杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

オズランド 笑顔の魔法おしえます。

2018年10月30日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2018年10月26日公開 105分

夢と希望にあふれて、彼氏(中村倫也)と同じ超一流ホテルチェーンに就職した波平久瑠美(波瑠)に言い渡されたのは、 系列会社が運営する地方の遊園地グリーンランドへの配属辞令だった…!ふてくされながらも、“魔法使い”と呼ばれる風変わりなカリスマ上司・小塚慶彦(西島秀俊)と 個性的すぎる従業員たちに囲まれる日々を過ごすうち、 少しずつ働くことの楽しさ・やりがいに気づいていく。小塚に対して、憧れとも恋ともわからない感情を抱きだしたある日、 久瑠美は小塚の秘密を知ってしまう…働く人なら誰でも共感する悩みを抱えながら、やがて仕事の極意を掴みとる久瑠美の姿に思わず拍手喝采!!知っているようで知らない“遊園地の舞台裏”を舞台にした、 最高にハッピーな “お仕事エンターテインメント”が誕生 !!!(公式HPより)


「海猿」や「S 最後の警官」の原作者・小森陽一の小説「オズの世界」を映画化した作品です。舞台となったのは熊本県に実在する遊園地「グリーンランド」(小説での遊園地名は“東洋スーパーワンダーランド”だそう)で、実際に撮影が行われています。“小塚”という役は、実際にグリーンランドで働いていた方がモデルとなっていて、波平と同期の吉村(岡山天音)も、東大卒の新入社員という実在のモデルを基に、映画で作り出したキャラクターだそう。

恋人と一緒にいたいがために同じ会社に就職したのに、系列の地方遊園地に配属された波平は、不承不承グリーンランドへやってきます。ところが、初日からドッキリイベントは仕掛けられるは、動物たちの糞掃除から園内のごみ拾いまでさせられる始末。目覚しい成果を上げたMVP社員は、本社に戻れると聞いて企画書を出しても目を通しても貰えず不満たらたらで恋人に電話すると、「もう社会人なんだから」と突き放されて落ち込みます。

園長に望まれたという話も、名前を「なみへい」と読み間違えられ面白がられただけというのが本当で、学歴枠は自分より冴えないと思っていた吉村君が東大卒だったと知り、早稲田卒のプライドもへし折られてしまいます。

この辺までは、ちょっと頭が良くて都会育ちなことを鼻にかけたタカビー女のキャラですが、ごみ拾いをさせられた真の意味(遊園地の場所や働く仲間を知るための準備期間)に気付いたあたりから変わっていくんですね~。 吉村君はちゃんと意図を理解していたというのは、やはり東大卒だけあるわぁ

仕事に熱意をもって取り組んでいく姿は好感が持てました。逆に彼女を温かく見守ってきた筈の恋人が、実は自分勝手な奴だったという展開はちょっとガッカリ。(なんだよ~~俊郎ってそんな男だったんかい!

 黄色地に赤と青の派手な上着は、実際に着用されている制服なんだとか。派手さは目立つということでもあり、園の職員だということが一目瞭然でわかりやすいんですね 下は自由みたいですが、波平は最初はガウチョパンツを履いています。これはまだ職場に溶け込んでいない彼女のプライドを示しているのですが、馴染んでくると動きやすい細身のパンツスタイルに変化していって、彼女の働く姿勢がわかりやすく伝わってきます。
 
小塚の退職を知り、何とか彼の念願(“どんなことでもいいから世界一の遊園地を目指す”)を叶えようと企画した気球で一万個の風船を撒くイベントは源作とは異なっているそうですが、映画ならではのカラフルで素敵なクライマックスとなっています。(初日に騙された時限爆弾=ドッキリ作戦がここでも使われるのは、ちょっとあざといけど
 
遊園地の裏側を描いたお仕事ムービーであり、一人の女性の成長物語でもあります。
個性的な周囲の仲間たちも登場し、最後まで楽しい気持ちにさせてくれる作品です
何より「グリーンランド」訪れてみたくなりますね

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友罪

2018年10月27日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2018年5月25日公開 129分

ジャーナリストの夢に破れ、部屋を借りる金も使い果たした益田(生田斗真)は、寮のある町工場で見習いとして働き始める。益田と同じ日に入った鈴木(瑛太)は、自分のことを一切語らず、他人との交流を拒んでいた。そんな鈴木のことを不審に思った寮の先輩・清水(奥野瑛太)と内海(飯田芳)は益田を強制的に連れ、鈴木の部屋をガサ入れする。そこで益田は女性の裸婦像が書かれたスケッチブックを見つける……。工場からの帰り道、鈴木は男に追いかけられている女・美代子(夏帆)を庇う形になり、男から一方的に殴られる。彼女は元恋人の達也(忍成修吾)に唆されAVに出演した過去を持ち、達也と別れてからも執拗につきまとわれていた。鈴木は美代子のマンションで、けがの手当てを受ける。数日後、慣れない肉体労働に疲れ果てた益田は、めまいを起こして機械で指を切断。だが、鈴木の冷静な対処と、病院まで運んでくれたタクシードライバー・山内(佐藤浩市)のアドバイスのおかげで、何とか益田の指は繋がるのだった。夜勤明け、義父が亡くなり、妻の智子(西田尚美)の実家へ駆けつける山内だったが、妻と会うのは10年ぶりだった。息子・正人(石田法嗣)が交通事故を起こして人の命を奪った罪を償うために、家族を“解散”したのだ。しかし、正人が結婚しようとしていると聞いた山内は、怒りと当惑で言葉を失う。入院中の益田のもとに、元恋人で雑誌記者の清美(山本美月)が見舞いに訪れる。清美は埼玉で起きた児童殺人事件の記事で行き詰っていると打ち明け、17年前の連続殺傷事件の犯人・青柳健太郎の再犯だという噂について意見を求める。だが、益田はジャーナリスト時代に自身の記事に因って招いた暗い過去を思い起こし拒絶する。数週間後、カラオケパブで清水や内海、鈴木が益田の退院祝いをしてくれる。鈴木の傍らには、美代子もいた。寮に戻った益田がスマホを見ると、清美から再度意見を求めるラインが届いていた。ため息をつきながらもパソコンを開き、事件について検索した益田は、当時14歳だった犯人・青柳健太郎の顔写真を見て、息をのむ。そこには鈴木によく似た少年の姿が写っていた。まさかと更に検索し、医療少年院で青柳の担当だった白石(富田靖子)の写真を見て固まる益田。それは、鈴木のスケッチブックに描かれていたあの女性であった……。(Movie walkerより)

 

ミステリー作家・薬丸岳の同名小説の実写映画化。監督は「64 ロクヨン」の瀬々敬久です。テーマは犯した罪と贖罪、かな。なかなか重いテーマです。

現実にあった事件を想起させるような鈴木という青年の設定です。他人と交わろうとしない彼が唯一心を開いていくのが益田なんですね。二人の中に共通する(かつて人を傷つけ死に追いやったことがあるという)罪悪感が結びつけていったのかな。

鈴木が庇った美代子は元カレの達也に付きまとわれています。この男は人を殺してはいないけれど、登場人物の中で一番酷い奴と言えるかも 二人は付き合い始めるのですが、達也の嫌がらせはエスカレート。因縁をつけられた鈴木はもっと殴れと達也を挑発します。まるで自分を殺してくれというかのような鈴木の態度に怯んだのは達也だけではなかったようで・・。

益田が怪我をした際に乗ったタクシーの運転手・山内は息子が起こした交通事故で家族解散という過去を持つ男です。故意の事故ではないとはいえ、幼い子供が犠牲になったことに父親として罪悪感に苦しむ山内は、当事者である息子が新しい人生(恋人と結婚し子供の父親となる)を歩き出そうとするのが許せません。自分は息子のせいで家族を解散したのに、当の息子が幸せになるなんて!という気持ちはわからないでもないけれど、では一生人を愛さず子供をもうけないことが贖罪になるのか?という疑問も出てきますね。 息子の方は、自分のしたことへの責任と贖罪は十分自覚しているように見えるから尚更です。(もちろん被害者家族の気持ちはまた別問題なのですが、山内の行動はその被害者家族の気持ちも逆撫でしているように見えました。結局、彼自身がこんなに自分は申し訳ないと思っていますと自己アピールすることで許しを求めているように感じるからかな。)

近隣で発生した児童殺人事件の容疑者として、名前を変え姿を消していた鈴木も一時疑われます。彼の本名は青柳健太郎といい、17年前に連続殺傷事件を起こしていたからです。疑惑は真犯人逮捕で晴れるのですが、雑誌記者の元カノの話から鈴木が青柳かもしれないと気付いた益田は鈴木に問うべきが悩みます。そんな折、カラオケで楽しそうに歌う姿を写した画像を元カノが勝手に記事に使ったことで、鈴木の身元が周囲にばれてしまいます。謝る益田を許した鈴木(この時の寂しそうな笑顔が印象に残ります)は、ひっそりと姿を消します。

自らの罪から逃れられず苦しむ鈴木の姿を目の当たりにして、益田は自分の中学時代に犯した罪に向き合う決意をします。虐めに遭っていた親友の最期の電話に自己保身から「勝手にすれば」と見捨ててしまった益田は、親友の両親にもそのことを言えずにいました。益田は親友の母親にやっと真実を語り謝るのですが、彼女は聞きたくなかったと言います。(原作では少し違うようですが)死にゆく母親にとって、息子の親友の裏切りを今更聞かされたくないと思う気持ちの方に共感できました。これも益田が自分の罪悪感を拭うための一種の身勝手さに思えたから

ラストに鈴木に充てた益田の手紙が読まれます。曰く「自らの犯した罪を見つめながらしっかり生きて欲しい。もう一度君にあってこれからどう生きていけばよいのか一緒に考えよう。どんなことがあっても友達という約束を果たしたい」と。

鈴木がこの手紙を読むことがあれば、今度こそ二人は親友として互いを支え合う存在になれるよね。


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ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男

2018年10月26日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2018年3月30日公開 イギリス 125分

1940年5月、第二次世界大戦初期。ヒトラー率いるナチス・ドイツの勢力が拡大し、フランスは陥落間近、イギリスにも侵略の脅威が迫っていた。 内閣不信任決議が出されたチェンバレン首相の後任として、外相のハリファックスが最適任者だという声があがるが、本人はこれを固辞。そこで、国民からの人気は高いが、たび重なる失策から政党内の “嫌われ者”であったウィンストン・チャーチル(ゲイリー・オールドマン)に白羽の矢が立つ。 朝から酒をたしなむ変わり者の夫を叱咤激励する妻クレメンティーン(クリスティン・スコット・トーマス)や、気難しくもウィットとユーモアに富んだチャーチルの言葉をタイピングする秘書エリザベス(リリー・ジェームズ)のサポートを受けながら、国難に陥ったイギリスの新首相に就任したチャーチルは、ドイツとの和平交渉をすすめるチェンバレンとハリファックスらに陰口を叩かれながらも、「決して屈しない」と徹底抗戦を誓う。

そんななか、ドイツ軍に追い込まれた英国軍は、フランス・ダンケルクの海岸まで撤退し孤立状態となっていた。30万人もの兵士が包囲され、救出するすべがない。ならば彼ら兵士を救うべく船をダンケルクへ向かわせるのだ、大型船はもちろん、ボートや小型船など民間の船もすべて召集して   。こうしてダイナモ作戦が実行された。

日に日にナチス・ドイツの勢いは増す一方で、英国にも上陸の危機が迫る。ヒトラーに屈するのか、それとも戦うのか。ヨーロッパのみならず世界の運命がチャーチルの手に委ねられた。日々悩み、葛藤するチャーチル。そんな彼の姿に、就任当初はチャーチルに対して懐疑的だった英国王ジョージ6世(ベン・メンデルソーン)も心を開き、二人は絆を育む。
そしてついに、チャーチルは歴史的決断を下す   。(公式HPより)


チャーチルの首相就任からダンケルクの戦いまでの知られざる4週間を描いた作品です。オールドマンはアカデミー賞主演男優賞、彼の特殊メイクを担当した辻一弘らがメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞したことでも話題となりましたが公開時は劇場鑑賞はしなかったのでDVDになっての鑑賞です

確かに演技は素晴らしいと思うのだけど、そもそもこういう話はあまりそそられないのよねぇ

チャーチルはある意味ヒトラー同様、その雄弁さで「人たらし」な人物に見えました。 彼のあくまで徹底抗戦という強固な意志は、結果的に「吉」と出ましたが、30万の兵士を救うために4000人の部隊を犠牲にした事実もまた消えることはない。どんな戦でも、所詮歩兵は「駒」でしかないじゃないか!という気持ちは拭えないです。

もちろん、チャーチルが地下鉄の車内で市民と対話したシーンでの彼らの「想い」や国王と交わした会話は、人の本質的な思いを捉えたものでしょう。でもでもやっぱり現場(戦場)に出ていない人たちの綺麗事にも思えてしまう。

本来、国の指導者たちは、戦争という事態をその初めから起こさないよう努めなければならない筈。(国民はその姿に相応する指導者しか戴けないとも言うけれどね)結局一人ひとりの心がけ次第ということになるのかぁぁ

本筋と関係なく、妻クレメンティーンの気品のある優美な姿に惹かれた私です。


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アバウト・レイ 16歳の決断

2018年10月19日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2018年2月3日公開 アメリカ 92分

16歳になり、身も心も男の子として生きたいと決断したレイ(エル・ファニング)。医者から受け取ったホルモン治療についての資料を手渡されたシングルマザーのマギー(ナオミ・ワッツ)は、「突然、息子を育てることになるなんて・・」と、動揺を隠せない。共に暮らすレズビアンのおばあちゃんのドリー(スーザン・サランドン)もレイのことをイマイチ理解ができないでいる。一方、髪を短く切り、身体を鍛え、少しずつ“本当の自分”に近づいていくことで生き生きしてくるレイ。そんな姿を見てマギーは意を決して、治療の同意書のサインをもらうために、何年も会っていない別れた夫クレイグ(テイト・ドノバン)に会いに行くのだが、そこでまさかの“家族の秘密”が明らかになる!(公式HPより)


家族との絆や葛藤を描いたヒューマンドラマで、監督は、強い絆のある家族が、試行錯誤したり悩んだりしながら1人の子供を育てる姿を描きたかったそうです。

マギーは恋多きシングルマザーという設定。レイの決意に動揺し、近所の青年と一夜を共にしたのも不安を打ち消すため?そこんとこ、理解できないんですが 元夫に会うのも気が進まない・・・これはわかる気がしますが、実はその理由がけっこう衝撃的だったりするんですね

レズビアンをカミングアウトしてパートナーのフラニー(リンダ・エモンド)と暮らしている祖母ドリーは、自分の若い頃には考えられなかったレイの決断に初めは戸惑いますが、「自分自身に正直に生きる」孫の姿を見て、彼女の味方になっていきます。 いやいや、ドリーも十分ぶっ飛んでるおばーちゃんですけど フラニーのKYキャラがちょっとコミカルな要素を加えていて面白いです。

シングルマザーとしてこれまで必死に子供を育ててきたマギーですが、レイが自分らしく生きようと努力する姿を受け入れ応援することこそが家族として最大の務めだと思い、そのために元夫に同意書のサインを貰いに訪ねていきます。でも、彼は再婚していて若い妻と子供たちがいる・・・何年も音信不通だったとはいえ、やはり複雑な想いが湧きあがるのは自然なことかも と思っていたら、それ以上の修羅場な事実があったという

そもそも、何故マシュー(サム・トラメル)とそんなことになったかの説明が一切ないので、ここは共感とか無理~~ その辺をもう少し丁寧に描いてくれたらもっとドリーに寄り添えたのに残念

ともあれ、レイの決断を皆が受け入れ、同意書のサインを貰ってホルモン療法を受けられることに。ラストは皆が一同に揃ってのレストランでの和やかな食事シーンです。

自分の出生の秘密を知り不信感とやり場のない怒りをぶつけるレイに真摯に向き合うマギーたち家族の姿も良かったです。こんな風に隠さず自分の気持ちを伝えあえるなら、ちゃんと「家族」だね


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西遊記 ヒーロー・イズ・バック

2018年10月17日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2018年1月13日公開 中国 88分

伝説のヒーロー・孫悟空がお釈迦様により五行山に封じ込められてから500年後。長安では妖怪が現れ子供をさらうことが度々起きていた。修行中のリュウアーもまた、幼い頃に妖怪に襲われ両親を失っていた。ある日、妖怪に襲われた赤ん坊を助けようとして五行山に迷い込んだリュウアーは、偶然にも封じ込められていた孫悟空を目覚めさせてしまう。伝説のヒーローを前に大興奮のリュウアー。しかし悟空の力は封印されたままであり、お釈迦様の命を受けた山神にただのサルだと言われ自信を失ってしまう。そんなリュウアーと悟空は、36変化の術を使う八戒と遭遇。500年前に悟空と戦い敗れた八戒は、下界に落とされ豚の姿にされていた。なりゆきで3人は赤ん坊を長安に届けることになるが、その道中に妖怪に襲われ、赤ん坊をさらわれてしまう。赤ん坊を生け贄に復活を目論む混沌という悪者が裏で手をひく中、悟空たちは赤ん坊たちを救うべく、敵の潜む山に向かう。(MovieWalkerより)

 

「西遊記」を題材にした中国製作の3DCGアニメーション映画です。日本語吹替版の監修は宮崎吾朗氏ですが、鑑賞は字幕で

本やTVドラマ版(古っ)で親しんできた「西遊記」ですが、中国人のイメージはこうなんだねぇ

まさに「ヒーロー」然としたシュッとしてイケメン(イケサル?)風な容姿体格の斉天大聖(孫悟空)です。リュウアーはさしずめ三蔵法師の役割を担っているのね。猪八戒のキャラは日本版とあまり違いはなかったです。龍は沙悟浄でしたっけ登場はしますがあまり絡みはなかったかな。

封印が解かれたといっても全てではなく、手に巻き付いた鎖がまだ残っている斉天大聖。まだ本来の力を発揮できず、山神からも八戒からも侮られ自身を失ってしまいますが、無邪気に彼を慕うリュウアーと旅するうちにこの少年に心を開いていきます。

攫われたおちびちゃんを助けるため、妖怪たちや混沌に立ち向かっていく二人。斉天大聖を助けようとしたリュウアーが犠牲(三蔵法師は9回転生しているんだそうなその中の一人がリュウアーということなら、まぁ納得できる展開かも)になったことがきっかけで覚醒し、本来の力を取り戻した孫悟空の戦いは、まさに「ヒーロー」然としていました。ちょっと「ドラゴンボール」っぽい展開ですけど、カッコよく作られてました。

日本人の知らない孫悟空の物語としてちょっと新鮮な面白さがありました。

 


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赤毛のアン 初恋

2018年10月15日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2018年10月5日公開 カナダ 90分

もうすぐ13歳になるアン・シャーリー(エラ・バレンタイン)は、クスバート家でのマシュウ(マーティン・シーン)とマリラ(サラ・ボッツフォード)との生活にすっかり慣れ、腹心の友ダイアナ・バーリー(ジュリア・ラロンド)との友情も深まるばかりだった。一緒にタフィーを作りながら、おしゃべりに夢中になり、焦がしてしまって笑うふたり。ダイアナの母、バーリー夫人から泊まりに来るよう招待されたアンは大喜びするが、子供扱いし「外泊は許さない」と厳しいマリラ。でもマシュウは常にアンの味方だ。ところが当日、オバケの想像をしすぎたアンは怖くなり、バーリー家で部屋を間違え、滞在中の老婦人、ジョセフィン伯母さん(ジョーン・グレッグソン)を死ぬほど驚かせてしまう。そのせいでダイアナが苦境に陥ったと知り、アンが謝りに行くと、ジョセフィン伯母さんはアンの話を面白がり、たちまち機嫌を直す。
学校では、アンは幾何学が苦手で劣等生扱いされていたが、しだいに成績を上げ、人気者のギルバート(ドゥルー・ヘイタオグルー)と熾烈なトップ争いを繰り広げるまでになった。2年前に赤毛をからかわれて以来、ギルバートを無視していたアン。しかし、ギルバートがアンに贈ろうとしたリンゴを巡って、教師が彼だけを厳しく罰しようとしたとき、アンは「不公平」だと抗議。それを機にギルバートと言葉を交わすようになる。(公式HPより)


ルーシー・モード・モンゴメリーの「赤毛のアン」を、モンゴメリーの孫娘ケイト・マクドナルド・バトラーが製作総指揮を務めて新たに実写化した3部作の第2部です。前作が去年5月公開でしたから約一年半ぶり。でも完結編も一緒のチラシなのであまり間を置かずに観られそう。

ダイアナの家にお泊りに行った夜、ジョセイフィン伯母さんの寝ているベッドに飛び乗ったのがアン一人だけだったり、川に流されたのが小舟ではなく筏だったり、細かな設定は微妙に変えていましたが、大筋では前回同様原作に忠実な作りになっています。

ダイアナと作ったタフィーといい、牧師夫妻をお茶会に招いた時の頭痛薬入ケーキといい、失敗ばかりのアンですが、このケーキ作りのシーンがとても素敵大きな鉢にクリームや小麦粉や砂糖をたっぷり入れてかき混ぜたり、粉をふるった台の上での作業など、観ているだけで楽しくなってきます。

リンド夫人(ケイト・ヘニッグ)は相変わらず辛辣な世話焼きおばさんでした。

小説で読んだ時、フィリップス先生はもっと厳しくて嫌な感じの教師に思えたのですが、映画ではそれなりに生徒のことを考える心ある人に描かれていました。それは子供時代に受ける大人への印象が、時を経て自分が大人になったことで変わったからかもしれません。新任のステイシー先生(ナタリー・リジンスカ)の型破りな、でも子供にとってワクワクする刺激を与えてくれる教育方法は現代にも通じるものがありますね。

マシューが森で道に迷うシーンはアンの心配より、マシューの立場で混乱と不安を感じてしまいました。

そう!ふと気付くとアンの目線ではなく、周囲の大人の目線で物語を追っている自分に気付きます。なんか・・・ショック

「初恋」というタイトルが付けられているように、今作では、アンのギルバートへの思いが変化していく様が見られます。13歳になって、ただ楽しいだけの子供時代がそろそろ終わりを迎えつつある、「自分が二人いるような」友情と淡い恋に揺れるアンの様子が何だか眩しかったです。


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はじまりのボーイミーツガール

2018年10月11日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2018年12月16日公開 フランス 89分

ヴィクトール(ジャン=スタン・デュ・パック)はクラスの優等生マリー(アリックス・バイロ)に恋をしている12歳。秀才のロマンからのアプローチもはねつけるマリーに、落ちこぼれのヴィクトールは遠くから見つめるだけだった。ところが、そんなマリーがヴィクトールに急接近!「勉強を手伝ってあげる」と家に招待してきた! 親友のアイカムから「どん底のお前に最後のチャンスだ」と煽られたヴィクトールは、「女は信用できない」と平静を装いつつも、ウキウキと出かけていく。マリーの指導で徐々に成績があがってきたある日、プロのチェロ奏者になる夢をマリーから打ち明けられる。そしてマリーと初めて手を繋いで下校したヴィクトールは、別れ際に頬にキスされすっかり舞い上がるのだった。だが、マリーには、誰も知らない秘密があった。だんだんと視力が落ちる病気にかかったマリーは、音楽学校に行くためそのことをひた隠しにしていたのだ。秘密を守るため、マリーには“目”が必要だった。それに気づいたヴィクトールは、利用されていたことにショックを受けるが、マリーの情熱に動かされ、彼女の夢を叶えることを決意する。その日から2人の秘密の作戦が始まった──!(公式HPより)

 

原作はフランスの青春小説です。

視力が失われる病気なのに音楽学校を受験して、合格したとしても学校生活が送れるの?という基本的な疑問は置いといて、ヴィクトールの恋の行方を楽しませてもらいました

憧れのマリーの積極的なアプローチに平静を装いながらも嬉しさを隠せないヴィクトールが可愛いです。悪友の双子の兄弟のアドバイスも的を得ています。 恋敵のロマン役の子もイケメンでした

マリーが自分を利用しようと近づいたと知り、彼女を拒絶するヴィクトールでしたが、マリーの真剣な思いに打たれて強力することにするのね 

マリーの父(シャルル・ベルリング)は治療を最優先に考えているので(ある意味当然)、マリーの視力が落ちていると知ると受験に反対し、部屋に閉じ込めてしまいます。ヴィクトールたちの協力で受験前夜に家を抜け出す二人でしたが、雨に降られマリーは熱を出してしまいます。翌朝二人を見つけたマリーの父親は激怒(これも当然の反応)しますが、妻にも説得され、受験会場へ送るんですね。この時、夫にビシッと意見するマリーの母がカッコ良かったなぁ 仕事で家にいないお父さんより、いつも傍にいるお母さんの方が娘の願いや思いをちゃんとわかっているんですよね。

最後の演奏シーン。観客席で見守るヴィクトールや両親の方に視線をやるその視界が闇に閉ざされていきます。でもマリーの顔には満足の笑みが浮かんでいます。これもハッピーエンド、と言っていいのかな

父親といえば、ヴィクトールの父(パスカル・エルベ)は先立たれた妻を想い続けています。ヴィクトールの恋も応援して助言を与え見守る感じだったのも良かったです。 


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ぼくの名前はズッキーニ

2018年10月10日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2018年2月10日公開 スイス=フランス 66分

いつも屋根裏部屋でひとりで絵を描いて遊んでいる少年イカールは、ママと二人暮らし。パパが“若い雌鳥(女性)”のもとに去ってしまってから、ママはビールを飲んでは怒ってばかり。ある日、いつものようにビールの缶でタワーを作って遊んでいる時、ママは不慮の事故に遭い、帰らぬ人になってしまう。事故を担当した警察官のレイモンは、ママがつけた“ズッキーニ”という愛称を大切にしているイカールを不憫に思いながらも、孤児院「フォンテーヌ園」に連れていく。クラスメイトは、リーダー格のシモン、アメッド、ジュジュブ、アリス、ベアトリスの5人。入所当日からズッキーニへの手痛い洗礼が始まる。ズッキーニは「ママのところへ帰りたい」と訴えるが、園長から「それは無理なの。ママはお空に行ったでしょ」と静かに諭される。ズッキーニの心の傷を知ったシモンは、他の子どもたちもそれぞれに複雑な事情を抱えながら園生活を送っていることを明かす。そして「皆、同じさ。誰にも愛されていない」とつぶやくのだった。それ以来、ズッキーニは、心の痛みを共有する友として、シモンたちと打ち解けていく。そして、園に新しい入園者、カミーユがやってくる。カミーユはズッキーニと意気投合し、園を照らす太陽なような存在になっていく。季節はめぐり、冬が到来。園の子どもたちは、スキー合宿に出かける。ダンスパーティーや雪合戦で盛り上がる子供たち。深夜、眠れないズッキーニとカミーユは、こっそり宿を抜け出した。月明かりの銀世界の中、カミーユは言う「ここに来て、あなたに会えてよかった」。そんなある日、カミーユの叔母が、扶養手当欲しさに姪を引き取ると言い出し、園に乗り込んできた。「同居するなら死ぬ方がまし」というカミーユに、「絶対行かせないよ」と誓うズッキーニ。子供たちはある作戦を立てるのだった。(公式HPより)


母親を亡くし孤児院に入れられた少年が周囲の人々との関わりの中で成長していく姿を描いたストップモーションアニメです。ジル・パリスの原作を、虐待にさらされる子どもたちへの応援歌として脚色し、子どもたちの豊かな想像力を信じる思いに貫かれた物語になっています。個性溢れるキャラクターはティム・バートンの描く物語の登場人物に似ていて、アナログで素朴な味わいがあります。ラストシーンで流れるのは、ソフィー・ハンガー(スイスの歌姫)「Le vent nous portera」です。

母親の死はズッキーニの過失によるものです。そのことを彼自身も心の奥でわかっているんですね。ズッキーニの宝物はママの形見のビール缶とパパを描いた凧というのも、親の愛情を求めながらも与えられない切なさを感じます ズッキーニというのは母親が付けたあだ名ですが、これには「のろま」という意味があるんだそうな。決して誉め言葉ではないこの名前をイカールはママが付けてくれた名前だからと、そう呼ばれることに固執していて、そんなところも哀れを誘います。

彼を保護してくれたのは親切な警察官のおじさん。孤児院で暮らすことになったズッキーニに定期的に会いにきてくれるのは職務を超えた思いがあるのではと思っていたら・・・そうきましたか

孤児院に暮らす仲間は、意地悪なシモン、優しいベアトリス、顔半分を髪で隠して無口なアリス、大食いのジュジュブと仲良しの変装好きなアメッド。ポール先生とロージーは付き合っていてもうすぐ赤ちゃんが生まれます。

シモンとは、互いの心の痛みを知ってからは打ち解けて仲良くなるんですね 

カミーユには淡い恋心が芽ばえ、彼女の危機には皆で協力して救出作戦を実行します。(お金目当ての叔母の何と憎たらしいこと!)

警察官のおじさんに引き取られることになったとき、皆と一緒にいたい(残りたい)と言ったズッキーニをシモンは「俺たちの希望のためにもカミーユと二人、ここを出て幸せでいて」と諭すシモンがすげ~~カッコ良かったな

原作はもっと残酷で現実的らしいのですが、映画の方はユーモアもあり、それでいて切なく、心温まる内容になっていました。


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羊の木

2018年10月06日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2018年2月3日公開 126分

寂れた港町・魚深にそれぞれ移住して来た6人の男女。彼らの受け入れを担当することになった市役所職員・月末(錦戸亮)は、これが過疎問題を解決するために町が身元引受人となって元受刑者を受け入れる、国家の極秘プロジェクトだと知る。月末や町の住人、そして6人にもそれぞれの経歴は明かされなかったが、やがて月末は、6人全員が元殺人犯だという事実を知ってしまう。そんな中、港で起きた死亡事故をきっかけに、町の住人たちと6人の運命が交錯しはじめる。(公式HPより)


山上たつひこ原作・いがらしみきお作画の同名コミックを実写映画化したヒューマンミステリーです。原作では移住してくる元受刑者は11人ですが、さすがに二時間弱の尺には収まらないからか、映画は6人になっています。彼らの情報は市民には一切知らされていません。計画を知るのは市長と、月末の上司と詮索好きな同僚だけです。

福元(水澤紳吾)は、理髪店に就職し必死に過去を隠そうとしますが、実は店主も元受刑者だったことが明かされます。一見気弱な彼は酒が入ると(というよりアル中だね)人が変わり乱暴になります。6人が一同に会した場でそれが起こり、このあたりから事件が起こり始めるんですね~~。福元自身は店主とも良好な関係を築いていて、酒さえ入らなければ町に溶け込んでいけそうなキャラです。

クリーニング店に就職した元ヤクザの大野(田中泯)は、その外見(顔の傷)や雰囲気で周囲から敬遠されてしまいますが、女店主だけは彼を見かけで判断せずに信頼関係を築いていきます。きっぱり過去から足を洗うと決意している大野も、やがて町の人たちに受け入れられていく予感。ただし昔の人間関係が邪魔をしなければですが。

介護センターに就職した太田(優香)が、介護が必要な老人である月末の父を好きになるという展開はかなり唐突で違和感あります。もっときっかけを丁寧に描かれていたら違っていたかも。

栗本(市川実日子)は清掃員として働きますが、彼女の行動も理解できませんでした。夫からのDVに耐えかねて殺してしまった彼女は、死んだ魚や動物を拾ってきてはアパートの庭に埋めますが、その意味がわからなかった。ただ、ラストの方でその「墓」から芽が出てくるシーンは彼女にもやがては訪れるだろう希望を予感させます。浜辺の清掃時に拾う「羊の木」の描かれた缶の蓋がタイトルを象徴していますが、そもそも、その意味がわからないんですね~~。

羊の木というのはバロメッツというヨーロッパの伝説の植物を指しているようです。木に羊(本物ではないらしい)の実がなり、その実(羊)は周囲の草を食べつくしやがて飢え死にし、それを食らうために狼や人が群がってくるという これが物語とどう繋がっていくのか・・・。

この4人には再生の兆しがありますが、杉山(北村一輝)は田舎町でくすぶっているのが我慢できず、騒動の種を撒こうとします。大野にはきっぱり拒絶され諭されますが、彼には馬の耳に念仏です。

小さな町と表現されるだけあって、月末と彼らも度々顔を合わせることに。中でも宮越(松田龍平)とは友人になります。バンド仲間で月末が想いを寄せる文(木村文乃)が宮越と交際を始めたと知り、月末の心中はかなり複雑。過去は過去として彼の今を信じたい気持ちと、猜疑心がせめぎ合います。文と喧嘩になった時、月末は思わず宮越の過去を話してしまいます。太田に対しても父との交際を反対するんですね~~。まぁ、それがごくごく自然な反応かと。宮越に不信感を抱いてしまう文(この時点で宮越は新たな罪を犯していますから間違ってはいないのだけど)と、太田の過去を知った上で交際を望む月末の父。二人の対応は真逆ですが、どちらが良いとも悪いとも言えない気がしました。

物語の中で重要なポイントとなっているのが、「のろろさま」という守り神の存在。「のろろ」は海の怪物ですが、その怒りを鎮めるために2人の生け贄が崖から捧げられたところ、一人は助かり、もう一人は沈んだまま死体も上がらなかったという言い伝えが伏線となっています。

宮越が、未成年の時にも殺人を犯していたこと、そもそも殺人自体が衝動的であり、結果に対して罪悪感がないことが明らかになってくると、彼が一番不気味な存在としてクローズアップされてきます。

いやいや、月末君、一緒に行ったらヤバイよ!という展開は崖の場面に繋がり、ここで「のろろさま」の言い伝えが活きてくるんですね~~。しかし、その出来事ってまさに「ありえね~~」!!

更生できない悪人は自滅、のろろ様の天罰が下るというのは、時代劇によくある「お約束」のようですが、結果に対するもやもや感はなかったかも。

結局、羊は元受刑者を表しているんでしょうね。草を食い尽くすだけの害ある者なのか、死して実(身)を糧に提供する恵となる者なのかは、彼らを受け入れた月末を含む町の人たちが彼らとどう関わるかで変わっていくという意味なのかも 唯一他人との交わりを拒絶して生きる栗本は「木」の守護者ってこと?そういえば、缶に描かれた羊は5匹でしたっけね


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ヴァレリアン 千の惑星の救世主 ネタバレあり

2018年10月05日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2018年3月30日公開 フランス 137分

銀河をパトロールする腕利きのエージェント、ヴァレリアン(デイン・デハーン)は同僚の美女、ローレリーヌ(カーラ・デルビーニュ)に首ったけ。忙しい任務の合間を見てはあの手この手でアプローチを試みるが、愛しの彼女は一向に振り向いてくれない。そんなある日、二人が向かった巨大宇宙ステーション”千の惑星都市”が放射能に汚染されていることが判明した。全種族が死滅する危機を「10時間以内に救え」という極秘ミッションを託されたヴァレリアンたちの前に突如現れたのは、30年前に消えたはずの平和な惑星パールの住人たち。彼らの思惑とは一体…?果たしてヴァレリアンは銀河の危機を救い、ローレリーヌにプロポーズすることができるのか―!?(公式HPより)


SFコミック「バレリアンとローレリーヌ」を実写映画化した作品で、監督はリュック・ベッソンです。

舞台は28世紀の宇宙。有能なエージェントだけど私生活はいい加減なプレイボーイのヴァレリアンは、才色兼備の相棒ローレリーヌを落とそうとあれこれアプローチしますが、彼女は素気無くあしらっています。ところが、極秘任務で窮地に陥ったことから関係が動き出すんですね

物語の世界観は独特で、キャラのビジュアルも「アバター」っぽいのですが、なかなか魅力的です。アルファ宇宙ステーションはあらゆる種族が共存する「千の惑星の都市」ですから、見たこともない宇宙生物が登場し、異相空間が重なっている中での主人公たちの活躍を見るのも楽しいです。特に、冒頭に登場するパール星の美しい情景、虹色に煌めく大粒の真珠や、増幅変換器でもある奇妙な動物の愛らしさに釘付けになりました。(最初は「バレエ映画だったっけ?」と錯覚するようなセリフ無しのシーン展開に戸惑いましたが

二人はまず、ブラックマーケットに侵入し、ミュール変換器とパールをGETします。客引きジョリー(イーサン・ホーク)の店で踊り子をさせられていたバブル(リアーナ)は、形や思考を学び瞬時に外見を変えることができます。ヴァレリアンは彼女を助けるのですが、逃げる途中で傷を負ってしまいます。束の間であっても自分の存在を認め褒めてくれたヴァレリアンに感謝しながら死んでいくのが哀れを誘いました。

惑星パールは30年前に消滅しているのですが、この原因が異星人同士の戦いの巻き添えだったわけ。この時逃げ遅れて亡くなった王女の精神(魂)がヴァレリアンの中に宿り夢という形で出てきたの

放射能汚染地域とされる場所は、パール人たちの移り住んでいて、知的生命体が存在するのを承知で惑星を消滅させたという事実を隠蔽しようとするフィリット司令官(クライブ・オーウェン)は、彼らを抹殺しようとしていたんですね。

一方パール人たちは、最後の一匹となったミュール変換器と強力な力を持つパールを取り戻して星を再建しようとしていました。ヴァレリアンたちに奪われたそれを取り戻そうと、持っている筈の司令官を攫っていきます。追跡するヴァレリアンは途中で通信圏外に飛ばされ、ローレリーヌ(彼女がコンバータを持っています)は彼を助けようと情報屋のドーガン・ダギーズと接触。彼らは3匹でいつも一緒に行動し、情報量も3匹分かかる愉快なキャラです。トリオの情報をもとにクラゲを頭にかぶって記憶の先の情報を見つけるという展開がユーモラスでした。なんだ!ローレリーヌも本当はヴァレリアンが必要なんじゃない なのにヴァレリアンときたら助けてもらってもお礼の一つもない。そりゃ怒るわな 

パール人と接触した二人は、彼らから真実を聞かされます。パールは返したヴァレリアンですが、ミュール変換器は任務だからと拒否。ローレリーヌはそんな彼に「あなたには愛がない」と詰め寄ります。彼女の説得でヴァレリアンも同意し、パール人に返還されます。うんうん、当然よね!こういう時、兵士だからと建前を重んじる男と、感情を優先する女の違いが浮き出ますね。

司令官を奪還しようとオクト=バー将軍(サム・スプリエル)たちの攻撃が始まります。ヴァレリアンたちは司令官に自白させようとしますが、あくまでもパール人を殲滅し証拠を消そうとする司令官は、AI兵を使って攻撃をさせるの。(いやいや、その展開読めるでしょ!と突っ込んでみる)悪あがきは結局失敗するんですけどね~~。

かの動物により複製された大量のパールのエネルギーを使ってからくも脱出したパール人一行とヴァレリアンたち。

救出を待つ船内で改めてプロポーズのヴァレリアン・・あ、これってやっぱり恋愛映画でもあったっけ


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モンスターストライク THE MOVIE ソラノカナタ

2018年10月05日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2018年10月5日公開 97分

13年前、東京は空中都市”旧東京”と地上に残った”新東京”とに分断された─────
上の新東京で生まれ育ったカナタ(声:窪田正孝)には、右手に時々光るアザがあった。その不思議なアザの持つ意味を知りたいと思いながら日々を暮らしていた。
ある日、旧東京が地上に落ちる事を悟ったソラ(広瀬アリス)という青い髪の少女が、危機を救うべく空中都市から地上へカナタを探しにやって来た。「世界を救えるのはあなたしかいない!」ソラはそう言ってカナタを空中に浮かぶ旧東京へと誘い出す。カナタはそこで、ヴァンパイアの兄妹・トウヤ(細谷佳正)とユウナ(悠木碧)を始め多くのモンスターと出会い、彼らのこの世界を救いたいという純粋な気持ちに打たれ、共に闘う決意をする。敵は命と引き換えにタブーとされていた闇の力に手を染めた男・センジュ(山寺宏一)。その暴走を止めるため、カナタは仲間たちと共に今、立ち上がる。(公式hpより)


「モンスト」(ゲームアプリ「モンスターストライク」)の3DCG長編アニメ映画で完全オリジナルストーリーだそう。

といっても、「モンスト」とは名前を知ってるだけで全く遊んだことのないゲームです。なのになんで観たか?そりゃ、もちろんカナタの声を演じているのが窪田君だから!動機が不純?いえ、ファン的にはとっても純粋な動機です

初日初回。入場特典を入口で受け取って後で開けてみたらカードが入っていました。ゲームアプリを開くと特典(おそらくはゲームで使えるアイテム?)が貰えるらしいのですが、やってないので全く宝の持ち腐れです。でもでも、9種類ある中の、なんとカナタが当たったんだも~~んカード自体が私的にお宝ですよ

さて、内容ですが、ゲーム知らなくても全く問題ありません。登場する個々のキャラ(特にセンジュの仲間のモンスター)はわからなくても、主要メンバーさえおさえておけば問題無し 

単にモンスター同士の戦いに終わることなく、仲間との信頼関係や親子、恋人同士の愛情など、けっこう現実に照らし合わせて考えさせられる内容でした。しかし人間のエゴの醜さはモンスターを凌駕してますね~~ 

人間側の作戦会議室?の場面は、「エヴァ」や「ゴジラ」などと共通する、遠く離れた安全地帯から勝手な事ばかり言う「お偉方」の浅はかさを映し出します。そんな人間の醜さを承知していた筈のセンジュですら、心の奥底の部分では人を信じていたという事実を知るとき、彼の絶望の深さにいたたまれない思いになりました。センジュもまた、彼なりに仲間のモンスターの未来を憂えばこその反旗でしたから 

ユウナがカナタにしたことも、その動機がイマイチ理解できなかったのですが、そのあとの彼女のセリフには考えさせられました。う~~ん、確かに!!

まあ、モンスターが存在する世界とか、センジュの恋人がいきなり襲い掛かってきたり、致命傷に見える傷を負ったカナタの変貌が急展開だったとか、突っ込みたい点もいくつかあるのですが、ゲームのお話ですから、そこはもうスルーしときましょ カナタの母・マナが人間とモンスターのハーフという設定なら、カナタの祖父がモンスターってことですよね?あの穏やかそうなおばあちゃんの若き日にどういう出会いがあっマナが生まれたのか興味がありますね~~ってそっちかい ちょっとオリジナルのストーリーも気になってきました。


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