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夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

「華麗なる激情」(1965年 アメリカ映画)

2018-08-13 20:15:26 | 映画
華麗なる激情 [DVD]
クリエーター情報なし
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン



ミケランジェロの作品は美術の教科書や百科事典で眺めることができる

怪物ゴリアテに石を投げようとする若者・ダビデ像
ピエタ

そしてシスティナ礼拝堂の天井画


教皇ユリウス2世はミケランジェロに命じて描かせた


彫刻家 絵は素人というセリフが映画の中で出てくる

同じ時代には大天才のレオナルド・ダ・ヴィンチもラファエロもいた


フレスコ画を描くのは大変で・・・・
ユリウス2世との関係も良いとは言えず 描き始めても何かすっきりせずいたミケランジェロは酒場のおやじの言葉に天啓を得る

新しい開けたばかりの酒樽でも腐っているなら捨てるのだーと樽を壊す店の主人

ミケランジェロは素人目には悪いできとは思えない せっかく描いた絵を削りそぎ落とすように消す

そして逃亡

石切り場で体を動かしている
何かを求めて

教皇の命令でミケランジェロを捕えに兵がやってくる

逃れてさまようミケランジェロ

そうして遂に描くべきものを見出した

教皇に構想を話し下絵のスケッチも見せる

戦争中だった教皇はミケランジェロに護衛をつけておくらせる
仕上げる前に戦いに巻き込まれ死なれては困るから


報酬をめぐって 天井画が仕上がる時について 幾度も幾度もユリウス2世とミケランジェロはやりあう

物別れに終わり もう他の者に任せる クビだ!

こんな仕事はやめてトルコに行って橋をつくる!


ミケランジェロを男として愛する女性コンテシナ(ダイアン・シレント)の助言

若い頃ミケランジェロはコンテシナを愛しているつもりだった

また違う時には美しい娼婦に恋したつもりだった
どうでもいい詩も贈った 書いた


だがー今もミケランジェロの愛を求めるコンテシナに ミケランジェロは言います
男女の愛をこえたもの

ミケランジェロはそれでみたされている
彼の心は もっと違う次元のものに向いているのです



天井を見上げ続けて描くということ

顔は絵具まみれ 筆の軸を絵具は垂れ落ち

描いても描いても完成しない


教皇は苛立ち完成を催促


徹夜して描き続けるミケランジェロは遂に体を壊します


このままでは完成しない

他の者(たとえば台頭する若き天才ラファエロ)にまかせようか


冷たくも聞こえる教皇の言葉

しかしそれはミケランジェロを奮い立たせるための計算

その言葉通りミケランジェロは再び絵筆を持ちました



ラファエロ(トーマス・ミリアン)は自分にはミケランジェロのようには描けないと
ミケランジェロでなければー



またユリウスが危篤になった時には 今度はミケランジェロがユリウスにはっぱをかけるのです
そして一旦はユリウスは無理矢理元気に・・・・

思えば戦い続けた教皇ユリウス2世でした

その晩年において漸くユリウス2世とミケランジェロは互いを理解しあうのです



長い年月の末に漸くこの天井画が完成します

ある場所の壁画の修復をミケランジェロに依頼する教皇ユリウス2世

ミケランジェロは教皇の霊廟が先だと

さからうーというユリウスですが己の体調を鑑み やはり霊廟が先だと



ユリウス2世の存在あってこそ完成した後世に残る大作

ミケランジェロは深い教皇の心に気付き 心からその前に膝まずきます




教皇ユリウス2世は必ずといっていいほど言葉の最後に「MY SON」(マイサン 我が息子よ)とつけます


ミケランジェロを演じるのはチャールトン・ヘストン
教皇ユリウス2世を演じるのはレックス・ハリソン

この二人の演技合戦も見ものです


私がこの映画を観ながら思い出したのは もう一つのミケランジェロ
宝塚歌劇団・花組トップスター愛華みれさんの退団公演「ミケランジェロー神になろうとした男」
ミケランジェロを愛するコンテッシナ・メディチに大鳥れいさん

途中で死ぬ少年役を後に花組トップスターになられた蘭寿とむさんがを演じています
(新人公演での主役も蘭寿とむさん)


1枚の画用紙に描くのすら大変です

それが上を向いて高い場所でずうっと描き続ける
どれだけの体力と忍耐力が必要なのか


芸術というもの


かくも広い場所を埋めつくすおおいつくす画


凄い!

どれほど首が痛かっただろう
腕が重かっただろう

あれこれ思えば ただただ圧倒されます

ところで同じ時代のレオナルド・ダ・ヴィンチと彼にまつわる人物が登場する舞台がこの秋 宝塚歌劇団の宙組によって公演されます
レオナルド・ダ・ヴィンチはチェザーレ・ボルジアとも交流があった人物です

このチェザーレ・ボルジアについて書かれた塩野七生女史著「チェザーレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷」
とても好きな作品です

一つの映画で一冊の本で 舞台で興味が拡がり世界がひろがる
それはとても素敵な事だと思います