杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

神様の思し召し

2017年03月06日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2016年8月27日公開 イタリア 88分

今日も完璧なオペで、患者の命を救った心臓外科医のトンマーゾ(マルコ・ジャリーニ)。医師としては天才だが、傲慢で毒舌で周りからはケムたがられていた。ボランティアが趣味の妻・カルラ(ラウラ・モランテ)との仲は倦怠気味で、お気楽な長女はサエない男と結婚。でも、頭脳明晰な長男が医学の道を継いでくれれば満足だ。
ところが、あろうことか医大生の息子が「神父になりたい」と宣言! 表向きはモノわかりのいいフリをして教会に潜入したトンマーゾは、息子がハデなパフォーマンスで人気のピエトロ神父(アレッサンドロ・ガスマン)に“洗脳”されているとニラむ。さらに、神父が実は“前科者”であることが判明。トンマーゾは、失業して無一文で妻からはDVを受け、もうどん底だと悩む信者を演じて神父に近づく。すると、親身になった神父に家族に会いに行くと言われてしまい、追い詰めるはずが追い詰められるトンマーゾ。果たして、神父の正体は? 崩壊寸前の家族の行方は?(公式HPより)

 

自分のことしか考えなかった医師の人生と価値観が、型破りな神父との出会いによってひっくり返されるまでの顛末を描いたハートフルコメディです。目に見えるものしか信じない現実主義者のトンマーゾと、見えないものこそ信じるピエトロ神父。真逆な立場の二人が出会ったことで起こる人生の化学変化が楽しいです。

とはいえ、最初はトンマーゾの傲慢さが鼻につきました。

息子がインチキ神父に洗脳されたと思い込んだトンマーゾは、神父の素性を調べて、彼が強盗で服役した過去があることを知り、息子を引き離そうと一計を案じるのですが、頭脳明晰な医師がすぐにばれるような嘘の境遇を騙るのはいかがかと案の定、すぐに嘘はばれ、息子に知られたくなかったら、教会の補修を手伝うよう取引を持ちかけられます。渋々手伝うトンマーゾですが、次第に神父の人柄に惹かれ、友情を抱くようになるのが愉快でした。そうだね、トンマーゾだって決して冷たい人間ではないのです。きっかけさえあれば、歪んで固まった心も融けて元の優しさを取り戻せるのよね

夫に顧みられずにお酒やボランティアに逃げる妻や、優秀な兄ばかりが父に愛されることで傷付いていた妹など、離れかけていた家族関係もトンマーゾが変わったことで良い方向に向かいます。妹の夫のちょっとKYだけど憎めないアホさ加減が絶妙な笑いを生んでいました。肝心の息子はこれまたすぐに気の変わる現代っ子として描かれているのも面白かったです。

人生何が起こるかわからない、というようなセリフが中盤で出てきますが、これが神父の事故に繋がる伏線となっていたのねトンマーゾが「良い人」に変わってめでたしな気分が一瞬で吹き飛ぶシーンでした。彼が亡くなったのか助かったのか、観ようによってはどちらにもとれる終わり方は、観る側に委ねられたということでしょうか。まさに「神様の思し召し」?人生なんて思い通りになんかいかないものという皮肉も込められているのかしらん

 


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