ゆらゆら生活

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『乳がん患者の心を救う新たな医療ー病理外来とがん患者カウンセリング』を読んで

2013-11-06 | 本・新聞

国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター 臨床研究部長 谷山 清己先生と 相談支援室緩和ケア専従看護師 中西 貴子さん執筆の『乳がん患者の心を救う新たな医療』を読んだ。

第一の感想はこのような『病理外来とがん患者カウンセリング』是非とも是非とも、多くの病院に広まってほしいと、心から強く思った。

いくつかの点を抜粋して、感想を加えてみる。

病理医と臨床医 病理医は、患者から採取された組織の一部や細胞を顕微鏡などで観察し、病理所見、さらに病理診断を行う。一方、臨床医は、この病理診断を基に治療方針を決め、患者の治療にあたる。(p.007)

臨床医乳腺外来の先生から受けた説明の中「病理の結果をみて・・・」という表現が何度かあったので、この役割分担イメージはなんとなく持っていた。手元にある2通の病理組織診診断報告書を見直すと、臨床医名の記載はなく、原案診断医名、診断医(性のみ)がある。病理所見についての説明は臨床医から受けている。なるほど。

●病理医が患者に合わない理由 治療の基本となる大切な診断をくだす病理医は、いつも冷静で、客観的な判断をくださなければならない。そこで、病理医は個人的な感情を乱すような情報には接しないほうがよい、患者と合わないほうがよいとされている。世界的にもこの慣例はある。(p.007)

患者にとって重要な治療方針は、病理医と臨床医の連携で、慎重に決められていることに、なるほど、と思った。お会いしたことのない病理医の先生に、心の中でありがとうございます、と。

ただ素朴な疑問として、臨床医の先生も、いつも冷静で、客観的な判断をして治療方針を決めていただいている、説明していただいているはず?と思った。また、確かに病理診断”前”には、患者と合わないほうがよいが、病理診断”後”には、患者に合って説明してくださってもよいのではないかと、思った。

●治療スタイルの変化 かつては医者は患者に対してという絶対的に強い立場にたち、患者はという弱い立場に置かれてきた。(略)ことが病気を快方へ向かわせる可能性が報告され、積極的に病気を知ろうとする患者も増えてきている。(略)自分の病気を正確に知りたいと思ったとき、実際に病理診断した担当者から直接説明を聞きたいと思うことは当然であろう。(p.008~)

この流れでの病理外来の開設は、ごく自然なこと、臨床医、追って病理医の説明の機会があれはとてもありがたい。今でこそ病理所見に記載されている内容をある程度は理解しているが、受け取った当時は、何から質問したらいよいのかすらよくわからなかった。

ただ、この本にもあったように、病理医、臨床医の先生方の考えもそれぞれだろうし、病理医の説明を希望する患者であっても、その受け止め方はその時それぞれあることと思う。

がん患者カウンセリング 病理医による病理診断の説明によって、患者は治療に対する理解を深めることができる病理外来、プラス 緩和ケア専門看護師による患者心理のフォローアップ は新たな医療サービスであり、広く医療界に拡がることが望まれる。(p.171)

患者の心を救う意味での谷山先生スタイル、病理医の病理外来と緩和ケア専門看護師カウンセリングの2本立て、望むばかりです。

 

最後に読みながら思い出しとこと、思ったこと

手術後の病理所見を前に、担当医の先生から治療方針についての選択を求められて、とても驚いたことを思い出した。

そのあと放射線科外来から再び乳腺外科へ戻るまでの1時間あまりの間、私の頭の中はそれはぐるぐると大変なことになったが、数字を挙げて、治療方針の分かれ道を説明していただけたこと、今はとても感謝している。病理外来ではなかったが、担当医の先生は先生個人の考えではなく、カンファレンスで意見が分かれたことから説明してくださった。客観的説明だったといえる。待ち時間、頭をぐるぐるさせながらも覚悟した私は、半分心を決めて乳腺外科に戻った。気を取り直し、先生の意見を尋ねたところ、答えてくださった。先生の考えは私の気持ち側だったので、その場ですっきり心を決めることができた。もう一度カンファレンスにかけられる段取りにはなったけれども。気持ちの上で自分で選んだという思いがその後の力になっていると感じている。

もうひとつ、手術後に先生が摘出した塊を夫に見せてくださったことを聞いた。私の体の一部、私の方が見たかったのに!と思った。予め知っていたら、携帯写真でもいいから頼んだのに。

 

 


今日一日が素敵な日でありますように

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