魅惑の日本映画

日本がこれまでに生み出した数々の名作、傑作、(珍作?)の映画を紹介していきます。

満員電車★★★★

2008年04月04日 | Weblog
【概要】
ビール会社に就職した社会人1年目の青年・民雄は、父親の発病や自身の病気、失業など立て続けにトラブルに巻き込まれる。満員電車から一度降りてしまったら絶対に乗れないサラリーマン事情の風刺映画。
「DVD NAVIGATOR」データベースより抜粋改訂

【感想】
「穴」にしろ「黒い十人の女」にしろこの「満員電車」にしろ、まさに“早すぎた名作”なんですね。
話自体は一流大学を出て一流の会社に就いても結局はクビになり…というサラリーマンの悲劇をデフォルメして描いたものなのですが、演出が素晴らしい。細かいところにまで手が届く面白さで、これは現代で言うシュールという枠に入るのでしょうか。
母役の杉村春子がなにかにつけて微笑したり、「ホップ・ステップ・ジャンプ」が口癖の精神科医・川崎敬三はその言葉を発しながらジャンプしてバスに轢かれて死んじゃうし、挙句の果てには何事かと事故現場に駆け寄ろうとした主人公・川口浩は電柱にぶつかり一ヶ月気を失うなんてみんな正気でない人ばかりが登場します。

一番しっかりしていると(しすぎていると)思われた父・笠智衆が実は精神病院パラノイアなんですからね…(あれっ、違ったかな)

でもこんなのは序の口で、途中で結核で病院に運ばれてから音沙汰の無い同僚の船越英二こそが一番の異常者なのではないでしょうか。何なんだ、こいつは!!と言いたくなるくらい。凄いいい味を出しているんですが、う~ん、文字では表現できない。
家具も、雑誌も、調味料まで生活必需品は全てそろえてしっかり者。いたって普通の人間なんですが、やっぱり普通じゃない。
これはDVDで見てもらうしかないですな。

監督 市川崑
脚本 和田夏十、市川崑
音楽 宅孝二
特殊撮影 的場徹 (さてはビール工場だな?)      

茂呂井   川口浩
父(権六) 笠智衆
母(乙女) 杉村春子
和紙    川崎敬三
更利満   船越英二
総務部長  見明凡太郎
場場博士  伊東光一
大学総長  浜村純
若竹     入江洋佑
曾根武名夫 袋野元臣
歯医者   杉森麟

1957年度大映作品(モノクロ・スタンダード)

4月5日より神保町シアターで木下惠介特集!



履歴です↓

黒い十人の女
穴(大映)
血と砂
ハウス(HOUSE)
相棒(最終回SP『黙示禄』…番外編)

悪い奴ほどよく眠る
無法松の一生
蜘蛛巣城
江分利満氏の優雅な生活
大江山酒天童子
日本沈没

妖星ゴラス
斬る
待ち伏せ
殺人狂時代
太平洋奇跡の作戦キスカ
赤毛

戦国野郎

ブルークリスマス
大盗賊(東宝)
座頭市と用心棒
ガス人間第一号

電送人間
美女と液体人間
赤ひげ
世界大戦争
椿三十郎

用心棒
モスラ(1961年度版)
新幹線大爆破
隠し砦の三悪人
日本のいちばん長い日

☆はじめに☆

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