遊爺雑記帳

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異様な建国70周年

2019-10-12 01:23:56 | アフリカ全般
 10月 1日の中国建国70周年の国慶節の日。北京では、毛沢東の霊魂が乗った神輿を担いで練り歩くセレモニーのような異様な大閲兵式。香港では、自由都市・香港の葬式行列と言えるデモ行進。
 習近平が抱える今後の課題を示す二つの行進が行われました。

 
大閲兵式で毛沢東の「霊」を召喚、習近平は大丈夫か 異様な建国70周年・大閲兵式が映し出した習政権の危ない状況(1/4) | JBpress(Japan Business Press) 2019.10.10(木) 福島 香織

 10月1日は中国建国70周年の国慶節(建国記念日)だった。この日の軍事パレードと大閲兵式は、日本でもそれなりに報じられていたが、全体的にみれば報道分量は比較的少なかったと思う。
 多くの外国メディアは、その日起きた香港デモで18歳の高校生が警官に実弾で左胸を撃たれた事件の方を大きく取り扱っていた。この事件が中国にとって大変屈辱的であったことは間違いない。中国建国70周年の祝賀ムードに水をさしたどころか泥を塗られた格好だからだ。私自身、建国60周年のときは北京の現場に行ったのだが、70周年の10月1日は香港に行った。ニュースバリューとして香港の方が上だと判断したからだ。
 だが、改めて北京の大閲兵式ビデオを見直してみると、この
大閲兵式は例年になく異様であった。その理由が何なのか、そのあたりを整理してみたい。

ナンバー「01949」の車に乗るのは誰?
 
まず違和感を覚えたのは、習近平が閲兵のときに乗車した車両の右後方を走っていた、誰も乗っていない車両だ。車両ナンバー「01949」の「紅旗」(中国の自動車メーカー第一汽車の高級車)は運転手以外誰も乗っていない。何のために用意されたのか、多くの視聴者にはわからなかった。あとで、中国青年報がそこはかとなくほのめかしていたことは、この車両ナンバーは本来毛沢東が乗車するものとして取って置かれたのだという。とすると、この車には習近平が崇拝する毛沢東の魂が乗っている、という意味があるのだろうか。

 しかも
この日、閲兵の最初に習近平は、毛沢東記念堂に安置されているその遺体に対して拝礼を行っている。これまでの建国記念日でそんなことをした例はない。だいたい共産党は個人崇拝を党規で禁止しているのだ。

 もし、ナンバー「01949」の紅旗が本当に毛沢東の魂を乗せた車両として大閲兵式に参加しているとしたら、この行進は、毛沢東の霊魂が乗った神輿を担いで練り歩くセレモニーのようなもの。
習近平はいよいよ中国の国家運営を毛沢東頼み、神頼みで行うようになった、ということだろう。つまり自分ではどうしようもできず、毛沢東の霊のお告げに頼るしかない、と。
 中共の最高指導者が算命(占い)や風水などの迷信に頼ることが結構あるとは知っていたが、まさか習近平が毛沢東の降霊術を行うとは、その心理状態は推して知るべし、だ。

 また、党旗に続く形で国旗が掲げられて行進する風景も今までになかった。国慶節(建国記念日)なのになぜ党旗が国旗のあとに続くように行進するのか。中国を代表する旗が国旗ならば、中国共産党を代表するのが党旗。党旗が先に行くということは、中国は中国共産党が従えるということを意味する。実際のところ一党独裁なのだから、そのとおりなのだが、中国の「国旗法」によれば、「行進の際、国旗がほかの旗とともに掲げられる場合、国旗はすべての旗の前に掲げられなければならない。国旗がその他の旗とともに掲揚される場合は国旗が中心に掲げられ、なおかつ一番高く掲げられねばならない」(第15条)と決められている。こうした建前の法律を堂々と破った意味は何なのか。それは国家を否定すること、法を否定することに等しい。共産党は法を破ってもよく、党が国家の上にあると表現する習近平の意図を考えると、非常に不穏なものを感じてしまう。

国賓が1人もいない大閲兵式
 また、この大閲兵式に
海外からの国賓が一切出席していなかったのも異例だ。

 1979年の鄧小平の建国30周年閲兵式には100人以上の海外国賓が参列した。1999年の江沢民の建国50年大閲兵式では70人以上の海外国賓が参列した。2009年の胡錦濤の建国60周年大閲兵式には40人以上の国賓が参列した。国賓は大閲兵式を見物し、中国の発展を讃え、それをメディアが報じることで、中国の国際的な地位が人民に広く喧伝されるのだ。
 だが今年は1人もいない。西側国家の国賓が来ないとしても、北朝鮮とかロシアやアフリカ諸国から誰かが来てもよかっただろうに。

 
あえて誰も招待しなかったのだとすれば、習近平は何のために、金と時間をかけて、この新中国建国以来最大規模の大閲兵式を準備したのか。招待状を送って断られて、プライドを傷つけられるのが怖かったのか。あるいは軍や公安の掌握に自信がなく、国賓の前で恥をかかされたりすることを恐れたのか。あるいは国賓警備に自信がなく、深刻な事態が起こりうる可能性があったのか。
 今回の大閲兵式中の習近平の表情が始終こわばっているところをみると、海外の賓客に笑顔を見せながら握手してメディアにアピールする気分になかったことは想像できる。
外国からの国賓ゼロの中で、「人類運命共同体」のスローガンを掲げて行進するさまは、滑稽を通り越して、ちょっと恐ろしい

 中国には国際情勢を顧みる余裕もなく、国際社会も中国建国70周年を歓迎していない。なのに中国は人類運命共同体の中心にいたいがために、米国に直接届く核弾頭を10個も同時搭載できるミサイル東風41や、高速で移動する米太平洋艦隊の空母戦闘群を撃破できる極超音速兵器・東風17を威嚇的に見せつけている。

拡散した朱鎔基の演説
 欠席といえば、
この建国70周年という記念すべきイベントへの長老たちの出席率の悪さも印象に残っている。たとえば朱鎔基元首相は9月30日夜に人民大会堂で行われた国慶節の宴会に欠席しただけでなく、10月1日の天安門楼上からの大閲兵式も欠席した。江沢民と胡錦濤は1日に天安門楼上には上がったが、30日の宴会を欠席している。江沢民や胡錦濤の宴会欠席は高齢や健康状態のせいだと言えなくもないが、91歳の朱鎔基の欠席はいろいろと憶測が流れている。

 というのも、
朱鎔基が大閲兵式を欠席したタイミングで、中国のSNSで突然、2002年の朱鎔基の演説映像が拡散したからだ。
 この朱鎔基演説は、
2002年11月19日、香港の礼賓府で行われた香港情勢についてのおよそ30分の演説の一部だ。当時、香港経済が谷間にあり、ときの行政長官の董建華は香港経済を救済するよう中国に泣きついた。で、朱鎔基は「香港の主権が北京に移譲されて、もし我々の手で香港を壊したりしたら、民族の罪人になってしまう(だから、ぜったい香港を守る)」と熱弁したのだった。

 朱鎔基は「香港600万人以上の人民の希望、香港の若い世代の希望に寄り添そう。香港は中国の一粒の真珠であり、大いなる希望があり、大いなる前途がある」「香港がうまくいかないなんて信じない。もし香港がうまくいかないなら、香港の官僚に責任があるだけでなく、北京中央政府にも責任がある。香港が祖国に帰り、我々の手でダメにしてしまったら、我々は民族の罪人ではないか? ありえない!」と語り、さらに演説を終えて、演台から降りたとき「私は香港を愛している」と叫び、満場の拍手喝采を浴びたのだった。
この朱鎔基の発言が当時の共産党の総意であるなら、今の習近平こそ「民族の罪人」と言えないか

 ネット統制が最も厳格になっている建国70周年時期にあわせて、こうした映像をSNSに流したのは誰なのか。誰であれ、かなり党の上層部が関わっていなければありえない。

 また、9月28日に清華大学ネットが報じたところによれば、
朱鎔基は清華大学経営管理学院2019年度MBAクラスの生徒にメールで、次のような意味深なメッセージを送っていたという。「学生たちは、清華大学経営管理学院で学んだ機会を大切にし、志を高く持ち、現代経営管理の新理論と方法を努力して掌握し、追求して国家経済の発展のために一層の貢献をしてほしい」「君たちの学習が順調に行われ、生活が幸福であるように祈る!」と。中国経済が急速に変質し、せっかく学んだ自由社会の経営管理学が生かせない時代になってきた、と朱鎔基は嘆いているようにも聞こえる

 朱鎔基の2002年の古い演説が突然ネットで流れたこと、MBA学習生へのメッセージ、そして閲兵式欠席などを
総合すると、これは朱鎔基が今の中国の経済路線や香港への政策に対して憂慮し強い懸念と怒りを示すためのパフォーマンスではないか、という憶測も流れるわけである。

 ちなみに
今年(2019年)8月の北戴河会議で、長老たちと現役指導部が香港デモに対する対策が解放軍・武装警察の投入も含めて話し合ったとき、朱鎔基が最後まで香港擁護の姿勢を貫いたという噂話が流れていた。鄧小平の改革開放路線を支えてきた長老たちのほとんどが、香港の繁栄は鄧小平路線の最も輝かしい成果であり、それを破壊するような習近平の政策について強い反感を示したという。

香港では自由都市の葬式行列
 
こうした背景を知った上で大閲兵式を見てみると、この中国共産党史において最も大規模で盛大な軍事パレードは、祝賀ムードどころか、なんとなく悲愴感が漂っている。国賓を招かず、国際社会を威嚇し、国際社会からも党内からもほとんど祝福を受けず、経済の失速が目立ち、香港問題と対米貿易問題で追いつめられている習近平政権の孤立と焦りがにじんでいる、と感じるのは私だけだろうか。

 大量破壊兵器の行列を検閲する黒い紅旗の車列は棺桶のようであり、その1つには毛沢東の亡霊が載っている。その亡霊を召喚した主役であるはずの習近平自身の表情は暗く沈鬱だ。

 
同じころ、香港では数万人の市民が銅鑼湾から湾仔に向かって、デモ行進を行っていた彼らは嘆き叫びながら、紙銭(死者があの世で使うための金、葬式の行列のときに撒く風習がある)を撒き、香港の死を悼んでいた。香港では、この後の10月5日、事実上の戒厳令ともいえる緊急状況規則条例(緊急法)の発動により、覆面禁止法が施行され、デモに参加しようが参加しまいがマスクをしているだけでしょっ引かれるという警察の暴力、白色テロが吹き荒れている。林鄭月娥はついに中国に(解放軍出動の?)支援を求めることも念頭に入れている、と発言した。そうなれば、天安門事件のような事態が絶対起こらないとも限らない。

 米国の政府系ラジオ局、ラジオ・フリー・アジア(RFA)によれば新疆ウイグル自治区で問題になっているような再教育施設「反テロ研修センター」の建設が香港で進められているという。
10月1日の香港のデモ行進は自由都市・香港の葬式行列だった。同じ日に香港では葬式行列、北京では毛沢東降霊大パレード。一方で自由の死を悼み、一方で専制と暴力の魔神を召喚している。

 なんと悲しく、まがまがしい1日であったか。
この2つの行進はどこに向かうのか。最後の一線を越えていくのか。国際社会はこのまま、手をこまねいて見ていてよいのだろうか

 北京の大閲兵式は例年になく異様であったと福島さん。
 まず違和感を覚えたのは、習近平が閲兵のときに乗車した車両の右後方を走っていた、誰も乗っていない車両だったと。
 この車両ナンバー「01949」の「紅旗」は、本来毛沢東が乗車するもの。
 この日、閲兵の最初に習近平は、毛沢東記念堂に安置されているその遺体に対して拝礼を行っている。
 毛沢東の魂を乗せた車両として大閲兵式に参加しているとしたら、この行進は、毛沢東の霊魂が乗った神輿を担いで練り歩くセレモニーのようなもの。習近平はいよいよ中国の国家運営を毛沢東頼み、神頼みで行うようになった、ということだろう。つまり自分ではどうしようもできず、毛沢東の霊のお告げに頼るしかない様になったのかと。

 また、この大閲兵式に海外からの国賓が一切出席していなかったのも異例だと福島さん。
 国賓は大閲兵式を見物し、中国の発展を讃え、それをメディアが報じることで、中国の国際的な地位が人民に広く喧伝されるのだ。だが今年は1人もいない。西側国家の国賓が来ないとしても、北朝鮮とかロシアやアフリカ諸国から誰かが来てもよかっただろうにと。
 外国からの国賓ゼロの中で、「人類運命共同体」のスローガンを掲げて行進するさまは、滑稽を通り越して、ちょっと恐ろしいとも。

 更に、この建国70周年という記念すべきイベントへの長老たちの出席率の悪さも印象に残っていると福島さん。
 朱鎔基元首相は、9月30日夜に人民大会堂で行われた国慶節の宴会に欠席しただけでなく、10月1日の天安門楼上からの大閲兵式も欠席。
 そして、朱鎔基が大閲兵式を欠席したタイミングで、中国のSNSで突然、2002年の朱鎔基の演説映像が拡散。
 内容は、2002年11月19日、香港の礼賓府で行われた香港情勢についてのおよそ30分の演説の一部。「香港の主権が北京に移譲されて、もし我々の手で香港を壊したりしたら、民族の罪人になってしまう(だから、ぜったい香港を守る)」と熱弁したもの。
 「香港が祖国に帰り、我々の手でダメにしてしまったら、我々は民族の罪人ではないか? ありえない!」と。
 この朱鎔基の発言が当時の共産党の総意であるなら、今の習近平こそ「民族の罪人」と言えないかと福島さん。
 また、朱鎔基は清華大学経営管理学院2019年度MBAクラスの生徒にメールで、意味深なメッセージを送っていて、中国経済が急速に変質し、せっかく学んだ自由社会の経営管理学が生かせない時代になってきたと嘆いているような内容だったと、清華大学ネットが報じているのだそうです。

 今年(2019年)8月の北戴河会議で、長老たちと現役指導部が香港デモに対する対策を解放軍・武装警察の投入も含めて話し合ったとき、朱鎔基が最後まで香港擁護の姿勢を貫いたという噂話が流れていたのだそうです。
 鄧小平の改革開放路線を支えてきた長老たちのほとんどが、香港の繁栄は鄧小平路線の最も輝かしい成果であり、それを破壊するような習近平の政策について強い反感を示したのだとも。

 10月5日、事実上の戒厳令ともいえる緊急状況規則条例(緊急法)の発動により、覆面禁止法が施行された香港。
 林鄭月娥はついに中国に(解放軍出動の?)支援を求めることも念頭に入れている、と発言。
 米国のラジオ・フリー・アジア(RFA)によれば新疆ウイグル自治区で問題になっているような再教育施設「反テロ研修センター」の建設が香港で進められているのだそうです。
 
 同じ日に香港では葬式行列、北京では毛沢東降霊大パレード。一方で自由の死を悼み、一方で専制と暴力の魔神を召喚している中国。
 この2つの行進はどこに向かうのかと福島さん。

 孤立化してきている習近平。減速している経済に追い打ちをかける米中の貿易戦争を契機とした「新冷戦時代」への突入。
 習近平の中国は、何処へ向かうのでしょう。



 # 冒頭の画像は、建国70周年の閲兵式で「紅旗」に乗って手を振る習近平国家主席




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