カメさん日記

趣味のカメさん日記です。レア種で情報が少ない種を中心に書いていきます。

ブラックウオーターの謎

2019-03-02 09:00:00 | 飼育論

今日は。

私が中学生の頃はPHは色で識別するアナログなものでした。

当時はシュミットフォッケ博士のドイツターコイズやアメリカのジャック・ワットレイ氏のRRBやターコイズディスカス華やかなりし時代でした。

ディスカス以外だとアピストがマニアに人気の時代でした。

そんな時代に流行ったのがこれです。

https://www.shopping-charm.jp/SP/ItemDetail.aspx?itemId=12168

パッケージは昔の方がプロユースぽかったです。

因みに当時の私はポリプテルス・エンドリケリーに憧れる中学生でした。

店内にはエンドリケリー32万円、ラプラディー20万円の価格表示が…

ロンギは甲長4㎝程のベビーが10万円でした。

私は今なお日本のアクア界、あるいはミズガメ界に根強く残るブラックウオーター万能論はこのテトラブラックウオーターによる都市伝説だと考えています。

精緻な水質測定が可能な現在ではきちんとした知識があれば狙った水質を作ることはかなり簡単な時代です。

ではブラックウオーターとは何か?を掘り下げてみましょう。

アクア界では良質な水質はブラックウオーターだとかなり根強く信じられてきました。

それは上級マニア達がディスカスやアピストにブラックウオーターを使用していたからです。

確かに野生下のこれらの魚はPH4〜5、ネグロ川はコーヒーのように茶色い川です。

https://m.youtube.com/watch?v=2Z4qQtYFfO0

 

日本のアクア界はアマゾン地域の熱帯魚に始まるのは論を待ちません。

アマゾン地域の魚を状態良く飼うために原産地の水質を再現するツールとしてブラックウオーターが有効だったのは事実です。

PH4〜5は生物濾過の効いた飼育水なら極当たり前の数値です。

ただしネグロ川のような本当のブラックウオーターはTDS値も相当低いはずです。

おそらく60ppm以下だと思います。

沈水葉は水中の溶解物質を吸収するからです。

因みにレッドアロワナ、これもマジックリーフによるブラックウオーター飼育が良いとされていますが、この魚の故郷インドネシアのセンタルン湖はPH7付近、TDS値は10以下と日本では岩魚が棲む渓流よりも綺麗な湖です。

テトラのブラックウオーターも規定量を使えばかなり水に色が付きますから透過率が落ち、魚の見られてる感が減じられストレス抑制にはなるでしょう。

ただそれ以外のメリットは私には分かりません。

PH4は生物濾過を効かせればすぐに実現するし、TDS値を下げるには水換えをすればいいのです。

ミズガメ界でブラックウオーターを必要とするのはデュメリアーナとマタマタでしょう。

ただこいつらに大事なことは水質より水温です。

赤道付近のカメはとりあえず水温、次に空中温度です。

最低水温28度にしたうえでPH6付近、TDS値60以下を狙うのが正攻法です。

やはりこまめな換水が無難でしょう。

また生物濾過を効かせるなら強力なエアレーションも有効ですがTDS値の上昇も早くなりますから換水量・頻度とも上げなくてはいけないでしょう。

また水中のTDS値が低いということは飲水によるミネラル摂取が期待出来ないのでエサによるミネラル補給が長期飼育ポイントだと思います。

ミネラルとはすなわちカルシウム、マグネシウム、ナトリウムですから爬虫類用サプリメントは必須だと思います。

https://www.shopping-charm.jp/SP/ItemDetail.aspx?itemId=51543

今回はブラックウオーターを切り口にミズガメ飼育を語りましたがカメが世界中に分布している以上、再現すべき飼育水も様々なはずです。

ただ安心して下さい。

日本の水道水は入荷してくるミズガメの98%位は問題なく飼える程の汎用性があります。

デュメリアーナやマタマタのように少し癖のあるカメはもう少し手間をかけるとより健康で長生きできると私は思います。

アクア上級者では当たり前のPHモニターや計測器、TDS計測器。

この数値とカメの調子を重ねて会話できるようになれば種ごとの飼育方法には更に厚みがついてくるものと私は思います。



3 コメント

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Unknown (ひゃっこ)
2019-03-03 13:04:27
ブラックウォーターを作るためにピートモスやマジックリーフを使用したりしましたが、この人工リキッドは使用したことないですね。

南米原種のエンゼルフィッシュでエンゼルの王様アルタムエンゼルにハマってたころがありました。
本種はCB個体もいますが、WCも季節的に入荷します。
第一便より第二便、第二便より第三便でやってくるワイルドが店や自宅で生き残り易いです。
つまり、管理人さまが仰る通り水質よりも温度は少なからず関係しているでしょうね。
第一便は春先、第二便は初夏ごろですから。

わたくしがアルタムエンゼルをやってた頃はヤシャブシの実でブラックウォーターを作ってました。
いろんな作り方があるかもしれませんが、アルタム飼いにはヤシャブシの実は定評のあるアイテムでしたね。
ブラックウォーターの環境は高い殺菌作用だと思いますが、ワイルドのアルタムエンゼルの身体に常在している菌が、第一便のまだ温度が低い時期に輸送され疲弊したアルタムに悪さをするワケです。
その時にどれだけ質の良いブラックウォーターが作れるかがキーになるのでしょうが、管理人さまが仰るように水換え方法ね。
高性能だろうがフィルターに頼るのはブラックウォーターには不向きですからね。
ヤシャブシの実は殺菌能力ではブラックウォーター作りの他のアイテムよりかなり高かったと思う。
ヤシャブシを使ってからは寿命以外で死ぬ個体は皆無でしたね。
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Unknown (z0821z)
2019-03-03 21:58:10
ひゃっこさんへ
アルタムですか。
随分とマニアックですね。
大昔にショップで初めてアルタムを見た時、その大きさと価格の高さに驚いたものです。
当時はWCのみでCBエンゼルの100倍の値段でした。
まぁ、本物のアマゾン水系WCならばブラックウオーターでないと飼育自体が怖いですよね。
ヘッケルなんかも高温低PHで水質難し過ぎて私は見るだけでとても飼育は出来ませんでした。
ヤシャブシは今でもビーシュリンプなんかでは使っているようです。
殺菌効果ですか。
確かにそう聞きますが私は20年前から殺菌灯オンリーなのでナチュラル素材は明るくありません。
私はサンゴ飼育を始めた20年以上前からRO水すなわちPH7.0、TDS0ppmの純水からの水作りが習い性となってしまい、溜め水から活き水を作るノウハウが残念ながらありません。
ブラックウオーターにはネガティヴイメージを抱いておりますが最近満更でもないな、と思うのはオブロンガの水質は溜め水にカルシウム、マグネシウムの添加で問題なし、と考えていましたがなんと高硬度のミネラルウオーターを足し水すると明らかに調子が上がります。
これはやはり自然の多様な地下成分によるものだと思います。
ですからピートやマジックリーフやヤシャブシといった天然素材は多様な成分が入っているのだろうと考えています。
ただしこれはひゃっこさんのようないわば求道者の如き飼育のレベルでありデュメリやマタマタを長期飼育する上ではこのレベルのケアが必要不可欠だとは考えておりません。
出来るに越したことはありませんが天然素材は想定外も起こりうるのでリスクヘッジとしてサイエンス一本もありかなぁと個人的には考えております。
非常に楽しいコミュニケーションですので改めて今後とも宜しくお願い申し上げます。
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Unknown (ひゃっこ)
2019-03-07 16:37:03
飼育者の理念や方針で使用する素材が変わること、それはとても面白いことです。
わたくしも新規導入した生物に関しては生息地のリサーチと、飼育下での管理方法を模索するのは好きです。

WCアルタムエンゼルに関してはとにかく輸入時期と輸送による死亡率に不明な点が多かった時期に飼育を開始しましたので、落とした数は数知れず…。
それでもわたくしが作った天然素材での環境に一度慣れてしまうと滅多に死ぬことはありませんでした。
まあ、アクアはそれでもレプタイルよりはるかに歴史が長いし、飼育法や器材も揃ってる。

我が国の第一次?第二次?レプタイルの黎明期からすると爬虫類のそれもだいぶ充実したものになった気が致しますが、それでもまだまだドイツなんかに比べると遅れをとっています。
わたしは幸せなことに今は亡き高田榮一氏と親交があった時期がございまして、高田氏は我が国の爬虫類文化の先駆けみたいな存在で、その人生を爬虫類の研究や文化的促進のために費やし、我が国で爬虫類ブームが起こる随分前から活動を行なってきた方なのですが、
彼が良くわたくしに話していたことは
「ある種の生物を観る時、それだけを観ることだけは避けなければならない。カブトムシを観る時はクワガタやカナブンも観なければならないし、蝶やトンボも観て相対的な観察をしなければならない」
ということでした。
今から思うと研究や飼育には欠かせないごく当たり前のことではありますが、若かった私はなかなかそういった考えが出来なかった。
とりあえず始めたのは、この爬虫類飼育という未だに確立されていないものに関して、ひとつやふたつに絞り何かを極めようとしても難しい。
勉強する素材として出来るだけ多くのサンプルと経験が必要だということで、とにかく幅広く様々な爬虫類を飼育していくことでした。
蛇からトカゲからリクガメ、ミズガメ…爬虫類という括りに捉われることなく、鳥類や両生類、魚類、そして昆虫から蟲の類い。
まあ、だからどうだという訳ではないのですが、犬猫のように飼育が確立しているわけではない生物を終生面倒を見る必要性はないと腹を決め、とにかく飼育経験だけを増やすことを考えていた時期がありましたね。
こだわりを持たないのはわたくしのこだわりであり、恩師である高田氏から受け継いだことかもしれません。
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