杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

検察側の罪人

2018年08月31日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2018年8月24日公開 123分

都内で発生した犯人不明の殺人事件を担当することになった、東京地検刑事部のエリート検事・最上(木村拓哉)と、駆け出しの検事・沖野(二宮和也)。やがて、過去に時効を迎えてしまった未解決殺人事件の容疑者だった松倉(酒向芳)という男の存在が浮上し、最上は松倉を執拗に追い詰めていく。最上を師と仰ぐ沖野も取り調べに力を入れるが、松倉は否認を続け、手ごたえがない。沖野は次第に、最上が松倉を犯人に仕立て上げようとしているのではないかと、最上の方針に疑問を抱き始める。


雫井脩介の同名ミステリー小説の映画化です。木村拓哉と二宮和也の初共演が話題となっていましたが、二人が演じる検事の対立が描かれます。どちらかというとニノの演技目当てで鑑賞です

冒頭の教習終了時の最上の訓話は、リハにはなかった迫力の演技があって、検事の卵役の人たちは素でビクっとしていたとか ドラマ「HERO」の久利生とは全く異なるキャラを演じ分けるという点ではさすがっす

それはともかく・・数年後、東京地検・刑事部に配属されてきた沖野を、最上は老夫婦刺殺事件の容疑者の取り調べに充てます。その前に闇社会のブローカー諏訪部(松重豊)の取り調べをさせて、沖野の技量を確認するんですね~~沖野は最上が検察教官時代の教え子で、真っ直ぐな性格の沖野に最上は目をかけているようです。過去の自分と重なるんでしょうね~

捜査に立ち会った最上は、複数の容疑者リストの中にある一人の容疑者の名前に驚愕します。松倉重生は、時効となった23年前の女子高生殺人事件の有力容疑者でしたが、証拠不十分で逮捕に至らず、事件は迷宮入りしていました。この被害者は、最上が大学時代に親しくしていた寮の管理人夫婦の娘だったのです。思いっきり私怨が入ってきますね~~

松倉はリサイクルショップでアルバイトをする初老の男。もし彼が今回の事件の犯人なら、今度こそ法の裁きを受けさせなければと決意した最上は別件で逮捕させ沖野に取り調べをさせます。そこで23年前の事件については(時効だから)あっさり自供した松倉ですが、老夫婦の殺害は一貫して否認します。松倉という男の不気味さというか異常さが、このシーンで存分に描かれるのですが、もう本当に怖気をふるってしまいました。生理的に気持ち悪いし嫌!!この役者さんの演技力も凄いってことですね!

捜査が進むうち、新たな有力容疑者として弓岡(大倉孝二)が浮上するのですが、最上はあくまでも松倉に拘り続けます。 最上の執着の理由を知らない沖野は、松倉を取り調べるうち、今回の事件の犯人ではないという確信を持ち、最上の捜査方針に疑問を持ち始めます。

最上はまた、大学時代からの親友の丹野(平岳大)が義父である政界の大物議員・高島の秘書として贈賄事件に関わっていることに心を痛めていました。かつて理想を語り合った親友が抗う事のできない大きな力に流されていくのを成す術もなく見ているしかない己の不甲斐なさに歯噛みする心情が伝わってきます。近く東京地検の取り調べを受けることになっている丹野と接触することは職務上からも好ましいことではないのですが、最上は情報をリークするんですね~実はこのあたりから、最上の正義とは??という疑問が頭をもたげてくるんですよ

丹野の自殺後、松倉に対する最上の行動は妄執のレベルまで高まっていきます。そんな最上にスーッと近づいてきたのは諏訪部。あなたのポチになりますって、あんた、そりゃ下心たっぷりじゃないの?と思うのは観ている側で、最上はストンと取り込まれていってしまうんですね 自分の信じる正義のため、踏み越えてはならない一線を越えてしまう最上。ここからの木村君の演技は鬼気迫るものがありました。 運び屋役で芦名星も出演。妖しさ漂う美女でございます

沖野の事務官の橘(吉高由里子)は沖野以上にまっすぐな正義感を持つ女性です。最上に心酔する沖野より客観的に物事を見ている人物としても描かれています。彼女の一貫してブレない姿勢に好感が持てました。 沖野と恋仲になるあたりはちょっと俗っぽかったですが しかし彼女は検察内部の内幕を暴露したことがばれて退職、沖野も最上と袂を分かちます。

松倉の無実を信じる二人は、彼の国選弁護人の小田島(八嶋智人)に情報を提供 。これも辞めたとはいえ、やってはいけないことですよ 無罪を勝ち取った松倉は初めこそ殊勝な様子を見せていましたが、沖野を見て、取り調べ室で彼から激しい言葉を浴びせられたことを思い出しパニックに陥ります。(まさに沖野の取り調べでのシーンが作品の肝と言える迫力でした)街に飛び出した彼を撥ねたのは諏訪部が手配した車。これは最上も絡んでいるよ~~絶対・・・。

ラストは最上(の祖父)の別荘での二人の対峙シーンです。正義の剣も使い手によっては凶器に変わる・・そもそも正義の定義からして人それぞれってのはどうなんでしょ?

諏訪部が絡んでいるとしても、調べたら最上が関わった事件の綻びが必ず暴かれるでしょう。(いや、最近の警察の不祥事を鑑みれば逃げ切れるのか?)どちらにしても後味の悪さが残りました。

最上の娘役で山崎紘菜が出ていました。MARS~ただ、君を愛してる~」以来(の認識)だ~~←窪田君繋がり


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー

2018年08月27日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2018年8月24日公開 アメリカ 114分

どこまでも青く輝くエーゲ海に浮かぶ、ギリシャのカロカイリ島。母ドナ(メリル・ストリープ)との夢だったホテルを遂に完成させたソフィ(アマンダ・セイフライド)は、オープニングパーティの準備に追われていたが、その最中に妊娠が発覚!だが、愛する夫のスカイ(ドミニク・クーパー)とは、将来を巡って気持ちが行き違い、かつてない危機を迎えていら。ソフィは思わず若き日の母と自分を重ねる・・・ママは私を身籠った時、どんな気持ちだった?3人のパパたちとはどうやって出会って何故別れたの?そんな彼女に、ロージー(ジュリー・ウォルターズ)やターニャ(クリスティーン・バランスキー)、そして3人のパパのひとりであるサム(ピアース・ブロスナン)らは、若き日の物語を話し始める。

時は1979年、大学を卒業したドナ(リリー・ジェームズ)は、広い世界へと羽ばたく。まずはパリに降り立ったドナは、若き日のハリー(ヒュー・スキナー)と出会うが、それは一生分のドラマティックな恋の始まりに過ぎなかった・・。


「ABBA」のヒット曲で構成されるミュージカルの舞台を映画化した「マンマ・ミーア!」の10年ぶりの続編です。

ドナは亡くなっている設定にちょっと驚きました。だって予告CMにはメリルがしっかり登場してたんだもの

ソフィがホテルのオープニングパーティの準備に奮闘する現在と、ドナの若き日の物語が交互に語られるのですが、その切り替えがとても自然で良かったです。

前作で疑問が残ったドナと3人の「パパ」との出会いと別れがしっかり描かれています。大学を卒業し社会に出る前の記念旅行で出会った3つの恋は、彼女の人生そのものを変えていきます。同時期に3人と恋?と批判的な気持ちがありましたが、あれだけ若くて可愛かったら、そして魅力的な3人の青年とだったら、なんだかアリかもと思えてきちゃうから不思議。ドナは決して尻軽でも身持ちの悪い女でもなかったことは、ソフィを産み育ててきたその生き方からわかりますものね。

まずはパリで出会ったハリー。初体験の相手がドナだったわけで、一途で純情で堅物なハリーには忘れられない運命の女性となったわけね

次に島に渡るフェリーを逃したドナをヨットで送っていったビル(ジョシュ・ディラン)。ドナ曰く「キケンな女たらし」なビルですが、失恋で傷ついたドナを優しく包み込んでくれました。

最後に、島で出会ったサム(ジェレミー・アーヴァイン)にドナは夢中になります。でも彼に婚約者がいたことがわかり二人は破局したというわけです 3人の中では、やはりサムとの絆が一番強かったんですね~~

ドナを励まし支える親友のターニャ(ジェシカ・キーナン・ウィン)やロージー(アレクサ・デイヴィーズ)との関係もコミカルさ(ビルに一目惚れしたけれどドナに遠慮して身を引き食に走るロージー)と友を想う熱さ(島暮らしに反対するターニャ)がほどよくMIXされて描かれていました。

嵐でパーティー会場がメチャクチャになり、飛行機や船も欠航して招待客も来れなくなって落ち込むソフィを優しく慰め励ます支配人のシエンフエゴス(アンディ・ガルシア)やターニャ、ロージー、サム。そこへ、ソフィが一番と気付いて駆けつけたハリー(コリン・ファース)とビル(ステラン・スカルスガルド)、スカイが大勢の「客」を連れて現れます。ソフィの祖母ルビー(シェール)まで登場!これがまた圧巻のオーラがありましたしかもシエンフエゴスとなにやらわけありな様子

妊娠のことをスカイの他はサムだけに打ち明けたのに、いつのまにか島中の人が知っていてお祝い9か月後の洗礼式は前作でも登場したあの教会に皆が揃います。ここで初めてメリル登場なんですね~~ 母から娘へ受け継がれていく物語はこれからも続いていくんですね。

エンディングでのオールキャストによる歌とダンスが素晴らしかったです どのキャストの歌もそれぞれ素敵ですが、やはりシェールの歌声は場を圧倒していました。

劇中歌は20曲くらい。「マンマ・ミーア」や「ダンシング・クイーン」はもちろんですが、個人的なツボは「スーパー・トゥルーパー」!これ、フィットネスでよく流してる曲なんです へぇ~~こんな歌詞だったんだと字幕で初めて知った私


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ボックストロール

2018年08月26日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2014年製作 アメリカ 96分

チーズブリッジの町では、子どもを襲って食べるという恐ろしい怪物「ボックストロール」の噂が住人たちを怯えさせていた。町の権力者リンド卿(ジャレッド・ハリス)は悪徳害虫駆除業者スナッチャー(声:ベン・キングズレー)に依頼し、トロールたちを次々と捕獲していく。しかし実際は噂とは異なり、トロールは夜の町でガラクタを集めては発明に勤しむ心優しい生き物だった。そんなトロールたちと地下で暮らしてきた人間の男の子エッグス(アイザック・ヘンプステッド・ライト)は、人間に捕らえられた育ての親フィッシュを救うため、生まれて初めて地上に出る。そこで出会ったリンド卿の娘ウィニー(エル・ファニング)とともに、スナッチャー率いる駆除軍団に立ち向かうエッグスだったが……。(映画.comより)


「KUBO クボ 二本の弦の秘密」のスタジオライカが2014年に手がけたストップモーションアニメで、日本劇場未公開のようです。

実はスナッチャーが自分の目的(上流階級の証である白いシルクハットを手に入れ自分も上流の仲間入りをする)のために、ボックストロールを悪者にしていたんですね。エッグスは攫われたとされていた赤ん坊でした。

エッグスとかフィッシュという名前は彼らが着ているボックス(段ボール?)に描かれた絵にちなんでいるようです。彼らは地下で暮らし、夜中に町に出て集めた廃材を利用して生活をしている大人しい生物です。この地下住居がまたアトラクションのようなワクワク感溢れる描写で、彼らが食べる虫たちでさえ何だか愛嬌があるのエッグスは彼らと楽しく暮らしていましたが、スナッチャーたちに捕まったフィッシュを助けるために、「人間のフリ」をして町に出ていきます。そこで、人間たちがボックストロールのことを誤解していると知って驚きます。

ウィニーは大人たちからボックストロールは子供を攫って食べる恐ろしい生き物だと教えられていましたが、エッグスと出会い、トロールたちが本当は大人しく優しいことを知ります。フィッシュからエッグスが本当は人間で、お父さんである発明家から託されたことを聞いた二人は、スナッチャーの企みを止めて仲間を助けようとリンド卿に訴えますが、全く相手にされません。何しろリンド卿ときたらチーズにしか興味を示さないのですから チーズと言えば、この町の人たちはチーズ大好きなんですね~~白いシルクハットは町の名士の象徴ですが、その名士たちが集まって何をしているかといえば、議題そっちのけのチーズの試食なんですから

用済みのボックストロールたちを一掃しようとするスナッチャー一味。必至に逃げるよう説得するエッグスですが、臆病な彼らは身を竦めているだけ。諦めかけた彼を励ましたのはスナッチャーに殺されたと思われていた父親です。彼はスナッチャーの目的のために無理やり発明をさせられ、10年も逆さに吊られていたのです。そのため精神に異常をきたしているようでしたが エッグスの必死の訴えも届かず、ボックストロールたちは押し潰され・・・てはいなかったんですね~~ 彼らは遂に立ち上がります。性格は変わらないんじゃなくて変えられる

リンド卿にとっては、スナッチャーも卑しい身分の駆除業者でしかありません。娘の話にも耳を貸そうとしない父親ですが、さすがに娘の危機は見過ごすことができなかったのに少しホッとしました 念願の白いシルクハットを手に入れ、チーズの試食をするスナッチャー。ところが彼は強度のチーズアレルギー 全身アレルギーでパンパンに膨らんだ挙句最後には破裂してしまいます。(医学的には窒息死となるところですが、映像的には破裂の方がインパクトはあるものね

地位と権力に固執するあまり身を滅ぼしてしまうスナッチャーは哀れではありますが自業自得です。彼の部下のうち、自分たちの行動が果たして正義なのかと疑問を持つようになり、エッグスたちに手を貸す二人と、最後まで悪に染まったままの一人も明暗が分かれます。アニメーションではあるけれど、なかなか含蓄のある内容でした。

エンドロールでは、ストップモーションアニメの制作の大変さ、気の遠くなるような時間がかかることなどが、軽妙な会話形式でさらっと語られていたのも面白かったです。


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

パーティで女の子に話しかけるには

2018年08月25日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年12月1日公開 イギリス=アメリカ 103分

1977年、ロンドン郊外。大好きなパンクロックだけを救いに生きる冴えない少年エン(アレックス・シャープ)は、偶然もぐり込んだパーティで、不思議な魅力を持つ美少女ザン(エル・ファニング)と出会う。エンは好きな音楽やファッションの話に共感してくれるザンと一瞬で恋に落ちるが、2人に許された時間は48時間だけだった。2人は大人たちが決めたルールに反旗を翻すべく、大胆な逃避行に出る。(映画.comより)

 

え~~っと・・なんでこの作品レンタルしようと思ったんだっけ?たまにあるんですね~~勘違いで選んじゃう作品多分、エル・ファニング目当てだったんだろうなぁ

遠い惑星からやって来た美少女と内気なパンク少年の恋の逃避行を描いた青春音楽ラブストーリーという触れ込みで、パンクロッカーたちを束ねるボス女性を演じているのはニコール・キッドマンでした

そもそも設定が異星人との恋なので、始めから噛み合わない会話なのですが、そのズレ感が何故か現実とシンクロするちょっと不思議な感覚の映画です。まぁ、パンクも体制に反抗する音楽だものねぇ

70年代のロンドンを象徴する音楽や衣装という事で、懐かしいと思うか、新鮮&斬新と感じるかは世代により異なるかも。個人的には全く接点のない世界観に違和感を覚えつつも、ちょっと面白かったかも

食人習慣のある異星人という設定で、最後には彼らの種族は絶えてしまうというPTファースト(PTはペアレント・ティーチャーの意)の筋書は、地球人類の未来を比喩しているようにも思えます。ザンが反旗を翻したことにより変わる未来・・・ザンは仲間を救う道を選び二人は離別しますが、ラストでは大人になったエンの元に「彼ら」が訪れます。これは「希望」を示唆しているのかしらん。数多くない筈のその行為に対して数が多くないかい?という疑問も異星人という設定の前では無意味ですね


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

オーシャンズ8

2018年08月24日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2018年8月24日公開 アメリカ 110分

史上最強の犯罪ドリームチーム「オーシャンズ」を率いたカリスマ的リーダー、ダニー・オーシャンの妹デビー(サンドラ・ブロック)が5年の刑期を終えて仮釈放された。出所して早々、刑務所の中で考え抜いた計画を実行すべく、デビーの右腕となるルー(ケイト・ブランシェット)と共に、個性豊かな犯罪プロフェッショナルを集め「オーシャンズ」を新結成する。集まったのはいずれも一流の才能を持ちながら冴えない生活を送っている、ハッカー(リアーナ)、スリ(オークワフィナ)、盗品ディーラー(サラ・ポールソン)、ファッションデザイナー(ヘレナ・ボナム・カーター)、宝飾デザイナー(ミンディ・カリング)たち。ターゲットは世界最大のファッションの祭典「メットガラ」で、ハリウッド女優ダフネ・クルーガー(アン・ハサウェイ)が身に着ける1億5000万ドルの宝石!しかしそこには網の目を張り巡らされた防犯カメラや屈強な男たちといった世界一厳しいセキュリティが立ちはだかり、一秒のミスも命取りとなる。しかも世界中に生配信されるこの祭典のさなかに宝石を盗み取るという前代未聞で型破りなこの計画は果たして成功するのか?そしてこの計画に隠されたデビーのもう一つのさらなる計画とは?


ダニーの妹デビー・オーシャンが主人公の「オーシャンズ」の女性バージョンです。

仮出所を前にした面接で「犯罪をせず普通の生活を送りたい」と言ったその舌の根も乾かないうち、出所後次々と犯罪を重ねるデビーはどう見ても犯罪一家の純血種 予告でも登場する化粧品の返品詐欺から始まり、豪華ホテルの宿泊まで華麗な手口を魅せてくれます。

ダニーが死んだという設定にちょっと驚きましたが、事実かどうかは最後までぼかしているので、たぶん・・おそらく健在かと思うのですが、逆にあのシリーズは「13」で終了ということであれば、彼の死という布石はある意味最強の切り札にもなるってことかな

今回は女性版「オーシャンズ」なので、とにかくゴージャス・華麗な場面設定で目の保養にうってつけです。

豪華なドレスやジュエリーの数々。その中でもひときわ美しいカルティエ所蔵の「トゥーサン」が彼女たちのターゲットです。

普段、金庫の中で厳重に保管されているこのネックレスを世界的なイベントで有名女優に身に着けさせることで外に持ち出させて盗み出すという大胆な計画のために集められた5人とサポート役のルー、そして計画を立てたデビー・・・あれ?一人足りないでもその理由は計画が成功した後に明らかになるんですね

ちなみに「メットガラ」の“メット”は“メトロポリタン美術館”、“ガラ”は“お祭り”という意味で、メトロポリタン美術館の服飾部門による資金集めのパーティなんだそう。 

個人的には主人公のデビーより、サポート役のルーのクールさに惹かれます ケイトのイメージがちょっと変わったほど ヘレナの天然なコメディアンヌぶりも楽しいです。アンが演じた騙され役のダフネが意外に賢いキャラだったのも良かったな。

デビーの計画には、自分をはめた元カレのクロード・ベッカー(リチャード・アーミティッジ)への復讐も含まれていました。それを知ったルーは手を引こうとするのですが、デビーの気持ちを汲んで協力を続けます。この辺の「女の友情」は、仲間全体にも共有されていくんですね

会場でダフネが身に着けたネックレスを奪う過程は、綿密な計画に裏付けられていて概ね安心して観ていられますが、もちろん思わぬハプニングも仕込まれているし、それに対処する様子もスリリングで面白かったです。事件の捜査に動くのが、ダニーやデビーを刑務所送りにした保険調査員というのも因縁ありますね デビーは彼に対する復讐も果たしたってことかな。

さらに、無事全てが終わった後で明かされる「もう一つの窃盗」。これもシリーズお馴染みの展開ですが、会場内に展示されている豪華なドレスと宝石の映像は伏線でもあったんですね

難を言えば、ネックレスは特殊なキーがないと外せないはずなのに、どうやって「落とした」んだ?とか、ダニーは仮出所なんだから、すぐに仲間とのつながりがばれるんじゃないの?とか突っ込みどころはありますが、まずは華麗な「オーシャンズ8」たちの活躍を楽しむにとどめておきましょう

元祖オーシャンズのメンバーであるルーベンやイェンも登場していたのもシリーズのファンには嬉しいサプライズでした。


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

銀魂2 掟は破るためにこそある

2018年08月20日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2018年8月17日公開 134分

時は幕末――。地球人と宇宙人・天人(あまんと)が共に暮らす江戸・かぶき町。仕事が無く金欠の〈万事屋(何でも屋)〉メンバー=銀時(小栗旬)、新八(菅田将暉)、神楽(橋本環奈)は、キャバクラに床屋とバイトを始めるが、行く先々で将軍・徳川茂茂(勝地涼)に出くわしてしまい、打ち首覚悟で接待する羽目に。その頃、真選組始まって以来の大事件が勃発!局長・近藤勲(中村勘九郎)の暗殺計画が企てられ、副長・土方十四郎(柳楽優弥)は第2の人格=ヘタレオタク“トッシー”に体を乗っ取られ真選組を追われてしまう。犬猿の仲の銀時に頭を下げて助けを求める土方だが、裏では銀時の因縁の相手・高杉(堂本剛)率いる鬼兵隊が将軍・徳川茂茂の命を狙い、幕府の転覆を企んでいた。果たして、銀時は、江戸の町を守れるのか――!?(公式HPより)


空知英秋のコミックを福田雄一監督で実写映画化した「銀魂」の続編で、原作の「真選組動乱篇」と「将軍接待篇」を融合させたストーリー展開だそうです。原作の一番笑えるエピソードと一番泣けるエピソードをくっつけたらしく、前半はコメディとパクリのオンパレードで笑わせ、後半は一転、真選組の近藤暗殺を狙う鴨太郎や、将軍暗殺を狙う高杉一派と戦う銀時たちのアクション連発のシリアス路線でした。

2017年の邦画実写ナンバーワン大ヒットの前作がアカデミー賞にかすりもしなかったことをやり玉にあげ、菅田将暉のアカデミー賞受賞をいじったりと、本編が始まる前から福田わ~るど全開です。

キャバクラ大好きな松平片栗虎(堤真一)が将軍を連れて、銀時たちがバイトするキャバクラに来店し、繰り広げられる王様ゲーム・・・じゃなくて将軍様ゲームでは、ことごとく「ハズレ」を引く将軍がとんでもない姿になったり、床屋での髷剃り落としエピなど、とにかく抱腹絶倒のコメディが繰り広げられます。(勝地君、今回は台詞も少なくそこにいるだけで笑えるオイシイ役ですね。)俳優たちはこれを大真面目で演じているんですから、観る方としても全力で笑ってあげないとね

ヘタレオタクになったトッシー・土方のオタクネタも炸裂しています!重役会議の遅刻理由がワンピース最新刊とドラクエ11を探していたためとか、彼の口から飛び出すガンダム、ドラゴンボール、アラレちゃんetcの名セリフは、ネタ元を知っていれば思わず爆笑間違いなしです。トッシーの首に埋め込まれたチップを除去するという場面では、ブラックジャック(六角精児)とピノコまで登場。金がないと知るとあっさり退場するブラックジャック 「あの人『相棒』の人だよね」というセリフが出てくるまで気付かなかったぞ ここではエヴァのネタも出てきて私的に大興奮でした。

パクリ(パロディね)の極めつけはトトロの猫バスならぬアライグマバスです。マジやばくね??

ひとしきり笑ったあとで満を持して登場は、窪田君演じる“千人斬りの万斉”伝説の剣豪の名に相応しくクールで華麗なアクションを魅せてくれました。山崎を斬る場面では鴨太郎が雇った刺客?と思わせて、実は高杉率いる鬼兵隊に属してるんですね ここから、高杉が真選組に仕掛けた陰謀を読み解けってことですが

万斉と銀時のバトルは、土方&沖田(吉沢亮)&近藤VS鴨太郎のシーンと交互に映し出されるので、頭の切り替えが面倒・・というか、二人のアクションを長回しで観たかったぞ 福田監督はアクションシーンに関しては「専門家」に任せていたとかいなかったとか とはいえ、窪田君の身体能力の高さを本編で堪能できたのはです。キャラ的にも悪役ではあるけれど、外道ではなかったから嬉しいな

 鴨太郎が本当に欲しかったものは・・彼の過去はけっこう悲しい。そして武士としての死を与える真選組の面々が輪になって紡ぎだす光りの絆のシーンは美しかった

ぶっちゃけ、窪田君目当てだったので、原作も前作もまるっきり観てない(読んでない)し、ストーリーに期待はしていなかったのですが、良い意味で期待を裏切る面白い作品でした

そういえば、「勇者ヨシヒコ」好き(山形の映画村まで行ったし)だったから、心配することなかったな

ちなみにエンドロールの構図に既視感を覚えたのは、これも『踊る大走査線』のエンディングシーンのパクリだったんだね 

 

以下人物紹介(チラシより)

・坂田銀時:伝説の侍。今はやる気なしのぐうたら店主

・志村新八:万事屋のツッコミ担当

・神楽:宇宙作業“夜兎族”の美少女。大食&怪力

・土方十四郎:真選組・鬼の副長。別の人格に乗っ取られ・・・

・沖田総悟:真選組の一番隊隊長にしてドS王子

・近藤勲:局長。信頼を集める精神的支柱

・志村妙(長澤まさみ):新八の姉。美人だが狂暴。

・桂小太郎(岡田将生):銀時の昔の仲間。江戸に潜伏する穏健派の攘夷浪士。

・松平片栗虎:警察庁のドン。キャバクラが大好き

・?(佐藤二朗):役柄不明。

・平賀源外(ムロツヨシ):江戸一番の発明家

・徳川茂茂:将ちゃんこと、江戸幕府の若き征夷大将軍

・河上万斉:“千人斬りの万斉”の異名を持つ伝説の剣豪

・高杉晋介:鬼兵隊を率いて幕府転覆を企む

・伊藤鴨太郎:悪い野望を秘めた参謀

・山崎退(戸塚純貴):地味が取り柄の監査役

・猿飛あやめ(夏菜):銀さんLOVEなドMの始末屋

・お登勢(キムラ緑子):万事屋の大家。強面で口が悪い

・エリザベス(???):桂の右腕の宇宙生物


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生

2018年08月19日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2018年1月13日公開 ドイツ 111分

サリヤ(コスティア・ウルマン)は真面目で成績優秀、前途有望な学生として周囲からの期待も大きかった。しかし10代の時に突然、先天性の病気にて視覚の95%を失ってしまう。誰もが無理だという中、サリヤは一流ホテルで働くという夢をどうしても諦めることができなかった。サリヤは夢を実現するため、一世一代の“大芝居”を打つ!なんと目が見えないということを隠して、ミュンヘンにある最高級5つ星ホテルで見習いを始めるのだ。逆境にも負けない決然とした意思を持ったサリヤ。周囲の予想を超え、親友のマックス(ヤコブ・マッチェンツ)の助けを借りながら何とか目が見えないことを隠し、ホテルスタッフからも信頼を勝ち取っていく。持ち前の明るさと努力でホテルの研修課題を順風満幡にクリアしていくのだったが、そんな折ホテルへ配送に訪れたラウラ(アンナ・マリア・ミューエ)に恋をしてしまう。そして彼が慎重に築き上げて来た精巧な偽装が崩れ始めるのだった・・・。徐々に予期せぬトラブルが起こり始め、想像以上に厳しい現実を前に、サリヤは本当の自分を見失ってしまう。順調だったはずのホテルの研修でも問題を起こしてしまう。そしてサリヤは、夢も希望もなくしてしまいそうになるのだが・・・。

 

95%の視力を失いながら「5つ星ホテルで働きたい」という夢のために大芝居を打った学生の実話の映画化です。5%の視力で見る世界は、殆どぼやけていて歩くことすらおぼつきません。これが実話だということに本当に驚きます

主人公のサリーはスリランカのシンハラ民族の血を引くドイツ人。(でもスリランカというよりインド人っぽい容姿ですね) サリーが視力を失ったときも、これまで通っていた普通校を卒業できた時も、父親はとても冷たい態度で違和感を覚えましたが、後にこの父親は外に女を作って家族を捨てます。サイテー

視力がダメなら聴力と記憶力をフル活用して頑張る彼の努力は頭が下がりますが、サポートをしてくれる母や姉の存在なしではうまくいかなかったかも。

見習いの面接の際にサリーのアドバイスを受けて合格したマックスは、彼の弱視を知っても態度を変えずに協力してくれ、以後二人は親友関係となります。二人は互いの足りない部分を補い合っていきます。この二人の友情が観ていてとても気持ちいいんですね~ 他にも彼の弱視に気付いたホテルの厨房で働くアフガニスタン移民の男性もサリーを助けてくれます。彼は故郷では医師でしたが、ドイツではビザがとれずに皿洗いのような仕事にしか就けないという事情が観客にも示されます。サリーは彼の書類申請の手助けをしてあげるんですね~ 弱者の助け合いではありますが、心の通ったエピソードになっています。

 順調に研修をこなしてきたサリーですが、実家の困窮を助けるために仕事の掛け持ちをしたことから体調を崩し、更にローラの息子を預かった時に弱視のことを隠していたことがばれたり、仕事で大きなミスをしてしまいます。絶望で未来が見えなくなったサリーを励ましたのはマックスです。サイクリングに連れ出し、一見無茶なことでも二人でできたことがサリーに自信を与えます。最終試験の受験を教官に直訴して認められます。クラインシュミット(ヨハン・フォン・ビューロー)氏は厳しい指導員で、何かと劣るサリーに辛く当たりますが、サリーが自らの状態を告白した後はその努力を正当に評価してくれるんですね

弱視を隠して面接の際、姉から「握手」のサインをアドバイスされるのですが、支配人からの握手に気付かず帰ってしまうという場面があります。これはのちに研修合格の際にも繰り返されるのですが、普通は笑えないシーンをコミカルな仕立てにしています。

物語は、マックスと二人でレストランを開くところで終わります。これはホテルで修行した後のことかな?


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マンハント

2018年08月19日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2018年2月9日公開 中国 110分

酒井社長(國村隼)率いる天神製薬の顧問弁護士であるドゥ・チウ(チャン・ハンユー)がパーティの翌朝、ベッドで目を覚ますと、社長秘書・希子の死体が横たわっていた。現場には自身の指紋が付いたナイフが置かれるなど、突如として殺人事件の被疑者となった彼は、何者かにハメられたことに気づき、その場から逃走。そんなドゥ・チウを大阪府警の敏腕刑事・矢村(福山雅治)は、新人の部下・里香(桜庭ななみ)とともに独自の捜査で追っていく。
カギとなるのは、天神製薬研究員だった婚約者の北川(田中圭)を3年前に失った謎の美女・真由美(チー・ウェイ)。次々と警察の包囲網を潜り抜けていく被疑者に近づくほどに、この事件に違和感を覚え始め、次第に見解を変えていく矢村だったが、ついに真由美の実家である牧場にいるドゥ・チウを捕らえることに成功。だが、手錠をかけた彼とともに、女殺し屋・レイン(ハ・ジウォン)たちからの襲撃に立ち向かった矢村は、彼の無実を確信する。何者かによって捜査が妨害されるなか、身分や国籍を超えた“強く熱い絆”が芽生えた2人はともに手を組み、事件の真相に立ち向かうことを決意する。だが、そこには恐ろしくも、巨大な陰謀が待ち受けていた――。(公式HPより)


ジョン・ウー監督のサスペンスアクションで、日本でオールロケしてます。1976年の西村寿行の小説「君よ憤怒の河を渉れ」の映画作品のリメイクです。日本が舞台ではありますが日本人の感覚とはやはり少しズレを感じました。 

矢村とコンビを組まされるのが新人刑事の里香。矢村に振り回されながらもしっかり成長していってます。

でもバディという意味ではドゥ・チウと矢村という構図。初めは殺人犯として追っていた矢村ですが、次第に犯人説に疑問を持ち、最終的にはドゥ・チウに協力して真実に迫っていくという展開。矢村の上司を演じているのが竹中直人さんなので、ついつい敵か味方か疑っちゃいましたよ 同僚刑事の浅野はいかにも~~な雰囲気ぷんぷんでしたが しっかし日本の警察官、ここまで腐ってない・・と思いたい

天神製薬社長の息子(池内博之)の目線で彼の動機がわかりやすかったですが、事件そのものは単純でも、裏に隠されていた会社の悪事がえぐいです ホームレスを使っての人体実験なのに、子供も捕まってたり、なんか変 ドゥ・チウを助け、協力してくれた坂口のおじーさんの「変身」後の暴力や、レインのゾンビばりの格闘能力なども全ては「クスリ」のせいなのね 研究の目的は純粋な人助けだったのに、悪い奴が軍事利用を企み・・というお決まりの展開です。

誘拐犯役で斎藤工&吉沢悠が出演してたのね

福山さん、体張っての熱演ですが作品自体は「う~~ん」ってのが感想です。舞台が中国の方がしっくり感じたかも。日本だとどうも矛盾点とかつついてしまって集中できないのよね~


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命

2018年08月09日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年12月15日公開 チェコ=イギリス=アメリカ 127分

1939年、ポーランド・ワルシャワ。ヤン(ヨハン・ヘルデンベルグ)とアントニーナ(ジェシカ・チャステイン)夫妻は、当時ヨーロッパ最大の規模を誇るワルシャワ動物園を営んでいた。アントニーナの日課は、毎朝、園内を自転車で巡り動物たちに声をかけること。時には動物たちのお産を手伝うほど、献身的な愛を注いでいた。しかしその年の秋、ドイツがポーランドに侵攻し、第二次世界大戦が勃発。動物園の存続も危うくなる中、アントニーナはヒトラー直属の動物学者・ヘック(ダニエル・ブリュール)から「あなたの動物を一緒に救おう」という言葉と共に、希少動物を預かりたいと申し出を受ける。寄り添うような言葉に心を許したアントニーナだったが、ヤンはその不可解な提案に不信感を募らせていた。ヤンの予感はまさに的中し、数日後、立場を一転したヘックは「上官の命令だ」という理由をつけて、園内の動物たちを撃ち殺すなど残虐な行為に出る。一方でユダヤ人の多くは次々とゲットー(ユダヤ人強制居住区)へ連行されていく。その状況を見かねた夫のヤンはアントニーナに「この動物園を隠れ家にする」という驚くべき提案をする。ヤンの作戦は、動物園をドイツ兵の食料となる豚を飼育する「養豚場」として機能させ、その餌となる生ごみをゲットーからトラックで運ぶ際に、ユダヤ人たちを紛れ込ますというものだった。人も動物も、生きとし生けるものへ深い愛情を注ぐアントニーナはすぐさまその言葉を受け入れた。連れ出された彼らは、動物園の地下の檻に匿われ、温かい食事に癒され、身を隠すことが出来た。しかし、ドイツ兵は園内に常に駐在しているため、いつ命が狙われてもおかしくない。アントニーナの弾くピアノの音色が「隠れて」「静かに」といった合図となり、一瞬たりとも油断は許されなかった。
さらにヤンが地下活動で家を不在にすることが続き、アントニーナの不安は日々大きく募る。それでも、ひとり”隠れ家“を守り抜き、ひるむことなく果敢に立ち向かっていくのだが—。

アントニーナの行動は、絶望の淵へ立たされたユダヤ人たちを勇気づける希望になった。そして、世界各地における民族対立、紛争、テロ、ヘイトスピーチが後を絶たない今日においても、この物語は、人間の尊厳を見つめ直すことの重要性を私たちに問いかけている。(公式HPより)

 

第2次世界大戦中のポーランドで、自ら経営する軍需工場に労働者としてユダヤ人を雇い入れ保護したオスカー・シンドラーや、ビザを発給しユダヤ人の亡命を手助けした杉原千畝が有名ですが、同じようにワルシャワで自らの身の危険を冒して300人のユダヤ人の命を救った動物園の園長夫妻の実話の映画化です。

動物も人も、アントニーナにとっては等しく愛すべき存在であることが全編を通して伝わってきました。

夫からユダヤ人を救いたいと言われた時も、驚きながらもその提案を喜んで受け入れます。ユダヤ人を匿っていることが知られたら命さえ危うい状況の中での緊張感や恐怖・不安を想像するだけでも夫妻の勇気に頭が下がります。

アントニーナはヘックが自分に好意を持っていることに気付きながらも、家族や匿っている人たちを守るために無下に拒絶もできずにうまくあしらわなければなりません。でも夫のヤンはそんな妻の苦境を考慮できずに、地下活動にある意味逃げて家を不在にすることが増えていきます。美談ばかりじゃない人間の素の感情も描かれていました。

夫妻の息子の反抗的な態度(正義感の強い少年ならではとも言えますが)で思わぬ窮地に陥りますが、ヘックが彼を殺さなかったのは、やはりアントニーナへの気持ちがあったからでしょうかね 悪者扱い(ナチ親衛隊)となっていますが、平和な時代だったら彼もそれなりに善い人だったのかも

ユダヤ人と動物園を守り通したアントニーナの元へヤンが帰ってくるラストで、夫婦の愛を強調していますが、ここはやはりアントニーナの勇気に敬意を表したいと思います


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ボス・ベイビー

2018年08月08日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2018年3月21日公開 アメリカ 97分

パパとママと暮らす7歳の少年ティム(マイルズ・バクシ)の家に、黒いスーツに黒いネクタイを締めた赤ちゃん「ボス・ベイビー」(アレック・ボールドウィン)がやって来た。ティムの弟だというその赤ちゃんは、まるで大人のように話すことができ、口が悪くて人使いも荒い。実は彼には、ある秘密の任務があり……。(映画.comより)

 

マーラ・フレイジーの絵本「あかちゃん社長がやってきた」をもとに、外見はかわいらしい赤ちゃんだけど中身はおっさんな「ボス・ベイビー」が巻き起こす騒動を描いたアニメーション映画です。物語の語り手は大人になっ~ティムでとびー・マグワイアが声を担当しています。

それまで両親の愛情を一身に受けて育ってきた上の子が、赤ちゃんの登場でその地位と特権を奪われることに危機感を抱く図は「兄弟あるある」 その赤ちゃんが普通じゃないとなれば、なおさらですね

何とか赤ちゃんの正体を両親に知らせようとするティムですが、赤ちゃんの方が一枚上手。外見はベイビーでも頭の中身は中間管理職なんですもん、当たり前!ティムは逆に両親に怒られて外遊びを禁止されてしまいます。

実はボスがティムの家にやってきたのは、彼が働くベイビー・コープ社がティムの両親が働いているパピー・コーポレーションにその地位を脅かされているためで、赤ちゃんより子犬が愛されるようになった理由を探るためでした。仲直りした二人は、パピー・コーポレーションの子供参観日に行って、創業者であるフランシス(スティーブ・ブシェミ)の企みを知ります。

ベイビーたちは成長を止めるミルクが欠かせないのですが、フランシスは乳糖不耐症(子供には意味わからんと思うが)のため、成長してしまい、そのためコープ社を追い出されたことを恨んでいたのです。このミルクの成分を子犬に与えて赤ちゃんより可愛い存在を作ろうとするのを何とか阻止すべく二人は協力して戦うことになります。これには近所のベイビー仲間も協力。彼らもベイビー・コープ社の社員だったのね

エルビスの物真似をする人たちとか、ファーストクラスの機内や、ティムたちの暮らす町の風景など、1950~60年代風のノスタルジックな小ネタが散りばめられています ティムが頭の中で空想する物語も想像力豊かで

事件が無事解決したあと、ボスはコープ社に戻り昇進。ティムも一人っ子の生活に戻ります。(両親の記憶は消されています)でも、一緒に過ごした日々は二人にとって忘れがたい思い出であり、寂しさが募り・・・ある日両親に抱えられてティムの家にやってきたのは・・・めでたしめでたし

初めはめっちゃ子供向けのお話じゃん!と観てましたが、愛情は独り占めするより与える方が自分も幸せになれるとか、意外に深いメッセージがありました。 

レンタルDVDには「ヒックとドラゴン~バーク島の冒険 第一話」も入っててちょっと得した気分


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

不能犯

2018年08月06日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2018年2月1日公開 106分

都会のど真ん中で連続変死事件が発生し、現場では必ず黒スーツの男が目撃されていた。その男・宇相吹正(松坂桃李)はSNSで「電話ボックスの男」と噂される人物で、とある電話ボックスに殺人の依頼を書いた紙を貼ると実行してくれるのだという。彼に狙われた者は確実に死亡するが、その死因は病死や自殺、事故など、いずれも殺人が立証できないものだった。警察はようやく宇相吹の身柄を確保して任意聴取を始める。宇相吹の能力にベテラン捜査官たちも翻弄される中、女性刑事・多田(沢尻エリカ)だけが彼にコントロールされないことが判明し……。


集英社「グランドジャンプ」連載中のコミックの実写映画化。思い込みやマインドコントロールでターゲットを殺害する「不能犯」の男と彼を追う女性刑事の対決を描いた物語ですが、面白さより不快感の方が強かったな~~

依頼人の殺意が純粋じゃないと自身に跳ね返ってくるという設定ですが、では純粋な動機&殺意ってどういうもの?

一番近いと感じた「奴」は性格異常者、生粋の悪だしなぁ

悪徳金融業者の死は幻覚による心筋梗塞。依頼人は最後に明かされます。続いて決まりにうるさい町内会長(小林稔侍)が同様に突然死。でも依頼した愛妻家の旦那が家に帰ってみると町会長に脅された筈の妻はヤク中パーティの真っ最中。妻が嘘ついてたんですね~~で、修羅場の末、凄惨な殺人へと発展します。

宇相吹を取り調べた多田の先輩(矢田亜希子)もマインドコントロールの餌食となりますが、実は彼女の殺害依頼をしたのは以前取り調べた少年(後に自殺)の父である鑑識の河津村。もちろん彼も破滅します そんな中、多田のコンビの新人・百々瀬刑事(新田真剣佑)が連続爆破事件の犠牲になって意識不明に

親の離婚で離ればなれとなった姉(芦名星)が成功していることに対する嫉妬で妹が依頼したケースからいくつかの事件が繋がっていきます。そして多田が更生に関わり目をかけてきたタケル(間宮祥太朗)の正体は・・・。 もうね~~爽やか青年の仮面をかなぐり捨てた狂気の演技は、桃李君に引けを取らないです。

自分を止めるには殺すしかないと挑発する宇相吹ですが、多田は「あんたのルールでは動かない。私は”希望”であんたを殺す!」と答えるんですね~~それに対する反応が「愚かだね・・人間は」

依頼人の殺意は同時にその人の弱さや醜さの反映で、依頼が達成されても報いが本人に還ってくるのがミソ。これは「デスノート」系というか悪魔が人間界で実験をしてる感満載な作品ってことですね。

 

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

KUBO クボ二本の弦の秘密

2018年08月06日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年11月18日公開 アメリカ 103分 

三味線の音色で折り紙に命を与え、意のままに操るという不思議な力を持つ少年・クボ(アート・パーキンソン)。幼い頃、闇の魔力を持つ祖父(レイフ・ファインズ)にねらわれ、クボを助けようとした父親は命を落とした。その時片目を奪われたクボは、最果ての地まで逃れ母と暮らしていたが、闇の刺客の叔母たち(ルーニー・マーラ)に見つかってしまう。母親が最後の力を振り絞って放った魔法によって助けられたクボは、母の力によって命を吹き込まれたサル(シャーリーズ・セロン)と共に、母が最後に言い遺した「3つの武具」を探す旅に出る。途中、記憶を失ったノリは軽いが弓の名手のクワガタの侍(マシュー・マコノヒー)も仲間に加わり、一行は数々の困難を乗り越えて武具を見つけていくが……。


中世の日本を舞台に勇敢で心やさしい少年の冒険を描いたストップモーションアニメです。

侍とか武具とか、設定は日本ですが、アニメーションは中国風という、ちょっと不思議な世界観です

何より目を引くのは命を与えられた折り紙のなめらかな動きですスクリーンで見逃したのが残念

日が暮れたら外に出てはいけないと母にきつく言われていたクボですが、「お盆の日には亡くなった人と話すことができる」と村のお婆さんに聞いて、父ハンゾウの墓で待つうち時間を忘れてしまいます。この時、父の返事がなかった理由は後でわかるんですね

最後の力を振り絞ってクボを逃がした母。彼女はお守りとして肌身離さず持たせていたサルに自らの魂を吹き込んで息子を守ります。口やかましく世話焼きなサルの正体はまさに母そのものなんですね

旅の途中で加わったクワガタは記憶を失くしています。サルとクワガタの会話はコントのようなユーモアに溢れていて、思わずこれはコメディかと思ったほど。でもクワガタこそがクボの父であるハンゾウだったのです

わかってしまえば、三人の珍道中はまさに親子の旅そのものでした。一緒に飯を食い、笑い合い、共に戦う中に芽ばえる互いへの慈しみや愛。クボがこれまで得られなかった幸せな時間です。

クボを守るため、闇の姉妹と戦って二人は命を落とします。遺されたクボは最後の武器である兜を手に、祖父の月の帝に挑みます。祖父がクボの目を奪おうとするのは目が見えなくなれば「人の優しさ」も見えなくなるから。月の世界には人の情(心)は必要ないのですね クボは三味線に母親の黒髪、父親の弓の弦、それから自分の髪を弦にして打ち鳴らします。村人たちや祖先の魂も共鳴しバリアが張られ、帝を打ち砕きます。そして戦いの終わり。記憶を失いただの老人となった月の帝に、村人たちは「あなたは優しい人だった」と言い、彼を受け入れるのです。憎しみを憎しみで返すのではなく受け入れ赦すことの尊さを感じることができる秀逸なシーンです。

そして、人はその生を終えても語り継がれることで永遠に生き続けることができるというのがテーマの一つでもあるのかな。

 


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ミッション:インポッシブル フォールアウト

2018年08月03日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2018年8月3日公開 アメリカ 147分

IMFのエージェント“イーサン・ハント”と彼のチームは、盗まれた3つのプルトニウムの回収を目前にしていた。だが、突如現れた何者かの策略で仲間の命が危険にさらされ、その最中にプルトニウムを奪われてしまう。イーサンとIMFチームは、プルトニウムを再び奪い返し、複数の都市の“同時核爆発を未然に防ぐ新たなミッション”を受ける。この事件の裏側には、シンジケートの生き残り勢力が結成したアポストル(神の使徒)が関連しており、手がかりは“ジョン・ラーク”という正体不明の男の名前と彼が接触する“ホワイト・ウィドウ”(ヴァネッサ・カービー)と呼ばれる謎めいた女の存在のみ。だが今回のミッションに対しイーサンの動きを不服とするCIA長官(アンジェラ・バセット)は、敏腕エージェントのウォーカー(ヘンリー・カヴィル)を監視役に同行させることを条件とした。
イーサンはホワイト・ウィドウの信頼を得るため、やむなく収監中の敵“ソロモン・レーン”(ショーン・ハリス)の脱走に手を貸すが、その影響で味方の女スパイ“イルサ”と対立してしまう。一方、同行するウォーカーはイーサンへの疑惑を深め、二人はやがて対決の時を迎える。やがてタイムリミットが刻一刻と迫る絶体絶命の中で、チームの仲間や愛する妻ジュリア(ミシェル・モナハン)の命まで危険にさらされる等、いくつもの〈フォールアウト(余波)〉がイーサン・ハントに降りかかる・・・。(公式HPより)

 

「ミッション:インポッシブル」シリーズ第6作です。前作に続いてクリストファー・マッカリー監督です。チームはシリーズお馴染みのベンジー(サイモン・ペッグ)とルーサー(ヴィング・レイムス)。、前作から登場のイルサ(レベッカ・ファーガソン)も活躍してます 

イーサンは仲間を見捨てるようなことは決してしない熱い男 今回もそれで任務失敗しちゃって、取り戻すために大変な苦労を強いられます

右足骨折したことで話題となったビルからビルへ飛び移るシーンは、その後の走るシーンまで続行したという豆知識があるせいか、本当に痛そう&ガッツに脱帽です。ヘリを操縦してのアクロバット飛行、高度7620mからのヘイロージャンプ(高高度降下低高度開傘)など、相変わらずの危険なスタントにもドキドキでした。パリの街を疾走するカーチェイスもかなりの迫力があります。トイレでのバトルはマジ痛そうシリーズの回を追うごとにアクションも半端ないアクロバットな動きが加速して、このまま続いたらどうなっちゃうの?イーサン宇宙まで飛び出しちゃいそうだぞ

見事なチームの連係プレーや人間関係が癒しになっています。愛すればこそ敢えて別れたジュリアとの思わぬ場所での再会は、二人の決断が間違っていなかったことを確認する場にもなりました。

敵を欺くために打つ芝居も度々登場しますが、けっこう読めてしまうのは、このシリーズを観続けているからかしらん

一度目のパスワードを聞き出すための小芝居はバレバレでしたが、ハンリー(アレック・ボールドウィン)も加わった方は途中までまんまと騙されてしまったぞ イーサンがあっさり「彼」に任せて出ていくあたりで何となくわかってしまったけど

(そもそも、CIA長官にチクってる時点で怪しかったんだよな~~

最大の見せ場であるヘリの空中戦は本当にスリリングです。ベンジーやルーサーたちと交互に切り替わるので、リミットの15分が実際にはめちゃ長く感じられます いやいや、その数分じゃ絶対無理だから~~!なんですが、それを可能にするのがイーサンですね (イルサもやっと活躍の場が与えられています

やっぱすごい奴、イーサン・ハント 

ただ・・・あごひげに白いものが混じっているのに気付いた時には年月を感じてしまったなぁ


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする