昨日書いたカウント・ベイシー楽団は、ジャズではデューク・エリントン楽団と並び称される人気ビックバンドで、1930年代から名演・名盤数知れずという存在ですが、彼等の音楽を聴くことは、バンドのギタリストであるフレディ・グリーンを聴くことに他ならないと、私は思います。
フレディ・グリーンはもちろん黒人で、使っているギターはエレキのフルアコからピックアップを取り外して、アコギとして使っているんですが、その音のボリュームたるや、PAをほとんど通さないにもかかわらず、大ホールの最後尾座席にいてさえ、はっきりとそのカッティングが聴こえるほどです。
その秘密は、極太弦を弦高を高くして強く張るという独自のセッティングで、他のギタリストではとても弾きこなせないものです。
おまけにリストが凄く強いピッキングとカッティングが強烈です。またギターの抱え方が膝の上にほとんど平行に構えるという、これも独自のスタイルです。
ちなみにフレディ・グリーンはソロはほとんどとらず、リズム専門ですが、そのジャストビートのカッティングが強烈なスイング感を生み出しています。カウント・ベイシー楽団のメンバーは、各々がリーダー盤を出している実力者ばかりですが、全ての演奏者はフレディ・グリーンを聞きながら演奏するように指示されているそうです。
それぐらい、絶対的なスイング感がある人で、当然、ファンはそこが分かっているので、一番の人気者、生でもレコードでも、フルバンなのにしっかり聴こえるそのリズム・ギターは、虜になると止められません。そしてそこで生まれる強烈なグループは、後のファンキー・グルーヴの源流ではないでしょうか?
ということで、本日のBGMは――
■Count Basie In London (Verve)
実際にはロンドンではなく、スウェーデンでのライブ盤です。録音は1956年9月、通称アトミック・バンドと呼ばれていた全盛期の演奏ですから、悪いはずもなく、ド頭からケツまでシビレさせてくれます。
もちろんフレディ・グリーンのリズム・ギターは全開♪ 強烈なリズムががっちりと根底にあるので、バンドは白熱のグルーヴを撒き散らしています。生ギターですよ、生ギター! それでこの音、このリズム、フレディ・グリーンは天才です。
皆様には、ぜひとも聴いていただきたいギタリストです。
私は2回ライブに接していますが、本当にぶっ飛びました♪