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●日野町事件《遺族による「死後再審」の請求を認めた大津地裁の決定を支持…決め手は、元の公判で検察が開示していなかった実況見分の際の…》

2023年03月16日 00時00分25秒 | Weblog

―――――― (里見繁氏) 布川冤罪事件…《合計二〇人の裁判官が揃いも揃って、冤罪を見過ごし、検察の嘘を素通りさせた。彼らこそ裁かれるべきかもしれない》


(2023年03月03日[金])
(沖縄タイムス社説)《冤罪の可能性がなくならない以上、再審制度の充実は不可欠だ。法整備など国のやるべきことは多い》。
 本ブログの後半でも述べているが、《弁護団の石側亮太弁護士は「長井氏は過去に自らが下した判断の当否を自ら審理することになり、信頼できない」と説明。さらに「憲法上も、37条1項が保障する『公平な裁判所による裁判を受ける権利が侵害される」と憤る》…ということも起きている。
 山口正紀さん、《冤罪は警察・検察だけで作られるものではない。…マスメディアにも責任…。だが、だれより責任の重いのが、無実の訴えに耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》。おまけに、《裁判の公正らしさ》もないのでは…。

 警察官や検察官、裁判官の責任は極めて重い。
 何度でも、書こうと思う。《元裁判官は、「判決とは国家の意思なんだ…」》、これは今も変わらないのでは。斎藤貴男さん《「梅田事件」…当時、「週刊文春」の記者だった私は、彼を殺人犯に仕立てた連中に、「今のお気持ちは」と尋ねて回る取材を仰せつかったのだが、凄まじい成果を得てしまった。「犯人は梅田だと上が言うから逮捕したまで証拠なんかねえよ」と、元刑事は笑ったし、元裁判官は、「判決とは国家の意思なんだ真犯人なんか誰でもいい裁判所が死刑だと言えば吊るせばいい無期だと言ったらつなげばいいんだ」と、力説してくれたものである》。

 沖縄タイムスの【[社説]日野町事件再審決定 証拠開示の制度化必要】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1111281)によると、《滋賀県日野町で1984年、酒店経営の女性が殺害され手提げ金庫が奪われた事件があった。強盗殺人罪で無期懲役が確定し、服役中に病死した阪原弘元受刑者について、大阪高裁は再審開始を認める決定をした遺族による「死後再審」の請求を認めた大津地裁の決定を支持し、検察の即時抗告を棄却したものだ。決め手は、元の公判で検察が開示していなかった実況見分の際の写真のネガだった》。
 大事な点は《元の公判で検察が開示していなかった》というところ。

 琉球新報の【<社説>日野町事件再審決定 証拠開示の制度化急げ】(https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1670420.html)によると、《「疑わしきは被告の利益にという原則を再審請求の審理にも適用した妥当な判断だ。元受刑者は他界しており、名誉回復への道は遠かった審理の長期化を改め、情報開示の制度化など、えん罪を防ぐための仕組みづくりを急ぐべきだ》。

   『●袴田事件…検察=《狼は本音を明かす。
      「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》
   『●NNNドキュメント【死刑執行は正しかったのかⅢ ~飯塚事件・真犯人
      の影~】…《死刑冤罪の闇を12年間追跡し続けたドキュメンタリー》
   『●48年も獄中に囚われていた袴田巌さん…《検察は再収監を諦めていません》
             って、正気なのかね? すぐさま、袴田巌さんに無罪を!
   『●大崎事件冤罪・原口アヤ子さん「あたいはやっちょらん」「やっちょらん
         もんはやっちょらん」「ちゃんと認めてもらうまでは死ねない」

 ましてや、死刑執行してしまった飯塚事件は…?? また、大崎事件では、《もう話すことができなくなった原口さん》…。袴田事件では、袴田巖さんは《いまも、死刑囚のまま》だ。《狼は本音を明かす。「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》…。
 西日本新聞の社説【滋賀の死後再審 決定を制度改革につなげ】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1060702/)によると、《無実の罪で服役を強いられたまま亡くなったとすれば、その無念は想像を絶する。たとえ死後であろうと、その尊厳は守られねばならないそんなメッセージを読み取るべき司法の判断である。滋賀県日野町で1984年に起こった強盗殺人事件について、大阪高裁は大津地裁に続き再審開始を認める決定を出した》。

   『●憲法《37条1項が保障する『公平な裁判所による裁判を受ける権利』が
      侵害され》ている…飯塚事件、大崎事件の裁判に「公正らしさ」は?

 この日野町事件では、以下のようなことも起きている。詳しくは、上記ブログを。中島邦之記者による、(2020/6/26 11:00)西日本新聞のコラム【風向計/裁判の公正らしさとは】より:
 《裁判官がある事件の判決を出したとしよう。その事件の控訴審や、再審を求める審理に同じ裁判官が関わり、再び判断するこれは、公正と言えるだろうか。》
 《滋賀県日野町で1984年に発生した強盗殺人事件。14年前に大津地裁の裁判長として第1次再審請求を退けた長井秀典判事が、第2次請求を審理している大阪高裁の裁判長になったのだ。これを知った弁護団は、本人が自ら辞退を申し出る「回避」を求め、高裁に要請書を提出した。弁護団の石側亮太弁護士は「長井氏は過去に自らが下した判断の当否を自ら審理することになり、信頼できない」と説明。さらに「憲法上も、37条1項が保障する『公平な裁判所による裁判を受ける権利が侵害される」と憤る》。
 《同様の事例は飯塚事件大崎事件でも起きた。飯塚では、一審の死刑判決に関わった判事が再審請求後の即時抗告審に関与した。大崎では、第2次再審請求の特別抗告審を担った最高裁判事が、第3次請求も担当し、地裁と高裁が認めた請求を退けた…加えて、同一事件の審理を同じ裁判官が繰り返し担うことを、再審請求審でも禁じると規定するべきではないか》

 自白偏重証拠独占、《代用監獄長期勾留死刑制度再審制度など日本の刑事司法が抱える重大な問題》について、何も進展なしなニッポン。《日野町事件でも、ネガの開示は裁判官の訴訟指揮によるものだった不利なものも含め、全てを握る検察に証拠開示させることは不可欠だ》(沖縄タイムス)。

   『●《読者はこうした報道を何日もシャワーのように浴びた。…裁判官たちも
         例外では》ない…袴田事件の《冤罪に加担したメディアの責任》
    《袴田事件は、代用監獄長期勾留死刑制度、再審制度など日本の
     刑事司法が抱える重大な問題の全てを孕んだ事件だが、
     マスメディアの報道のあり方についても大きな課題を突きつけている
     今なお続く犯人視報道、人権侵害報道――この事件で、袴田さんと
     同じく、人生を大きく狂わされた熊本さんが私たちに遺した大きな宿題だ

   『●冷酷な司法…【NNNドキュメント’18/
      あたいはやっちょらん 大崎事件 再審制度は誰のもの?】
   『●人質司法による《身柄拘束は実に約十一カ月間》、大川原化工機の
     大川原社長ら…《こんなにひどいことはないと感じたという》青木理さん
   『●《判決後、大西直樹裁判長は、捜査の問題点と刑事司法の改善の必要性
     を説き、「西山さんの15年を無駄にしてはならない」と話している》
    《殺害容疑をかけられて12年間服役した元看護助手・西山美香さんは
     今年3月、再審無罪が確定した。…西山さんの弁護団長を務めた
     井戸謙一弁護士は…「冤罪で絶望している人に道を開いた裁判だ
     と思います」…判決後、大西直樹裁判長は、捜査の問題点と刑事司法の
     改善の必要性を説き、「西山さんの15年を無駄にしてはならない
     と話している》。
    《無実でも有罪判決が確定すると、それを晴らす道は極めて狭い
     再審関係の条文は古いままで、手続きも事実上、裁判官のさじ加減次第
     である。無辜(むこ)を救う究極の人権救済の法整備は急ぐべきだ

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https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1111281

[社説]日野町事件再審決定 証拠開示の制度化必要
2023年3月1日 5:01

 再審請求審での検察の証拠開示の在り方に、また裁判所から重大な疑問が示された。

 滋賀県日野町で1984年、酒店経営の女性が殺害され手提げ金庫が奪われた事件があった。強盗殺人罪で無期懲役が確定し、服役中に病死した阪原弘元受刑者について、大阪高裁は再審開始を認める決定をした

 遺族による「死後再審」の請求を認めた大津地裁の決定を支持し、検察の即時抗告を棄却したものだ。決め手は、元の公判で検察が開示していなかった実況見分の際の写真のネガだった。

 確定判決では、遺体に見立てた人形を用いた見分で犯人ならではの詳細な現場状況が再現されていたとする。客観的な証拠がない中、通常裁判ではこの見分調書などで示された「自白」を重視した

 しかし再審請求で開示されたネガには、人形を使わずに現場の様子を再現し、その後人形を使って再現した様子が繰り返し写っていた。阪原さんの弁護団長は、その意味を「人形の置き方などの練習をさせられたからだと考えている」と指摘する。

 高裁決定は、地裁が指摘した警察官の暴行や脅迫などによる自白の可能性は退けた。一方で「確定判決の審理段階でネガの存在が明らかになっていれば、有罪とは異なる判断になっていた可能性は否定し難い」と断じた。

 冤罪(えんざい)の疑いが強まったと言うほかない。

 捜査に当たった警察や検察は、信頼性に重大な疑義を生じさせた責任は極めて重いというべきだろう。

■    ■

 捜査段階で開示されなかった新証拠が、その後再審無罪や再審開始につながった事例は少なくない。

 66年に静岡の一家4人が殺害された「袴田事件」では、1回目の再審請求で証拠開示に応じなかった検察が2回目は開示に応じた。今月東京高裁が決定を出す。

 67年、茨城県で男性が殺害された「布川事件」では直接の物証がないまま男性2人が無期懲役とされた。その後開示された取り調べ録音テープに改ざんの痕跡があったことなどで再審無罪となった。

 裁判員裁判の導入により、刑事裁判の証拠開示は当時より拡充された。しかし確定判決を見直す再審にはそうした制度がなく、裁判所の裁量に委ねられているのが現状だ。

 日野町事件でも、ネガの開示は裁判官の訴訟指揮によるものだった不利なものも含め、全てを握る検察に証拠開示させることは不可欠だ

■    ■

 再審について定める刑事訴訟法は、再審を有罪の確定判決を受けた人の利益のために行うと定める。ただ、その手続きを定める条文は19で、全体で507条ある刑訴法の1割にも満たない

 日本弁護士連合会は2月、証拠開示などを大幅に充実した再審規定を盛り込むよう、法務省や国会に申し入れた。日弁連がこれまで支援した再審事件は34件に及ぶという。

 冤罪の可能性がなくならない以上、再審制度の充実は不可欠だ法整備など国のやるべきことは多い
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https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1670420.html

<社説>日野町事件再審決定 証拠開示の制度化急げ
2023年3月2日 05:00

 「疑わしきは被告の利益にという原則を再審請求の審理にも適用した妥当な判断だ。元受刑者は他界しており、名誉回復への道は遠かった審理の長期化を改め、情報開示の制度化など、えん罪を防ぐための仕組みづくりを急ぐべきだ

 滋賀県日野町で1984年12月、酒屋経営の女性が殺害され、金庫が奪われた事件で無期懲役が確定し、服役中に病死した元受刑者の遺族が申し立てた第2次再審請求に対し、大阪高裁は再審を認める決定を出した。

 元受刑者を犯人とした確定判決の事実認定に「合理的な疑いが生じた」としている。元被告らの死後に遺族が起こした死後再審」開始決定が確定すれば、死刑や無期懲役が確定した戦後の重大事件で初めてとなる。

 今回の再審決定を検察は重く受け止めなければならない。最高裁への特別抗告を断念し、直ちに再審裁判を始めるべきである

 大阪地裁決定の決め手となったのは、遺体発見現場の実況見分時のネガなど、第2次再審請求で新たに開示された証拠である。「無罪を言い渡すべき明らかな新証拠に当たる」と判断した。検察の証拠開示は裁判所の指揮に応じたものだった

 捜査当局が再審請求の段階で新たに開示した証拠に基づく再審開始決定が近年相次いでいる。茨城の布川事件や、熊本の松橋事件などは新証拠がきっかけとなり、再審無罪につながった。

 日野町事件も再審裁判が始まれば無罪となる可能性がある。さらに言えば、確定前の裁判でネガなどの証拠が明らかになっていれば、判決内容に影響を与えていたかもしれないのだ検察の責任は重い

 事件の発生から38年が過ぎぎている。最初の再審請求は2006年に大津地裁で棄却され、即時抗告審中の11年に元被告が他界し、手続きが終わった。遺族は12年に「死後再審」を請求。新たな証拠に基づき大津地裁が18年に再審開始を決定した。そして今回、大阪高裁は地裁判断を支持したのである。

 遺族による再審請求から数えても、既に10年以上が経過している。大阪高裁の即時抗告審では裁判長は3回交代した。審理は4年半と長期化し、元受刑者の名誉回復は遅れた再審手続きの迅速化が求められる

 現在の刑事訴訟法には再審における証拠開示について定めた規定はなく、裁判官の裁量や検察官の姿勢に委ねられている点が今回の審理で問題となった。証拠開示の範囲は裁判所によって格差が生じているのだ。日本弁護士連合会は2月、再審における証拠開示の法制化を求める意見書を公表している。

 大阪高裁決定は、再審における証拠開示の重要性を示すものだ。国は早急に証拠開示の制度化に取り組むべきだ。
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https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1060702/

社説
滋賀の死後再審 決定を制度改革につなげ
2023/3/2 6:00

 無実の罪で服役を強いられたまま亡くなったとすれば、その無念は想像を絶する。たとえ死後であろうと、その尊厳は守られねばならないそんなメッセージを読み取るべき司法の判断である

 滋賀県日野町で1984年に起こった強盗殺人事件について、大阪高裁は大津地裁に続き再審開始を認める決定を出した。。

 この事件で無期懲役が確定し、服役中に75歳で病死した阪原弘元受刑者の遺族による第2次再審請求である。「死後再審」開始が確定すれば、死刑や無期懲役が言い渡された戦後の重大事件では初めてとなる。

 大きな意義を持つ決定だと評価したい。依然として壁の高い再審制度の見直しにつなげていきたい。

 阪原さんと事件を結びつける直接的な証拠は元々乏しかった。大阪高裁は、主に二つの争点について確定判決に「合理的な疑問」を示した。(1)遺体発見現場での捜査の任意性(2)阪原さんによるアリバイ主張の虚偽認定-である。

 その根拠は、第2次請求審で裁判所の指揮により検察が新たに証拠開示した実況見分時の写真ネガなどだ。決定はそれらを、刑法が求める「無罪を言い渡すべき明らかな新証拠」と判断した。

 高裁決定は結論こそ地裁決定と同じ再審開始だったが、内容は地裁決定の根拠を否定する部分も複数ある。

 発生から40年近く経過した事件の再審の是非を巡り、厳正、適切に判断するのは難題であるに違いない。

 だからこそ、私たちは社説で、再審請求の結論に長期の時間を要する現行制度を改革すべきだと訴えてきた。

 刑事訴訟法435条は、再審請求は有罪の確定判決を受けた者の利益のため、と明記している。この精神に従えば答えはおのずと導かれよう。

 地裁であろうとも再審開始決定が出れば、検察による高裁、最高裁への異議申し立てを認めず、直ちに再審の法廷に舞台を移すことを原則とすべきだ。有罪、無罪はやり直しの裁判で決めればよい。

 鹿児島県の大崎事件では地裁、高裁が計3回にわたり再審開始を決定したが、検察の異議で結局、最高裁が開始決定を取り消し、第4次請求審が続く。当事者にはあまりに過酷ではないだろうか。

 近年の改革で、捜査側が持つ証拠のリストの開示は認められたが、不十分だ警察が集めた証拠は検察が全て握っている証拠開示を原則とすれば、審理の内容も早さも大きく改善できるはずだ

 大阪高裁の決定でも、新たに開示された証拠が重要な役割を果たした

 これが実現したのも担当の裁判長の判断である。再審請求の審理は裁判長の裁量次第の面がかなり大きい。「疑わしきは被告人の利益にという刑事司法の原則に立っているか。ここでも一定のルール作りが必要だ。
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●大崎事件冤罪・原口アヤ子さん「あたいはやっちょらん」「やっちょらんもんはやっちょらん」「ちゃんと認めてもらうまでは死ねない」

2023年02月26日 00時00分05秒 | Weblog

―――――― (里見繁氏) 布川冤罪事件…《合計二〇人の裁判官が揃いも揃って、冤罪を見過ごし、検察の嘘を素通りさせた。彼らこそ裁かれるべきかもしれない》



/ (2023年02月12日[日])
NTV【NNNドキュメント’23/あたいはやっちょらん 鹿児島・大崎事件 「95歳の叫び」】(https://www.ntv.co.jp/document/backnumber/articles/1894tndd5kqpjiek0ts8.html)。元鹿児島県警捜査員「適正捜査だった」「自白偏重はだめだと徹底的に言われた時代。決して自白の強制はなかった」…本当だろうか? 原口アヤ子さん以外の3人 (一郎氏・二郎氏・太郎氏) が、無実なのに「自白」するだろうか? 志布志事件では何が起きたか? 在りもしなかった事件を、鹿児島県警から「強制的に自白させられた」…。

   『●『冤罪File(2009年12月号)』読了(1/2)
   『●GPJ「クジラ肉裁判」と検察審査会
   『●それは、職業裁判官の怠慢にすぎない
    「…など職業裁判官の怠慢の例は
     数え上げたらきりがありません。ましてや、福岡事件西武雄さん
     飯塚事件久間三千年さんといった無罪な人を死刑・私刑にして
     しまった可能性(控え目に表現しています)さえあります。村木厚子さん
     志布志事件の裁判結果などは極々稀な例です」

   『●『検察に、殺される』読了
    「『検察に、殺される』…。粟野仁雄著。…ガタガタの特捜。
     志布志事件…、氷見事件…。甲山事件…(松下竜一さん
     『記憶の闇』)。高知白バイ事件…。布川事件…。足利事件…。
     袴田事件…。村木厚子さん冤罪・証拠捏造事件…。」

   『●冤罪(その2/2): せめて補償を
    「飯塚事件久間三千年さんは、冤罪であるにもかかわらず、
     死刑を執行された。これは、被害者の遺族に対する、
     何と表現して良いのかわからないが……遺族の方たちも
     複雑な感情を抱いてしまうはずだ。/どんな背景や力学が
     働いたのかはそれぞれの事件によって異なるが、布川事件
     氷見事件東電OL殺害事件志布志事件村木厚子氏冤罪事件
     足利事件……、せめて賠償で報いる以外に方法が無いのではないか。
     しかし、その扉は当方もなく厚い。」

   『●「戦後70年 統一地方選/その無関心が戦争を招く」 
              『週刊金曜日』(2015年4月3日、1034号)
       「山口正紀さん【「可視化」口実の盗聴法大改悪 
        「刑事司法改革」法案】、「志布志事件の川畑幸夫さん
        …足利事件菅家利和さん…布川事件桜井昌司さん
        …冤罪被害者が声をそろえて「全面可視化を」と訴えた。
        …日弁連執行部の賛成で批判記事を書きにくいのかも
        しれないが、メディアは「冤罪をなくし、人権を守る」視点から、
        法案の危険性を是非伝えてほしい」。青木理さん「刑事司法改革
        …端緒は郵便不正事件・・・法務省に都合よく集約…
        日本の司法は中世なみ

   『●《黒田さんは「差別」と「戦争」を最も憎んだ。人々の幸福実現が
     新聞の最大の使命なら、それを最も阻害するのが差別と戦争だからだ》
    《…志布志事件の被害者川畑幸夫(さちお)さんの聞き書き
     「一歩も退(ひ)かんど」…》

   『●《冤罪事件というのは、最終的に再審などで無罪が証明されたと
     しても、その間に失われた時間は二度と取り戻せない。桜井昌司氏は…》
    《布川事件の再審無罪決定と相前後して、足利事件氷見事件
     志布志事件、そして村木厚子さんの郵便不正事件などで次々と
     衝撃的な冤罪が明らかになったことを受けて、公訴権を独占する
     上に、密室の取り調べが許される検察の暴走が冤罪を生んでいる
     との批判が巻き起こり、2009年に民主党政権下で刑事訴訟制度の
     改正論議が始まった。しかしその後、政権が自民党に戻る中、
     一連の制度改正論議の結果として行われた2016年の刑事訴訟法の
     改正では、むしろ検察の権限が大幅に拡大されるという
     信じられないような展開を見せている

 弁護団は、そもそも殺人事件ではなく、「事故」の可能性を指摘。遺体はなぜ「堆肥の中に」? 冤罪の原口さんにそこまで解明しろ、とでもいうのだろうか?
 「父、母が刑務所に行った人たち、人殺しだと世間の人たちから一生言われる」「娘とか孫、窓の子供まで関わるから」「罪だけは晴らさなくては生きていたくない」。「やっちょらんもんはやっちょらん」「ちゃんと認めてもらうまでは死ねない」。

 大崎事件は冤罪である。一貫して「あたいはやっちょらん」、原口アヤ子さんの懸命の叫びはなぜ裁判官には届かないのか?

 再度書く。何度でも書く。………そして、なんでこんな決定になるのだろう? 鹿児島地裁・中田幹人裁判長、なぜ? 「あたいはやっちょらん」、原口アヤ子さんの懸命の叫びは裁判官には届かない…。《これまでに地裁、高裁で3度再審開始が認められたが、いずれも検察側の不服申し立てを受け、2019年には最高裁が、鹿児島地裁、福岡高裁宮崎支部の開始決定を取り消していた》、かつて、最「低」裁ちゃぶ台返ししている。
 山口新太郎記者による。西日本新聞の記事【【速報】大崎事件、再審開始を認めず 95歳、43年前の殺人 鹿児島地裁が第4次請求を棄却】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/944293/)によると、《鹿児島県大崎町で1979年に男性=当時(42)=の遺体が見つかった「大崎事件」で、殺人などの罪で懲役10年が確定し、服役した原口アヤ子さん(95)が裁判のやり直しを求めている第4次再審請求に対し、鹿児島地裁(中田幹人裁判長)は22日、請求を棄却する決定を出した。弁護団は即時抗告する方針。》

   『●知らなかった冤罪事件: 鹿児島大崎事件
   『●飯塚事件の闇…2008年10月16日足利事件の
       再鑑定で死刑停止されるべきが、10月28日に死刑執行
   『●NNNドキュメント’13: 
      『死刑執行は正しかったのか 飯塚事件 “切りとられた証拠”』
   『●「飯塚事件」「福岡事件」「大崎事件」
       ……に係わる弁護士たちで『九州再審弁護連絡会』発足

   『●「あたいはやっちょらん」の叫び!…
      「だれより責任の重いのが…でっち上げを追認した裁判官」
   『●39年間「あたいはやっちょらん」、
     一貫して無実を訴えてきた90歳の原口アヤ子さんに早く無罪判決を

   『●冷酷な司法…【NNNドキュメント’18/
      あたいはやっちょらん 大崎事件 再審制度は誰のもの?】
   『●大崎事件…再審するかどうかを延々と議論し、
      三度にわたる再審開始決定を最「低」裁がちゃぶ台返し
   『●《家族への脅迫状…「苦しみ抜いて一人で罪をかぶろう 
         としているのに許せない。もともと無実なのだから」》
    「大崎事件について、《元裁判官の木谷明弁護士…
     「無実の人を救済するために裁判所はあるのではないのか」》と。
     【報道特集】…によると、《”伝説”の元裁判官~冤罪救済に挑む…
     無罪判決を30件も出し、全てを確定させた元裁判官。
     退官後、81歳となった今、冤罪救済を目指す弁護士として裁判所に
     挑んでいる。そこで直面した裁判所の現状とは》。
     『イチケイのカラス』…のモデルの一部になっているらしい」

   『●山口正紀さん《冤罪…だれより責任の重いのが、無実の訴えに
            耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》
    《四十年間も潔白を訴えていた大崎事件(鹿児島)の原口アヤ子さんに
     再審の扉は開かなかった。最高裁が無実を示す新証拠の価値を
     一蹴したからだ。救済の道を閉ざした前代未聞の決定に驚く。
     「やっちょらん」-。原口さんは、そう一貫して訴えていた。
     殺人罪での服役。模範囚で、仮釈放の話はあったが、
     「罪を認めたことになる」と断った。十年間、服役しての
     再審請求だった…「疑わしきは被告人の利益に再審請求にも
     当てはまる。その原則があるのも、裁判所は「無辜(むこ)の救済」
     の役目をも負っているからだ。再審のハードルを決して高めては
     ならない》
    「再審するかどうかを延々と議論し、《三度にわたり再審開始決定
     出ながら》、最後に、ちゃぶ台返し。最「低」裁は何を怖れている
     のか? 誤りを潔く認めるべきだ。山口正紀さん、《冤罪は警察・
     検察だけで作られるものではない。…マスメディアにも責任…。
     だが、だれより責任の重いのが、無実の訴えに耳を貸さず、
     でっち上げを追認した裁判官だろう》。」

   『●《周防正行さんが「あたいはやっちょらん。大崎事件第4次再審請求
     ・糾せ日本の司法」と銘打ち、インターネット上に立ち上げた…CF》
   『●憲法《37条1項が保障する『公平な裁判所による裁判を受ける権利』が
       侵害され》ている…飯塚事件、大崎事件の裁判に「公正らしさ」は?
   『●原口アヤ子さん・大崎冤罪事件…《被害者は自転車事故による出血性
     ショックで死亡した可能性があり「殺人なき死体遺棄事件」だった》?

 またしても同じ疑念が頭に浮かぶ ――― 《狼は本音を明かす。「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》。原口さんが物言えぬようになることを待っているのではないか…なんという冷酷・冷血か。「自らの責任を回避するために、検察は奥西勝さんという冤罪死刑囚の死を持っているとしか思えない。裁判所がそれに加担しているのだから、全く冷酷な人たちである」。

   『●冤罪死刑囚の死を待ち、責任を逃れようとする冷酷な人々
   『●血の通わぬ冷たい国の冷たい司法: 「奥西勝死刑囚(87)
                  ……死刑囚の心の叫び」は届かず
   『●司法権力の〝執念〟:映画『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』
    《別の意味で恐るべし、司法権力の“執念”

   『●袴田事件…検察=《狼は本音を明かす。
      「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》

 何度でも、引用する。斎藤貴男さんのコラムの一部―――――― 最「低」裁を頂点とする司法に失望してばかりだが、最近、衝撃を受けたことを再掲。(斎藤貴男さん)《当時、「週刊文春」の記者だった私は、彼を殺人犯に仕立てた連中に、「今のお気持ちは」と尋ねて回る取材を仰せつかったのだが、凄まじい成果を得てしまった。「犯人は梅田だと上が言うから逮捕したまで証拠なんかねえよ」と、元刑事は笑ったし、元裁判官は、「判決とは国家の意思なんだ真犯人なんか誰でもいい裁判所が死刑だと言えば吊るせばいい無期だと言ったらつなげばいいんだ」と、力説してくれたものである》…。

   『●裁判員制度反対…「冤罪もあることですし、あたしは死刑制度に反対
       です。人の命を、自民党の人たちみたいに軽く考えられないので」

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https://www.ntv.co.jp/document/backnumber/articles/1894tndd5kqpjiek0ts8.html

2023年1月29(日) 24:55
あたいはやっちょらん
鹿児島・大崎事件 「95歳の叫び」

43年前、鹿児島県大崎町で牛小屋の堆肥の中から男性の遺体が見つかり、義姉の原口アヤ子さん(95)が殺人犯とされた。物的証拠がなく共犯者の親族の自白だけで有罪となった原口さん。冤罪を訴えるも再審の扉は開かず、認知症が進み今は入院生活を送る。事件を調べ直した記者が感じたいくつもの疑問。会いたい…コロナ禍で厳重警戒の中、許された面会。もう話すことができなくなった原口さん心の叫びに耳を傾ける

ナレーション/田丸裕臣  制作/鹿児島読売テレビ  放送枠/30分

再放送
2023年2月5日(日)5:00~/24:00~ 日テレNEWS24
2023年2月5日(日)8:00~ BS日テレ
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●《冤罪事件というのは、最終的に再審などで無罪が証明されたとしても、その間に失われた時間は二度と取り戻せない。桜井昌司氏は…》

2021年12月30日 00時00分59秒 | Weblog

(20211205[])
神保哲生さんのビデオニュースドットコムの記事【布川”冤罪”事件の悲劇を繰り返さないために/マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第1078回) ゲスト 桜井昌司(さくらい しょうじ)布川事件元被告人・冤罪被害者】(https://www.videonews.com/marugeki-talk/1078)。

 《冤罪事件というのは、最終的に再審などで無罪が証明されたとしても、その間に失われた時間は二度と取り戻せない桜井昌司氏はまさに画に描いたような冤罪事件の被害者だ》。

 ましてや、死刑執行されていては、冤罪死刑囚を生き返らせることは不可能だ。あまりに残酷だ、久間三千年(くま・みちとし)さんの死刑執行を思うと。
 《検察による口封じ殺人》《国家による殺人》…。布川事件冤罪被害者桜井昌司さん《無惨に殺された人の無念を晴らす殺したのは誰か検察庁です》と。当時の首相は麻生太郎氏、飯塚を含む福岡8区の出身。その麻生太郎内閣の法務大臣は森英介氏。2008年10月16日、足利事件のDNA再鑑定で、直ぐに、久間さんの死刑執行は停止されるべきだった ――― しかし、わずか10日ほど後の10月28日、死刑は執行された…。首相や法相、検察・警察の関係者、あまりに冷酷だ…。関わった裁判官も。《各裁判所は、弁護側が指摘したさまざまな疑問・矛盾を無視。結局、科警研の「MCT118型鑑定」によるDNA型鑑定をほぼ唯一の根拠とした死刑判決が確定した》。
 《無実の罪で29年間の服役を強要された桜井、杉山両氏は刑事補償法に基づき1億3千万円(1日あたり1万2500円×365日×29年)と1審から上告審までにかかった裁判費用の約1500万円が支払われることになった》…刑事補償法では冤罪死刑囚にどう《補償》するのだろうか?

   『●飯塚事件は《足利事件に続いて「DNA冤罪=DNA型鑑定を悪用した
     冤罪」が発覚するのを恐れた検察による口封じ殺人ではなかったか……》

 布川冤罪事件で《潔白を勝ち取った男…冤罪被害者を支援し、濡れ衣を着せた司法の闇を世に引きずり出そうとしている桜井昌司さん。
 《冤罪事件というのは、最終的に再審などで無罪が証明されたとしても、その間に失われた時間は二度と取り戻せない》《桜井氏が失った29年間の自由と、桜井氏やその家族が44年間背負い続けた「殺人犯」というレッテルの重荷は、いかなる形でも取り戻すことはできない》。布川事件桜井昌司さんは《冤罪で服役29》《事件発生から54年の長い時間》…検察や警察の捜査の違法性を認め、国と茨城県の損害賠償が確定しました。54年の苦難にとても報いることはできませんが、その一部に少しでも報いられたとしたら、この判決を歓迎すべきかと思いました。検察や警察は《判決の結果を真摯に受け止め》、二度とこのような冤罪被害者が出ないよう、改善を約束すべきです。そのために何をすべきかを明らかにすべき。

   『●布川冤罪事件…《合計二〇人の裁判官が揃いも揃って、冤罪を見過ごし、
         検察の嘘を素通りさせた。彼らこそ裁かれるべきかもしれない》
   『●桜井昌司さん《冤罪で服役29年》《事件発生から54年の長い時間》
      …検察や警察の捜査の違法性を認め、国と茨城県の損害賠償が確定
   『●布川冤罪事件で《潔白を勝ち取った男…冤罪被害者を支援し、
     濡れ衣を着せた司法の闇を世に引きずり出そうとしている》桜井昌司さん

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https://www.videonews.com/marugeki-talk/1078



【桜井昌司×宮台真司×神保哲生:布川”冤罪”事件の悲劇を繰り返さないために【ダイジェスト】】
https://youtu.be/hNw7LAIUcpA


布川”冤罪”事件の悲劇を繰り返さないために
マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第1078回)


ゲスト

桜井昌司(さくらい しょうじ)
布川事件元被告人・冤罪被害者
1947年栃木県生まれ。1962年茨城県立竜ヶ崎第一高等学校中退。67年8月に起きた強盗殺人事件の犯人として逮捕・起訴され、78年に無期懲役が確定。29年間服役後、96年に仮釈放され土木建築会社に勤務。2011年水戸地裁の再審公判で無罪判決が確定。21年国と県への損害賠償訴訟に勝訴し7400万円の賠償命令を勝ち取る。著書に『俺の上には空がある広い空が』、『CDブック 獄中詩集 壁のうた』など。


概要

 冤罪事件というのは、最終的に再審などで無罪が証明されたとしても、その間に失われた時間は二度と取り戻せない

 桜井昌司氏はまさに画に描いたような冤罪事件の被害者だ。

 齢74歳になる桜井氏は1967年、彼が20歳の時に突如逮捕され、捜査当局による嘘や改ざん、隠蔽などによって茨城県の布川で起きた殺人の自白に追い込まれた結果、20歳から49歳までの29年間、刑務所に入れられ自由を奪われることとなった。 いわゆる布川事件だ。

 桜井氏は当初窃盗の容疑で逮捕された。本人の弁を借りれば、実際に窃盗には身に覚えがあったので、警察に逮捕された時は罪を認める覚悟をしていたが、殺人については桜井氏にはアリバイがあった。被害者が殺害されたとされる時刻、彼は東京の兄の家にいたのだ。しかし、警察は桜井氏の兄が、「その日は弟は来ていないと言っているぞ」という嘘の供述を桜井氏に示した上で、警察署内の代用監獄における長時間の厳しい取り調べと、「罪を認めれば助かるが、認めなければ死刑になるぞ」など、ありとあらゆる嘘や強要、誤導の限りを尽くし、共犯者と見做された杉山卓男氏とともに、桜井氏をやってもいない罪の自白に追い込んでしまう

 これも冤罪事件ではお決まりのパターンだが、警察は被疑者が実際にはやっていようがやっていなかろうが、とりあえず罪を認めれば、今この瞬間の辛く苦しい長時間の取り調べから解放されるという甘言と、実際には存在しない目撃者が大勢いるかのような嘘などで被疑者の抵抗する気力を奪い、被疑者を追い込んでいく。そして最後は「自分はやっていないのだから、いくら取り調べ段階で自白しても、裁判の場で無実が証明されるはず」という桜井氏の法律的な無知につけ込んで、自白に追い込んでいった。当時の桜井氏は、自身の供述が裁判で証拠になることすら知らなかったという。無論、桜井氏は公判で否認に転じたが、裁判では捜査段階での自白の任意性や具体性、信頼性などが認められ、桜井氏は杉山氏とともに無期懲役の判決を受けてしまう。

 警察、検察は自分たちが描いたストーリーに沿って桜井、杉山両氏を自白させた上で、そのストーリーに沿った目撃証言などを用意したが、最終的にはこの事件では両氏の犯行を裏付ける物証は何もなく、事実上捜査段階での自白だけが有罪の決め手となった。いや、実際には数々の物証は存在したが、いずれの物証も両氏の犯行を裏付けていなかった画に描いたような冤罪事件だった

 結局、桜井氏は杉山氏とともに最初の逮捕から29年間、服役した後、模範囚ということで1996年に仮釈放された。しかし、氏は自身の潔白を訴え服役中も支援者に手紙を書き続けた結果、徐々に支援者の輪が拡がり、氏の釈放から5年後の2001年、遂に2度目の再審請求でこの事件の再審が認められる。

 再審の決め手となったのは、桜井氏を支援する弁護団が検察にこれまで開示されていない証拠の開示を求め続けた結果、いくつかの決定的な証拠が新たに開示されたことだった。新たに開示された桜井氏の自白を録音したテープを鑑定した結果、テープには13箇所の編集・改ざんの痕跡があることがわかったほか、自白内容と検死報告書では殺害方法が異なっているなど、実に初歩的なレベルで両氏の犯行を否定する証拠が次々と見つかった。警察と検察は桜井、杉山両氏が犯人ではないことを裏付ける証拠を保有していながら、それを何十年もの間、隠していたのだ

 そもそも唯一の証拠となった自白の任意性が揺らぎ、その他の間接的な証拠も嘘や偽計に基づいて得られたものであることが明らかになったのだから、両氏が無罪になるのは当たり前だった。そもそも桜井・杉山両氏の犯行を裏付ける証拠など最初から存在しなかったのだ

 桜井氏は2011年5月24日、再審公判で水戸地裁から無罪判決を受け、検察は最高裁まで争ったが、同年6月7日、最高裁が検察の特別抗告を棄却し、桜井、杉山氏の無罪が確定した。1967年の寝耳に水の逮捕から44年の月日が流れ、当時20歳だった桜井氏は64歳になっていた

 無実の罪で29年間の服役を強要された桜井、杉山両氏は刑事補償法に基づき1億3千万円(1日あたり1万2500円×365日×29年)と1審から上告審までにかかった裁判費用の約1500万円が支払われることになった。また、桜井氏が2012年に、冤罪の責任を追及するために国と茨城県を相手に起こした約1億9千万円の国家賠償請求訴訟では、裁判所が茨城県警と水戸地方検察庁の取調べの違法性を認め、2021年8月、東京高裁から国と茨城県に計約7400万円の賠償を命じる判決が下されている。

 このように桜井氏が受けた不当な逮捕と強要された自白や捏造された証拠に基づく有罪判決、そしてその後の29年に及ぶ懲役に対しては、金銭的には補償が行われることになった。しかし、桜井氏が失った29年間の自由と、桜井氏やその家族が44年間背負い続けた「殺人犯」というレッテルの重荷は、いかなる形でも取り戻すことはできない。服役中だった桜井氏は両親を看取ることもできなかった。

 現在74歳となった桜井氏は、冤罪を防止するための社会活動を積極的に行っている。しかし、裁判所から捜査の違法性が断罪され、多額の賠償責任まで負わされた警察と検察は、まったく反省などしてないと桜井氏は言う。無罪を示唆する証拠が次々と露呈しても、検察は桜井氏の弁護団の再審請求に対し、最高裁に特別抗告をしてまで徹底抗戦した。また、冤罪が確定した後で桜井氏が求めた損害賠償請求に対しても、検察は最後まで争う姿勢を崩さなかった。しかも、冤罪が確定した後も、警察と検察から謝罪の申し入れなどは一切ないと桜井氏は言う。

 布川事件の再審無罪決定と相前後して、足利事件氷見事件志布志事件、そして村木厚子さんの郵便不正事件などで次々と衝撃的な冤罪が明らかになったことを受けて、公訴権を独占する上に、密室の取り調べが許される検察の暴走が冤罪を生んでいるとの批判が巻き起こり、2009年に民主党政権下で刑事訴訟制度の改正論議が始まった。しかしその後、政権が自民党に戻る中、一連の制度改正論議の結果として行われた2016年の刑事訴訟法の改正では、むしろ検察の権限が大幅に拡大されるという信じられないような展開を見せている

 冤罪事件の直後にはメディア上でも刑事訴訟制度への批判的な論説が多少は散見されるが、捜査機関から日々リーク情報をもらわなければ仕事が成り立たない記者クラブメディアは、基本的には警察、検察とは共犯関係にある。メディアが冤罪と隣り合わせにある自白偏重の人質司法制度にぶら下がっている限り、この問題が良い方向へ向かう可能性はほとんど期待できない。法律や制度の改正は政治の仕事だが、世論の後押しがないところで政治が司法制度に手を突っ込むのは不可能に近い。政治家にとっても警察や検察は怖い存在だからだ。そしてメディアが現在の刑事司法の実態を正しく報じ始めない限り、世論は人質司法という名の密室の中で何が起きているのかを永久に知ることができない日本の刑事司法制度の後進性や非人道性国連の拷問禁止委員会から度々改善勧告を受けるなど国際的にも断罪されているのだ。

 末期ガンに侵されながらも冤罪防止活動で発信を続ける桜井氏は、現行の刑訴法の下では、むしろ冤罪が増え、桜井氏のような被害者が増えることが懸念されると、怒りを隠さない

 今週は戦後の冤罪事件史の中でも最悪の部類に数えられる布川”冤罪”事件の当事者である桜井昌司氏に、なぜやってもいない犯行を自白してしまったのか、その自白の結果、自身のその後の人生がどのようなものになってしまったのか、44年もの間、諦めることなく自身の潔白を訴え続ける力はどこから湧いてきたのかなどについて、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が聞いた。
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●警察・検察・裁判所は何も責任をとらないつもり? それなくして、《西山さんが待ち続けた「名誉回復」》が叶ったといえるのか?

2020年04月10日 00時00分12秒 | Weblog

[※『原発に挑んだ裁判官』(磯村健太郎・山口栄二) 朝日新聞出版(https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=21028)↑]



東京新聞の社説【刑事司法を改革せよ 再審無罪判決】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2020040102000148.html)。
琉球新報の【<社説>西山さん再審無罪 冤罪根絶へ事件の検証を】(https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1100940.html)。

 《やっとこの日が来た。「呼吸器事件」で殺人犯にされた西山美香さんに大津地裁は「事件性なし」と再審無罪を言い渡した。自白の誘導などで殺人事件に仕立てた捜査と司法の責任は、極めて重い。…事件発生から十七年がたっていた》、《不当な捜査を招いた真相を、裁判を通して明らかにするには至らなかった》。
 《事件を作り上げ西山さんの自由を奪った警察、検察の人権侵害は断じて許されない。それをチェックできなかった裁判所も含めて、司法の責任は極めて重い》。《最初から数えて七つの裁判体が有罪判決や再審請求棄却を続け》た節穴な裁判所。

   『●金沢地裁原発差し止め判決: 井戸謙一元裁判官
   『●裁判所も歪む…《国が開発の政策的な枠組みを決め、その下で
       電力会社に》核発電所を…《そして裁判所も一体となり…》
    《原発訴訟で原告勝訴を決めた、たった3人の裁判長――その苦悩
     描いたのが『原発に挑んだ裁判官』(朝日文庫、著・磯村健太郎
     山口栄二、660円)だ。元京都大学原子炉実験所助教・小出裕章氏が
     評論する。…そして裁判所も一体となり。…北陸電力志賀原発
     2号機の運転差し止めを命じた金沢地裁判決(井戸謙一裁判長)…》

   『●湖東記念病院人工呼吸器事件…冤罪服役13年、
     【元看護助手、再審で無罪が確定的に 滋賀の病院患者死亡】
   『●湖東記念病院人工呼吸器事件で冤罪服役…《刑事司法の
      よどみや曇り》の解明を、《冤罪が生まれる構造に光》を!


 《2004年7月の逮捕から16年近くたって、無実の罪で12年もの刑に服した》、《自白の誘導などで殺人事件に仕立てた捜査と司法の責任は、極めて重い…事件発生から十七年がたっていた》。で、警察・検察・裁判所は何も責任をとらないつもり? それなくして、《西山さんが待ち続けた「名誉回復」》が叶ったといえるのか? 《事件を作り上げ西山さんの自由を奪った警察、検察の人権侵害は断じて許されない。それをチェックできなかった裁判所も含めて、司法の責任は極めて重い》。
 《再審開始が決まった後になって開示された証拠の中に、「患者の死因はたん詰まりの可能性がある」と自然死を示唆する医師の報告書があった。この証拠を滋賀県警は地検に送致していなかった都合の悪い証拠を隠し、殺人罪をでっち上げていた》。この裁判でも、《担当の警察官を法廷に呼ぶなどして虚偽の自白に至る経緯を検証して》はいない。《この間、二十代と三十代を獄中で過ごした西山さんは大きな損失を被った。メンツのための捜査、あるいはいったん下された判決に忖度するような訴訟指揮はなかったか。検証》されたか? その気は? 《人権蹂躙の教訓を社会全体で共有》するには程遠い、ニッポン。

 琉球新報のコラム【<金口木舌>声なき声を聞く】(https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1100946.html)によると、《▼大西直樹裁判長は患者の死因は自然死の可能性が高いとした。「担当刑事が強い影響力を独占して供述をコントロールしていた」として、軽度の知的障がいがある西山さんの特性や恋愛感情を利用したと指摘した ▼取り調べで障がいなどにより反論がしづらく、誘導されやすい「供述弱者は冤罪(えんざい)被害のリスクが高いという。専門家は弁護士の立ち会いなど、防止する仕組みの必要性を訴える。西山さんは「私を教訓に裁判所も変わらなければならない」と語った》

   『●《日本の刑事司法はおそろしいほどに後進的…代用監獄…
          人質司法》…さらに、司法取引まで投げ渡す大愚
   『●検察による恣意的・意図的な証拠の不開示、証拠の隠蔽や
             喪失、逆に、証拠の捏造…デタラメな行政
   『●《良心に従い職権を行使する独立した存在》ではない
     大久保正道裁判長である限り、アベ様忖度な「行政判断」が続く
   『●《「自白の強要をされたという認識に変わりはない」と反論…
            いまだにこんな水掛け論になるのかと嘆かわしい》
    「《日本の刑事司法はおそろしいほどに後進的代用監獄人質司法
     …《日本の刑事司法制度は国際的水準に達していない》。
     「人質司法」は未だに《国際的にも悪評が高い》。
     《弁護士の立ち会い…多くの国・地域で認めている制度》である
     にもかかわらず、ニッポンでは認められていない。
     《録音・録画(可視化)》もほとんど進まず、
     《事後検証が不可能に近い》。《弁護士の立ち会いが任意段階から
     認められていれば、誤認逮捕という人権侵害もなかったはずだ》」

   『●木谷明さん《冤罪を回避するために法曹三者…
      無実の者を処罰しないという強い意志、意欲をもって仕事にあたること》
   『●山口正紀さん《冤罪…だれより責任の重いのが、無実の訴えに
            耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》
    《四十年間も潔白を訴えていた大崎事件(鹿児島)の原口アヤ子さんに
     再審の扉は開かなかった。最高裁が無実を示す新証拠の価値を
     一蹴したからだ。救済の道を閉ざした前代未聞の決定に驚く。
     「やっちょらん」-。原口さんは、そう一貫して訴えていた。
     殺人罪での服役。模範囚で、仮釈放の話はあったが、
     「罪を認めたことになる」と断った。十年間、服役しての
     再審請求だった…疑わしきは被告人の利益には再審請求にも
     当てはまる。その原則があるのも、裁判所は「無辜(むこ)の救済」
     の役目をも負っているからだ。再審のハードルを決して高めては
     ならない》
    「再審するかどうかを延々と議論し、《三度にわたり再審開始決定
     出ながら》、最後に、ちゃぶ台返し。最「低」裁は何を怖れている
     のか? 誤りを潔く認めるべきだ。山口正紀さん、《冤罪は警察・
     検察だけで作られるものではない。…マスメディアにも責任…。
     だが、だれより責任の重いのが、無実の訴えに耳を貸さず、
     でっち上げを追認した裁判官だろう》。」

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2020040102000148.html

【社説】
刑事司法を改革せよ 再審無罪判決
2020年4月1日

 やっとこの日が来た。「呼吸器事件」で殺人犯にされた西山美香さんに大津地裁は「事件性なし」と再審無罪を言い渡した。自白の誘導などで殺人事件に仕立てた捜査と司法の責任は、極めて重い

 滋賀県の病院で二〇〇三年、七十二歳の男性患者が死亡。看護助手だった西山さんが「人工呼吸器のチューブを外した」と「自白」して殺人容疑で逮捕され、懲役十二年が確定した。この判決で、死因は自白に沿う「低酸素状態」、つまり窒息状態とされた。

 「自白」は虚偽で、鑑定による死因も誤っていた-。今回の再審で無罪を言い渡した判決文は、明確に書いた。何が何でも有罪をと前のめりになる捜査と、それをチェックできなかった司法を批判した。

 なぜ捜査段階で「自白」したのか。判決は「取り調べの警察官の不当な捜査によって誘発された」と断じる。

 その背景として、西山さんには知的障害によって迎合的な供述をする傾向があると認定。取り調べの警察官は、自分に好意を持っていたことに乗じて西山さんをコントロールする意図があったとまで述べ、西山さんが捜査側の術中にはまった過程を分析した。

 また、死因について無罪判決は、「低カリウム血症による致死性不整脈」などを認定。つまり呼吸器はつながったままの自然死だった可能性が高いと判断した。

 今年二月に始まった再審が素早く無罪判決に至ったのは、西山さんの早期汚名返上の見地からは喜ばしいものの、担当の警察官を法廷に呼ぶなどして虚偽の自白に至る経緯を検証してほしかった

 大津地裁の裁判長は、無罪判決の言い渡し後、明確な謝罪はなかったものの、西山さんに「刑事司法を改革する原動力にしていかねばならない」と決意を述べた。「もう、うそ(誘導された自白)は必要ない」とも語り掛けた。

 この冤罪(えんざい)事件では、捜査のずさんさを見抜けなかった裁判所にも大きな責任がある最初から数えて七つの裁判体が有罪判決や再審請求棄却を続け、八つ目の大阪高裁がようやく再審開始を決定、最高裁を経て十番目の大津地裁が無罪判決を出した。事件発生から十七年がたっていた

 この間、二十代と三十代を獄中で過ごした西山さんは大きな損失を被った。メンツのための捜査、あるいはいったん下された判決に忖度(そんたく)するような訴訟指揮はなかったか。検証して出直してほしい。
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https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1100940.html

<社説>西山さん再審無罪 冤罪根絶へ事件の検証を
2020年4月3日 06:01

 滋賀県の病院患者死亡を巡り殺人罪で服役した元看護助手西山美香さんの裁判をやり直す再審で、大津地裁は無罪判決を言い渡した。大津地検は上訴権を放棄し、西山さんの無罪が確定した。2004年7月の逮捕から16年近くたって、無実の罪で12年もの刑に服した西山さんが、ついに冤罪(えんざい)を晴らした。

 事件を作り上げ西山さんの自由を奪った警察、検察の人権侵害は断じて許されない。それをチェックできなかった裁判所も含めて、司法の責任は極めて重い冤罪根絶に向けた刑事司法改革を強力に進めなければならない。

 最初の裁判で大津地裁は、警察が取り調べ段階で作成した自白調書の信用性を認め、懲役12年の実刑を言い渡した。判決は07年に最高裁で確定した。

 だが、再審判決は「何者かに殺されたという事件性を認める証拠はない」と断定し、男性患者の死因は自然死だった可能性が高いとした。滋賀県警の取り調べに対しては、軽度の知的障がいがある西山さんの特性や恋愛感情を利用し虚偽の自白を誘導したと指摘した。

 再審開始が決まった後になって開示された証拠の中に、「患者の死因はたん詰まりの可能性がある」と自然死を示唆する医師の報告書があった。この証拠を滋賀県警は地検に送致していなかった都合の悪い証拠を隠し、殺人罪をでっち上げていたのだ。

 再審判決を言い渡した大西直樹裁判長は手続きの一つでも適切に行われていたらこのような経過をたどることはなかった」と警察の証拠隠しを批判した。その上で、西山さんに「問われるべきはうそ(刑事に誘導された自白)ではなく捜査手続きの在り方だ」と語り掛けた。

 19年6月に、取り調べ過程の録音・録画を義務付ける改正刑事訴訟法が施行された。冤罪防止のための捜査の可視化が前進したが、裁判員裁判事件や検察の独自捜査事件に対象が限定されている。

 障がいなどが原因で自分を守る反論がしづらく、誘導されやすい供述弱者を冤罪被害から守る仕組みについても検討が求められる。

 捜査段階の証拠隠しがあったとはいえ、西山さんの無罪の訴えに耳を傾けず、捜査側の見立てを追認した裁判所の責任は重大だ自白偏重の捜査手法や供述調書に過度に依存した調書裁判が、冤罪の温床といわれている。

 再審判決は2月の初公判から2カ月でのスピード審理となった。西山さんの早期の名誉回復を優先したことは評価されるが、不当な捜査を招いた真相を、裁判を通して明らかにするには至らなかった

 日弁連などを含めた公平な立場の第三者委員会を設置し問題点を詳細に検証、公表する必要がある。冤罪被害者を生み出さないためには、人権蹂躙(じゅうりん)の教訓を社会全体で共有することが欠かせない。
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●34年間、《もっと早く解決できなかったのかという無念》…宮田浩喜さん、松橋冤罪事件の再審無罪が確定

2019年04月16日 00時00分38秒 | Weblog


琉球新報の【<社説>松橋事件再審無罪 冤罪招いた構造の検証を】(https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-896937.html)。

 《名誉を回復するには、あまりにも長過ぎる34年間だった一人の人生を踏みにじる重大な人権侵害を招いた自白偏重の捜査手法と、それをチェックできなかった裁判所の責任は極めて重い》。

   『●冤罪は晴れず…「自白を偏重する捜査の危うさ…
       証拠開示の在り方…検察が常に抗告する姿勢の問題」
    《一九八五年の松橋(まつばせ)事件(熊本県)の再審が決まり、
     殺人犯とされた男性は無罪となろう。決め手の新証拠は何と
     検察側から出てきた再審における証拠開示の明確なルールづくりが
     必要だ。…一つはやはり自白を偏重する捜査の危うさ…もう一つは
     証拠開示の在り方…さらに検察が常に抗告する姿勢の問題だ》

 松橋事件について、再審無罪が確定しました。「自白を偏重する捜査の危うさ…証拠開示の在り方…検察が常に抗告する姿勢の問題」が指摘されています。検察や警察のデタラメ、そして役立たずな司法。《責任は極めて重い》。《名誉を回復するには、あまりにも長過ぎる34年間》であり、償いようのない時間だ。
 冤罪はいつまでたっても晴れないケースが多い。松橋事件のような稀な例を除けば(といっても、検察は最「低」裁に特別抗告していた訳で、誤りを認めたのではないようですが…)、警察や検察、裁判所は決して誤りを認めようとしない。袴田冤罪事件なんてその典型だ。検察=《狼は本音を明かす。「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ》と。《巌さんは、いまも、死刑囚のまま》だ。

   『●袴田事件…検察=《狼は本音を明かす。
      「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》
    《狼は本音を明かす。「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけには
     いかないのだ」▼袴田さんの無実を信じる人にとってはどうあっても狼に
     許されぬイソップ寓話(ぐうわ)の羊を思い出すかもしれない…
     検察と裁判所を納得させる羊の反論の旅はなおも続くのか
     ▼事件から五十二年長すぎる旅である

   『●《袴田巌さんは、いまも、死刑囚のまま》だ…
       政権や検察に忖度した東京高裁、そして、絶望的な最「低」裁
    「NTVの【NNNドキュメント’18我、生還す -神となった死刑囚・
     袴田巖の52年-】…《今年6月、東京高裁が再審開始を取り消した
     「袴田事件」。前代未聞の釈放から4年半、袴田巖さんは死刑囚のまま
     姉と二人故郷浜松で暮らす》」
    「三権分立からほど遠く、法治国家として公正に法に照らした
     「司法判断」ができず、アベ様ら政権に忖度した「政治判断」乱発な、
     ニッポン国の最「低」裁に何を期待できようか…。
     《巌さんは、いまも、死刑囚のまま》だ」

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https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-896937.html

<社説>松橋事件再審無罪 冤罪招いた構造の検証を
2019年4月1日 06:01

 名誉を回復するには、あまりにも長過ぎる34年間だった。一人の人生を踏みにじる重大な人権侵害を招いた自白偏重の捜査手法と、それをチェックできなかった裁判所の責任は極めて重い

 1985年に熊本県松橋(まつばせ)町(現宇城市)で男性が刺殺された松橋事件の裁判をやり直す再審で、熊本地裁は無罪判決を言い渡した。

 殺人罪などで有罪となった宮田浩喜さんに犯人であることを示す証拠がなく、殺害は認められないと断定した。

 85歳の宮田さんは認知症を患い、介護施設で寝たきりの生活を送る。無実の罪を晴らす機会となったのは喜ばしいが、もっと早く解決できなかったのかという無念は残る

 なぜ冤罪(えんざい)が起きたのか。捜査当局と司法当局には検証する責務がある。

 今回の事件では、自白頼みの捜査や証拠開示の在り方など数々の問題点が指摘されている。宮田さんは捜査段階の自白を根拠に有罪とされた。一審の途中で否認に転じたものの、90年に懲役13年が確定し服役した。

 今回の無罪判決の決め手となったのは、公判には提出されていなかった物証だ。弁護団が再審手続き中に検察で証拠を閲覧して見つけた。

 宮田さんが「凶器の小刀の柄に巻き、犯行後に燃やした」と説明していたシャツの布きれが残っていたのだった。「なかったはず物証が出てきたことで、供述と客観的事実の矛盾が生じ、自白の信用性が否定された。

 さらに、小刀と遺体の傷の形状が一致しないとする法医学鑑定書も有罪判決を覆す証拠となった。

 自白が虚偽だったことは明白だ。かつては「証拠の王」とされていたが、裁判員制度が定着し、取り調べの録音・録画(可視化)が進んでいることもあり、供述調書だけを根拠とするずさんな捜査には厳しい目が向けられている。

 近年、過去の事件の再審決定が相次いでいる。3月には、滋賀県の元看護助手が患者の人工呼吸器を外し殺害したとして服役した事件で、最高裁が再審を認めたこれも自白偏重がもたらした

 取り調べで虚偽の自白を強要し、客観的証拠が不十分なまま立件するという捜査手法は、もう許されない時代だ。取調室での弁護人立ち会いなど、可視化を進めなければならない。

 今回の再審は初公判から判決まで2カ月足らずのスピード審理だった。高齢の宮田さんの早期救済を優先したもので、評価したい。

 一方で、詳細な証拠調べができず、冤罪を生んだ刑事司法の真相究明にまで至らなかったのは残念である。

 警察、検察、裁判所とも、自らが犯した過ちを反省し、徹底的に検証すべきだ。その背景や理由を、裁判以外の場で率先して国民に公表する必要がある。冤罪被害を二度と生んではならない
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●素人に《人を裁くという経験を通じ、死刑と向き合い、是非を考え》させたいらしいという『朝日』と大違い?

2016年11月13日 00時00分57秒 | Weblog


東京新聞の社説【死刑廃止宣言 日弁連はどう説得する】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016100802000182.html

 《死刑廃止を求める宣言を日弁連がした。冤罪(えんざい)なら取り返しがつかない刑罰だ。厳罰を望む犯罪被害者の声や80%を超す死刑存置の世論も無視はできない。日弁連はどう説得するか試される。…英政府は過ちを認め、六五年から死刑執行をやめ、六九年に制度そのものを廃止した。注目すべきは、当時の英国の世論の80%超が死刑を支持していたのだ》。

 『朝日新聞』では、素人に《人を裁くという経験を通じ、死刑と向き合い、是非を考え》させたいらしい…それと比較すると、『東京新聞』のこの社説は趣が随分と違う。冤罪という大問題に加えて、素人裁判官に「死刑のスイッチ」を押させる残酷さ。訓練を受けたであろうプロの裁判官でさえが、どう感じておられるのだろう? 例えば、熊本典道さん…。

   『●無残!……『朝日』は、素人に《人を裁くという経験を通じ、
               死刑と向き合い、是非を考え》させたいらしい
   『●シロウト裁判官の地獄…: 「裁判員の経験を
      話した親しい友人にこう問われた。「人を殺したのか?」」

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016100802000182.html

【社説】
死刑廃止宣言 日弁連はどう説得する
2016年10月8日

 死刑廃止を求める宣言を日弁連がした。冤罪(えんざい)なら取り返しがつかない刑罰だ。厳罰を望む犯罪被害者の声や80%を超す死刑存置の世論無視はできない。日弁連はどう説得するか試される。

 英国で無実の人を絞首刑にしたことがある。一九四九年のエバンス事件だ。運転手のエバンスが妻と娘を殺したとされたが、死刑執行後に真犯人はアパートの階下の住人だったことが判明した。

 英政府は過ちを認め、六五年から死刑執行をやめ、六九年に制度そのものを廃止した。注目すべきは、当時の英国の世論の80%超が死刑を支持していたのだ

 英国ばかりでなく、どの国も世論は「死刑支持」が多数派だったが次々と政治が廃止へと導いていった

 二〇一五年末時点で、死刑を廃止・停止している国は百四十カ国にのぼる。世界の三分の二以上を占める。制度があっても、執行した国は二十五カ国しかない。アムネスティ・インターナショナルによれば、米国の五十州のうち十八州は廃止、存置州でも三州は停止している。執行されたのは一五年では六州だけだ。韓国は制度はあるが、十八年以上停止している。OECD(経済協力開発機構)加盟国で国家として統一して死刑執行するのは日本だけなのだ。

 その日本で八〇年代に四件の再審無罪があった。「死刑台からの帰還」である。一四年には袴田事件で再審決定があり、死刑確定者が四十八年ぶりに釈放された。もし彼らが絞首刑になっていたら…。裁判も人間が行う限り、誤りが起こる。それでも取り返しのつかない刑罰を持つべきだろうか

 死刑は犯罪を抑止するという考え方があるが、国内外の研究ではその効果を実証できてはいない。むしろ抑止効果を疑問視している。しかも、日本の刑事司法冤罪を生みやすい構造を持つ長期の身柄拘束自白偏重の取り調べが続いているし、証拠の全面開示もない欠陥だらけなのだ。

 米国では死刑確定後も、手続きが公正であったか、州と連邦レベルでそれぞれチェックされる。日本では決定的な新証拠がなければ、再審がほとんど認められない無実か、量刑を誤った死刑囚が存在することはないのか。再審の新たな仕組みが必要でないか。

 犯罪被害者が厳罰感情を持つのは当然であるし、理解できる。その一方で、誤判を心配する。死刑廃止という世界的な潮流に逆らえるか、悩ましさが募る。
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●氷見事件(富山冤罪事件)の冤罪被害者のいま・・・「人生の歯車は狂ったまま」

2014年07月22日 00時00分44秒 | Weblog


『NNNドキュメント’14/陽炎 冤罪被害の闇』(http://www.ntv.co.jp/document/)を見た。

 氷見事件氷見冤罪事件)(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/2f8a9767110f10e6864820abb7d2ed16)の冤罪被害者のいま。
 冤罪服役、出所2年後に冤罪が晴れる。警察・検察のデタラメ、そして弁護士のダメぶり。再審請求で無罪が確定しても、一切責任をとらない彼ら関係者、そして変わらない社会の眼。冤罪逮捕から7年後(2009年5月)に始めた国賠訴訟でも、何も真実は明らかにならず。人目を避けて生活する柳原浩さん、「人生の歯車は狂ったまま」。本当に冷たい社会。
 怒鳴られ、拳を突出し脅された取り調べへのフラッシュバック、それによるPTSDで通院が必要な状態。なぜ故郷を離れ、東京で孤独に暮さねばならないのか? 冤罪被害を裁判で明らかにする、それだけを心の拠り所に。5年前に起こした裁判、「富山冤罪事件」(氷見事件)の裁判(富山地方裁判所)。警察と検察の全ての捜査資料の開示を求めても、黒塗りだらけ。柳原さんのアリバイを隠蔽。体液が柳原さんの血液型とは一致しなかった可能性があることを知りながら、科学捜査研究所員が警察や検察を慮って再鑑定せず、といったデタラメ。尋問の全面可視化には程遠い「2%の可視化」、抜け穴だらけの法制審の提言
 いまも続く兄・姉との深い溝。こんなデタラメな冤罪事件さえなければ・・・・・・。事件に巻き込まれて12年。陽炎、「5年に及ぶ裁判は来年3月までに判決が下される見通し」。

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http://www.ntv.co.jp/document/、7月20日(日) 11:00~放送】

陽炎 えん罪被害の闇  
55分枠

  放送: 7月13日(日) 25:00~
  ナレーター: あがた森魚
  制作: 北日本放送
  再放送:  7月20日(日)11:00~ BS日テレ
         7月20日(日)18:00~ CS「日テレNEWS24」

もう疲れたから、自殺するところを撮影してください」メールの送り主は柳原浩さん(47)。富山えん罪事件の被害者だ。えん罪発覚後、地元で就職活動をしたが25社で不採用。3年前に故郷を捨て、生活保護を受けながら東京のアパートで1人暮らしをしている。厳しい取り調べがフラッシュバックするようになり心的外傷後ストレス障害と診断された。なぜ犯人にされたのか? 自白を強要された取調官が国家賠償訴訟の証言台に立つ。独自に入手した捜査報告書などが、証拠のねつ造や自白偏重の警察捜査の危険性をあぶり出す。さらに獄中の真犯人から届いた手紙から、警察が柳原さんの無罪に気付いていた疑いが深まるえん罪によって人生を狂わされた男。その絶望と希望を描く。
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●袴田事件・釈放!: 「捜査機関が重要な証拠を捏造した疑い」「拘置の続行は耐え難いほど正義に反する」

2014年03月28日 00時00分46秒 | Weblog


東京新聞の記事【袴田事件の再審開始決定 静岡地裁「無罪の可能性」】(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014032701000806.html)。
asahi.comの二つの記事【袴田事件の再審開始決定、釈放へ 証拠「捏造の疑い」】(http://www.asahi.com/articles/ASG3K6R2XG3KUTPB01C.html?iref=comtop_6_01)と、
【無実の叫び48年、支え続けた姉「うれしい」 袴田事件』(http://www.asahi.com/articles/ASG3T5QVHG3TUTPB015.html?iref=comtop_6_02)。

 出張先で知った衝撃的なニュース。素晴らしい判断、画期的な判決である(当然の判断で、あまりに遅い)。しかも、釈放である。「村山浩昭裁判長は、犯人が事件時に着ていたとされる「5点の衣類」に付いた血液のDNA型が袴田元被告とは一致しないとする鑑定結果を認定。衣類は「無罪を言い渡すべき明らかな証拠に該当する」と判断」「村山浩昭裁判長・・は「捜査機関が重要な証拠を捏造(ねつぞう)した疑いがあり、犯人と認めるには合理的疑いが残る」と判断。「拘置の続行は耐え難いほど正義に反する」と刑の執行停止(釈放)も決めた」。「犬」や「ヒラメ」でないことが証明。

 「無実の叫びが半世紀を経て、ようやく司法に届いた。事件から48年、確定死刑囚となってから33年。27日、静岡地裁が袴田巌(いわお)死刑囚(78)の再審開始を決定した。支援を続けてきた姉は支援者と抱き合い、喜びを分かち合った。だが、死刑囚本人は、その意味を理解できるのかすらわからない」・・・・・・取り返しのつかない48年。死刑囚として精神的に大変な苦痛だったはずであり、これまで袴田事件に関わった警察、検察、裁判所はどう対処する心算だろうか? 「だが死刑囚は長い拘置所生活で精神を病んでおり、その意味を理解できるのかすらわからない」・・・・・・なんて残酷なんだろう・・・・・・激しい怒りがわいてくる。足利事件菅家さんの怒りのコメントと『噂の真相』で有名な宗像紀夫元検事の司法擁護コメントが対照的で、後者のコメントに心底呆れた。
 次は飯塚事件、こちらは既に死刑執行・・・・・・。

   『●袴田事件、そして死刑執行後の『飯塚事件』再審
                           司法の良心を示せるか?

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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014032701000806.html

袴田事件の再審開始決定 静岡地裁「無罪の可能性」
2014年3月27日 13時13分

    (袴田事件で再審を認める決定が出され、喜びを語る袴田巌元被告の
     姉秀子さん=27日午前、静岡地裁前

 1966年6月に静岡県清水市(現静岡市清水区)で一家4人を殺害したとして、80年に死刑が確定した元プロボクサー袴田巌元被告(78)=東京拘置所収監中=の第2次再審請求審で、静岡地裁は27日、裁判のやり直しを決定するとともに、死刑の執行を停止、元被告の釈放を認めた

 法務省によると、死刑囚の再審開始決定で、拘置の執行停止が認められたのは初めて。 村山浩昭裁判長は、犯人が事件時に着ていたとされる「5点の衣類」に付いた血液のDNA型が袴田元被告とは一致しないとする鑑定結果を認定。衣類は「無罪を言い渡すべき明らかな証拠に該当する」と判断した。

(共同)
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http://www.asahi.com/articles/ASG3K6R2XG3KUTPB01C.html?iref=comtop_6_01

袴田事件の再審開始決定、釈放へ 証拠「捏造の疑い」
2014年3月27日10時55分

    (再審開始が決まり、感想を述べる姉の袴田ひで子さん。
     左は西嶋勝彦弁護団長=27日午前10時3分、静岡市葵区、
     山本壮一郎撮影)

 1966年に静岡県の一家4人が殺害、放火された「袴田事件」で死刑が確定した元プロボクサー袴田巌(いわお)死刑囚(78)=東京拘置所在監=の第2次再審請求審で、静岡地裁(村山浩昭裁判長)は27日、再審開始を認める決定をした。村山裁判長は「捜査機関が重要な証拠を捏造(ねつぞう)した疑いがあり、犯人と認めるには合理的疑いが残る」と判断。「拘置の続行は耐え難いほど正義に反する」と刑の執行停止(釈放)も決めた。

 死刑囚の再審開始決定は免田財田川松山島田無罪確定4事件と、後に覆された2005年の名張毒ブドウ酒事件の名古屋高裁決定に次いで6件目。

 静岡地検の西谷隆次席検事は「予想外の決定。上級庁と協議して速やかに対応する」と語った。刑の執行停止に対しては即日、不服申し立てをする方針。再審開始の判断については、不服申し立てを28日以降に行う方向とみられる。

 事件は66年6月30日に発生。同年8月、みそ工場従業員だった袴田元被告が強盗殺人や放火などの容疑で逮捕され、捜査段階で犯行を認める自白調書が作られたが、公判では一貫して否認。静岡地裁は68年9月、自白調書1通と間接証拠から元被告の犯行と断定して死刑を宣告し、80年11月に最高裁で確定した。

 08年4月に始まった第2次再審請求の最大の争点は、犯行時の着衣の一つとされる白半袖シャツに付いていた血痕のDNA型鑑定だった。確定判決は、シャツの右肩についた血痕の血液型が同じB型だとして、元被告のものと認定。第1次再審請求でもDNA型鑑定が行われたが、「鑑定不能」だった。

 第2次請求で再鑑定された結果、検察、弁護側双方の鑑定ともシャツの血と元被告のDNA型が「一致しない」とする結果が出た。検察側は「鑑定したDNAが劣化しており、汚染された可能性がある」と主張。弁護側と鑑定結果の信用性を巡って争っていた。

 この日の静岡地裁決定は弁護側鑑定について、「検査方法に再現性もあり、より信頼性の高い方法を用いている」と指摘。「検察側主張によっても信用性は失われない」と判断した。そのうえで、犯行時に元被告が着ていたとされる着衣は「後日捏造された疑いがぬぐえない」と指摘。DNA型鑑定の証拠が過去の裁判で提出されていれば、「死刑囚が有罪との判断に到達しなかった」と述べ、刑事訴訟法上の「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」にあたると結論づけた。

 さらに「捏造された疑いがある重要な証拠で有罪とされ、極めて長期間死刑の恐怖の下で身柄拘束されてきた」として、「再審を開始する以上、死刑の執行停止は当然」とも指摘した。

 事件では起訴から1年後の一審公判中、現場近くのみそ工場のタンクから血染めの白半袖シャツやズボンなどが見つかり、検察側は犯行時の着衣を、パジャマから変更。静岡地裁判決は自白偏重の捜査を批判し、45通のうち44通の自白調書を違法な取り調べによるものとして証拠排除したが、5点の衣類を始めとする間接証拠類と自白調書1通で、死刑を選択した。

     ◇

 〈袴田事件〉 1966年6月30日未明、静岡県清水市(現・静岡市清水区)のみそ製造会社専務(当時41)宅から出火。焼け跡から専務、妻(同39)、次女(同17)、長男(同14)の遺体が見つかった。全員、胸や背中に多数の刺し傷があった。県警は同年8月、従業員の袴田巌元被告(同30)を強盗殺人などの疑いで逮捕。一審で死刑判決を書いた熊本典道・元裁判官は2007年、「捜査段階での自白に疑問を抱き、無罪を主張したが、裁判官3人の合議で死刑が決まった」と評議の経緯を明かし、再審開始を求めていた。
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http://www.asahi.com/articles/ASG3T5QVHG3TUTPB015.html?iref=comtop_6_02

無実の叫び48年、支え続けた姉「うれしい」 袴田事件
2014年3月27日12時43分

     (再審開始が決まり、会見で喜ぶ姉の袴田ひで子さん=
      27日午前11時33分、静岡市葵区、福留庸友撮影)

 無実の叫びが半世紀を経て、ようやく司法に届いた。事件から48年確定死刑囚となってから33年。27日、静岡地裁が袴田巌(いわお)死刑囚(78)の再審開始を決定した。支援を続けてきた姉は支援者と抱き合い、喜びを分かち合った。だが死刑囚は長い拘置所生活で精神を病んでおり、その意味を理解できるのかすらわからない。

 再審開始の知らせを手に静岡地裁を出た袴田巌元被告の姉、ひで子さん(81)は、笑顔でくしゃくしゃになっていた。「うれしい。それだけです」。目には涙が浮かんでいた。

 弟を支えるため、一身を捧げてきた48年だった。

・・・・・・・・・。
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●和歌山毒カレー冤罪事件: 「正しい」鑑定結果が冤罪を生んだ

2013年09月03日 00時00分13秒 | Weblog


神保哲生さんのvideonews.comの記事【和歌山カレー事件の鑑定ミスはなぜ起きたか】(http://www.videonews.com/news-commentary/0001_3/002926.php)。

   『●和歌山毒カレー冤罪事件: 安田好弘弁護士と林眞須美被告

 和歌山毒カレー冤罪事件の三つのヒ素試料が異なることについては、上記で既報の通り。ようやく今回の記事で背景が理解できた。当初の鑑定結果は「正しく」、「誤っていはいなかった」のだ。検察の鑑定依頼の内容に不備があった訳である。誤った鑑定依頼内容に、正しい鑑定結果が報告され、裁判所は見抜けず、マスコミはそれに便乗して冤罪を生み出してしまった。

 したがって、この冤罪を晴らす「カギ」となる人物は東京理科大学の中井泉教授かも。当初の鑑定者・中井教授が、自身の誤解(検察に誤解させられた)と検察の依頼内容の(意識的?)不備について、さらなる踏み込んだ証言・提言をしてくれるかどうか?

   『●和歌山県警科学捜査研究所の鑑定結果捏造事件と
                     和歌山毒カレー冤罪事件、そして死刑制度
   『●『創(2009年7月号)』
   『●『創(2009年6月号)』(2/2)
   『●『冤罪File(No.06、2009年6月号)』

 それにしても、安田好弘弁護士の主張からすでに3、4ヶ月・・・・・・この重要な主張や鑑定結果についてマスコミは沈黙を続けているように見えるが?

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http://www.videonews.com/news-commentary/0001_3/002926.php

ニュース・コメンタリー (2013年08月31日)
和歌山カレー事件の鑑定ミスはなぜ起きたか
報告:神保哲生

 事件に使われたヒ素の再鑑定によって、既に死刑が確定している和歌山カレー事件に冤罪の疑いが出てきていることは、4月にこの番組で報道した(マル激トーク・オン・ディマンド 第628回・2013年04月27日「やはり和歌山カレー事件は冤罪だったのか」)ところだが、このほどなぜそのような問題が起きてしまったのかがより鮮明になってきたので、改めて報告したい。

 夏祭りの炊き出しで出されたカレーに猛毒のヒ素が混入し、4人の死者と63人の負傷者を出した「和歌山カレー事件」は、林眞須美被告が否認・黙秘を続ける中、2009年4月に最高裁で死刑が確定している。4月の番組では、その裁判で林氏の犯行と断定される上での決定的な証拠となっていた「亜ヒ酸の鑑定」において、新たな事実が明らかになったことを、林氏の弁護人である安田好弘弁護士をスタジオに招いて、お伝えした。
 その内容はこんなものだった。この事件では犯行に使われたとみられる現場付近で見つかった紙コップに付着していたヒ素(亜ヒ酸)と、林氏宅の台所のプラスチック容器についていたヒ素、そしてカレーに混入されたヒ素を鑑定にかけた結果、その組成が同じものだったことがわかり、それが林氏の犯行と断定する上での決定的な、そして唯一の物証となっていた。判決でもこの「組成が同じものだった」とされていたが、京都大学の河合潤教授が、鑑定のデータを再評価するために不純物をより詳細に調べた結果、実際はこの3つの資料の間には重大な差違があることがわかった。
 犯行が林氏によるものとした最高裁の判断は、林氏以外にヒ素を入れられる者がいなかった、氏が鍋の中を覗くなど怪しい動きをしていたといった、状況証拠やあやふやな証言に基づくものが多く、3つのヒ素が一致したとする鑑定結果は林氏の犯行と断定する上で決定的な意味を持っていた

 今回の取材で明らかになった問題は、東京理科大学の中井泉教授による当初の鑑定が間違っていたのではなく、そもそも検察が依頼した鑑定の依頼内容とその依頼に対する中井教授の理解そしてそれが報道や裁判で誤った形で一人歩きしていってしまったということだった。中井氏は、依頼された鑑定の内容は、林氏自宅のヒ素と紙コップのヒ素とカレーのヒ素の3つにどれだけの差違があるかを証明することではなかったと、雑誌「現代化学」の中で述べている。中井氏は検察から依頼された鑑定の内容を、3つの資料の差違を見つけることではなく、3つの資料を含む林氏の周辺にあったヒ素のすべてが同じ輸入業者の手を経て入ってきたものだったかどうかを調べることだと理解し、それを鑑定で確認したに過ぎなかったという。
 目的をそのように解釈した中井教授は、有罪の決め手となった3つの資料の差違を詳細に分析はせず、3つの資料を含む10の資料のヒ素がすべて同じ起源を持つものであったことを確認するための鑑定しか行っていなかった。しかし、実際に林氏が自宅にあったヒ素を紙コップでカレーに入れたことを裏付けようというのであれば、その3つのヒ素の起源が同じであることを証明しただけでは明らかに不十分である。その3つがまったく同じものでなければならない

 弁護団から鑑定結果の再評価を依頼された河合教授がその点を疑問に思い、3つの資料について不純物を含めてより詳細にデータを再評価したところ、そこには大きな差違があることがわかったのだという。

 どうやら問題の本質は中井氏の鑑定そのものにあったわけではなく、検察から依頼された鑑定内容に対する中井氏の解釈と、中井氏の鑑定結果は3つの証拠が同じものであったことを証明しているわけではないにもかかわらず、あたかもそのような報道がなされ、実際に裁判でもそのような解釈が行われていたところにあるようだ。
 和歌山地検から中井氏に送られた鑑定嘱託書には、中国の鉱山で採掘された亜ヒ酸の輸入ルートに沿って1から10まで資料に番号が振られ、その1から10までのヒ素の「異同識別をして欲しいとしか書かれていなかった。これを受けて中井氏は、1から10までのすべてが同じ起源の亜ヒ酸であると判断できるとの鑑定結果を出した。しかし、これは林氏の自宅にあったヒ素と紙コップに付着していたヒ素とカレーに入っていたヒ素が、不純物まで含めてまったく同じの組成を持つものであり、よって林真須美氏がそのコップを使って自宅に保管していたヒ素をカレーに入れたといする仮説を裏付けるものとはなり得ない。河合教授は論文の中で、それらは「別のものであったと結論できる」としている。

 河合教授は8月26日に京都の龍谷大学で開かれたシンポジウムで、鑑定嘱託書に鑑定の目的が書かれていなかったために、中井氏が鑑定すべき内容を誤解してしまったとの見方を示した。何の目的で鑑定を行うかによって鑑定の内容は当然変わってくるからだ。すべてのヒ素が同起源であることを証明するための鑑定と、その中の3つが不純物を含めて全く同じものだったかどうかを確認するための鑑定では、当然鑑定の中身は変わってくる。後者を証明するためには、不純物を含め、より詳細な分析が必要となる。林氏を有罪にするための証拠集めのための鑑定と、無罪の可能性を探るための鑑定の違いと、言い換えることもできるかもしれない。

 長らく自白偏重主義がまかり通ってきた日本の刑事司法の下では、捜査当局は確かな物的証拠の積み上げにより被疑者の犯行を立証する手法に疎いことが次第に明らかになってきている。取調室内で当たり前のように横行する自白の誘導や強要などを隠したいがために、検察は取り調べの全面可視化に頑なに抵抗しているようにも見える。
 今回の事件でも、鑑定結果が林氏の犯行を裏付ける確たる証拠にはならなくても、メディアがそれをもっともらしく報道すれば、被疑者もいずれは自白するだろうし、裁判所も納得してくれるだろうという甘い計算があったのではないか。
 しかし、林氏が最後まで否認を貫いたために、中井氏の鑑定結果の証拠としての有効性が問われる事態となった。ところが、今回の鑑定はあまりにも専門性が高いものだったために、それが林氏の犯行を証明する上で不十分な内容のものであることが、別の専門家である河合教授が再評価をするまでわからなかった。これが今回の問題の顛末ではないか。
 こうなると次なる課題は再審である。安田弁護士は最高裁判決の直後から林氏の裁判の再審を求めているが、今回明らかになったヒ素鑑定の結果を追加した再審補充書を早速提出したという。確かに、今回明らかになった新事実を前にすると、最高裁が判決で述べているような「合理的な疑いを差し挟む余地のない程度に証明されている」と言えるかは非常に疑わしい唯一の物証だった「ヒ素の同一性」が崩れてしまったのだ

 しかし、日本では再審の壁はとても厚い。日本の司法界の構造として、裁判官が検察の訴えを退けてまで無罪判決を下すのには相当な重圧がかかるからだ。
 またこの事件は元々メディアが主導した劇場型事件の性格も有していた。捜査当局が動く前にメディアが林夫妻の自宅を取り囲み、当初から夫妻がカレー事件の犯人であるかのような報道が乱れ飛んでいた。そのため、ここに来て、冤罪の可能性が現実のものとなってきているにもかかわらず、この問題に対するマスメディアの動きは至って鈍い事実上自分たちが犯人に仕立て上げ、最終的に死刑判決まで受けた人物が、実は無罪だったかもしれないというニュースを、その可能性段階で報ずるのは、難しいと見える。
 和歌山カレー事件で死刑判決の決め手となった鑑定結果をめぐり見えてきた日本の刑事司法の根本的な問題点と、今回の問題の中に、遠隔操作ウィルス事件とも共通した「司法と高度技術」の問題が見て取れる点などについて、ジャーナリストの神保哲生の報告を受けて、神保と社会学者の宮台真司が議論した。


関連番組
マル激トーク・オン・ディマンド 第628回(2013年04月27日)
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ニュース・コメンタリー (2013年07月13日)
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●冤罪(その2/2): せめて補償を

2013年02月10日 00時00分15秒 | Weblog


東京新聞の記事(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012111201001653.html)と社説(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012122502000134.html)。CMLに出ていたリンク先の前田朗さんのブログより(http://maeda-akira.blogspot.jp/2013/01/blog-post_8.html)。また、asahi.com(http://www.asahi.com/paper/editorial20130206.html)と東京新聞の社説(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013020802000123.html)。

 飯塚事件久間三千年さんは、冤罪であるにもかかわらず、死刑を執行された。これは、被害者の遺族に対する、何と表現して良いのかわからないが・・・・・・遺族の方たちも複雑な感情を抱いてしまうはずだ。
 どんな背景や力学が働いたのかはそれぞれの事件によって異なるが、布川事件氷見事件東電OL殺害事件志布志事件村木厚子氏冤罪事件足利事件・・・・・・、せめて賠償で報いる以外に方法が無いのではないか。しかし、その扉は当方もなく厚い。
 もちろん、徹底した冤罪の原因解明と再発防止も。「警察は、なぜ捜査を誤ったのか検察は、なぜ捜査・公判で誤りを正せなかったのか裁判所は、なぜ「疑わしきは罰せず」の鉄則を忘れて警察や検察に追随したのか」。

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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012111201001653.html

布川事件で国家賠償請求 再審無罪の桜井さん 
2012年11月12日 13時58分

 1967年に茨城県利根町で男性が殺害された布川事件で、再審無罪が確定した桜井昌司さん(65)が12日、当時の捜査や公判活動で捜査当局に不法行為があったとして、国と茨城県に約1億9千万円の賠償を求める国家賠償請求訴訟を東京地裁に起こした。

 桜井さんは、冤罪が生まれた原因や責任の所在を明らかにし、取り調べの全面可視化や証拠開示を求めていく方針。刑事司法や捜査当局の改革も訴えていく。

 桜井さんと杉山卓男さん(66)は強盗殺人罪などに問われ、78年に最高裁で無期懲役が確定。2010年7月に再審公判が始まり、昨年5月、水戸地裁土浦支部が無罪を言い渡した。

(共同)
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012122502000134.html

【社説】
新しい刑事司法 冤罪防止を最優先に
2012年12月25日

 法制審議会の特別部会は、新時代の刑事司法制度について、年明けから中間取りまとめに入る。取り調べの可視化や全面的な証拠開示などは必須である。冤罪(えんざい)防止の観点を最優先に考えるべきだ。
 「再審無罪が相次いで起きているのは、現在の刑事司法制度が深刻な“病根”を抱えているからに他ならない。 二〇一〇年の足利事件、一一年の布川事件、今年の東京電力の女性社員殺害事件…。三年連続で無期懲役が確定した人が、やり直しの裁判で「無罪」となった
 現代社会で冤罪事件がなくならないのは、重大事態だ。
 “病根”の在りかは、再審裁判の過程などではっきりしている。長時間にわたる密室の取り調べで、捜査員が自白を強要したり、自白をしない限り、身柄を拘束し続ける「人質司法」の捜査手法がまかり通っているからだ。
 裁判で検察側が被告に有利な証拠を隠したりする、現行の証拠開示の在り方にも大きな問題が潜む。とくに布川事件や東電女性殺害事件で、それがはっきりした。
 後者の場合は、被害者の体内に残っていた精液や爪にあった付着物をDNA型鑑定したところ、被告とは別人のものだと判明した。検察は裁判所に促されても「鑑定書はないなどと不誠実な姿勢だったのは非難に値する
 税金を使って、大勢の捜査員を動員し、集めた膨大な証拠は、すべて開示すべきである。全証拠リストも必要で、弁護側はそれを手掛かりに、無罪を訴える被告に有利な証拠を発見しやすくなる。
 取り調べの全面的な録画録音(可視化)は、待ったなしに導入すべきである。しかも、逮捕時からの録画ではなくて、任意で取り調べている段階からの可視化が必要だ。捜査員が自白を強いるのは、任意段階にも起きるからだ。
 四人が誤認逮捕されたパソコンの遠隔操作事件では、警察庁などが「自白の誘導や強要はなかった」とする検証結果を公表した。だが、誤認逮捕された少年は否認したら、少年院に入ると言われた」などと説明したという。こうした水掛け論にしないためにも、可視化は不可欠なのだ。
 米国の刑事裁判は、一審が無罪なら検察官は上訴できない。「疑わしきは被告人の利益にの大原則を徹底するためにも、日本でも導入の可否を真剣に検討してはどうか。「新時代」の名にふさわしい大胆な改革を求める。
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http://maeda-akira.blogspot.jp/2013/01/blog-post_8.html

火曜日, 1月 08, 0025
「下からの司法改革」えん罪原因調査第三者機関設置運動
日弁連えん罪原因究明第三者機関WG編著

『えん罪原因を調査せよ――国会に第三者機関の設置を』
http://www.keisoshobo.co.jp/book/b103234.html

9月に出た本を今頃ようやく読んだ。

<誤判もえん罪も昔の話ではない。警察は、なぜ捜査を誤ったのか検察は、なぜ捜査・公判で誤りを正せなかったのか裁判所は、なぜ「疑わしきは罰せず」の鉄則を忘れて警察や検察に追随したのか。もはや裁判所を聖域にしてはおけない。問題に正面から向き合い、えん罪原因を究明する独立した第三者機関の必要性を多面的に訴える。>

志布志事件、足利事件、東電OL事件などあいつぐ冤罪、大阪地検特捜部の証拠改竄事件などで、日本の捜査の在り方がひどいことが一般の人にも理解され始めた。冤罪原因の検証は日本ではまったく行われてこなかった。東京地検最高検おざなりの調査をしただけである。これではダメということで、福島原発事故と同様に、国会に冤罪原因究明の機関を設置しようという運動と理論の書である。

著者はみな知り合いなので推奨するのも気が引けるが、重要な本だ。

これまで代用監獄廃止、取調べの可視化、取調べへの弁護人立ち会いなどを求めてきた運動の次の課題として、ぜひ実現したいものだ。

「上からの司法改革」ばかり先行する現状に対する、「下からの司法改革」の提起としても重要だ。


目次

はしがき[西嶋勝彦]

特別インタビュー 周防正行監督に聞く
  「僕があまりにもショックを受けた日本の刑事裁判の現状を皆さんに知ってもらいたい」

第1章 “えん罪原因究明第三者機関”を考える――その必要性と要件をめぐって[指宿信]
第2章 えん罪原因の解明から刑事司法の根本的改革へ[小池振一郎]
第3章 日本版「えん罪原因究明第三者機関」はどうあるべきか[泉澤章]
第4章 えん罪原因究明第三者機関設置をめぐる憲法問題[木下和朗]
第5章 米イノセンス・プロジェクトの発展から見た日本の課題[伊藤和子]
第6章 えん罪委員会の役割――誤判の発見、組織的改革またはその両方?
       [ケント・ローチ/倉新喜訳・菊地裕子協力]
第7章 科学的証拠の強化が刑事司法の発展を促す[ピーター・ニューフェルド、
       サラ・チュー/徳永 光訳・菊地裕子協力]

[資料]
1 えん罪原因調査究明委員会の設置を求める意見書
2 えん罪事件一覧表(解説・西嶋勝彦)

執筆者・訳者紹介
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http://www.asahi.com/paper/editorial20130206.html

2013年2月6日(水)付
DNA型管理―法律にもとづき厳格に

 この姿勢は腑(ふ)に落ちない。すみやかに見直す必要がある。
 犯罪の捜査や裁判で、きわめて大きな意味をもつDNA型資料の取りあつかいをめぐる警察当局の対応である。
 採取、保管、利用、抹消などに関する法律をさだめ、捜査に役立てつつ、人権侵害がおきない仕組みをつくるべきだ。そんな声に対し、警察庁は「国家公安委員会規則にしたがって適正に運用しており、法制化の必要はない」と反論している。
 新しい時代の刑事司法のあり方を議論する法制審議会の特別部会でも取りあげられた。
 しかし意見が対立したまま方向性を見いだせず、先日まとまった基本構想では、別途検討すべき課題と仕分けられた。「別途」の場が、いつ、どこにできるのかははっきりしない。
 社会の治安と個人のプライバシーという、一人ひとりにかかわる大切な問題だ。
 国民の代表でつくる国会で議論し、その結論を「法律」という形で内外に明らかにして、民主的コントロールの下におく。
 それが当然のことわりではないか。役所の意向でいかようにもなる「規則」で処理し続けるのは、筋がちがう。
 警察も立法に前向きだというのが、つい最近までのおおかたの受けとめだった。
 国家公安委員長が識者を集めてつくった研究会は、昨年2月に報告書を公表している。そこには「法制化をめぐる議論を踏まえ、DNA型データベースの抜本的な拡充をめざすべきだ」とある。席上、どんな法律が考えられるか、警察側がイメージを例示したこともあった。
 それがなぜ変わったのか。
 考えられるのは、法制化によって手足をしばられるのを避けたいという思いだ。
 いざ議論になれば、採取に裁判所の令状を必要とするか▽データベースに登録する容疑者の範囲をどうするか▽冤罪(えんざい)を証明するため弁護側が利用することを認めるようにするか――などの論点が持ちあがるだろう。
 ほとんどの容疑者が任意で採取に応じている現状のほうが、当局には好都合かもしれない。登録件数は先月末の時点で34万件を超え、規則のもとで順調に「拡充」している。
 だが、外国では法律にもとづく運用が当たり前だ。国を超えた捜査協力がますます必要になる時代に、国際標準に届かないやり方が通用するのか。よくよく考えるべきだろう。
 人々の理解と支持があってこその捜査である。「信じよ。任せよでは立ちゆかない
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013020802000123.html

【社説】
刑事司法改革 冤罪防止策を固めて
2013年2月8日

 新しい刑事司法制度の基本構想が、八日の法制審議会に報告される。冤罪(えんざい)は深刻な人権侵害だ。この反省に立つはずの改革案に、古い発想がにじんでいる。これで冤罪をなくせますかと問いたい。
 法制審の特別部会がまとめた基本構想は取り調べの可視化について、二つの案を出した。
 一つは原則として、被疑者取り調べの全過程録画を義務づけるとした。ただし、対象事件は「裁判員裁判対象事件を念頭に置き、さらに範囲のあり方を検討する」という内容だ。
 もう一つは、可視化の範囲を「取調官の一定の裁量に委ねる」という案だ。
 裁判員対象事件に限ってしまえば、起訴事件の3%にとどまる。厚生労働省の局長・村木厚子さんが巻き込まれた郵便不正事件や、パソコンの遠隔操作事件などは対象外となってしまう。対象は基本的にすべての事件に広げられるべきだ。可視化は捜査の基本だと発想を大逆転してほしい。
 また、録音・録画を取調官の裁量に任せては、違法・不当な取り調べを抑制することは到底、できまい。「裁量」の文字を入れること自体が、捜査機関側の古い体質が読み取れる。論外だ。
 身柄拘束前の任意段階でも、自白の強要などが行われる捜査実態を考えれば、逮捕時からの録画でも遅いほどである。可視化は最重点テーマだけに、捜査側の都合ではなく、冤罪防止の観点に立って考えられるべきである。
 証拠開示については、「検察官が保管する証拠の標目を記載した一覧表を交付する」案が出た。実現すれば前進になるが、「採否も含めた具体的な検討を行う」とのあいまいな表現が付いた。過去の冤罪事件でも、検察による証拠隠しが問題になった。全証拠のリスト開示は不可欠で、さらに全証拠開示に向かってほしい。
 見逃せないのが、共犯者らの情報提供と引き換えに刑を減免する「司法取引」の導入や通信傍受の拡大、さらに盗聴器を仕掛ける会話傍受の導入などの検討である。これらは警察・検察の捜査力を強化させる“道具”である。
 そもそも特別部会は、自白偏重の捜査が冤罪を生んだ経緯から設けられた。基本構想には、この反省が感じられない。仮に可視化などが中途半端な形で終わり、捜査側が新たな“武器”を得ては、本末転倒になる。今後、分科会で具体案が検討されるが、まず冤罪防止策をしっかり固めるべきだ。
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●「疑わしきは罰する」名張毒ぶどう酒事件、あ~っため息が・・・

2012年05月31日 03時37分55秒 | Weblog


東京新聞の記事(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012052502000260.html)と社説(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012052602000131.html)。裁判員制度への過剰な期待らしきものがうかがえる点は残念ですが、優れた社説だと思いました。

 名張毒ぶどう酒冤罪事件の第7次再審請求差戻審で、またしても、名古屋高裁は開きかけた扉をあっさりと閉じてしまった。本当にまじめに新証拠の審査を行っているのか? 奥西勝死刑囚は無実の罪で囚われ、すでに86歳だそうだ。警察や裁判所の罪を糊塗したままで、冤罪は続いていく。

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012052502000260.html

名張毒ぶどう酒事件 奥西死刑囚の再審認めず
2012年5月25日 夕刊

 三重県名張市で一九六一年、農薬入り白ぶどう酒を飲んだ五人が死亡した「名張毒ぶどう酒事件」の第七次再審請求差し戻し審で、名古屋高裁刑事二部(下山保男裁判長)は二十五日午前、弁護側が提出した新証拠は「毒物がニッカリンTではないことを示すほどの証明力はなく、確定判決に合理的な疑いは生じない」として、検察側の異議を認め、奥西勝死刑囚(86)の再審を開始しないと決定した。いったんは再審を開始すると判断した名古屋高裁刑事一部の決定(二〇〇五年)を取り消した。 

 今回の決定により、死刑執行の停止は取り消された。弁護団は決定を不服として五日以内に最高裁に特別抗告する。棄却されれば第八次再審請求も検討するが、奥西死刑囚の年齢から今回が事実上「最後の再審請求」と位置付けている。事件発生から五十一年、再審の扉が開かれるのは相当難しくなった。

 差し戻し審の争点は、毒物が当初の自白通りニッカリンTか否かだった。高裁はニッカリンTを再製造し、最新機器で鑑定した。

 決定は、ニッカリンTなら含まれるはずの副生成物が「エーテル抽出」という工程の後には検出されなかった点を重視した。

 弁護側は、エーテル抽出の前段階では、副生成物が検出されたことから「毒物はニッカリンTではなく別の農薬だ。自白が根底から崩れた」と主張していた。しかし、下山裁判長は、飲み残しのぶどう酒から副生成物が出なかったのは、「(水と化学反応する)加水分解の結果、検出されなかった余地がある」とし、検察側の主張通り「毒物がニッカリンTでなかったとまでは言えない」と認めた。

 ただ「加水分解した」との理由は、検察側も主張していない。それでも下山裁判長は、当時の鑑定は事件から二日が過ぎ、出るはずの副生成物が加水分解してほとんど残らなかった、と推論した。

 奥西死刑囚は逮捕後、全面的に自白を翻したが、下山裁判長は「請求人以外に毒物を混入した者はいないとの判断はいささかも動かず、自白は十分信用できる」と判断した。

 刑事裁判の原則「疑わしきは被告人の利益に」が再審にも適用されるべきだとした最高裁「白鳥決定」(一九七五年)以降、死刑囚の再審が開始されたのは財田川、免田、松山、島田事件の四件。開始決定がいったん取り消された免田事件も含め、いずれも再審で無罪となっている。

 第七次再審請求は、〇五年に名古屋高裁刑事一部が「ニッカリンTを入れたとの自白の信用性に疑問が残る」として再審開始を決定したが、〇六年に高裁二部が取り消し。最高裁は一〇年に「毒物の審理が尽くされていない」として、高裁に審理を差し戻した。

<名張毒ぶどう酒事件> 三重県名張市葛尾の公民館で1961年3月28日夜、地元の生活改善グループの懇親会で、白ぶどう酒を飲んだ女性5人が死亡、12人が中毒症状を訴えた。死亡の5人は奥西チエ子(34)、北浦ヤス子(36)、奥西フミ子(30)、新矢好(25)、中島登代子(36)=敬称略、年齢は当時。奥西勝死刑囚は「妻(チエ子)、愛人(北浦)との三角関係を清算しようと、農薬を入れた」と自白し、翌月3日、殺人容疑で逮捕された。その後、否認、自白を繰り返し、公判では完全否認した。
 64年の津地裁は無罪、69年の名古屋高裁は死刑。一審無罪から二審の逆転死刑は前例がなかった。72年、最高裁が上告を棄却し、死刑が確定した
 確定判決では、奥西死刑囚は公民館で1人になった10分間にぶどう酒のふた(王冠)を歯で開け、茶畑で使うために買ってあった農薬「ニッカリンT」を混入したとされた。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012052602000131.html

【社説】
名張毒ぶどう酒事件 再審認めず 疑わしきは罰するなのか
2012年5月26日

 名張毒ぶどう酒事件の再審を認めなかった決定には、深い疑問が残る。証拠を並べてなお分からないのなら、推定無罪の原則に従うべきではないか。
 奥西勝死刑囚を最初に裁いたのは津地裁だった。
 裁判員になって法廷にのぞんだつもりで証拠を見てみると、こんなふうになる。

裁判員の目で見れば
 ▽ぶどう酒の王冠に付いた歯形は、鑑定では誰のものかはっきり分からない。
 ▽その王冠自体、事件当時のものとは違うらしい。
 ▽農薬を混入する機会は、奥西死刑囚以外の人にもあった。
 ▽「自白」はある。動機は妻と愛人の三角関係を清算するためという(その後、全面否認)。
 ▽自白にあった、農薬を入れてきた竹筒は見つかっていない。

 証拠をこうしてずらりと並べてみると、裁判員はその中身の乏しさ、あいまいさに、もちろん気づくだろう。
 いくら、捜査段階の詳細な「自白」があろうとも、有罪にはできまい。
 合理性をもって、彼以外に真犯人はありえないとは言えない。ましてや、死刑事件でもある。一審の津地裁は、当然ながら無罪判決を下した
 捜査が甘かったのである。当時は、まだ自白が「証拠の女王」などと呼ばれていた。自白は極めて重視されていた。
 だが、二審の名古屋高裁は一転、有罪とした。王冠について新たな鑑定をしたが決定的な知見はなく、一審とほぼ同じ証拠を見て、有罪とした
 迷走の始まりである。
 死刑囚は判決の前の日、前祝いの赤飯を食べた。家庭で最後に口にした母親の手料理となった。
 死刑囚はひとりぼっちで再審の請求を繰り返した。途中からは弁護団もでき、七度目に名古屋高裁は再審の開始を認めた
 毒物について、自供したニッカリンTではなかった疑いがあるとした。何と、凶器が違っていたかもしれない、ということだ。
 裁判を見直す大きなチャンスだった。しかし、扉はまた閉じられた。同じ高裁の別の部が、同じ証拠を見て検察の異議を認めた

冤罪生む自白の偏重
 事件から四十六年もたって、裁判は最高裁にもちこまれた。だが自ら判断せず、農薬について「科学的な検討をしたとはいえない」と言って、高裁にさし戻した。
 そして、再審を開始しないという昨日の決定となる。「毒物はニッカリンTでなかったとまでは言えない」とし、検察の主張を支持した。
 死刑判決以降の裁判を振り返ると、検察側の物証を弁護側が何度崩そうとしても、裁判所は結局、有罪としてきた。頼りにしたのは、いつも「自白」である。
 だが、自白の偏重が数々の冤罪(えんざい)を生んできたのは、苦い歴史の教えるところだ
 刑事裁判では、検察が有罪を証明できないかぎり、無罪となる。裁く立場からみれば、「疑わしきは被告人の利益にという刑事裁判の鉄則である。
 昨日の高裁の決定は、弁護側が出した証拠では検察の主張を崩せないという論法である。検察が主張していないことまで裁判官が推論し、有罪とする根拠を補強している。
 これでは、まるで「疑わしきは罰する」になってはいないか
 最高裁は再審でも「疑わしきは被告人の利益に」の原則があてはまると言っている(白鳥決定)。それなのに、反対の考え方で再審の扉を閉ざしたように映る。
 裁判員裁判の時代である。取り調べの可視化や、全面的な証拠の開示の必要性が叫ばれている。それは、これまでの誤った裁判の反省から出ているものである。
 今回の決定は、そうした時代の要請に逆行している。毒ぶどう酒事件から半世紀余。「自白」の偏重は一体いつまで続くのか。今の基準で考え直せないか。
 弁護団は特別抗告する。最高裁は今度こそ自判すべきである
 死刑囚は八十六歳。冤罪が強く疑われた帝銀事件の平沢貞通画伯のように、獄中死させることがあってはならない。

司法も裁かれている
 私たちメディアも反省すべきことがある。自白偏重の捜査取材に寄りかかった当時の犯罪報道だ。犯人視しない報道への努力は、不断に続けているが、奥西死刑囚を犯人視して報じたという事実は消せない。
 奥西死刑囚の獄中生活は、確定囚で二番目に長い。もしも死刑判決が冤罪であったのなら、それは国家の犯罪というほかはない。奥西死刑囚だけでなく、司法もまた裁かれていると考える。
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●強大な氷山の一角としての冤罪発覚

2011年12月11日 01時22分28秒 | Weblog


CMLの記事の抜粋(http://list.jca.apc.org/public/cml/2011-November/013265.html)。さらにそれに関連した、同所からの2つの記事の抜粋(http://list.jca.apc.org/public/cml/2011-November/013267.htmlhttp://list.jca.apc.org/public/cml/2011-November/013269.html)。
 また、asahi.comから、布川事件支援団体の受賞の記事(http://www.asahi.com/national/update/1202/TKY201112020124.html)。

 犯人でもないのになぜ自白するのかとついつい思いがち。『冤罪ファイル』を見れば、警察の誘導や脅しで、やってもいないことを自白することはあり得ることが理解できる。名張毒ぶどう酒事件の冤罪発生から50年である。奥西勝さんは40年以上無実の罪で囚われたままだ。折角の再審開始にこぎつけたのに、その後も酷い経過。ということは、警察や検察と同様に、裁判官が無能か「悪(わる)」かだ。
 氷山の一角で、幸運にも冤罪をはらし得た人は、更にわずか。死刑にされた飯塚事件久間三千年さんのような例まである始末。冤罪の根は警察か、検察か、裁判官か、それともその全員か?

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http://list.jca.apc.org/public/cml/2011-November/013265.html

[CML 013405] 【イベントのご案内】なぜ、無実の人が『自白』をしてしまうのか~取調べの全過程の録画が必要なワケ~

・・・・・・
2011 11 29 () 10:45:02 JST

みなさま

 いつもお世話になっております。監獄人権センターの松浦です。取調べの可視化に関するイベントのご案内をお送りいたします。よろしくお願いいたします。

***
【転送転載・歓迎】

□■□ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                        127日(水)

                取調べの可視化を求める市民集会
       なぜ、無実の人が『自白』をしてしまうのか
             ~取調べの全過程の録画が必要なワケ~
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相次ぐ冤罪事件の無罪判決により、捜査機関の密室での無理な取調べが明らかになっています。取調べの可視化を導入すべきという声は高まっていますが、依然として、取調べの全過程の録画によって取調べの機能が低下し、供述を得にくくなるといった主張が捜査機関を中心に根強くあります。また、「罪を犯していないのに自白するわけがない」という意見も、いまだによく聞かれます。

今回は、自白の心理を研究し、『証言の心理学』(中公新書)の著者である高木広太郎さん、布川事件の冤罪被害者であるの桜井昌司さんなどをお招きし、無実の人が自白する過程や背景を考えながら議論していきます。ふるってご参加ください。

日時: 127日(水) 19:0020:30 (開場 18:30
会場: 弁護士会館2階講堂クレオ
     http://www.nichibenren.or.jp/jfba_info/organization/map.html
    東京都千代田区霞が関1-1-3

    地下鉄丸の内/日比谷/千代田線「霞が関」駅 B1-b 徒歩1
    地下鉄有楽町線 「桜田門」駅(5番) 徒歩8
参加費:無料(事前申し込み不要)

□■□ プログラム ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

(1)
基調講演「自白の心理学-なぜ無実の人が『自白』をしてしまうのか」

  講師:高木光太郎さん(青山学院大学教授、法心理学)

(2) パネルディスカッション「取調べの可視化(全過程の録画)が必要なワケ」
  パネリスト
   高木光太郎さん
   桜井昌司さん(布川事件 冤罪被害者)
   青木和子さん(弁護士/布川事件弁護団/
          法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会委員)
   小坂井久さん(弁護士/法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会幹事)
  コーディネーター
   若林秀樹 氏(アムネスティ・インターナショナル日本事務局長)

主催:取調べの可視化を求める市民団体連絡会
【呼びかけ団体】アムネスティ・インターナショナル日本/監獄人権センター
            日本国民救援会/ヒューマンライツ・ナウ
【構成団体】国際人権活動日本委員会/社団法人自由人権協会/人権と報道・連絡会
        菅家さんを支える会・栃木/富山(氷見)冤罪国賠を支える会
        フォーラム平和・人権・環境/名張毒ぶどう酒事件全国ネットワーク
        袴田巖さんの再審を求める会/袴田巌さんを救援する清水・静岡市民の会
        布川事件・桜井さん、杉山さんを守る会/無実のゴビンダさんを支える会
        無実の死刑囚・袴田巌さんを救う会

共催:日本弁護士連合会
共催予定:東京弁護士会/第一東京弁護士会/第二東京弁護士会
……………………………………………………………………………………………………

【お問合せ】
アムネスティ・インターナショナル日本    tel: 03-3518-6777
監獄人権センター                        tel: 03-5379-5055
日本国民救援会                  tel: 03-5842-5842
--

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特定非営利活動法人 監獄人権センター
事務局 松浦亮輔
Email : cpr at dolphin.ocn.ne.jp
Tel&Fax: 03-5379-5055

ホームページをリニューアルしました!
URL:http://www.cpr.jca.apc.org
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http://list.jca.apc.org/public/cml/2011-November/013267.html

・・・・・・
救援連絡センター kyuen at livedoor.com
2011
11 29 () 14:47:47 JST

救援連絡センターの・・・・・・です。「救援」などでも「可視化」を巡る危うさを訴えていますが、警察庁や法務省は「可視化」と引き替えに新たな捜査手法の検討に入り、すでに法制審も動き出し、日弁連の取り込みに入っています。「可視化」をするなら「自白偏重」の警察のこれまでの捜査方法を改めて、もっと証拠収集をやりやすくしなければ、治安対策が遅れるとして、これまでは人権侵害の恐れがあるとして取り上げられてこなかった、司法取引やおとり捜査、黙秘権制限などのあらゆる捜査手法が一気に実行されようとしています。すでに法制定なしに「GPS装着」や「DNA採取」などが現場では実践されています。「可視化」に反対ではありませんが、陪審員制度を要求する運動を逆手にとって、裁判員制度が作られたように、国家は我々の要求を利用して、より治安弾圧強化をねらってくることを阻止しなければもっと危険な状況になると思います。
・・・・・・。
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http://list.jca.apc.org/public/cml/2011-November/013269.html

・・・・・・
2011 11 29 () 17:06:03 JST

前田 朗 です。
11月29日

「検察改革は 何をどう反省したのか」救援510号(2011年10月)を私のブログにアップしました。

     http://maeda-akira.blogspot.com/2011/11/blog-post_28.html

取調べの可視 化は必要です。重要です。
しかし、現在 の可視化論には疑問もあります。

第1に、取調 べの可視化だけに焦点を絞り、代用監獄その他の問題を隠蔽しています。取調べの可視化によって重大人権侵害はなくなりません。

第2に、検察 が主導している取調べの可視化は、警察による無法な取り調べの規制につながりません。現在主張されている取調べの可視化によって冤罪はなくなりません

第3に、検察 改革で進められているのは、取調べの可視化とバーター取引の検察権限の拡大です。現在主張されている取調べの可視化論によって、人権侵害はむしろ増える懸念すらあります。同様に、冤罪も形態を変えるだけに終わる懸があります。

・・・・・・。================================================================================

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http://www.asahi.com/national/update/1202/TKY201112020124.html

20111221656
再審無罪確定の布川事件支援団体に人権賞 東京弁護士会

 東京弁護士会は1日、優れた人権擁護活動をした団体に贈る「第26回人権賞」に、再審無罪が確定した布川事件の支援団体などを選んだと発表した。

 受賞するのは「布川事件桜井昌司さん杉山卓男さんを守る会」(事務局・東京)と、虐待被害にあった子どもらが避難するシェルターを民間で初めてつくった社会福祉法人「カリヨン子どもセンター」(同)。

 「守る会」は1976年に設立。今年5月に無罪判決を得るまで、犯人扱いされた桜井昌司さん(64)と杉山卓男さん(65)のため、裁判所への要請や署名活動を続けた。「カリヨン」は2004年からシェルターで子どもに衣食住を提供し、自立に向けた支援をしている。これまで190人以上の子どもが利用した。

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●自白偏重

2010年10月30日 01時19分00秒 | Weblog

今日もasahi.comの記事(その1)です。ムチャクチャです。

 よく言われるように、証拠もなく、こういった自白偏重が冤罪の温床になっているようです。最近の大阪高検大阪地検での不祥事の教訓が、大阪府警では全く生かされていないのではないでしょうか。
 証拠がなく、かつ、自白がなくても、ましてや動機が不明でも、死刑判決を出す恐ろしい国ですから・・・。無罪推定など一切無視。実際に死刑にされてしまった哀しい殺人例もありますし。たまりません。

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【http://www.asahi.com/national/update/1026/OSK201010260154.html】
【http://www.asahi.com/national/update/1026/OSK201010260154_01.html】

脅迫的取り調べ、録音で判明 大阪府警、いす蹴り大声
  2010年10月27日9時10分

 大阪府警東署員による脅迫的な取り調べをICレコーダーで録音していた30代の男性が朝日新聞の取材に応じ、暴言を浴びせられた時の恐怖や強引に自白を迫られた様子を語った。男性は取り調べ後に体重が6、7キロ落ち、夜は捜査員の怒声がよみがえって眠れない日もあるという。
 取材には代理人の森直也弁護士らが立ち会い、約3時間の録音を再生しながら当時の取り調べ状況をたどった。
 東署刑事課の警部補(34)と巡査部長(31)が、システムエンジニアとして働く男性の会社に来たのは9月3日午後1時半。警察が社員を調べていることは数日前から知っていたが身に覚えはなく、自分も調べを受けるかもと思ってICレコーダーをズボンのポケットに入れていた。
 会社の駐車場に止めた車の後部座席で警部補は黙秘権も伝えず、「家もガサ行くぞ」「出せよ、お前、財布。出せ! 出せ! 出せ! なめんなよ」とすごんだ
 容疑は、大阪府内の女性が昨年12月に出勤途中に落とした財布を着服したとする遺失物等横領で、男性は女性と同じ駅を利用していた。反論しようとしたが、「お前の意見を聞きにきたんちゃうわ」「人生むちゃくちゃにしたるわ」と怒鳴られた
 約1時間後、大阪市中央区の東署の取調室に連れて行かれた。警部補は自分の家族を引き合いに出し、「4人目も生まれるねん。こうした生活の基盤がなくなったらむちゃくちゃやん」と自白を促した。幼稚園児の長女の笑顔、マンションのローン……。すべてが壊れてしまうと思うと、恐ろしくなった。
 否認する男性に、警部補は「手出さへんと思ったら大間違いやぞと大声を出し、パイプいすをけった。調べが始まってから約3時間後、録音に気づいた警部補は急に穏やかな口調で「信じてるよ」と握手を求めたという。
 東署を出たのは午後9時すぎ。調べの間、恐怖でトイレにも行けなかった。自宅への電車で悔しさと情けなさがこみ上げ、乗客の目もはばからずに泣いた。残っていた録音をもとに弁護士に相談し、警部補らを特別公務員暴行陵虐と録音を消させようとした証拠隠滅の容疑で大阪地検に告訴。25日に受理された。
 「冷静に話を聞いてほしかった。すごい圧力で本当に怖かった」。こう語る男性に対し、東署からの連絡はその後ないという。
 一方、府警によると、警部補らは男性への暴言を認めているが、暴力的な行為は否定しているという。当時の取り調べ状況の調査と、遺失物等横領事件の捜査を続けているとしている。(板橋洋佳、野上英文)
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