青い鳥を回収してラボで修理をした後、この時間線に戻ってきて鳥を放った場所は、どこだったか――。
子供達が遊べる公園だったのは覚えていた。
住宅街の中にある、心ばかしの広さの公園だった。
名前は、“あら……”なんとかいう公園だったはずだった。
どうして、その公園に青い鳥を放したのか。
――そうだ。
と、瞬は歩きながらうなずくと、待ち合わせの場所に向かう足を心持ち早足にした。
瞬が公園に青い鳥を放したのは、世界樹の幼樹がその公園に生えていたからだった。
道を進んで行くにつれ、瞬はどこかしら見知った景色があることに気がつき始めた。
あの時の公園になら、このままたどり着けるかもしれない、という確かな自信が、瞬の中に湧き上がっていた。
「――だんな。トラベラーのだんなってば。なにしてるんです」
どこからか声が聞こえてきて、瞬は戸惑ったように足を止めた。
「なんだ、おまえ達か――」と、瞬はほっとしたように言った。
「どこに向かってたんです? 待ち合わせ場所はもうとっくに過ぎてますよ」と、地面かから突き出した潜水艦のハッチから、心配そうな顔をしたボスが、体を乗り出して言った。「早く乗ってください。あいつら、まんまと逃げおおせましたよ」
「なんだって」と、瞬は顔色を曇らせて言った。
意外な状況に驚いた瞬は潜水艦に乗りこむと、そこにはまた、別の驚きが待っていた。
「この二人は?」
と、瞬は新たに潜水艦に乗船した沙織とジローを見て言った。
「それが、いろいろありまして」と、ボスは困ったように言うと、もじもじと頭を掻いた。
見れば、ほかの盗賊達も、ばつが悪そうにうつむいていた。
「私は雪野。こっちは、ジローよ」と、沙織は言うと、小さく会釈をした。「彼らから簡単に話は聞いたけど、どうやら私達にも関係あるみたいなの」
「――」と、瞬はうなずきながら二人を見ると、言った。「いまさら正体を隠すつもりはないが、きみ達は未来の道具を持っているのか」
瞬の目は、明らかにジローを意識していた。
「ジローは関係ないわ」と、沙織は瞬の思いを見透かしたように言った。「スカイ・ガール達は、この指輪を狙っているのよ」
沙織の薬指に填められていた指輪は、年齢に似つかわしくないほど大粒の宝石だった。エメラルドのような、深い緑色をしていた。
「その指輪は、どんなことができるんだ」と、瞬は首を傾げながら言った。
「旦那でもわからないんですか」と、舵を操作するボスは困ったように言った。「未来から来た旦那なら、なにかわかるかと思ったんですがね」