「名古屋旅行記(その4)」のつづきもトヨタ産業技術記念館の見聞録です。
「その4」に引き続いて、糸を紡ぐ機械、紡績機の話から始めましょう。
私、学生時代は日本経済史のゼミに所属しておりまして、明治期の日本経済のことなんぞをちょいとだけ深め(あくまでも相対的)に勉強したのですが、その中で「ガラ紡」ということばに出会いました。
「ガラ紡」というのは、こちらのサイトから引用しますと、
操作中にガラガラと音を出すことから「ガラ紡」と呼ばれました。その仕組みは、手回しのハンドルを回転させると綿筒と糸巻が同時に回転し、綿筒の中の綿が撚りをかけられ、糸となって糸巻きに巻き取られるというもので、それまでの糸車による糸紡ぎから数十倍に生産力を高める画期的な発明でした。
というもので、その現物が動いていました
ホントにガラガラとやかましい
でも、トヨタ産業技術記念館の繊維機械館の中では、このガラ紡のほか、いろいろな繊維機械が動いていますので、こんなのでひるんでいては先に進めません。
さて、採取されたコットンボールから綿糸になるまでの一連の工程をこなす機械がデカかった
まず、コットンボールをほぐして、種の皮やゴミを取り除き、
梳(くしけず)って、繊維の方向を整えて、
紐状にします。
この肌触りの良さときたらもう
そして、この紐状の綿を、うどんを啜るように機械が吸い込むと、、、、
凄いスピードで糸が紡がれていきます
ふとべつやくれいさんのイラストを思い出したりして…
それはさておき、「その4」で紹介した紡車は、操る人の技能に頼る道具だったのに対して、こちらは「誰が操作しても同じ品質の製品が作れる」機械です。
いまさらながら、産業の主役が道具から機械に変わったことが、いわゆる「産業革命」だったのだなぁと、感慨にふけった私でございました。
そして、こちらの紡績機ときたら、形といい、色といい、完全に現代
様々な太さの綿糸を、数十年前までは信じられないほど 均質に紡げるんだろうなと想像します。
でも、最新式の紡績機で紡いだ糸で、ガラ紡で紡いだ糸で織ったこんな風合いの布を織れるものだろうか?
いやいや、現代の技術なら、「ゆらぎ」を織り込んで、不均一な太さの糸を紡ぐことなんか簡単にできるかもしれません
人類の進歩に感じ入ると同時に、ちょいと寂しい感覚が浮かび上がることを抑えることができませんでした。
でも、でも、人の技能って、どれだけ技術が発達しても、廃れることは絶対にないとも思っています。
例えば、産業用ロボット。
写真は「自動車館」で見たノスタルジーを感じさせる数十年前のロボットなんですが、ロボットが完全に人に取って代われるかといいますと、そんなことは無いんですな。
ロボットに、どのような動きをすればよいのか、教えるのは人。
やはり、人を含めて、生物って凄いんですよねぇ~。
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