「『かはごえ』素敵な街でした(小江戸編)」のつづきです。
蔵造りの町並み(一番街)にある建物は蔵造りだけではありません。
通りで一番の偉容を誇るのが、1918年(大正7年)に旧・八十五銀行の本店として建てられたこちらの建物
国から登録有形文化財の指定を受けていて、国指定文化財等データベースにも載っています。ところが、このサイトでは、建物の名称が「あさひ銀行川越支店(旧八十五銀行本店本館)」となっています。名称変更は文化庁が勝手にできる(やれる)ものなのか、所有者が届け出なければならないのか、はたまた第三者機関の諮問みたいなものが必要なのか判りませんが、正確には「埼玉りそな銀行川越支店(旧あさひ銀行川越支店[指定時]、旧八十五銀行本店本館[竣工時])」でしょうな。かなりくどい…
さて、この建物を設計したのは保岡勝也さんという建築家で、すぐ近くには保岡さんの遺作も残っていました。
1936年(昭和11年)竣工の旧山吉(やまきち)デパートです。戦後に丸木百貨店(現在の丸広百貨店)の店舗となり、さらにキャバレー、パチンコ屋、駐車場と用途が変わったのだそうな。
そして、2006年から復元及び耐震補強工事が行われ、2008年にリニューアルオープン
よくぞ生き残ってくださいました…
お隣の建物もステキ
1915年(大正4年)竣工といいますから、旧八十五銀行本店よりも古い
川越市指定文化財の「田中家住宅」(住宅には見えませぬ)です。
この建物には、カフェ(カフェ エレバート)が入っています。見かけはちょっと変わった西洋風ながら、内部は蔵造りなのだそうで、かなり興味津々でしたが、、、「準備中」でした(まだ9:54)。
ここの2階は、ちょっと前まで「田中屋美術館」として、川越ゆかりの小村雪岱(わおっ)や岩崎勝平の作品が展示されていたそうですが、3年前に閉館された由。
そういえば、2009年12月~2010年2月に埼玉県立近代美術館(MOMAS)で開催された企画展「小村雪岱とその時代」には「田中屋コレクション」が大量に出展されていましたっけ(大興奮の記事はこちらとこちら)。
蔵造りの町並み(一番街)を更に南に下り、ふと視線を左に向けると、おぉ と、ついつい足がそちらに向いてしまいました。
そこに建っていたのは、「いかにも銀行」なこちらの建物
「川越商工会議所」の看板が掛かっていますが、私の見立てどおり、もとは武州銀行川越支店として1927年(昭和2年)に竣工した建物でした。
設計は前田健二郎さん(来月、前田さんが設計に携わった京都市美術館に行くつもりデス)。
ちなみに武州銀行川越支店には、フランス文学者・澁澤龍彦さんの父上が支店長として務めていたことがあるそうな。
さて、蔵造りの町並み(一番街)に戻ろうかと思ったところ、商工会議所の横に郵便ポストと並んで道標が立てられていることに気づきました。
見ると、蔵造りの町並み(一番街)と並行するこの道が「大正浪漫夢通り」という名前ですと
こりゃ、歩いてみるしかありますまい
さっそく、商工会議所の隣りにトキメキ物件が
手芸店の山久さんです。
1階部分だけ見たら、普通の手芸店ですが、2階の窓が浪漫しています
この「大正浪漫夢通り」、商店街の皆さんがHPも立ち上げてがんばっていらっしゃいます。
HPの「大正浪漫夢通りの歴史」を見ますと、商店街の人たちが力を合わせて、「銀座商店街」という名前といいアーケードといい、どこにでもありそうな商店街を、川越にしかない商店街に変えてきたことがひしひしと感じられます。
アーケードが撤去されて(アーケード街って、しもた屋ができると、そこから無が発散していく気がします)開放感が広がるし、蔵造りの町並み同様に電線が地中化されて気分爽快です。
私が出かけた2月13日のように天気が良ければ、もう最高
ちょっと先を急ぎましょう。
手前から伊勢源さん(酒屋)、小川菊さん(うなぎ)、伊勢亀さん(?)の三連発はよりどりみどりの様式で楽しい
伊勢亀さん(何屋さんなのだろうか…)の建物がよく見えませんのでもう1枚
つづいて、手前からいせやさん(和菓子)とシマノコーヒー大正館さん(喫茶店)、謙受堂さん(書店)。
ここまで来て、私はようやく朝食にありつけました(時刻はちょうど10:00)。
シマノコーヒー大正館さんで「モーニングセット(ヤキサンド) 650円」をいただきました。
「ヤキサンド」というのはいわゆるホットサンドで、「ハムチーズ」「ツナ」「ポテト」から選べるようになっていました。私は「ツナ」を選択したのですが、オーダーしたあとに気づきました。これで2月11~13日の3連休、朝食はすべてツナトースト系…
前2日は自作のツナスプレッドでトーストを食べました。ツナ缶1個とキュウリ1/2本、タマネギ1/4個で2日分のツナスプレッドが作れるもので、2日で食パン1斤をいただきました。
私、ツナが好きですから、別に問題はないのですが、オーダー直後にちょっと後悔しました、ハムチーズを頼めばよかったと…。
でも、ツナのヤキトーストは美味しかったですよ
お店の内装も、店員さんの服装も大正浪漫炸裂で、雰囲気満点でした。
ゆで卵は、卵が新しすぎたのか、殻を剥きにくかった…
こちらは大正浪漫夢通りのトリ、大野屋さん(洋品店)。
この角を右折して蔵造りの町並み(一番街)に戻ることにしました。
この通り(立門前[たつもんぜん]通り)はちょいと寂れた感じ。営業中のお店もありましたが、
しもた屋が目につきますし、
極めつきはこちら
明らかに映画館(だった建物)です
調査の結果、この建物は戦前に建てられた劇場(映画館)で、鶴川座として日本映画の全盛期を過ごし、映画館としての最後はにっかつ系の川越プラザ劇場として迎えたことが判明しました。
う~む、こちらもロマン系でしたか…。
それだけなく、2009年9月~2010年10月にかけて放映されたテレビドラマ「仮面ライダーW」で、主人公たちの活動拠点が2階にあるビリヤード場としてロケに使われたんだとか。
まだ完全に命脈が尽きたわけではなさそうです。
ちょっとお化粧すれば、通り丸ごとロケに使えそうですぞ
ちなみに、建物上部にドーム状の部分がありますが、実際はただの板に窓の絵が描かれているだけの飾りです。いいですなぁ~、外連味たっぷり
ということで、川越へお出かけの節は、蔵造りの町並み(一番街)だけでなく、大正浪漫夢通り、そして立門前通りもお忘れなく
つづき:2011/02/27 「かはごえ」は素敵な街でした(寺&教会編)