ZZR1400GTR's Tagebuch(日記)

主に独逸・墺太利・瑞西・南チロルの欧州事情を発信。

あるライダーの無念

2011-07-07 17:52:27 | ZZR1400
これはあるライダーが経営する山村のホテル兼レストランの入り口脇に置いてあった人形です。私はここの経営者を知っている御仁と昼飯に寄ったのですが、一緒のライダーは二度ほどここに仲間と泊ったことがある、という緩い関係でした。せいせい食べた後で、彼とその経営者が外で立ち話をしていたのを脇で聞いていた所、以下のような内容でした。

彼: どうなの、最近乗ってるバイク?
経営者: 全然ダメになっちゃったの。1年前に大病してから力が抜けてしまったような感じで...
彼: そういえば前に来たのは3年くらい前だったね。そー、乗れなくなっちゃたのか~。
経営者: ま、生きていられるだけ幸せだと思わなくっちゃね。
彼: うん、そうだね。

この会話に、「またいつか乗れるようになるさ」 のような慰めの言葉は一切ありませんでした。それは、彼が経営者の「全然ダメに ...」 の言葉を重く受け止めているからです。ドイツでは普通です。それに、「大病って?」 のような質問も無しでした。ある種の思いやりだったと思います。

私は脇で聞いていただけで、しかしその経営者の表情に言葉に出ない 「無念」 な想いが読み取れて、「胸がキューっとした」 のでした。簡単な 「同情」 とかではない、「明日はわが身」 のようなレベルのものでした。ある程度健康な内は気に留めずにいられる事ですが、「バイクに乗る」 って結構大変な事なんだ、という事を再認識した出来事でした。

「できるだけ、長く、バイクに乗り続けたい」っていう気持ち、それを思いながら偶然にくれた一瞥がこの人形だったのですが、「バイクに乗れるっていう今、今のこの瞬間の連続が、どうか途切れませんように ...」 と祈りました。

ナイトランでの楽しみ

2011-07-04 06:04:54 | ZZR1400
久しぶりのショートツーリング、でも出発は午前零時過ぎ。小さな村ですから、夜中にバイクで出かけるのは私くらいです。アウトバーンではバイク乗りを見かけず、高速を途中で降りた所にあった町では、人っ子一人歩いて居ませんでした。光を放つ村や町のガソリンスタンドも明け方までは無人が多い時間帯です。

往復二百キロほど走った後で、我が村の24時間スタンドの裏方でこの写真を撮りました。途中でもっと暗い場所はありましたが、「停まる気がしない」 のは、やはり 「危ない」 感じがするからです。走っていても、村と村を結ぶ真夜中の地方道では 「野生動物の飛び出し」 に気を使います。ハリネズミ、ウサギ、鹿、イノシシ等が飛び出してくる可能性があるからです。

しかしこうやって薄暗がりで見ても、「見栄え」 します(親ばか?)ので、街灯一本として無い漆黒のアウトバーンを滑走している時を想像したりしました。今夜は月の光が射さない 「暗い晩」 だったのです。出だしは速度に目が合わず、時速二百キロを割り込んだままでしたが、結局そのままのペースで終始してしまいました。乗れていませんでした。

それでも、給油やティータイムで停車する度にバイクに見入る時間ができ、「ナイトラン + 」 になりました。取り付ける際に 「何色にしようか」 と思案しましたが、やはり 「緑色の光」 には 「奥行き」 の様なものが感じられて、この色にして良かったと考えています。