杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

亜人

2018年04月21日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年9月30日公開 109分

2017年、東京。病気の妹を救うために医学を志す研修医の永井圭(佐藤健)は、ある日交通事故で死亡した直後に生き返ったのをきっかけに、絶対に死なない新人類「亜人」であることが発覚する。亜人研究施設に監禁されて非人道的な実験のモルモットにされた圭は、同じく亜人で人類に牙をむく佐藤(綾野剛)によって救われるが、佐藤が描く亜人の未来に共感できない圭は、亜人と人類の壮絶な戦いに身を投じていく。

 

2015~16年に劇場3部作とテレビシリーズ2期でアニメ化もされた桜井画門の「亜人」を実写映画化・・・ということですが、今回の上映まで全く知らなかった 

冒頭から非人間的で残虐な人体実験の映像が続き、それだけでもげんなりでしたが、佐藤たちテロリストとの戦いも死んでは生き返りの連続が多すぎて何だかな~~ フィクションとして楽しめる向きには最高のエンターテイメントかもですが、実写になっているとちょっと引いてしまいます。

亜人から出現する黒い幽霊は彼らの分身のような存在でしょうか。従順な者もいれば勝手気ままな者もいるようで、これもよくわからなかったですが、亜人同士に加えて幽霊同士のバトルもあるので、好きな人にはこの実写化は堪らないんでしょうね

厚生労働省の冷徹な役人・戸崎(玉山鉄二)の護衛は、実は亜人の女性秘書(川栄李奈)ですが、彼女が同じ亜人である佐藤たちへの人体実験に対して何も感じていなかったのかとか、そもそも何故戸崎に従うのかとかの説明が全くないのも、原作やドラマを知らない身には意味不明でした。説明がないといえば、永井の妹は何の病気?病院抜け出してけっこう過酷な状況でも平気そうなんですが

20年もの間モルモットにされていた永井が「人間」に対して憎悪の念を抱くのは理解できます。自らを実験台にされて作られた毒をばら撒いての復讐というのもありだよね。開発した製薬会社の社長の傲慢さや政治家たちの保身の図はさもありなんと思えるところが実はけっこう恐いところでもあります。

永井が佐藤の側に付けず、戸崎に交換条件付きで協力を申し出るところは、冷静な彼らしい選択でしょう。

亜人はその再生を残された体の一番大きな部分からできるというのが重要なポイントで、ラストも永井の綿密な計画の成功として違和感なく受け取れました。

不死身な亜人も痛みは感じるのだから、あれだけ何度も痛みを伴う死を繰り返せば精神破綻してしまうんじゃないかと・・佐藤はその意味でも犠牲者なのかな やっぱり一番恐いのは「人間」ですかね。


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ユリゴコロ

2018年04月20日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年9月23日公開 128分

亮介(松坂桃李)が余命わずかな父の実家で見つけた「ユリゴコロ」と書かれた一冊のノート。「私のように平気で人を殺す人間は、脳の仕組みがどこか普通と違うのでしょうか……」異様な一文で始まるそのノートは、美紗子(吉高由里子)という女の一人称で綴られた告白文だった。誰しもが生きていくために必要な拠りどころ、彼女のそれは“人間の死”であった。殺人という行為から逃れる術を持たず、絶望の日々を送るなか、深い心の傷を抱えている洋介(松山ケンイチ)が美紗子の前に現れる。・・・その内容が事実か創作か、そして自分の家族とどんな関係があるのか、亮介は様々な疑念を抱きながらも強烈にそのノートに惹きつけられていく。


沼田まほかるの同名ミステリー小説の実写映画化で、「人間の死」を心の拠り所にして生きる悲しき殺人者の宿命と葛藤を、過去と現在を交錯させながら描いています。

父親の病気、婚約者・千絵(清野菜名)の失踪とそれに伴う経営の悪化など、トリプルパンチな状況の中で亮介が目にしたノートには、あまりにも重い殺人者の告白が書かれていました。私なら一気に読んでしまいそうですが、その内容故父にも尋ねることができず、亮介は父の不在時にしか読み進められないんですね

正直、前半の美紗子の告白内容には全く共感できる余地はありません。幼い頃の友達の死は積極的な関わりではなく見殺しでしたが、次の中学生の時のそれは明らかに故意です。でも調理学校時代の親友へのそれは大きく違ってくるんですね。みつ子に対する気持ちは紛れもなく愛情ですが、その死に積極的に加担した時、美紗子は恍惚とした幸福感を覚えるのです。愛する者の死によってしか彼女は生きている実感を得られません。通りすがりのような状況で犯した殺人に対しては満足感を覚えないことに気付き、美紗子は深い絶望を味わいます。

生きるために身を持ち崩した彼女に手を差し伸べてくれた洋介が、かつて中学の時に犯した罪の加害者の青年で、深い罪悪感に苛まれていることを知った時、彼女は洋介が自分と同類と認識し愛するようになります。もちろん、本当は美紗子の罪であることなど気付きもしていない洋介は、誰の子ともわからぬ子を身籠った彼女に、結婚して共に育てようと提案します。彼なりの死なせてしまった少年への罪滅ぼしの意もあったのかもですが、美紗子は二人が出会ったことに運命を感じます。

子供が生まれ、平穏に暮らしていた彼女を昔の罪が追いかけてきます。愛するが故に二人の前から消えようとする美紗子はノートに自らの罪を告白して家を出ますが、そのことで更に深く洋介と子供を傷つけてしまうのです。原作とは違う設定のようですが、映画版の方が余計に辛い状況に思えました。

一方、亮介の元を失踪した千絵の元同僚を名乗る女性が訪ねてきます。細谷(木村多江)と名乗り、千絵から伝言を頼まれたと話しますが、やけに親切な彼女にもしやと思った疑問は大当たり!偶然の出会いがここにもあったわけです。

どんなに破綻した殺人者でも親が子を想う気持ちは同じなんですね。千絵を助けるために取った細谷の行動は、もちろん間違ってはいますが、かといって感情的には否定もできないという 

映画では、車の運転で無理な追い越しをする亮介の姿が度々登場しますが、彼の受け継いだ狂気を描きたかったのかな。亮介の感情の暴発と美紗子の冷静さは対照的ですが、確かに親子なんだと思わせる描写です。

ユリゴコロとは、幼い美紗子が「よりどころ」と聞き間違えた言葉ということのようですが、愛する人の死でしか生を実感できない哀しい殺人者の告白はとても切なく胸に迫ってきました。初めは全く共感できなかった美紗子ですが、観終わる頃には切なさの方が勝っていたような・・


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アトミック・ブロンド ネタバレあり

2018年04月18日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年10月20日公開 アメリカ 115分

1989年、東西冷戦末期のベルリン。イギリスの諜報員ガスコイン(サム・ハーグレイブ)が殺され、世界情勢に多大な影響を及ぼす極秘情報が記載されたリストが奪われる。MI6は、凄腕の女性エージェント、ロレーン・ブロートン(シャーリーズ・セロン)にその奪還を命じる。ベルリンに潜入中のエージェント、デヴィッド・パーシヴァル(ジェームズ・マカヴォイ)と共に任務を遂行するロレーン。だが彼女には、リスト紛失に関与したMI6内の二重スパイ“サッチェル”を見つけ出すというもうひとつのミッションがあった。リストを狙って、ベルリンに集結する世界各国のスパイ。誰が味方で誰が敵なのか。敵味方の区別がつかない状況の中、ロレーンと世界の運命は……?(MovieWalkerより)


アントニー・ジョンソンのグラフィックノベルを映画化した冷戦時代のアクションスリラーで、西ドイツ(英米)と東ドイツ(旧ソ連)の組織による探り合い、騙し合い、殺し合いの連続するドキドキ展開です。

パーシヴァルは味方の筈ですが、二人の間にある緊張感と疑惑の空気感がどうにも落ち着かない気持ちにさせられます。案の定、パーシヴァルはロレーンを敵方に売ったりもしますし

ロレーンはといえば、彼女を尾行していたフランスの諜報員デルフィーヌ(ソフィア・ブテラ)と恋仲になったり・・男性スパイじゃなく女性と、ってのが現代風な味付けでしょうか

二転三転する攻防の中、リストを記憶しているというスパイグラス(エディ・マーサン)を西側に脱出させるべく行動を起こしますが、敵に情報が漏れていたため殺されてしまいます。任務に失敗したロレーンをMI6は尋問しますが、彼女はパーシヴァルこそが裏切り者のサッチェルだったと告発するの。

でもね・・・ロレーンこそがMI6に所属しながらKGBに情報を渡していた二重スパイ・・・いや、そう演じていたCIAの諜報員だったというのがラストで明かされる衝撃的な展開なんですね~~ 実は三重スパイだったと判明して、それまでの疑問が一気に解決というオチでした。

007シリーズのような華麗な銃撃戦ではなく、女性なのに肉弾戦 の多いアクションで、観ているだけでも痛そう傷だらけのヒロインですが、それだけに美しさも際立っていました。

ベルリンの壁崩壊の前後の数日間が舞台で、平和が訪れる前夜のスパイの攻防戦という意味でも興味深かったです。アメリカ製作だけあって、最後に勝つのはアメリカってのがな~~


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ロスト・シティZ 失われた黄金都市

2018年04月16日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2018年1月27日公開 アメリカ 141分

20世紀初頭のイギリス。アマゾン奥地にあるという黄金の古代都市エル・ドラードの存在を信じる探検家パーシー・フォーセット(チャーリー・ハナム)は、ジャングルの猛威やピラニア、人食いナマズ、原住民からの攻撃など命を脅かす危機を潜り抜け、何度も命の危機にさらされながらも、資金とクルーを集めては何度もアマゾンの秘境に踏み込んでいった。はじめのうちは協力的だった家族や仲間たちも、次第にフォーセットに愛想を尽かすようになっていく。家族を犠牲にしてまでアマゾンに夢を追い求めたフォーセットがそこで見たものとは……。

 

インディ・ジョーンズのモデルとなった探検家パーシー・フォーセットの冒険を書いたデビッド・グランのノンフィクション小説『ロスト・シティZ 探検史上、最大の謎を追え!』の映画化で、ブラッド・ピット率いるPLAN Bがプロデュースしています。

もっとワクワクドキドキの探検が繰り広げられるのかと思って選んだのですが、ちょっと期待外れでした。

パーシーは軍人ですが、父親の素行が出世の邪魔になっています。勲章を挙げるために、王立地理学会からのアマゾン上流のブラジルとボリビアの国境線を測量するという危険な任務を受け入れ、妻子を残し現地に赴くんですね。出世は家族のためと言いますが、実は自らの名誉欲ってところがまず引っ掛かる

やっとたどり着いた川の源流で、先住民の高度な文明の跡(土器)を発見し、彼の探検魂に火が付きます。この時同行したコスティン(ロバート・パティンソン)らとは生涯の友になったようで、彼らの友情に関するエピソードも何度か登場します。任務を果たし上流社会の入り口に辿り着いたけれどまだまだ相手にされず、再び戦地へ配属され九死に一生を得ますが、激戦の最中でも彼の頭にあるのはアマゾンの失われた都市のこと。もうすっかり探検の虜です。

パーシーの、先住民がかつて高度な文明を持っていたという主張は上流階級の社交場のような地理学会において受け入れがたい提言です。白人優位性を唱える彼らにとって、偏見の目しかない先住民の文明を認めることは許しがたい屈辱なんですね。二度目の探検に同行した会員のマレー(アンガス・マクファーデン)は探検家を自任していますが、とんだ軟弱者で、探検隊のお荷物になった挙句に途中離脱します。死んだものと思われていた彼が生還し、自分は置き去りにされたとパーシーを非難する姿は本当に見苦しいものでした。

でもパーシーも妻のニーナ(シエナ・ミラー)が一緒に探検に同行したいという申し出を妻は家を守るものだと言って跳ね付けます。当時の男女関係についても端的に表現されているんですね。戦争中の負傷で探検を諦めていたパーシーを、最初は激しく反発していた長男のジャック(トム・ホランド)が共に行こうと誘った時も、当然のように次男や娘と共に置き去りです。しかもこの最後の探検の際、パーシーは地理学会での理解者にZを見つけたら戻らないかもしれないという発言をしてるんですから 

パーシーが先住民に対する偏見がなかった点は当時の白人としては、大いに評価できます。食人種とも等しく語り合う姿はまさに対等な人間としての接し方です。息子と行った最後の探検で消息を絶ったのですが、この時、食人種に捕まった二人の生死については想像の余地を残す終わり方です。ただ、前述の理解者へ託したコンパスの存在で、彼らがZに辿り着いたという推測ができるようになっていました。

男のロマンとして観る分には夢のある話なのかもしれませんが妻の立場ではちょっとね


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パーソナル・ショッパー

2018年04月08日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年5月12日公開 フランス 105分

忙しいセレブのために服やアクセサリーの買い物を代行する「パーソナル・ショッパー」としてパリで働くモウリーン(クリステン・スチュワート)。私生活では数カ月前に双子の兄を亡くし、悲しみから立ち直れない一方で、仕事で鍵を預かり他人の家に出入りし、時にはプライベートをものぞき見ることに欲望をふくらませていた。そんな彼女の隠された欲望が不可解な出来事を引き寄せ、彼女に謎のメールが届き始める。(映画.comより)


サスペンスミステリーのつもりで観始めたのですが・・・霊媒師って何?いきなり心霊現象とかって・・間違えた??

結局最後までよくわからないまま終わってしまったぞ

携帯電話に届く送信者不明のメッセージが不気味。普通に考えたらストーカーじゃんその相手が生身の人間じゃないと思わせるところがツボなんでしょうけど、この手の話はそもそも好きじゃない

雇い主が殺されるに至っては、サイコホラーかと疑ったけど、犯人はしっかり生きた人間だった・・でもそこに至る過程がよくわからない 

ラストの現象も、双子の弟からの(死後の)メッセージであれば、妹を脅すようなサインは出さないと思うんですけどね 結局ヒロインが霊媒師である理由はこの不自然な現象の理由付けでしかない気がしました。

救いは、モウリーンが揃える洋服やアクセサリーがセンス良くゴージャスだったこと。シャネルが衣装協力していて、カルティエなど実在するブランドショップも登場しているそうです。

普通に、ヒロインが雇い主との約束を破って服飾品を身に着けたことから危険な目に遭うという展開ではダメだったのかしらん?


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ボン・ボヤージュ 家族旅行は大暴走

2018年04月07日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年7月22日公開 フランス 92分

待ちに待った夏休み! コックス一家は“未来のシステム”搭載の新車で、バカンスへと旅立った。ところが、出発してまもなく自慢のシステムがあっさり故障、車は時速160キロでハイウェイを大暴走! 極限状態の中で、次々と明かされていく〈驚愕の秘密〉に家族は崩壊ブレイク寸前! 向かう先には人類史上最大の渋滞が─!果たして、罪なき(少しある)コックス一家の運命は?車も悪あがきも止まらない。 そして、アカデミー賞®製作スタッフだもの、まさかの大感動へまっしぐら! なのか???(公式HPより)

 

夏休みのバカンスでドライブ旅行に出かけた一家が、車内で繰り広げる騒動を描いたコメディです。

バカンス旅行を一番楽しみにしているのはお父さんのトム(ジョゼ・ガルシア)張り切って妻と子供たち(一風変わった9歳の娘リゾン、やんちゃな7歳の息子ノエ)を起こして用意をしているところにやってきたベンじいちゃん(アンドレ・ドュソリエ)に妻のジュリア(カロリーヌ・ビニョ)はご機嫌斜め。どうやらこのじーちゃん、トラブルメイカーの様子早速トイレを詰まらせるじーちゃん。これは絶対後で騒ぎになるぞという前振りを残して出発です。

買ったばかりの新車は最新ナビ付き、その名もメデユーサ。何か不吉な予感のする名前だこと快適なドライブの筈が、GSに立ち寄れば、母親に置いてきぼりをくらった女の子・メロディ(シャルロット・ガブリ)をじーちゃんが拾うわ、ワイパーは折るわで早くも波乱の予感。そして案の定、自動スピード調整が壊れ、じーちゃんの助言を聞いたことで更にスピードはUPし、高速道路を時速160キロで暴走することに。

冗談ではないとわかって家族はパニック状態に。頼みの警察官は無能だし(パトロールに出て茂みでナニやってんだか)、カーディーラーは当てにならないし、後部座席に潜ませていたメロディまで出てきててんやわんやです。途中のパーキングを通り抜ける際にBMBのドアをぶっ壊したことで、持ち主の男は怒り狂って追いかけてきますが、こちらは明らかにお笑い要員。ドアだけじゃなく、蜂に刺され、お小水はをかけられ、ロマたちにボコボコにされと散々な目に遭うのだけれど、そもそもが単細胞の切れやすい暴力男のようなので、ちっとも同情心が湧きません

絶体絶命の状況で、家族の秘密も次々暴露。妻は下の階の若い画家と浮気、じーちゃんまでお父さんとの親子関係がどうのこうのと言い出す始末。あれれ?シリアスになっちゃうの?と思ったけれど、何だかうまく収まっちゃいましたね。

学生時代は学問に燃えていた夫が今では豊胸手術とシワ取りで大儲けすることに夢中で、三年間同じ靴を誕生祝に贈っていることにも気付かないことが不満の妻の気持ちや、運命の人を追い求めて10年で30人に振られたじーちゃんの情熱的な一面など、笑いだけじゃない面も。

車(持ち主の妻はお父さんの顧客で、じーちゃんが中国製の安物デトックスを仕入れたせいで拒絶反応を起こして顔が腫れあがっている設定)で追いかけてきた警官たちが子供たちと少女を窓から救出し、妻もヘリに。残った父さんとじーちゃんは車ごと吊り上げられ一件落着・・・とはいかないのがコメディです。電子制御ばかりか、ブレーキも取れちゃうし、とどめが空中分解。欠陥車であることは間違いないわけで、件のディーラーも別の顧客が車内に閉じ込められて、職を失うことになったようで

フランス映画らしい、ハイテク技術や警官への皮肉と風刺のパンチが効いていました。

もし、こんなじーちゃんが身内にいたなら・・・嫌だ~~~


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ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル

2018年04月06日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2018年4月6日公開 アメリカ 119分

高校の地下室で居残りをさせられていた4人の生徒たちは、「ジュマンジ」というソフトが入った古いテレビゲーム機を発見する。早速そのゲームで遊ぼうとする4人だったが、キャラクターを選択した途端にゲームの中に吸い込まれ、各キャラクターのアバターとなって危険なジャングルの中に放り込まれてしまう。マッチョな冒険家やぽっちゃりオヤジなど本来の姿とかけ離れた姿に変身した彼らは、ゲームをクリアして現実世界に戻るため、それぞれ与えられたスキルを使って難攻不落のステージに挑む。(映画.comより)

 

1995年製作「ジュマンジ」の続編です。「ジュマンジ」好きでした 劇場では観てないけれど、レンタルや地上波放送で何度も観ました 今作は現代に蘇った「ジュマンジ」ということで、とっても楽しみに待ってました。その期待は裏切られませんでした お子様向け作品ということで当然のようにいきつけのシネコンでは字幕版の上映無しでも今回は吹替でも遜色なく楽しめたのは変に有名俳優や芸人さんを使ってないからかしらん(声を充てた人のキャラが強すぎると物語のキャラを邪魔してしまうのでね

冒頭、父親が拾ってきた「ジュマンジ」を「なんだ、ボードゲームか」と関心を示さない少年アレックス。そしたらなんてこったい!ヤツはテレビゲームのソフトに自分を進化させたじゃないですか 当然飛びつくアレックス。おいおい、普通その前に不審に思わないかい?

そして現代。それぞれ居残りの罰を受けて校長に説教をくらい地下室での作業を命じられた4人ですが、何故かそこにあのソフトがあるの 古いゲームなのに、画面表示はハイテク仕様なのに気にならないのか(とここでも突っ込んでみる)

適当にキャラを選んでゲームを始めた4人はこれまた当然のようにゲームに吸い込まれていきます。気弱なゲームオタクのスペンサーはフェロモン放出マッチョのブレイブストーン博士(ドウェイン・ジョンソン)に、スポーツバカのフリッジはチビで身体能力の劣る武器運搬&補佐役のフィンバー(ケヴィン・ハート)に、セルフィー大好きうぬぼれ美人のベサニーはぽっちゃりおじさんのオベロン教授(ジャック・ブラック)に、がり勉少女のマーサはタフなセクシー美女ラウンドハウス(カレン・ギラン)にと現実の自分とは全く異なるキャラになるという設定が面白い

初めはバラバラでいがみ合うのですが、次第に仲間として協力し、助け合うようになるのも王道の展開。途中からあの消えた少年アレックスも加わり駒が揃って、あとは悪役相手に最終ステージ突入です。まさにテレビゲームのステージをクリアしていく感じで楽しいです。彼らのライフは腕にタトゥーで示されます。三回死んだらENDです。それぞれにスキル(無敵勇敢・動物学者・地図専門家・ダンスファイター)と弱点(ケーキ・毒など)があり、効果的に使われていました。

高校生役の4人も良いのですが、何といってもゲームの中のオトナな4人の強烈な個性に大受けします。

あのムキムキマッチョなドウェイン・ジョンソンが奥手の気弱なオタクを演じるなんて滅多に見られるもんじゃない加えてケヴィン・ハートのコミカルな話術やジャック・ブラックの「私本当は女子よ」な仕草など、まさに芸達者な俳優を配しただけの効果ありです 

ゲームをクリアするとプレーヤーは自分がプレイした時間軸に戻るのですが、大人になったアレックスと4人の再会は前作に比べるとあっさりしています。ベサニーはアレックスを少なからず想っているように見えたのですが、現実ではでした。対してスペンサーとマーサはうまくいったのね

居残りの説教で校長が彼らに語ったのと同じ言葉が終盤でまた彼ら自身の口から登場するのも彼らの成長を感じます。

前作ではジュマンジの世界でアランは大人になっていましたが、今回のアレックスは現実世界では20年の時が経っているのに彼自身は数か月と感じていたり、さいころゲームじゃなくてステージをクリアしていく設定とか、ちょっぴり大人向けな小ネタとか、内容は変化していますが、一つの目標(生きて現実世界に帰ること)に向かい心と力を合わせるという姿勢は同じです。その中で成長して行く姿もね これ、けっこう好きです


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ブレードランナー 2049

2018年04月03日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年10月27日公開 アメリカ 163分

2049年、貧困と病気が蔓延するカリフォルニア。人間と見分けのつかない《レプリカント》が労働力として製造され、人間社会と危うい共存関係を保っていた。危険な《レプリカント》を取り締まる捜査官は《ブレードランナー》と 呼ばれ、2つの社会の均衡と秩序を守っていた―。LA市警のブレードランナー“K”(ライアン・ゴズリング)は、ある事件の捜査中に、《レプリカント》開発に力を注ぐウォレス社の【巨大な陰謀】を知ると共に、その闇を暴く鍵となる男にたどり着く。彼は、かつて優秀なブレードランナーとして活躍していたが、ある女性レプリカントと共に忽然と姿を消し、30年間行方不明になっていた男、デッカード(ハリソン・フォード)だった。いったい彼は何を知ってしまったのか?デッカードが命をかけて守り続けてきた〈秘密〉―人間と《レプリカント》、2つの世界の秩序を崩壊させ、人類存亡に関わる〈真実〉が今、明かされようとしている。(公式HPより)


フィリップ・K・ディックの小説をもとにした「ブレードランナー」の続編になります。前作から30年後の2049年の世界を舞台に、ブレードランナーの“K”が、新たに起こった世界の危機を解決するため、30年前に行方不明となったブレードランナーのリック・デッカードを捜す物語となっています。

公開時、興味はあったのですが上映時間の長さにめげて諦めた作品です。考えてみたら元作も観たことなかった

もちろん、前作を知らなくても楽しめるのですが、おそらくは知っていた方がより面白いんだろうな

あまりにも精巧であるが故に、人間かレプリカントかなんて外見ではどうでも良い気がするのだけれど、この世界では両者の差は意識の点ではっきりと区別=差別されています。レプリカントだから何をしても良いという扱いは人間という生物のエゴ、ここに極まれり!という印象を受けました。両者の差は自ら感情を有するかという一点に集約されていて、だからこそKがウォレス社製の家庭用AIのジョイ(アナ・デ・アルマス)のホログラムを恋人にしていることへの違和感があります。

逃亡レプリカントの追跡で遺骨の入った箱が見つかり、帝王切開の跡のあるレプリカント女性の遺体であることが判明します。生殖機能を持つレプリカントの出現と生まれた子供の存在は、人間社会を混乱に陥れると危惧を抱いた上司のジョシ警部補(ロビン・ライト)は、事件の痕跡の消去をKに命じますが、このことを嗅ぎつけたウォレス(ジャレッド・レト)はその生殖技術を解明しようと片腕であるレプリカントのラヴ(シルヴィア・フークス)に命じて子供を探させるのです。調査の結果、同じDNAの男女の子供のうち、女の子は病死、男の子は行方不明との記録が出ます。

Kが農場で見つけた日付は、彼の子供の頃の記憶にある宝物の木馬に掘られた数字と同じでした。記憶が本物か単に植え付けられたものか確かめにレプリカント用記憶作家のアナ・ステリン博士(カーラ・ジュリ)を訪ね、その記憶が誰かの本物であると知らされます。それが自分のものだと確信したKは生まれた子供が彼自身だと思い逃亡を図るのです。

Kは記憶の木馬を見つけてその材質の分析からラスベガスに赴き、隠れていたデッカードと対面します。ラブの急襲を受けて重傷を負ったKはデッカードの仲間たちに助けられますが、生まれた子は女の子であることを告げられ、ステリン博士がその娘であり、彼女の記憶が自身に埋め込まれていたのだと悟るのです。彼らから秘密を守るためにウォレスに攫われたデッカードを殺すよう指示されたKですが、意に反してKはデッカードを助けてステリン博士の元へ連れていくんですね~~。降りしきる雪の中で、深手を負ったKは静かに目を閉じ・・end。

全宇宙を植民地化し支配しようという野望のためにレプリカントに生殖機能を与えて量産しようと目論むウォレスに比べて、Kを守るために自らの消滅も厭わなかったジョイや、デッカード父娘のために自らの命を賭して助けたK。彼らの方がよほど人間らしい感情を持っていますよね。 もはや人間とは?という問いは無意味に思えます。

DNA操作により生命誕生をもコントロールできるようになる未来はもうすぐそこまできているけれど、命の重さは人であれ動物・植物であれ、AIであってさえ、尊むべきものだと感じました。


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ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書

2018年04月02日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2018年3月30日公開 アメリカ 116分

1971年、ベトナム戦争が泥沼化し、アメリカ国内には反戦の気運が高まっていた。国防総省はベトナム戦争について客観的に調査・分析する文書を作成していたが、戦争の長期化により、それは7000枚に及ぶ膨大な量に膨れあがっていた。
ある日、その文書が流出し、ニューヨーク・タイムズが内容の一部をスクープした。
ライバル紙のニューヨーク・タイムズに先を越され、ワシントン・ポストのトップでアメリカ主要新聞社史上初の女性発行人キャサリン・グラハム(メリル・ストリープ)と編集主幹ベン・ブラッドリー(トム・ハンクス)は、残りの文書を独自に入手し、全貌を公表しようと奔走する。真実を伝えたいという気持ちが彼らを駆り立てていた。
しかし、ニクソン大統領があらゆる手段で記事を差し止めようとするのは明らかだった。政府を敵に回してまで、本当に記事にするのか…報道の自由、信念を懸けた“決断”の時は近づいていた。(公式HPより)


スティーブン・スピルバーグ監督作品で、メリル・ストリープとトム・ハンクスが初共演。ベトナム戦争が泥沼化し、アメリカ国民の間に疑問や反戦の気運が高まっていた1971年、政府がひた隠す真実を明らかにすべく奔走した人物たちの姿を描いた社会派ドラマです。劇場予告で観て気になっていました 辻氏がメーキャップを担当した「ウィンストン・チャーチル~」と迷ったのですが、内容的にはこちらの方が好みかなぁとチョイス

トルーマン、アイゼンハワー、ケネディ、ジョンソンの4政権にわたって隠蔽されてきたベトナム戦争に関する膨大な事実が記された国防省の最高機密文書=通称「ペンタゴン・ペーパーズ」。歴代の大統領がベトナム戦争におけるアメリカの軍事行動について何度も国民に虚偽の報告をし、極秘に軍事行動を拡大していた事実が記され、暗殺、ジュネーブ条約の違反、不正選挙、アメリカ連邦議会に対する嘘といった闇の歴史の証拠が綴られたそれが世に出ることは政権の足元を揺るがす大事件です。ニクソン政権は記事を書いたニューヨーク・タイムズの差し止めを要求します。

マイナーなローカル紙扱いされてきたワシントン・ポストの主幹のベンは、この文書を入手しようとキャサリンに働きかけますが、友人であるペンタゴン・ペーパーズの作成を指示した国防長官のマクナマラ(ブルース・グリーンウッド)を窮地に陥れることはできないと拒否されます。しかし、かつてランド研究所(政府出資のシンクタンク)の軍事アナリストで後に内部告発者となったダニエル・エルズバーグに、同僚だった編集主幹補佐のベン・バグディキアンが接触し、文書の全コピーの入手に成功します。

ここにきて、文書を公表するか、見送るかの決断が、キャサリン・グラハムに委ねられることになるのです。彼女は先代の父の勧めに従って優秀な夫を社主に迎え、自らは内助の功を発揮してきたのですが、夫の死(自殺らしい)によりその立場を引き継ぎました。有力紙の中で唯一の女性経営者として、男社会の中で発言の機会も殆んどなかった彼女にとって、初めての、そしてあまりにも大きすぎる決断の時が訪れたのです。激しいプレッシャーの中で悩みぬいた末に、キャサリンは新聞社の将来を危険にさらし株式公開の計画も潰してしまうという役員たちの反対意見に逆らって、記事掲載の許可を出します。

映画では、ブラッドリーの妻がキャサリンの決断を称賛するシーンが登場します。同じ女性として、キャサリンがいかに大きな人生の決断を迫られたのか、そして下した決断への勇気を夫に訴えかけます。ブラッドリーを駆り立てたのは記者としての使命感ですが、妻の言葉で彼はキャサリンの立場とその決断の大きさに今更ながらに気付くのです。

キャサリンもまた、代々続いた家族経営の愛すべき新聞社を自分の代で潰してしまうのではないかという恐れや、社員たちの生活を奪ってしまうかもしれない不安に揺れ動きながらも、報道の使命・自由を守るという大義を果たすことこそが今しなければならないことだと決断します。夫の葬儀の際に彼女の娘が渡したメモも効果的に使われていました。そう、正しい行いは時にとてもシンプルな原則によるのです。

司法省は即日差し止め命令を要求しますが、連邦裁判所はこれを棄却、最高裁判所もこれを無効としました。ペンタゴン・ペーパーズの公表は公益のためで、政府の監視は報道の自由に基づく責務だというのがその理由です。新聞は政府ではなく国民のためにあるということを高らかに宣言したわけですね

NYタイムズやワシントン・ポストの勇気ある行動に触発され、ボストン・グローブやシカゴ・サンタイムズなど多くの新聞が一丸となって文書に関する記事の掲載を始めたことも描かれています。一新聞社の勇気ある良心的な行動にとどまらず、多くの新聞社や記者たちが団結して脅威に怯むことなく真実を世に知らしめた出来事でもあったのですね。

あのケネディですら、政策の失敗を認めることから目を背けたというのは何だかがっかりではありますが、権力を握る者が陥る落とし穴なのかも。だからといって大勢の若者を無益な死に追いやって良いわけはありません。歴史が繰り返されそうな今こそ、こういう作品を観て欲しいなぁと思いました。

後ろ姿や声だけで登場するニクソンの何て高圧的でふてぶてしいこと ラストでは「ウォーターゲート事件」を匂わせるシーンが加えられています。天網恢恢疎にして漏らさずですね 


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ボンジュール・アン

2018年04月01日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年7月7日公開 アメリカ 92分

長年連れ添った映画プロデューサーの夫(アレック・ボールドウィン)は、成功を収めているが妻アン(ダイアン・レイン)には無頓着。子育ても落ち着き、アンは人生の岐路に立っていた。そんなある日、夫の仕事仲間(アルノー・ヴィアール)と共に、フランスのカンヌからパリへ車で向かうことになったアン。それはただの7時間のドライブのはずだったが、美しい景色やおいしい食事、ワイン、そしてユーモアと機知に富んだ会話を楽しむうちに、人生の喜びを再発見するかけがえのない旅になっていく。


フランシス・フォード・コッポラの妻、エレノア・コッポラが自身の体験を基に脚本を手がけた人間ドラマです。

仕事に順調な夫とは対照的に、自分のすべきことが見つからないアンにとって、この思いがけない旅は自分を成長させるための心のステップになったようです。それにしてもフランス男性って皆こうなの

走り出してすぐにランチ、サント・ヴィクトワール山を抜けラベンダー畑を通り過ぎ、ヴィエンヌのホテルで一泊。翌日も川辺で一休みしてリュミエール研究所(昔の恋人がいる)に立ち寄って、彼女と三人で市場見学してランチ。サント・マドレーヌ大聖堂に寄りヴェズレーのレストランでディナーしてようやくパリへ到着という、おそらく真っ直ぐ向かえばその日のうちに着いてしまうところを寄り道し放題の旅になっています。

行く先々の景色はもちろん、美味しそうな食事の数々に、ちょっぴりドキドキな誘い。初めは苛立ちや猜疑心を隠さなかったアンですが、次第に打ち解けるようになり、互いの心の底に仕舞っていた秘密を打ち明けるまでになるのですが、最後まで一線を越えない点も好評価でした。


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