2012年4月に受診した健康診断でのマンモグラフィー検査、その場で超音波検査の追加を薦められた。超音波検査では明らかに何物かの大きさを丁寧に計られ、その瞬間、“これはまずいことになった“と私は思った。
その8ヶ月前、毎年受けている健康診断婦人科健診で石灰化を指摘されたが、健診を受けた病院での再検査の結果 “問題ありません“にホッとし、そのままにしていた経緯があったからだ。帰宅後横になって触ってみると、左乳房下側にやや横長の塊の存在がはっきりわかった。
即座にある程度の覚悟を決め、地方に住む口腔外科医の弟に相談したところ、まず、常勤の乳腺外科専門医のいる病院へ行くようにと言われた。
紹介状の必要もあってかかりつけの内科医に相談、第一候補と薦められた専門医の先生が複数みえる病院に行くことにした。その時、内科医の先生は、病院選びに医療レベル、ホスピタリティーのいずれを優先するか・・のようなことをおっしゃっていたが、当時の私にその意味を考える余裕はなかった。
5月連休明け、健康診断結果と紹介状を携え、予約なし何時間でも待つ覚悟で乳腺外科を受診した。かなり緊張していた当日の記憶はかなりあいまいだ。
その中、印象的だったことが3つある。
⚫︎これまでの検査に比べかなり大掛かりな装置で、マンモグラフィー検査を受けたこと
⚫︎先生に “今日の検査だけで診断をすることはできませんが、悪性だったとしても今見つけられことは良かったことだと思えるでしょう “ と言われたこと
⚫︎翌々週からのポルトガル行きはキャンセルだと思い、先生に確認したところ、意外な返事 “いえ、行って構いませんよ。むしろ行った方がいいでしょう。次の検査が数日先になるだけですから“ にとても驚いたこと
先生は乳がんという言葉は使われなかったが、ぽつぽつと冷静に誠実に話され、午後かなり遅くなっての診察にもかかわらずゆっくり私の言葉を待ってくださった。その様子から、先生の机の上にあった食べかけのサンドイッチをみながら、ぼんやり少し人ごとのように、“やっぱりこれは乳がんだ“ と、9割がた私は思った。