2005年のエアライン・ランキングが発表されました。これは、雑誌AB-ROADが毎年行っている航空会社に関する調査で、日本において定期的にこのような調査を行っているのは同誌と日経ビジネスくらいしかありません。
で、今年のランキング結果を見ていて、ふと気づいたのですが、昨年は上位にランクインされていたエミレーツ航空の名が消えているのです。
・・・どーして?
調査では、機内サービス、機内食、機材・設備、もう一度利用したい、などいろいろなランキングがあります。これら実際に利用者した人によるサービス評価のランキング5つと、利用者じゃなくても回答できる、今後利用してみたい、信頼感が持てるなどのイメージ評価のランキング3つ、合計8つのランキングによって総合評価が決まるのです。
昨年のエアライン・ランキングでは、エミレーツ航空が8位。その前の年では5位。
この評価に私は疑問を持っていました。エミレーツ航空は、航空会社別の週間提供座席数で0.5%にも満たないマーケットシェアしか持っていません。なんせ関西空港から一日一便しか飛んでいないのですから。つまり、エミレーツに乗ったことがある人はそんなにいないはずなのに、なぜ実際の利用者によるランキングが高いのか。そして何故今年はランキングから姿を消したのか。
そこで気づきました。調査方法が去年と今年で大幅に違うことを。
昨年のエアライン・ランキングは、AB-ROADの2004年2月号にてアンケート調査を実施して集計しています。有効サンプル数5635。
今年は、株式会社クロスマーケティングという調査会社のインターネットパネルより抽出した海外旅行経験者5500人のうち約4500人からの回答を集計しています。
つまり、昨年はAB-ROADの2004年2月号を買えば誰でもランキングに投票できたんです。AB-ROADの読者という、海外旅行には比較的慣れている消費者が選ぶランキング、という視点では良いのですが、ランキングを操作しようと思えば大量にAB-ROADの2004年2月号を購入し、ハガキで投票すれば出来たということなんです。
実際、某エアラインの人に聞いたことがあります。一度、社員でランキングの投票ハガキがついているAB-ROADを大量に購入し、自社名ばかりを書いて投票したところ、翌年のランキングで大躍進したと…
エミレーツがそのような操作をしているとは思いませんが、調査方法としては、昨年よりも今年のほうが、よっぽど公平だということです。
世の中、実にいろいろなランキングが発表されてしますが、その調査方法にも目を向ける必要があります。AB-ROADのエアライン・ランキングほどの名が通ったランキングでも、調査の仕方が年によってこうも違うのです。
なにか消費をする際、ランキングの結果が動機付けとして強く働く傾向がありますが、いま一度、その信憑性を考えてみてください。
ランキングではないけれど、実際に宿泊したお客さんを対象にしたアンケートを元に点数をつけているので信頼性は高いとされています。
http://yado.jtb.co.jp/90/ryokan/
実際にこの90点以上にランクされるのは高級旅館ばかりなのですが、中にはコレどうよ?というのがあります。
点数をいじろうと思えばいじれなくないんです。
恣意性を排除したランキングや点数というのは完全には不可能かもしれませんね。
調査対象者が何人か?、手法は郵送か電話かネットか?、利用者層とアンケート回答層は一致しているか等で相当結果は変わってくるのに、そういうリテラシーを持って読んでくれる読者はほとんどいませんからね。
雑誌はセンセーショナルな記事になれば(外資系○○が初の1位、顧客第一主義の成果!!!とか)売れていいのかもしれないけど、そうした結果が営業に少なからず本業に影響する事業会社は困ったものです。