北京の青空もf16

2006年 帰国。いつの日かまた中国へ

上海で意外だったこと

2006-12-14 00:29:52 | 
上海では交通ルールが守られているのが意外だった。歩行者は信号を割と守るしオートバイのドライバーはヘルメットをかぶっている。切符売り場でまごまごしていても割り込まれない。街を歩いていていると結構標準語が聞こえてくる。レストランに入ると、家族と食事をしていたおばちゃんが、「お客さんだよ」とごく自然な感じに声をかけててくれた。携帯のプリペイドの入金の仕方を忘れて、困っていると売店のおばちゃんが「自分の携帯の使い方もわかんないの?」と笑いながら、代わりにやってくれた。北京でさんざん上海の悪い評判を聞いていたので、意外な親切にとまどってしまった。まあ、ほんの2、3日の体験ではまだ本当の姿は分からないが、また行ってみたいと思わせる魅力が、上海にはある。

雲南省の旅4

2006-02-19 22:52:06 | 
麗江に着いた時、まるでテーマパークに来たみたいだと思った。世界遺産に指定されている古城地区は車両規制され、車を気にせず歩くことができる。土産物屋やレストランの従業員の女の子たちはそろいの民族衣装を着ている。街を歩いているおばあちゃんたちも民族衣装だ。でも女の子たちが穿いているのはジーンズだったりする。女の子たちのはユニフォームで、おばあちゃんたちのは普段着なのだろう。
麗江古城はいたるところで「麗江らしさ」が演出されている。広場ではおばちゃんたちが納西族の踊りを踊り、観光客も踊りの輪に自由に加わっている。毎晩、古楽の音楽会が催され、東巴の舞も見ることができる。夜になると、観光客は水路に灯籠を流す。願いが叶うという。灯籠はもちろん有料だ。歴史と文化をベースにした地域らしさの演出という点でインドネシアのバリ島と似ている。
麗江の近くに束河という村がある。麗江と比べ小規模ながら静かで美しいとガイドブックに書かれていたので行ってみた。村に入るのに35元の入場券を買う必要がある。麗江を小さくした感じで、開発の方向性は同じだ。商業地区の奥には昔ながらの石造りの村が残っている。
若い頃は観光地というとそれだけで行く気がしなかった。歳をとったせいだろうか、いつの間にか、観光地はもそれなりに楽しむことができるようになっている。もちろん、自分だけの楽しみを探すのが一番おもしろいことには変わりはないが。(写真:麗江のトイレ。2階建ての公衆トイレは初めてだ。トイレのデザインを見ただけで、観光地としてのレベルの高さが分かる)

yupiter_photo麗江の写真をUP(02/19)

雲南省の旅3

2006-02-19 12:15:45 | 
大理でも麗江でも光が奇麗にあたっているところを探しながら歩いた。見知らぬ場所に行くと、それだけでシャッターを切りたくなる。光の状態がよいとなおさらだ。
青空がきれいだったせいだろうか、大理では色が気になった。メインはモノクロで撮影したが、数回気分をカラーに変えて街を歩いた。GRDはほとんどカラーで撮影した。
写真家・渡部さとるさんのワークショップに参加した時に、モノクロの目とカラーの目があることを聞いた。モノクロの目をもっていると、モノクロ写真が上手く撮れる。カラーの目をもっているとカラー写真がよい。これは自分の好みとは関係ないらしい。
モノクロで撮る時と、カラーで撮る時は目に入ってくるものが全然違う。モノクロの時は、光の状態とモノクロにした時の雰囲気を想像するが、カラーの時は色を探すようになる。だから、ぼくはモノクロとカラーは同時に撮れない。頭の切り替えには少し時間がかかるので、それぞれ時間を区切って撮影してみた。
GRDで撮った写真を見ながら、モノクロもカラーも違和感なく、自分の写真として並べることができるといいなぁと欲張りなことを考えた。(写真:大理とその近くの周城では、藍や天然素材を使った染物が有名)

yupiter_photo大理の写真をUP(02/18)

雲南省の旅2

2006-02-18 15:39:15 | 
麗江に着いたのは、2月12日。この日はちょうど中国の「元宵節」。春節から数えて最初の満月の日だ。元宵節には、灯籠を飾り、花火をあげ、家族そろって「元宵」という胡麻や落花生の餡が入った団子をゆで汁に浮かべて食べる。麗江の広場は若者があつまり、踊ったり歌ったりたいそう賑やかな夜だった。残念ながら、たこは頭痛のため早めにホテルに帰って休憩。
麗江は納西族が主に住む町で、古城は800年ほど続く古い町並みを今に残しており、世界遺産にも指定されている。納西族はチベットや中国の仏教の影響を受けた「東巴(トンパ)教」という独自の宗教をもち、東巴文字という象形文字を持っていることで知られている。伝統的かつ神秘的な町を期待して麗江行きを決めたのだった。
ところが狭い路地は、いたるところ土産物屋、食堂、旅館。観光客の数も半端じゃない。「世界遺産がこんなになっていていいのか!」と思うほどだ。東巴文字もすでに商品化され、記念グッズには東巴文字が刻まれている。
しかたがないので、いつものように店や人の少ない路地を選んで歩いてみた。木造と土塀の民家、すり減って丸みをおび、つやつやとした石畳はいい雰囲気だ。なんども同じを場所を歩いているうちに、土産物屋にも慣れ、違うものに目が向くようになってきた。町の人の暮らしを支えているのは豊富な湧水と水路。同じ水路で野菜を洗ったり、洗濯をしている。(野菜を洗っている隣で、洗濯洗剤を使っているのが心配だ。)子供たちは石畳の上を駆け回っている。女性は編み物をよくしている。歩きながら編んでいる人もみかける。家によっては、屋根の上には、縁起物の猫の置物が飾ってある。沖縄のシーサーみたいだ。
しばらくするうちに、土産物屋の事情も分かったきた。革製品は手頃でデザインのよいバックや財布がたくさんある。職人がいる店では、特注も受け付けている。工芸品を作ったり、売っている人は他の地域の出身者が店を開いていることが多いらしい。似たような店が多く、同じようなような商品を扱っているが、よく見るといいものとそうでないものの差が見えて来ておもしろい。
若い東巴(このばあいの東巴は東巴教の宗教者の意味)とも知り合った。彼は伝統的な東巴紙作りの技術を受け継いでいる。正式な東巴文字も書くことができる。彼の扱う商品は比較的伝統的なスタイルで、他の店とは一線を画していると思う。
彼の話す納西語の発音をまねすると、「君は(中国語)の標準語より、納西語の発音の方が正確だ。」とからかわれた。納西語は日本語と発音が似ているのだ。
納西古楽のコンサートにも行った。毎晩催される観光客向けの演奏会。これだけきくと内容はあまり期待できない気がするが、数百年の歴史をもつ楽器を奏でる老人たちの風格は、まさに「仙人」そのものだった。演奏がおわったら雲に乗っても不思議じゃない。
麗江は奥が深い。数日間の滞在では気づかないすごいものが隠されている(気がする)。(写真:麗江では猫は縁起がよいらしい。東巴文字で「猫」を意味する文字は、猫の顔なのがすごい)

雲南省の旅1 

2006-02-18 13:59:52 | 
今回の旅の目的地は大理と麗江の2カ所。
大理はおもに白族が住む町で大理石の名前の由来になったところだ。新しく開発された新城地区と1000年以上の歴史をもつ古城地区に分かれている。(中国語でこの場合の「城」は都市の意味。)人口はおよそ30万人、そのうち3万人ほどが古城で生活している。古城は城壁に囲まれ、東西南北の4つの門がある。ツアー客にとって、観光のメインはもちろん古城だ。
古城のメインの通りは、お土産の店とホテルが軒を連ね、観光客でいっぱいだ。しかし、一歩裏通りに入ると昔ながらの民家が並び、観光客はほとんど見当たらない。ぼくたちが歩くのは、こういったマイナーな通りだ。もちろん繁華街もたのしい。無国籍風のカフェがたくさんり、内装もおしゃれでコーヒーと洋食が安くておいしい。早い時期から外国人旅行者を受け入れて来たと言われるだけあって、街によく馴染んでいる。カフェの雰囲気からは、ヒッピー文化の影響を強く感じた。インドやネパール同様に、かつてはピッピーたちの溜まり場になっていたのではないかと想像している。裏通りにもかなりいい感じのカフェや宿がある。大理に行ったら、絵はがきのような名所旧跡より、裏通りやカフェがおすすめだ。(写真:裏通りでみつけたクラブ。紫と金の配色が見るからに危険な感じだ)

ダージリンの風

2005-08-18 00:37:30 | 
引っ越し準備の合間をぬって、着いたばかりの紅茶をいれる。ダージリン特有の淡いオレンジ色から、甘酸っぱい香りがのぼってくる。すこし口に含むと、鼻腔の奥に香りが広がり、舌にほんのりと苦みを感じる。ダージリンから届く紅茶は、年によって味がちがう。気候不順で茶葉の出来が悪いと値段もさがる。毎年新しい紅茶が届くと、最初の一口に期待がこもる。今年は出来がよい。満足できる味だとほっとして、嬉しくなる。これで1年間、おいしい紅茶を愉しむことができる。
以前書いた、NHKの番組「インド豆蒸汽 世界の屋根を駆ける インド ダージリン ヒマラヤ鉄道」。プログラムを確認すると、放送日時が変更になっていた。8月24日深夜26:00~26:43、NHK総合。
この日はもう北京にいる。

ダージリンからの便り

2005-08-09 02:21:44 | 
インド北部、ダージリンの紅茶店からメールが届いた。
学生時代、彼の地を訪れて以来、15年以上年に1、2回紅茶を送ってもらっている。
先週も注文を出したばかりだ。

メールの内容は、NHKの番組についてだ。「探検ロマン世界紀行 ~豆蒸気 世界の屋根を駆ける~インド ダージリン・ヒマラヤ鉄道」で紅茶店が紹介されるとのこと。本放送はNHKデジタルで放送済みだが、8月17日25:00~26:33、8月18日13:50~14:33にいずれもNHK総合で再放送されるという。

ダージリンに宿泊した次の早朝、ドアを何度もノックする音で起こされた。ボーイが「外を見ろ!」と言う。何事かと思い、窓から顔を出すと、朝日に照らされたカンチェンジュンガがそびえている。予想もしなかった風景にカメラを持ち出すことも思いつかなかった。頂きに雪をかぶった世界第3位のヒマラヤの高峰は数分後には雲の中に姿を消した。その後、何度望んでもその姿を見ることはなかった。

あの美しく雄大な光景は、今でも忘れられない。

15年前はタイプライターだった手紙はメールになり、紅茶は郵便小包から宅急便に変わったが、
ダージリンの風景は今でも変わらないのだろうか。

http://www.nhk.or.jp/sekaiisan/card/cardr011.html