バタ犬の解散が発表されて以来、多くの方にご協力いただいて入手した3公演ぶんのチケット。その中でもこの福井公演に関しては、メンバー3人の出身地である聖地でのライブということで、とにかく遠征そのものをとことん楽しんでやろうと決めておりました。だって、バタ犬が解散しちゃったら、もう福井に来る理由が無くなっちゃうかもしれないじゃないか。
ということで、前夜に東京からバスで京都入りすると、JRの快速電車に乗り込みひとまず敦賀市までゴー。そこでレンタサイクルを乗り回して日本海沿いの港町を満喫したあとは、現地の方からいただいた情報を元に池ちゃんたちの母校の最寄り駅・武生へ移動。でもって意味なく武生駅前をうろつき満足したあとに、満を持して福井市へと移動すると、疲れた体とはうらはらに「いよいよ来たぞ!」という思いが体の中にみなぎるようでありました。
ひとまずグッズの先行販売でTシャツ2着とパンフを入手すると、いったん繁華街に戻って腹ごしらえ&着替え。そこで思いがけぬお誘いをいただいたおかげで、開場時間前に再び現地に向かった際いろんな方とはじめましてのご挨拶をさせていただくことができました。正直、今まで自分と同じくらい熱いバタ犬ファンの知人は周囲にいなかったので、とてもうれしかったです。お会いしたみなさん、ありがとうございました。
さて入場。福井市民文化会館はキャパ1000人程度のホール。2階なしの1フロア構造なのですが、特に後ろ2/3部分の傾斜がかなりきついので、さほど奥行きはなく後ろの方でもかなり見やすそう。私の座席は6列目の下手側だったのですが、ここも視界抜群で5人の表情まで確認可能な距離で感激です。
着席後は、ありえない選曲の客入れSEに耳を傾けつつ(このへんは大阪の感想文あたりで語ります)待つことしばし。定刻を10分ちょっと過ぎたところで、いよいよ開演ですよ。うおおおお、気合い入れてけええ自分!
いつものように5人5様の衣装でステージに現れたメンバー。本日のタカシくんの帽子は、コックさんのように山高で、なぜか前のつば部分が巻き物のようにぐるぐる巻きになったカラフルなやつですよ。それをかぶったまま、ギターストラップをうまいこと首にひっかけようとするさまがちょっと微笑ましかったり。
が、そんな一瞬の油断のあとに耳に飛び込んできたイントロは、まさかのあのダーティーな低音。犬にくわえさせろ!ベター盤と同じ始まりとは言え、人を食ったようなこのどファンクナンバーから幕を開けるとは。小奇麗なホールに響き渡る「犬にくわえさせーろー」のフレーズがいきなり痛快すぎてたまりません。ああ、ひょっとして今日は全然しんみりせずに楽しんじゃえるのかもしれない、そうなればいいのに。
が、続く2曲目、真夜中のスーパーフリークでもって早くもその可能性はこっぱみじんに。スピーディーかつカッコよいバンドの音や、間奏でステップをキメるタカシくんの姿に、今度は「なんでこれほどのバンドが解散してしまうんだよう。」という思いが溢れてきて、うっかり涙。さらにゆっくりまわっているようだでは、途中で「大阪日比谷はメグちゃんがコーラス参加するから、この曲を5人バージョンで聴けるのはこれっきり」ということに気づき、また涙。序盤から泣きすぎじゃないか自分、しっかりしろ。
3曲終わったところで、短めのMCタイム。なんと言っても福井は池ちゃんと竹っち先輩、周ちゃんの故郷なわけで。その場所ではじめてバタ犬ライブができる喜びを、なぜか東京出身のタカシくんが嬉々としてその事を語っていたのが印象的でした。さすがに「福井のみなさん、帰ってきましたよおおお!」と叫んだ時には「お前が言うのかよ!」と会場中から無言のツッコミが入ったと思いますが。
MCのあとはファンキー労働者。そういえばこの曲も含め、特にライブ序盤ではメンバーが手拍子を客席にうながす場面が多かったのはちょっと意外でした。しかしそのおかげで、この日は多数派だったかもしれない、あまりバタ犬ライブに来たことがなさそうなお客さんたちも、それぞれ楽しそうにノっていて。決して「いきなり大盛り上がり!」みたいな展開ではなかったけれど、少しずつ客席のエンジンが温まっていくような、そんなライブだったような気がします。そういえば、続くYO!兄弟のイントロ前では、池ちゃんから「みんな今日は隣のひとを兄弟だと思って、手とか繋いじゃって!」という発言もありましたね。そんなこと言われたら、そのまま隣のひとにキックまでしちゃうぞお(←やめろ)
お客さんの反応でもう1つ印象的だったのが、曲が終わり少し間が空くたびに、後ろの席のほうから飛んでくるいろんな声。どうやらこれが単なるファンじゃなく、地元関係者のみなさんの声援だったらしく。しかも「言われた本人だけがわかる」たぐいのネタも盛り込まれていたようで、竹っち先輩も思わず苦笑。で、それを察知したタカシくんが竹っち先輩に話を振ろうとしたのだけど、竹っち先輩がスルーを希望したため「オッケーー」とつぶやいて次の曲に入るタカシくん。そのイントロは、O.K!うまいことやるなー(笑)
O.Kでほっこりしたあとは、なんと日々GO GO。まさかこの曲をこんなに早い段階でやるとは思わなかったので、これには驚きましたが。しかし思いかえせば、この曲こそが前半のハイライトでしたね。基本的にBメロ以外はずーっと同じリフの曲なのに、ステージの上の温度がどんどん上がっていく様子がびしびしと感じられて。5人のファンクモードがいよいよ覚醒したかのようなその音に、気づけばガンガン踊っている自分がいました。ハンドマイクで歌うタカシくんは、しまいにはステージのいちばん前までせり出し、最前列のお客さんを指名して「ともにゴーだ!」と歌わせる一幕も。いやああれはすごかった、超楽しかった。
そうして長い長い日々GO GOが終わると、その熱を冷ますかのような、タカシくん&池ちゃんのぐだぐだMCタイムに突入。ええと、何を話していましたっけね。K点超えとか、「おばあちゃんしね」とか、某スキマさんの全力少年とか、15歳のアヤちゃんのダンスとか、新潟からのバス移動がミステリーツアーになりかけたとか、相変わらずゆるすぎな話ばかりだったような。
しかしそんな中でも最高に笑ったのは「周ちゃんが今日身内を招待するために、たくさんの人の名前をリストアップしていた。あんなにたくさんの字を書く周ちゃん見たの初めて!」という池ちゃんの話。さらにそこから「しかもちょっと丸文字っぽかった」「さっきステージに出る直前に『余計なこと言うなよ』って耳元で言われた」と池ちゃんから次々に余計なことを暴露される周ちゃん(爆笑)で、その周ちゃんはと言うと、池ちゃんの話がエスカレートするにつれ座ったままどんどん深くうつむいてしまって。たぶんあれは笑いをこらえていたんじゃないかと思うんですが、スティックを握り締めたままかたくなにうつむく周ちゃん、かわいかったなあ。
そんなMCを繰り広げながら、アコギを手にするタカシくん。それで次はいったい何の曲をやるんだろう?と期待を膨らませていたらば、ようやく一区切りしたMCの後に突然タカシくんが歌い出したのはなんと、外出中。最初はアコギ1本でゆっくりゆっくりと始まり。次にドラムが加わって、さらに鍵盤、エレキギター、ベースと音数を増して行くにつれ、タカシくんの声も切なさを含んでぐんぐん響き渡り。もとよりタカシくんのボーカルはすばらしいのですが、このあたりからの歌声はもう本当に神がかっていましたね。ホールの音の良さも相まって、まるで夢のような音色でした。
外出中が終わっても静まりかえったままの客席。そこにごく小さな鍵盤の音が聴こえてくる。少しずつ鍵盤のボリュームを上げる池ちゃん。コード!浮遊感のある音と、ステージの上で回り始めたミラーボールの光があまりに心地よくて、これには一瞬意識が飛びそうにすらなりました。ここで脳を麻痺させられたのかどうかわかりませんが、続く5秒前の午後→メロディーの毛布にくるまって、あたりはほとんど記憶がありません。大阪ではしっかりしなければ!
ここでしっとり系の曲が一段落すると、再びギターをエレキに持ち替えるタカシくん。と同時に響いてくるおなじみのリズムの音に、客席からは歓声と手拍子が起きます。さあ、こうなるともちろん池ちゃんのマイクパフォーマンスの出番ですよー!
まず「なんで勝手に手拍子してるんだよ。お前ら、あの茶色い飲み物の曲やると思ってんじゃねーの?!」と言い放ち。続いて、2月のファンキー大百科の時と同様の携帯電話ネタを披露したあとに「イーアルファンキーウーロン茶」コールを開始。で、最終的にはお客に「ウーロン茶!」コールを要求していたのだけど、これがレキシの「マゲ」コールのとき以上に延々と、しかもハイレベルなコールを求められ続け。すみません池ちゃん、もうこれ以上声を張り上げるのはキツイっす、というギリギリのところでやっとOKをいただき、ついにFUNKYウーロン茶が始まった時には本気でうれしかったですよ。どうやらその気持ちはみんな同じだったらしく、曲中の盛り上がりはハンパない状態でした。竹っち先輩のギターソロも、ノリノリで前に出てきたTOMOHIKOもカッコ良かったですわー。
ウーロン茶の後、池ちゃんと「盛り上がったねえ~~」などと話しながら、やおら帽子を脱ぎ代わりにキンキラキンの魚の形のかぶりものをかぶったタカシくん。で、そのかぶりものの意味にお客一同が胸をときめかせていたらば、そのいでたちを見た池ちゃんに「なんか、さかなクンっぽくね?」と指摘されたものだから、突然メガネをはずしてさかなクンのモノマネまで披露してくれたタカシくん。あのタカシくんのパフォーマンスには、まさにその直後始まったファンキーな終盤戦への決意を垣間見た気がしました!(←おおげさ)
というわけでいよいよライブはクライマックス。まずコミブレで死ぬほど踊り、続く五十音ではもちろん「しゃっちほっこ~」でタカシくんの頭上を拝み。この時点ですでに軽く燃え尽きかけていた自分。頭の中が真っ白で、もう何の曲があとに残されているのかもわからない状態で。そこへあの周ちゃんのドラムのイントロが聴こえてきた瞬間、ダメ押しのように脳内ネジがぶっとびました。マッケンLO!おおおおこの曲を忘れてる場合じゃないだろうよ自分ーー!
この曲のイントロでは、池ちゃんがお客をお約束のセリフであおるのがお約束なのですが。今日は明らかに様子が違いました。「残りはあとちょっとだけど・・・最後ってことは、全部使うってことだよおーーー!」と、セリフこそさほど変わり映えしないものの、マイクを握り締め声を張りあげる池ちゃんは、切実さがにじみ出るような表情で。今日はMCでも「コタツトークっぽい」とタカシくんに冷やかされるなど、終始いつもと違う雰囲気をかもし出していた池ちゃんでしたが、このマッケンLOのシャウトにこそ、今の池ちゃんの本音がにじみ出ていたような気がしました。もちろん、これで私の涙腺がやられたのは言うまでもありません。
マッケンLOの後はセ・ツ・ナ。それで本編終了。このラストはもう圧巻というしかありませんでした。骨太なリズム、それでいて心地の良いスキマだらけの音、2本のギターは絶妙に絡み合い、ボーカルは天井知らずに響き渡る。この人たちが解散するだなんて、悪い冗談としか言いようがないだろう。やってる本人たちだってそう思わないのか?そんなことを考えずにはいられないくらい、最高のフィニッシュでした。
引き続き頭の中が真っ白のままだった自分は、あいのわとサヨナラCOLOR以外にどの曲がアンコールであり得るのか、想像もつかないままでした。ただ、1曲でもたくさんの曲を聞かせて欲しいと願いつつ、ひたすら手拍子アンコール。
そしたらば、再びステージに現れた5人は、、まず1曲目にあいのわをぶちかまし。2曲目にはなんと、まわれダイヤル!うわああ、なんというバタ犬らしさあふれる流れだろか。わかっていたけど、まわれダイヤルってこんなにも名曲だったっけ。ああもう、いったいこの人たちは今日何度私を泣かせれば気が済むのか。もはや軽く恨み言すら言いたくなるくらいです。
さらにダメ押しのように3曲目でかけひきのジャッヂメント。このあたりは正直、あんまり記憶はありません。ただ、ついさっきまでは1曲でも多く聴きたいと願っていたはずなのに、この3曲で「今日はこれでおしまい」と言われても構わないとすら思ってしまった、そのくらい満ち足りたひとときだったはず。
とは言え、そりゃあやっぱりダブルアンコールもあるわけで。予想はしていたとは言え、ローディーさんがタカシくんのアコギを用意する姿を見て、微妙にブルーな気分になりかけました。サヨナラCOLORでもって終了、という展開だけは正直、勘弁してほしかったのです。お願いだからファンキーで終わらせてください5人衆、そうでなきゃ私はこの切なさに耐えられない。
そんなことを考えているうちに5人が再登場。そして始まったサヨナラCOLOR。タカシくんの歌も、バンドの音も、とてもすばらしかったです。泣いているお客さんもいました。だけど、やっぱりこの曲の世界には素直に入り込めない自分がいました。どうやらこの曲に対する天邪鬼な思いは、最後まで引きずってしまうようです自分。
サヨナラCOLORが終わり、大きな拍手に包まれるホール。それで、やはりこの曲で終了なのかと思っていたら、なんと竹っち先輩のところに違うギターが運ばれてくるではありませんか。えええ、もしかしてまだ次の曲があるの?!
しかし、竹っち先輩はすぐそのギターをかけようとせず、歌い終わって立ち尽くしたままのタカシくんの様子を伺いながら、躊躇している様子。あああ、お願いだからもう1曲歌うと言ってくださいタカシくん、そしてそのギターを鳴らしてください竹っち先輩ーーーー!
そうして数秒の間の後、閉じていた目を開いたタカシくんは、竹っち先輩のほうを見てアイコンタクト。それを確認してギターを肩に掛ける竹っち先輩。その様子にたまらなく胸がいっぱいになり、これは最後の最後も泣かされる展開かと思ったのですが。
次の瞬間、タカシくんのシャウトとともに始まったまさかのナンバーに、仰天。ス、スネ毛ーーーー(爆笑)バタ犬の中でもいちばんおバカで濃くて、でも意味不明に切ないこのナンバーを、最後の締めに持ってくるとは!あまりに最高すぎる演出に、もはや涙も通り越してただただ狂喜。さっきまで珠玉のバラードを鳴らしていたとは思えない、5人の超絶グルーヴに酔いしれながら、「バタ犬最高!福井最高!」と何度も心の中で叫んで、そしてついにすべての曲が終了となったのでした。
そんな感じで。ライブが死ぬほどすばらしかったのはもちろんですが、思いがけない出会いがあったり。メンバー3人の地元のすばらしさを素直に実感できたりして、最高すぎる福井の旅でありました。これで、残り2公演も燃え尽きようという気合と泣きまくる覚悟ができた気がします。どうか大阪も日比谷も、こんな風に満たされた思いで会場を後にすることができますように。そんなことまでも、てるてるアフロにそーっとお願いしてみましたよ。
ということで、前夜に東京からバスで京都入りすると、JRの快速電車に乗り込みひとまず敦賀市までゴー。そこでレンタサイクルを乗り回して日本海沿いの港町を満喫したあとは、現地の方からいただいた情報を元に池ちゃんたちの母校の最寄り駅・武生へ移動。でもって意味なく武生駅前をうろつき満足したあとに、満を持して福井市へと移動すると、疲れた体とはうらはらに「いよいよ来たぞ!」という思いが体の中にみなぎるようでありました。
ひとまずグッズの先行販売でTシャツ2着とパンフを入手すると、いったん繁華街に戻って腹ごしらえ&着替え。そこで思いがけぬお誘いをいただいたおかげで、開場時間前に再び現地に向かった際いろんな方とはじめましてのご挨拶をさせていただくことができました。正直、今まで自分と同じくらい熱いバタ犬ファンの知人は周囲にいなかったので、とてもうれしかったです。お会いしたみなさん、ありがとうございました。
さて入場。福井市民文化会館はキャパ1000人程度のホール。2階なしの1フロア構造なのですが、特に後ろ2/3部分の傾斜がかなりきついので、さほど奥行きはなく後ろの方でもかなり見やすそう。私の座席は6列目の下手側だったのですが、ここも視界抜群で5人の表情まで確認可能な距離で感激です。
着席後は、ありえない選曲の客入れSEに耳を傾けつつ(このへんは大阪の感想文あたりで語ります)待つことしばし。定刻を10分ちょっと過ぎたところで、いよいよ開演ですよ。うおおおお、気合い入れてけええ自分!
いつものように5人5様の衣装でステージに現れたメンバー。本日のタカシくんの帽子は、コックさんのように山高で、なぜか前のつば部分が巻き物のようにぐるぐる巻きになったカラフルなやつですよ。それをかぶったまま、ギターストラップをうまいこと首にひっかけようとするさまがちょっと微笑ましかったり。
が、そんな一瞬の油断のあとに耳に飛び込んできたイントロは、まさかのあのダーティーな低音。犬にくわえさせろ!ベター盤と同じ始まりとは言え、人を食ったようなこのどファンクナンバーから幕を開けるとは。小奇麗なホールに響き渡る「犬にくわえさせーろー」のフレーズがいきなり痛快すぎてたまりません。ああ、ひょっとして今日は全然しんみりせずに楽しんじゃえるのかもしれない、そうなればいいのに。
が、続く2曲目、真夜中のスーパーフリークでもって早くもその可能性はこっぱみじんに。スピーディーかつカッコよいバンドの音や、間奏でステップをキメるタカシくんの姿に、今度は「なんでこれほどのバンドが解散してしまうんだよう。」という思いが溢れてきて、うっかり涙。さらにゆっくりまわっているようだでは、途中で「大阪日比谷はメグちゃんがコーラス参加するから、この曲を5人バージョンで聴けるのはこれっきり」ということに気づき、また涙。序盤から泣きすぎじゃないか自分、しっかりしろ。
3曲終わったところで、短めのMCタイム。なんと言っても福井は池ちゃんと竹っち先輩、周ちゃんの故郷なわけで。その場所ではじめてバタ犬ライブができる喜びを、なぜか東京出身のタカシくんが嬉々としてその事を語っていたのが印象的でした。さすがに「福井のみなさん、帰ってきましたよおおお!」と叫んだ時には「お前が言うのかよ!」と会場中から無言のツッコミが入ったと思いますが。
MCのあとはファンキー労働者。そういえばこの曲も含め、特にライブ序盤ではメンバーが手拍子を客席にうながす場面が多かったのはちょっと意外でした。しかしそのおかげで、この日は多数派だったかもしれない、あまりバタ犬ライブに来たことがなさそうなお客さんたちも、それぞれ楽しそうにノっていて。決して「いきなり大盛り上がり!」みたいな展開ではなかったけれど、少しずつ客席のエンジンが温まっていくような、そんなライブだったような気がします。そういえば、続くYO!兄弟のイントロ前では、池ちゃんから「みんな今日は隣のひとを兄弟だと思って、手とか繋いじゃって!」という発言もありましたね。そんなこと言われたら、そのまま隣のひとにキックまでしちゃうぞお(←やめろ)
お客さんの反応でもう1つ印象的だったのが、曲が終わり少し間が空くたびに、後ろの席のほうから飛んでくるいろんな声。どうやらこれが単なるファンじゃなく、地元関係者のみなさんの声援だったらしく。しかも「言われた本人だけがわかる」たぐいのネタも盛り込まれていたようで、竹っち先輩も思わず苦笑。で、それを察知したタカシくんが竹っち先輩に話を振ろうとしたのだけど、竹っち先輩がスルーを希望したため「オッケーー」とつぶやいて次の曲に入るタカシくん。そのイントロは、O.K!うまいことやるなー(笑)
O.Kでほっこりしたあとは、なんと日々GO GO。まさかこの曲をこんなに早い段階でやるとは思わなかったので、これには驚きましたが。しかし思いかえせば、この曲こそが前半のハイライトでしたね。基本的にBメロ以外はずーっと同じリフの曲なのに、ステージの上の温度がどんどん上がっていく様子がびしびしと感じられて。5人のファンクモードがいよいよ覚醒したかのようなその音に、気づけばガンガン踊っている自分がいました。ハンドマイクで歌うタカシくんは、しまいにはステージのいちばん前までせり出し、最前列のお客さんを指名して「ともにゴーだ!」と歌わせる一幕も。いやああれはすごかった、超楽しかった。
そうして長い長い日々GO GOが終わると、その熱を冷ますかのような、タカシくん&池ちゃんのぐだぐだMCタイムに突入。ええと、何を話していましたっけね。K点超えとか、「おばあちゃんしね」とか、某スキマさんの全力少年とか、15歳のアヤちゃんのダンスとか、新潟からのバス移動がミステリーツアーになりかけたとか、相変わらずゆるすぎな話ばかりだったような。
しかしそんな中でも最高に笑ったのは「周ちゃんが今日身内を招待するために、たくさんの人の名前をリストアップしていた。あんなにたくさんの字を書く周ちゃん見たの初めて!」という池ちゃんの話。さらにそこから「しかもちょっと丸文字っぽかった」「さっきステージに出る直前に『余計なこと言うなよ』って耳元で言われた」と池ちゃんから次々に余計なことを暴露される周ちゃん(爆笑)で、その周ちゃんはと言うと、池ちゃんの話がエスカレートするにつれ座ったままどんどん深くうつむいてしまって。たぶんあれは笑いをこらえていたんじゃないかと思うんですが、スティックを握り締めたままかたくなにうつむく周ちゃん、かわいかったなあ。
そんなMCを繰り広げながら、アコギを手にするタカシくん。それで次はいったい何の曲をやるんだろう?と期待を膨らませていたらば、ようやく一区切りしたMCの後に突然タカシくんが歌い出したのはなんと、外出中。最初はアコギ1本でゆっくりゆっくりと始まり。次にドラムが加わって、さらに鍵盤、エレキギター、ベースと音数を増して行くにつれ、タカシくんの声も切なさを含んでぐんぐん響き渡り。もとよりタカシくんのボーカルはすばらしいのですが、このあたりからの歌声はもう本当に神がかっていましたね。ホールの音の良さも相まって、まるで夢のような音色でした。
外出中が終わっても静まりかえったままの客席。そこにごく小さな鍵盤の音が聴こえてくる。少しずつ鍵盤のボリュームを上げる池ちゃん。コード!浮遊感のある音と、ステージの上で回り始めたミラーボールの光があまりに心地よくて、これには一瞬意識が飛びそうにすらなりました。ここで脳を麻痺させられたのかどうかわかりませんが、続く5秒前の午後→メロディーの毛布にくるまって、あたりはほとんど記憶がありません。大阪ではしっかりしなければ!
ここでしっとり系の曲が一段落すると、再びギターをエレキに持ち替えるタカシくん。と同時に響いてくるおなじみのリズムの音に、客席からは歓声と手拍子が起きます。さあ、こうなるともちろん池ちゃんのマイクパフォーマンスの出番ですよー!
まず「なんで勝手に手拍子してるんだよ。お前ら、あの茶色い飲み物の曲やると思ってんじゃねーの?!」と言い放ち。続いて、2月のファンキー大百科の時と同様の携帯電話ネタを披露したあとに「イーアルファンキーウーロン茶」コールを開始。で、最終的にはお客に「ウーロン茶!」コールを要求していたのだけど、これがレキシの「マゲ」コールのとき以上に延々と、しかもハイレベルなコールを求められ続け。すみません池ちゃん、もうこれ以上声を張り上げるのはキツイっす、というギリギリのところでやっとOKをいただき、ついにFUNKYウーロン茶が始まった時には本気でうれしかったですよ。どうやらその気持ちはみんな同じだったらしく、曲中の盛り上がりはハンパない状態でした。竹っち先輩のギターソロも、ノリノリで前に出てきたTOMOHIKOもカッコ良かったですわー。
ウーロン茶の後、池ちゃんと「盛り上がったねえ~~」などと話しながら、やおら帽子を脱ぎ代わりにキンキラキンの魚の形のかぶりものをかぶったタカシくん。で、そのかぶりものの意味にお客一同が胸をときめかせていたらば、そのいでたちを見た池ちゃんに「なんか、さかなクンっぽくね?」と指摘されたものだから、突然メガネをはずしてさかなクンのモノマネまで披露してくれたタカシくん。あのタカシくんのパフォーマンスには、まさにその直後始まったファンキーな終盤戦への決意を垣間見た気がしました!(←おおげさ)
というわけでいよいよライブはクライマックス。まずコミブレで死ぬほど踊り、続く五十音ではもちろん「しゃっちほっこ~」でタカシくんの頭上を拝み。この時点ですでに軽く燃え尽きかけていた自分。頭の中が真っ白で、もう何の曲があとに残されているのかもわからない状態で。そこへあの周ちゃんのドラムのイントロが聴こえてきた瞬間、ダメ押しのように脳内ネジがぶっとびました。マッケンLO!おおおおこの曲を忘れてる場合じゃないだろうよ自分ーー!
この曲のイントロでは、池ちゃんがお客をお約束のセリフであおるのがお約束なのですが。今日は明らかに様子が違いました。「残りはあとちょっとだけど・・・最後ってことは、全部使うってことだよおーーー!」と、セリフこそさほど変わり映えしないものの、マイクを握り締め声を張りあげる池ちゃんは、切実さがにじみ出るような表情で。今日はMCでも「コタツトークっぽい」とタカシくんに冷やかされるなど、終始いつもと違う雰囲気をかもし出していた池ちゃんでしたが、このマッケンLOのシャウトにこそ、今の池ちゃんの本音がにじみ出ていたような気がしました。もちろん、これで私の涙腺がやられたのは言うまでもありません。
マッケンLOの後はセ・ツ・ナ。それで本編終了。このラストはもう圧巻というしかありませんでした。骨太なリズム、それでいて心地の良いスキマだらけの音、2本のギターは絶妙に絡み合い、ボーカルは天井知らずに響き渡る。この人たちが解散するだなんて、悪い冗談としか言いようがないだろう。やってる本人たちだってそう思わないのか?そんなことを考えずにはいられないくらい、最高のフィニッシュでした。
引き続き頭の中が真っ白のままだった自分は、あいのわとサヨナラCOLOR以外にどの曲がアンコールであり得るのか、想像もつかないままでした。ただ、1曲でもたくさんの曲を聞かせて欲しいと願いつつ、ひたすら手拍子アンコール。
そしたらば、再びステージに現れた5人は、、まず1曲目にあいのわをぶちかまし。2曲目にはなんと、まわれダイヤル!うわああ、なんというバタ犬らしさあふれる流れだろか。わかっていたけど、まわれダイヤルってこんなにも名曲だったっけ。ああもう、いったいこの人たちは今日何度私を泣かせれば気が済むのか。もはや軽く恨み言すら言いたくなるくらいです。
さらにダメ押しのように3曲目でかけひきのジャッヂメント。このあたりは正直、あんまり記憶はありません。ただ、ついさっきまでは1曲でも多く聴きたいと願っていたはずなのに、この3曲で「今日はこれでおしまい」と言われても構わないとすら思ってしまった、そのくらい満ち足りたひとときだったはず。
とは言え、そりゃあやっぱりダブルアンコールもあるわけで。予想はしていたとは言え、ローディーさんがタカシくんのアコギを用意する姿を見て、微妙にブルーな気分になりかけました。サヨナラCOLORでもって終了、という展開だけは正直、勘弁してほしかったのです。お願いだからファンキーで終わらせてください5人衆、そうでなきゃ私はこの切なさに耐えられない。
そんなことを考えているうちに5人が再登場。そして始まったサヨナラCOLOR。タカシくんの歌も、バンドの音も、とてもすばらしかったです。泣いているお客さんもいました。だけど、やっぱりこの曲の世界には素直に入り込めない自分がいました。どうやらこの曲に対する天邪鬼な思いは、最後まで引きずってしまうようです自分。
サヨナラCOLORが終わり、大きな拍手に包まれるホール。それで、やはりこの曲で終了なのかと思っていたら、なんと竹っち先輩のところに違うギターが運ばれてくるではありませんか。えええ、もしかしてまだ次の曲があるの?!
しかし、竹っち先輩はすぐそのギターをかけようとせず、歌い終わって立ち尽くしたままのタカシくんの様子を伺いながら、躊躇している様子。あああ、お願いだからもう1曲歌うと言ってくださいタカシくん、そしてそのギターを鳴らしてください竹っち先輩ーーーー!
そうして数秒の間の後、閉じていた目を開いたタカシくんは、竹っち先輩のほうを見てアイコンタクト。それを確認してギターを肩に掛ける竹っち先輩。その様子にたまらなく胸がいっぱいになり、これは最後の最後も泣かされる展開かと思ったのですが。
次の瞬間、タカシくんのシャウトとともに始まったまさかのナンバーに、仰天。ス、スネ毛ーーーー(爆笑)バタ犬の中でもいちばんおバカで濃くて、でも意味不明に切ないこのナンバーを、最後の締めに持ってくるとは!あまりに最高すぎる演出に、もはや涙も通り越してただただ狂喜。さっきまで珠玉のバラードを鳴らしていたとは思えない、5人の超絶グルーヴに酔いしれながら、「バタ犬最高!福井最高!」と何度も心の中で叫んで、そしてついにすべての曲が終了となったのでした。
そんな感じで。ライブが死ぬほどすばらしかったのはもちろんですが、思いがけない出会いがあったり。メンバー3人の地元のすばらしさを素直に実感できたりして、最高すぎる福井の旅でありました。これで、残り2公演も燃え尽きようという気合と泣きまくる覚悟ができた気がします。どうか大阪も日比谷も、こんな風に満たされた思いで会場を後にすることができますように。そんなことまでも、てるてるアフロにそーっとお願いしてみましたよ。