この方は、昨日、夕食で立ち寄った馴染みの宿の野外レストランで知り合ったルイスさんで、私がGL1800で来た時に、私の方を見て、親指を上に立て満面の笑みを浮かべたので、「もしかして」と思ったのですが、なんと、ゴールドウイング一筋33年の大ベテランでした。
今年62歳、4気筒1000ccのカウル無しの頃に大枚をはたいて後付けのフルカウル仕様にして乗り回していたそうです。当時は、シートの座面より、両手のひらを縦に並べたものより高い位置にトップケースが鎮座する事が許されず、車検を通すために、トップケース内に手で回るナットを取り付けて、「道具なして手でとれる箱は単なる荷物である」との言い訳して、皆さん車検に合格していたそうです。70年代後半から80年代前半までは、そんな議論がそこここであったとか。
初期型はフレームがエンジンに負けていて、高速になると車体がグニャグニャしてコントロールし難かったという話です。GL1500になってからは、それまでの欠点すべてが改善され、一昨年(61歳)迄乗っていたと言う事で、その写真は彼の財布の中にありました。1年前に「体力の衰え」を感じて、ハンブルグの人に eBay で売ってしまったそうです。「歳を取ると楽をしたくなるんだよ」と彼は少し淋しそうに笑っていました。二人乗りを楽しんできた奥さんもその場に居ましたが、同意見なようでした。
「何故、GLなの?ハーレーではないの?」の愚問に、「ハーレーもホンダのGLもそれそれ一文化を築いている、自分はツーリングの2回に1回の割でタクシーで帰りたくなかったからGLにしたんだ」との事で、ハーレーからGLに移った人は何人も知っているが、特にGL1500からハーレーに行く人はいないだろう、とも言っておられました。雰囲気も大切だが、品質も同じ位に大切な物と言うことらしいです。彼のGL1500は20万キロ近くをエンジンのオーバーホールも必要なく、タイヤとブレーキシューを頻繁に取り替えた他は、ほぼノントラブルだったとの事です。
1年前、こっそりとGL1500を手放した直後に、GL仲間から緊急の電話が入って、「おい、おまえのGLがハンブルグで走っていたぞ、盗まれていないか?」と言われたそうです。「誰のGLも独特で違う。どれが誰のGLか、結構、見た瞬間に分かるんだよ」と言うことらしいです。
GL文化、大変に奥深いものがあります。