OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

偽り無しのダブルダイナマイト!

2011-06-20 16:36:05 | Soul

Hold On, I'm Comin' c/w Soul Man / Sam & Dave (Atlnatic / 日本グラモフォン)


洋楽史的には1960年代の黒人音楽、つまりR&Bも立派に流行っていたと思われがちですが、実はアメリカにおいては未だ人種差別の壁があった所為で、所謂ヒットチャートに入るほど売れた歌手やグループは数えるほどなのが実態でしょう。

まあ、このあたりは様々な事象に対する一般的な通念が、白人と黒人では根本から異なっていたのですから、ある程度は納得出来るんですが、何故か我国でも昭和40年代初め頃までは、それほどイノセントな黒人音楽が流行っていたという印象がサイケおやじにはありません。

それがモダンジャズでは黒人物がウケまくっていた現実とは、何故か遊離しているのも不思議……。

しかし昭和43(1968)年頃になると、それが一変!

ラジオからも本格的な黒人の歌がピンピンに流れて来ましたし、何よりも当時最高潮のGSブームで登場した様々なバンドが、そういうコピー&カパーを演じていたことも大きかったと思います。

ちなみにサイケおやじにしても、黒人R&Bやブルースに関しては、ビートルズやストーンズ等々の英国ビートグループやアメリカのガレージ系バンドを経由して、それなりに親しんでいたつもりだったんですが、やはり本物を聴いてしまえば、あとはそっちに夢中!

例えば本日ご紹介のサム&デイヴは、通称ダブルダイナマイトと呼ばれた黒人男性デュオの最高峰で、その豪気なソウル魂と心に染みる真っ黒な泣き節は魅力絶大でした。

そして特に人気があったのが、このシングル盤A面収録の「Hold On, I'm Comin'」でしょう。

本国アメリカでは1966年春から秋にかけてチャートのトップに輝く大ヒットを記録した名曲名唱である事は、ダイナミックで完璧なサウンドプロデュースを得た2人の熱いシャウト合戦に顕著で、実は日本ばかりではなく、世界中のバンドや歌手も盛んにコピーしていましたが、そのほとんどは失礼ながらイモ丸出し!?

それほどサム&デイヴの凄さは絶品の仕上がりで、イントロからズッシリ重いリズムとビートにキャッチーなホーンリフを従えたサム&デイヴの粘っこい歌い回しは、時にエキセントリックな絶叫や掛け声も交えながら、実に熱血なソウルの世界を現出させるのですから、サイケおやじはラジオで初めて聴いた昭和43(1968)年の春休み前に絶対レコードを買う決心をさせられたほどです。

そして実際に入手し、B面を聴いて、これまた絶句!

ご存じのとおり、カップリングされた「Soul Man」もサム&デイヴの代表曲にして、アメリカでは1967年秋からの大ヒットになっていたんですから、本来はこっちがA面扱いでも全く問題無いはずなんですよねぇ~~♪

個人的にはイントロの軽いギターが重いビートを牽引していくノリが大好きで、もちろんサム&デイヴの歌も抜群のリズム感とソウルフィーリングに満ちていますから、むしろB面ばっかり聴いていた時期もあったほどです。

う~ん、それにしても凄い贅沢な抱き合わせのシングル盤ですよねぇ~~♪

文字通り、ダブルダイナマイトとは、この事ですよっ!

で、書き遅れていましたが、サム&デイヴはサム・ムーアとデイヴ・プレイターの2人組として、マイアミ周辺で活動していたのが下積み時代だったようです。当然ながら、弱小レーベルへの吹き込みもしていたわけですが、前述した「Hold On, I'm Comin'」で大ブレイクした時にはアトランティックと契約中でありながら、制作主体は南部のスタックスレコードという業界の不思議な目論見が微妙なところでしょうか?

ただしデュオチームの定型として、サムが高音パートを歌い、一方のデイヴが中低域を担当するという固定観念が、スタックスで作られた諸作では曲によってリードを歌う部分が柔軟に解釈されているように思います。

つまり、売れなかった時代の音源よりは、ずっと自由度が増したソウル性感度が素晴らしく、それは当時のスタッフだったアイザック・ヘイズとデイヴ・ポーターの曲作りやプロデュースがあればこそっ! 同時にブッカーT&MGs の面々の中心とする伴奏バンドの力量も聴き逃せないところでしょう。

ということで、今にして思えば、このシングル盤収録の2曲がヒットした事で、ようやく我国にも本格的なR&Bが聴ける状況が出来たように感じています。

そして夏前にはオーティス・レディングの「The Dog Of The Bay」がメガヒットする布石になったんじゃないでしょうか。

ただし個人的には誤解を招く発言になるかもしれませんが、こうした黒人R&Bをロックと同じ感覚で聴いていたのも、また事実だったんですよ。

そのあたりが如何にも昭和40年代の雰囲気ということで、ご理解願えれば幸いでございます。

コメント (4)
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