヒアムに非難されていましたが、彼自身フレメンたちの救世主リサーン・アル=ガイブであろうとしています。

レディ・マーゴット(レア・セドゥ)はフェイド=ラウサを操り子を宿しましたが、続編ではジェシカの産んだ娘(ポールの妹)と彼女の産んだ娘がどう絡んでくるのかな?

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ONE PIECE FILM RED

2024年03月16日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2022年8月6日公開 115分 G

素性を隠したまま発信される歌声が「別次元」と評され、世界でもっとも愛される歌手ウタ(声:名塚佳織、歌唱:Ado)が、初めて公の前に姿を現すライブが開催されることになった。そのことに色めき立つ海賊たちと、目を光らせる海軍。ルフィ率いる麦わらの一味は、何も知らずに、ただ彼女の歌声を楽しみに会場にやってきた。世界中から集まったファンが会場を埋め尽くし、いよいよ待望の歌声が響き渡ろうとしている。しかし、ウタが「シャンクスの娘」であるという事実が明らかになったことから、事態は大きく動き出していく。(映画.comより)


「ONE PIECE」の劇場版アニメ。長編劇場版通算15作目で、原作者の尾田栄一郎が総合プロデューサーを務める“FILMシリーズ”4作目で監督は谷口悟朗。歌手のAdoが歌唱担当したことで注目を集め、ウタがアニメキャラクターとして初めてNHK紅白歌合戦に出場し話題となりました。

ONE PIECE・・・TVアニメも原作もあまり見てないんだよな~~。去年話題を集めていたのでDVDで観ましたが、登場キャラが多過ぎるのと物語の世界観が把握できずに理解が追い付かず、印象としてはAdoのライブをアニメで見ている感じ😓 アニメファンには怒られそうですが💦

音楽の島エレジアでライブを行うウタの目的は、世界を平和にすることですが、それは彼女の“ウタウタの実”の能力で作り出したウタワールドにファンを閉じ込めることでした。ウタが眠れば能力は解除されますが、眠れなくなるネズキノコを食べ続けているため、彼女の体力が尽きて死ねばウタウタの世界は閉ざされて永遠に閉じ込められてしまうのです。

シャンクスの娘として赤髪海賊団の中で育ったウタ(敵の海賊から奪った宝箱に入っていたのをシャンクスが育てた )ですが、シャンクスたちがエレジアを滅ぼして幼いウタを捨てたことで、海賊嫌いになっていました。でも本当はウタが意図せずその能力で魔王トットムジカを蘇らせてしまった結果だったのです。シャンクスはウタを守るため自らが汚名を着たわけね。

ウタの能力を恐れた海軍や海賊たちは彼女の「新時代」計画を阻止しようと動きます。エレジアでウタを育ててくれたゴードンから過去の悲劇の真実を聞かされる前に、ウタは映像電伝虫の記録映像でそれを知っていたのですが、自分を必要とするファンの声に応えるために計画を変えることなくエレジアの地下に眠っていたトットムジカを蘇らせてしまいます。

トットムジカは現実世界とウタワールドの両方で姿を現すため、二つの世界が繋がります。そのため双方の世界で同時攻撃してトットムジカを倒すことで現実世界に戻るチャンスが生まれます。

ルフィたち麦わら海賊団は、ウタワールドで他の海賊団たちや、CP0のブルーノらと共闘し、現実世界では赤髪海賊団が海軍を牽制しながらトットムジカとの戦いに挑んでいきます。指揮を任された海軍大佐コビーの見事な采配も見所の一つらしい。

ルフィとシャンクスだけでなく、他のキャラたち(ヤソップとウソップ の父子とか)も双方の世界で交信し協力してトットムジカを倒すことに成功します。
ルフィがドラゴンボールの悟空が変身した時みたいな姿になったのは、ニカ(太陽の神)に変身した設定と言う事ですが、その辺の事情はさっぱり😝
とにかくシャンクスとの同時攻撃でトットムジカは撃破されました。

でも人々がウタワールドから解放されるためにはウタの歌が必要です。シャンクスが差し出した解毒薬を拒否し、最後の力を振り絞って「世界のつづき」を歌いウタは「みんなを幸せに」します。ウタを捕らえようとする海軍を前に、シャンクスは「俺の娘だ」と庇い強大な覇王色の覇気を発します。

サニー号の上で気がついたルフィの目に、赤髪海賊団の船が去っていく姿が映ります。シャンクスから麦わら帽子を渡された時の約束に、ウタから麦わら帽子を返された時の「似合う人になって」という約束が加わり、ルフィは「海賊王に俺はなる」と誓いを新たにする のでした。

映画の中で流れる歌
「新時代」
「私は最強」
「逆光」
「ウタカタララバイ」
「Tot Musica」
「世界のつづき」
「風のゆくえ」
「ビンクスの酒」

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FLY! フライ! 吹替版

2024年03月15日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2024年3月15日公開 アメリカ 83分 G

アメリカ(北東部)ニューイングランドの小さな池に暮らすカモの家族。父親のマック(堺雅人)が子供達にする寝る前の定番のおはなしは「興味本位で池を飛び出したカモを待ち受ける悲惨な末路…」。マックは【池にいれば一生幸せに暮らすことができる──】と信じていた。
ある日、一家が暮らすところに新たな居住地へ移動中の渡り鳥が立ち寄る。その自由な姿に、妻のパム(麻生久美子)、息子のダックス(黒川想矢)、娘のグウェン(池村碧彩)は大興奮!「自分たちも外の世界を見てみたい!!」とマックへ熱心にねだる。安全で住み慣れた家や環境から離れることに最初は抵抗感を示していたマックだが、家族の猛プッシュもあり、はじめての大移動(お引越し)を一大決心!!目指すはカリブ海の輝く楽園・ジャマイカ!目的地へ向かう3000kmの道中で彼らが見つけたものとは!?(公式HPより)


「ミニオンズ」「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」のイルミネーション・スタジオによるオリジナルの長編アニメーション。渡り鳥なのに小さな池から一度も出たことがないカモの一家が、初めての大移動に乗り出す姿を描いたファミリーアドベンチャー。(映画.comより)

初日初回の吹替版で観ました。
平日ですからさすがに子供の姿はなく観客も数名程度でゆっくり楽しめましたが、きっと週末は子供連れで大賑わいだろうなと思える楽しい作品です。
堺雅人さんが声をあてているのに惹かれて選んだのですが、そのイメージが強過ぎてマックの顔が堺さんに見えてきて困った😓 「SPY×FAMILY」アーニャ役の池村碧彩ちゃんのグウェンがとにかく可愛くて癒されました💛

小さな池が世界の全てだった一家。ある日移動中の渡り鳥一家の娘のキム(芹澤優)たちに一緒に旅に出ようと誘われますが、マックはとんでもないと断ります。でも彼らに刺激を受けた妻や息子にせがまれてマックは冒険の旅に出ることを決意します。
マックは、子供たちがこのまま広い世界を知らずに一生を終えることに危機感を持ったのかな。😊 
叔父のダン(羽佐間道夫)もグウェンに誘われ一緒に行くことになります。本当は親子だけで行きたかったらしいマック夫婦の動揺が可笑しかった😁 

初めて見る景色や雲の海に大興奮の一家でしたが、早くも危険が迫ります。
雨宿りしていたところをサギのエリン(野沢雅子)ばあさんに見つかり強引に家に連れていかれるんですね。サギはカモの天敵😱 いつ食べられるかと恐怖のマック夫婦と無邪気に好意を寄せるグゥエンの対比も面白かったです。
サギの老夫婦は親切で大きな魚から守ってくれようとしていたのですが😁 

NYにやってきた一家は大都会の景色に怖気づきます。ダンおじさんが鳩ともめたことで鳩のリーダーのチャンプ(ヒコロヒー)と出会い、ジャマイカへの行き方を教えてもらうためマンハッタンのレストランでカゴに閉じ込められているオウムのデルロイ(関智一)を訪ねた一家は、彼をシェフから助けてあげます。この時のマック夫婦のダンスシーンや逃げ出すシーンもドキドキハラハラです。

アヒルたちが飼われている農場で一休みしたマックたちは、アヒルのヨガインストラクターのグーグー(鈴村健一)と仲良くなりますが、そこにあのシェフがやってきます。それに気づいたダックスがアヒルたちを助けようとしてシェフに捕まり羽を怪我してしまいます。
アヒルたちも一緒に何とか逃げ出しますが、ダックスとグウェン以外の皆は追ってきたシェフに捕まってしまうの。
ボロボロの羽根を代用品で繕って家族を助けに向かうダックス、夫婦で力を合わせて逃げ出そうとするマックスたちと協力する仲間たち。一致団結してシェフから逃れる様子も冒険の見どころの一つです。

デルロイの案内でジャマイカに着いた一家は先に渡っていたキム一家と再会します。デルロイも故郷の仲間と合流。カラフルなオウムたちが飛び交う様も綺麗。

冒険を通して成長する子供たち(特にダックス)、安穏な生活から飛び出したマックスは。迷子のペンギンたちを贈る届ける新たな冒険に家族を誘います。
エンドロールはその様子が断片的に描かれていました。

ちなみに本編に先立ち、短編アニメーション『ミニオンの月世界』が上映されます。『怪盗グルーの月泥棒』の後日談となっていて、月から地球に戻ろうとするベクターとミニオンたちのやり取りがコミカルに描かれています。どこでも誰でも結果として相手を不幸にしてしまうミニオンのパワー恐るべし😁 

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フォーチュン・クッキー

2024年03月15日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2004年5月1日公開 アメリカ 97分

1976年のジョディ・フォスター主演「フリーキー・フライデー」のリメイク作品です。ひょんなことから心と体が入れ替わってしまった母と娘が、互いの生活を送ることで大騒動を巻き起こしながらも次第に相手の気持ちに気づいていく姿を描いたコメディ。

母と娘の心が入れ替わってしまう映画は他にもいくつかあった気がします。それにこの作品、多分観てる筈なんだけど、感想の記録がない😓 

几帳面で完璧主義者の精神科医テス・コールドマン(ジェイミー・リー・カーティス)は、再婚相手ライアン(マーク・ハーモン)との結婚式を2日後に控え、学校で問題を起こしてばかりの娘のアンナ(リンジー・ローハン)のことで頭が痛い。ロックに夢中で放課後はバンド仲間とガレージで練習する騒音もですが、何よりの悩みはライアンに全然打ち解けようとしないこと。

一方アンナは口うるさく子どもの気持ちを全く理解しないくせに弟のハリー(ライアン・マルガリーニ) には甘いママが不満です。学校では以前は仲良しだったステイシーから嫌がらせを受け、国語教師のベイツ(スティーヴン・トボロウスキー )からはいわれなき落第点をつけられ反省室の常連で すが、片思いのジェイク(チャド・マイケル・マーレイ)と接近したり、マディ(クリスティナ・ヴィダル)たちバンド仲間と充実した学生生活を送っていました。

ある日、マディからライブハウスのオーディションを受けられることになったと知らされますが、その時間はママの結婚式のリハーサルと重なっていました。その夜、ライアンも一緒に出かけたチャーニーズ・レストランでの夕食でそのことを相談したアンナはママの猛反対にあって逆ギレします。
その時、店のオーナーの母ペイペイ(ロザリンド・チャオ)がふたりにフォーチュン・クッキーを差し出します。それぞれのクッキーを割った時に地震が起きますが、席に戻ると皆何事もなかったと言います。

翌朝、互いの体が入れ替わっていることに気付いた二人は大慌て。とりあえず、午前中はお互いの生活を送ることにします。
中身がテスのアンナのファッションは優等生風😁ジェイクにも冷たい態度をとります。授業でベイツ先生の嫌がらせを受けたアンナは、彼が高校時代に振った相手だと思い出し、当時の恨みを娘に晴らそうとしていると気付いて教育委員会に訴えるとベイツを撃破します。

中身がアンナのテスは、母のプラチナカードで買い物をして洋服を着替え、ピアスを開け髪型も変えて職場に行き、カウンセリングの仕事(話を聞き流すだけ)をこなします。

昼に合流した二人は元に戻る方法を聞こうと昨夜のレストランに行きますが、おみくじの通りにするしか方法はないと言われてしまいます。

午後。
中身がアンナのテスは、ハリーの保護者面談で弟が書いた作文を見せられ、本当は姉のことが好きで尊敬していると知って感動します。

中身がテスのアンナは、試験中にステイシーの策略で退出させられてしまいます。ジェイクの協力で、保管された答案用紙に答えを記入したアンナは仕返しにステイシーの答案を消しゴムで消しますが、それを見たジェイクは彼女に失望します。

中身がアンナのテスは、トーク番組の生放送に出演させられ慌てますが、ぶっちゃけトーク全開で観客を煽って盛り上げます。番組を終えて入ったカフェでバイトしていたジェイクとばったり会った彼女はロックの話で意気投合します。ジェイクはすっかり彼女に夢中になります。

結婚式の前夜祭に出かけた二人は、おみくじに書かれた通りの心を持とうと念じますが戻れません。バンド仲間がアンナを連れ去りにやって来たのを見たライアンはアンナの望み通りにオーディションに行かせようと、アンナとテスを会場へ送り出します。脇役のライアンの唯一の見せ場ですね。😁 

中身がテスのアンナがギターを弾ける筈もなく、ステージで棒立ちになっていると、中身がアンナのテスが、弾く真似をさせて舞台袖で自分がギターソロを弾きます。会場は大歓声で盛り上がりバンドは予選を突破します。

前夜祭に戻った二人が、互いの気持ちを思いやるスピーチをすると地震が起き、元の体に戻ります。

翌日の結婚式で、テスとライアンは皆から祝福を受け、アンナとジェイクもキスを交わします。

逆の立場に変わって悪戦苦闘する二人の様子がコミカルに描かれて笑いを誘いますが、やがて互いの立場を理解し認め合うようになるのも良い感じです。中でも、中身がアンナのテスを演じた女優さんの弾けっぷりが見事でした。

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メゾン・ド・ポリス5 退職刑事と迷宮入り事件

2024年03月12日 | 
加藤 実秋 (著) 角川文庫

退職刑事のシェアハウス誕生秘話が明かされる!? シリーズ第5弾!
老眼、腰痛、高血圧。でも捜査の腕は超一流のおじさん軍団×新人女性刑事が追うのは――12年前の<未解決>名医殺害事件!
12年前、町の皆に愛された近江医師が殺害された。
だが未解決のまま迷宮入り。当時、現役の刑事だった迫田痛恨の事件に、新たな被疑者が浮上した。新人刑事の牧野ひよりは、未解決事件を扱う警視庁特命班の玉置と共にメゾンを訪れるが、実はオーナーの伊達と玉置には<退職刑事のシェアハウス>誕生に深く関わる因縁があった。おじさん軍団は町で起こる様々な事件を解決しつつ、未解決事件の真相を追うが――。(内容紹介より)

第一話 ストーカーで開幕!迷宮入り事件を追うおじさん軍団
花見をしていたおじさん軍団のもとに、迫田が関わった未解決事件の新たな情報が飛び込みます。殺された近江医師と最後に会った橘さんという女性に話しを聞きに行った夏目・日和・迫田は、彼女がストーカーに悩んでいると知り解決に一役買うことになります。職場の同僚が犯人でしたが、社長の不正も発覚する後味の悪い結果に。解決後に橘さんの妹から、近江医師殺害時に犯人と疑われた女性の息子が漏らした言葉を聞かされて、再びその女性への疑いが浮上します。

第二話 犯人は縄文人!? 藤堂の科学推理が冴える
ひったくり事件が起きて犯人探しが始まります。
現場に落ちていた土から容疑者が浮上しますが、実は被害女性が恋人の気持ちを繋ぎとめるためについた狂言だったというオチです。彼女を聴取する中でひよりはおじさんたちと別の視点から狂言を見破っていました。彼女が入院している病院には近江医院で看護師をしていた金子さんが勤務していて、食事に誘った藤堂は事件に関する重要な情報を聞きます。

第三話 消えたフルートとシェアハウス誕生の理由
町内会のイベントで講演を頼まれた伊達さんは何故か頑なに拒否します。そこには彼がシャアハウスを作ったきっかけになる出来事が関わっていました。特命班の玉置と伊達さんの間の訳あり感もまだ解消までは至りません。
イベント当日、演奏者のフルートが盗まれる事件を解決したのは伊達&夏目です。動機が執行役員間の確執というのは大人げないけれど、世代格差を提起しているようにも感じました。

第四話 絡み合う謎 おじさん軍団が辿り着いた真相は!?
未解決事件で犯人と疑われた児玉美月が事件当日の行動について新たな証言をします。一方、窃盗の疑いをかけられたホームレスと関わったおじさんたちが捜査を始めると、意外な犯人に辿り着きます。長年苛めを受け続けてきた青年が仕返しをしようと計画したことが無関係のホームレスを巻き込んでしまった、まさに「普通が一番怖い」結果となりました。(そこにヒントを得た夏目がリサイクルショップの中でアイロンがけをする場面はやり過ぎな気もするけどね。😁
美月が本当に隠したかった真実は近江医師殺害の犯人と疑われても守りたかった息子の素行だったという。突き詰めてしまう性格は母と子双方似ていて、だからこそ息苦しかったという息子の言い分もわからないではないけれど、やったことは許されないのよね。😞 

未解決事件を軸とした四話に脇道エピソードを加えた感じですが、ひよりの成長がより感じられました。

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メゾン・ド・ポリス4 殺人容疑の退職刑事

2024年03月12日 | 
加藤 実秋 (著)  角川文庫
 
柳町北署管内にある神社の石段下で、若い男性の遺体が発見された。容疑者として勾留されたのは、前日に被害者と口論となっていた中年男性。それはなんと、退職警官専用のシェアハウス「メゾン・ド・ポリス」に住む元刑事・迫田だった!新人刑事の牧野ひよりとメゾンの住人は、現場で聞こえたという奇妙な音に着目し独自捜査を進めるが・・・。元捜査一課・夏目の封印された生い立ちも明らかになる、緊迫のシリーズ第4弾!(内容紹介より)

第一話 誘拐犯は宇宙人? 不思議少年&おじさん軍団
目の前でパパが宇宙人に連れ去られた。バロンを散歩させていた夏目が小3の龍生の訴えに事件の匂いを嗅ぎつけます。メゾンの面々が少年を連れて父親の職場であるレストランに行くと父親は普通に出勤していましたが、そこでの会話から藤堂が食品偽装を見破ります。少年が宇宙人と思ったのはレストランの元従業員で、彼の容姿と服装が連想させたものだったというオチです。

第二話 院内捜査!?ネットバッシングの意外な真相
メゾンの一行が人間ドックを受けています。案内をしてくれた職員の悩んでいる様子に気が付いて訳を尋ねると、病院と院長や孫である自分へのネットでの中傷が続いていると打ち明けられます。伊達さんは院長とも懇意ということで、メンバーは張り切って犯人探しを始めます。疑わしい患者が浮上し、ひよりも巻き込んで聞き取りをしますが、真犯人は・・・
患者への対応でストレスを抱えた挙句の動機でしたが、ネットで中傷を続けるうち快感を覚えて止められなくなってしまったというのが怖かった😔 

第三話 独居老人を狙う罠 惣一郎が囮捜査に挑む
ひよりの行きつけのバーの草介から頼まれた事件。
亡くなった父親の持ち物が消えているという相談を受け捜査する中で、金銭に余裕のある独居老人を狙った悪質な手口に辿り着きます。
スキルマーケットの「ココロひろば」のメンバーは、老人の話し相手をするという表向きの顔の裏で言葉巧みに彼らに金品を貰うよう仕向けていました。脅したり騙したりしているわけではないので犯罪にはならないとうそぶく主催者に伊達さんの一言が効いたのか、サイトは閉鎖されます。しかし老人たちの中にはそれでも話し相手になってくれるなら構わないと惜しむ声も。老人が抱える孤独の深さが垣間見える事件でした。
今後ひよりの心のオアシスだった「ICEM00N」はおじさんたちのたまり場になりそう😁 

第四話 おじさん軍団、ピンチ! 殺人容疑の退職刑事
殺人現場に居合わせた迫田が容疑者として拘束されます。
コンビニのアルバイト店員だった被害者と面識があり動機もある迫田の容疑を晴らそうとメンバー&ひよりが捜査を始めます。
被害者が抱いていたコンビニに来る客への妬みや鬱憤が事件のきっかけになっていましたが、それでも彼の行為は許されるものではありませんね。
事件解決かと思われましたが、迫田が聞いたという「梟の声」から真犯人が浮かび上がります。コンビニでの聞き込みの時に伏線も張られていました😁 
生真面目な人ほど思い詰めてしまうのよね😞 

第五話 今明かされる四十三年前の真実 おじさん軍団、北へ
両親亡き後に引き取って育ててくれた恩人が亡くなり、家の整理を依頼された夏目が故郷に数十年ぶりに帰ってきます。43年前の夏、両親と旅行に行った帰りに事故に遭い彼だけが助かったのですが、その時の記憶を喪ったショックと二学期に出された「夏休みの思い出」という作文が書けずにトラウマとなって悪夢にうなされるようになった彼は親戚をたらい回しにされますが、母の遠縁の加賀谷さんが引き取って育ててくれたのです。
夏目に電話をしてきた大津亜希の母は町長戦に立候補していて、町の名士である生方と争っていました。夏目に接触してきた中学の同級生の赤堀は生方の下で働いていて何か引っかかるものを感じます。
翌朝、チェックアウトをしようとした夏目の前にメゾンのメンバー&ひよりが現れます。昨夜電話してきた迫田が夏目の様子に事件の匂いを嗅ぎつけ皆を招集したという😁 どこまで暇なんだよ!あんたら😓 
そこからいつもの聞き込みが始まり、加賀谷が書いた夏目への手紙で43年前の事故の真相が明かされる展開です。更に生方との因縁も・・・
事件解決後、伊達がシェアハウスを始めた理由について次作以降に明かされそうな期待が😉

惣一郎とひよりの関係性が少し変わっていきそうな予感と、ひよりの更なる成長を感じました。😀 

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MEMORY メモリー

2024年03月09日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2023年5月12日公開 アメリカ 114分 R15+

完璧に仕事を遂行する殺し屋として、裏社会で絶大な信頼を得ていた殺し屋のアレックス(リーアム・ニーソン)は、アルツハイマー病の発症により任務の詳細を覚えられなくなってしまい、引退を決意する。これが最後と決めた仕事を引き受けたアレックスだったが、ターゲットが少女であることを知り、契約を破棄。彼の唯一の信念である「子どもだけは守る」を貫くため、アレックスは独自の調査を進める中で、財閥や大富豪を顧客とする巨大な人身売買組織の存在を突き止める。(映画.comより)


アルツハイマー病で記憶を失っていくベテランの殺し屋が最後の仕事に挑む姿を描いたアクション作品で監督は「007 カジノ・ロワイヤル」のマーティン・キャンベル。

メキシコ・グアダラハラ。病院に潜入し任務を終えたアレックスは車に戻りますがキーをどこにしまったか忘れていることに気付きます。アルツハイマーを発症し
アメリカ・テキサス州エルパソの施設にいる兄を持つアレックスは、自分も発症し任務の詳細を覚えられなくなったことで引退を決意し仲介人のマウリシオに伝えますが
認めらず次の仕事を命じられます。アレックスはこれが最後の仕事と決めて故郷のエルパソに向かいました。

エルパソではメキシコ連邦警察と共同捜査で人身売買組織を追っているFBI捜査官のヴィンセント・セラ(ガイ・ピアース)が捜査対象のレオンへの囮捜査を行っていましたが、買春をさせられていたレオンの娘ベアトリスに気付かれて騒ぎになりレオンが死亡して捜査は失敗し、上司のジェラルド・ヌスバウムに叱責されます。

エルパソのホテルにデヴィッド・マーシャルの偽名でチェックインしたアレックスは、今回の仕事の仲介人ウィリアム・ボーデンから標的の情報を受けとり、一人目の標的の建設業者エリス・ヴァン・キャンプの自宅に侵入すると、彼を銃で脅して依頼されたUSBを入手し殺害します。この時、エリスの娘の存在に気付いた彼は彼女に気付かれないよう配慮しています。
仕事を終え資料を見返していたアレックスは次の標的が女性であることに気付き嫌な予感を覚えます。兄に会いに行った彼は自分の状態を独白しました。

エリスの殺害現場では、ヴィンセントと相棒のリンダが担当刑事のダニー・モーラに嫌味を言われ、ジェラルドに邪魔されながらエリスの妻ウェンディに事情聴取を行い、彼女が真っ先にジェラルドに連絡したことに不審を抱きます。ジェラルドからチーム(FBI児童労働搾取特捜班)の解散と、マルケスの帰国を告げられ抗議しますが取り合って貰えずヴァン・キャンプ殺しの捜査に集中するよう命じられます。

ヴィンセントは、唯一の証人かつ被害者のベアトリスを移民収容施設からグループホームに保護します。
その日の夜。アレックスがグループホームに侵入しますが、標的が少女(子供)だと気付いて立ち去ります。翌日。ボーデンを呼び出し契約解除を告げたアレックスは、USBは自分が持っていると伝え「あの子を殺したらタダじゃおかない」と脅しました。

その夜。バーで酔客に絡まれていた美女を救ったアレックスは彼女と一夜を共にします。同じ夜。マルケスを飲みに誘ったリンダは、彼からメキシコでは大勢の女性が行方不明になっているのに警察は見て見ぬふりの現状を聞きます。

翌朝。グループホームでベアトリスの無残な遺体が発見されます。
ホテルでそのニュースを見たアレックスは自分がやったのではと疑いマヤに何度も確認した後で、ホテルを出ようとします。車に爆弾が仕掛けられていることに気付いたアレックスの前で、部屋に忘れていった薬を届けにきたマヤがマウリシオに殺されてしまいます。激怒したアレックスはマウリシオを叩きのめしてマヤの死体をトランクに乗せ運転席にマウリシオを座らせて車を爆破しました。
この現場に到着したヴィンセントは、ダニーからトランクの女性からベアトリスと同じ32口径の弾が検出されたことを知らされます。

ジムにいたボーデンを殺害し、廃墟となった実家であるパン屋の地下に身を潜めたアレックスはUSBの中身を確認し、事件の真相を知ります。

ボーデン殺害現場に到着したヴィンセントら3人は、銃弾はベアトリスらの殺害と同じこと、駐車場に落ちていた薬がアルツハイマーの処方薬だと報告を受けます。
ボーデンの妻マリアンヌから夫が不動産専門の弁護士で、エリスと面識がなかったことを聞き出し、更にボーデンだけ違う銃が使われていたことが判明すしたことで、ヴィンセントたちは犯人が二人いると気付きます。

アレックスはヴィンセントに電話し本名を名乗った上で、エリスとボーデンを殺害したのは自分だと明かし、ベアトリスを殺したのはマウリシオで、ボーデンとヴァン・キャンプは子どもを食い物にしていた、相手は大金持ちで弁護士とそのクライアントだと告発し、悪人の俺が奴らを罰するが俺が死んだらお前が罰しろと告げて電話を切ります。

マルケスがマリアンヌと接触し、夫が電話していた相手が不動産王のダヴァナ・シールマン(モニカ・ベルッチ)だったという情報を聞き出します。ボーデンとダヴァナの関係を調べると、ボーデンはダヴァナの息子ランディの弁護士で、ランディはベアトリスがいた移民収容施設の運営、エリスは移民収容施設の建設に携わっていたとわかります。ランディ・ボーデン・エリスは、ヴィンセントたちが追っている人身売買組織の一員だったのです。

アレックスの次の標的はランディだと考えて監視する目をすり抜け、アレックスはランディを殺害しますが、追ってきたヴィンセントと対峙します。そこへやってきたマルケスを制止しアレックスを逃がそうとしますが、マルケスが発砲しアレックスは腹を負傷します。なんとか隠れ家に戻ってきたアレックスは応急処置を施します。

翌朝。アレックスについて調べたヴィンセントとリンダは彼の過去(父親からの性的・肉体的虐待)と実家の存在を知り急行しますが既に姿はありませんでした。

息子が殺され激怒したダヴァナは、非番の警官を護衛に雇います。
アレックスは陽動作戦で攪乱し、ダヴァナに銃口を突きつけますが撃針を入れるのを忘れてしまったため失敗。ダニーはアレックスを捕まえて厳しい取り調べを行います。

ヴィンセントは届けられたアレックスが手に入れたUSBを証拠にジェラルドに報告して彼の身柄をFBIに移すよう頼みますが警察に任せろと言われ、ダヴァとの癒着を示唆されます。
病院に搬送されたアレックスに面会したヴィンセントは、彼からダヴァナが自分とマウリシオを雇ってエリスとベアトリスを殺すよう指示したことを証言すると言われます。しかし彼はエリスとダヴァナの電話音声が録音されているフラッシュドライブの隠し場所を忘れてしまっていました。

ダヴァナの主治医ジョゼフ・マイヤーズは、彼女に脅迫されアレックスを殺そうと病室に侵入しますが、逆に彼の人質にされます。警察に包囲される中、病院を出てきますが、スナイパーに狙撃されますが、それは服を取り替えさせられたマイヤーズでした。その隙をぬってヴィンセントと接触したアレックスは彼にフラッシュドライブの隠し場所のヒントを与えてから自ら撃たれて死亡します。

彼が隠し場所を思い出したことに気付いたヴィンセントは、パン屋の看板に隠されたフラッシュドライブを入手し、司法省のアンディ・ヴィラロボスに提出しますが、はなからダヴァナを起訴するつもりのないアンディは、証人のアレックスが死亡しているし、ダヴァナが大金持ちの権力者だから勝訴できないと暗に揉み消しを伝えます。
失望したヴィンセントが怒りの声を上げると、停職処分になります。

失意のヴィンセントをバーに誘ったリンダ。
その同じ夜。自宅で寛いでいたダヴァナが背後から現れた男に喉を切られ殺されました。バーにダヴァナ殺害事件のニュース速報が流れると、リンダがスペイン語で祈り始めます。それを聞いたヴィンセントはリンダがアリバイ作りのために誘ったと気付きます。
アレックスの遺志を引き継いでダヴァナを裁いたのはマルケスでした。証拠の衣類を燃やし凶器を捨てたマルケスは、車でどこか遠くへと去って行きました。マルケスにも過去の悲惨な事件を立件できなかったトラウマが描かれていました。だからこそ人身売買の黒幕が野放しになることが許せなかったのでしょう。

アルツハイマーの症状が刻々と進行し、証拠の隠し場所を忘れ、撃針の入れ忘れという致命的なミス をしてしまう殺し屋・・・それでも自分の命をかけて「正義」の裁きを下すという悪人だけどカッコイイ生き様を魅せてくれました。😁 

ちなみにアレックスが服用している「ラッパスイセン」はレミニールという成分が軽度から中程度のアルツハイマーの治療薬 なんだそうな😲 

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メゾン・ド・ポリス3 退職刑事とテロリスト

2024年03月09日 | 
加藤 実秋 (著) 角川文庫

偽爆弾が設置される事件が頻発。単なるいたずらなのか? 新人刑事の牧野ひよりは、退職刑事専用のシェアハウス<メゾン・ド・ポリス>に住む、凄腕だけど曲者ぞろいのおじさんたちと捜査に乗り出すが……。(内容紹介より)

前2巻より厚さがないな~と思ったら、今回はテロ事件一本の中編仕立てでした。
新たに登場する退職間近の梅崎刑事は女嫌いで有名な設定。
偽爆弾事件が起こり、彼と組まされることになったひよりとの相性は最悪です。過去に可愛がっていた部下の女性刑事が殉職した事故が梅崎を変えてしまったことが後半に明かされます。女嫌いなのではなく、女性への過度な心配がそうさせていたという・・・それにしては女性蔑視発言が過ぎるんですが😩 
梅崎はメゾンのおじ様たち、特に伊達さんに対しては腰が低く尊敬しています。それもその筈、伊達さんは元副総監だったことが今回初めて明かされます。階級社会の警察組織ですから退職しているとはいえ雲の上の人ですもんね😁 

同僚の原田刑事は彼女ができて浮かれまくりで、整髪料と洗濯用芳香剤の強烈な匂いに閉口させられるひよりです。(原田の彼女がその匂いを受容しているのが不思議でもある😓 )でもこの原田君が爆発に巻き込まれて怪我をしたことで、ひよりは彼と彼女の意外な一面を知ることになります。

テロリストの容疑者のひとりに浮かんだのは迫田の離婚して以来会っていないという息子です。彼は東大理系卒でいかにも爆弾に精通していそうな印象を持ちますが、そっち方面ではないのよね😓 

女性店員が嗅いだという香りが水族館のガラス製作の原料に使われる薬品と思われたことから、工事現場に赴いた一行が、製作に携わっていた迫田の息子を知ることになります。アクリルガラスの隅に書かれていた「 blue grobe 」の意味が伏線になっていました。 (roveと grobeの違い、わかりますか?😁

今回はひよりのライバル?ナナちゃんのネイルがヒントになってテロリストのメンバーが判明します。夏目のアイロンがけはメゾンの中ではなく、自殺した犯人が通っていた学校の教室でした。(アイロンかけられたらどこでもいいんだな😉

クレバーなテロリストの主犯と心酔している副犯の思想は受容できないし、狂信的な新興宗教みたいです。仕掛けられた爆弾を積んだ車をひよりが運転する展開はスリリングではありますが、彼女がやらなくてもとも😥 

事件解決後、迫田の元妻が現れて父子の関係が修復されます。離婚の原因はありがちでしたが、女性の視点からみたら「だよね!」な理由でした。
前作でひよりの家族、今作では迫田の家族問題が修復されましたが、次は夏目の家族関係が登場するのかな?😀

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