京都から近鉄奈良までの特急は満席で、奈良公園を歩く人も多い。
平日の昼食時を狙って国立博物館に行ったところ、入場30分待ちの状態だった。
館内も混み合っていたが、展示室入口で係員が、「順路はありませんので・・」と言っている。その通りに、観たいと思う展示物に近づいていくと、時間はかかるが、ほぼ最前列で鑑賞することができる。
金銀平文琴の文様の美しさ、聖武天皇から東大寺大仏へ献納された袈裟の華麗な色合。
大仏開眼会に参列した聖武天皇、光明皇后、孝謙天皇が着したとされる冠は、鎌倉時代に破損があり、残欠が伝えられている。
千二百年を超える過去の中で、光明皇后は、皇位をめぐる皇族・有力氏族同士の生涯続く争いから逃れることもできず、どのような思いと表情で開眼会に臨まれていたのであろうか。
井上靖の小説にも書かれた漆胡樽は、シルクロードを旅するための、駱駝に乗せるいわば水筒。工芸品として作られたものらしく、新品に見えるほど。
展示品すべての感想は書けない。
展示室を出ると屋外にお茶席があった。
展示会場は混雑しているが、意外なことにお茶席は落ち着いていた。ゆったり座って景色を眺めながら抹茶。ずっとここに居たいと思う。
図録と実用の漆器を買った。それと、何処にでもあるので集めるようになったマグネット。
紫檀金鈿柄柄香炉(古代の仏前仏具)
同時期には、興福寺の北円堂、南円堂も開いている。
南円堂に入ったことはなかった。
不空羂索観音の豪華な冠、それと同様に稠密な光背を観て、北円堂へ
北円堂内は左回りに回ることになっている。無著さまと視線が合い、歩くほどについてくる。
近鉄奈良駅から国立博物館の往復、興福寺に立ち寄っただけながら、随分と歩いた。