くりぃーむソ~ダ

気まぐれな日記だよ。

地図にない場所(101)

2020-07-13 18:43:20 | 「地図にない場所」
         10
 サトルは次の日、工場長に事の次第を話して暇をもらい、リリと二人で風博士のもとに向かうことにしました。
 風博士の研究所があるという魔笛の谷は、ドリーブランドの住人でさえ、めったに足を踏み入れることのない秘境でした。サトルは、そのことを工場長から聞くと、ねむり王のワナを、命からがらくぐり抜けてきたことを思い出し、わずかにひるみましたが、風博士に会うためには、しかたがないと心を決めました。
「がんばって行けよ。もし、その博士に会えなかったら、私の家に戻って来てもかまわんからな。無理はするなよ――」と、工場長は、別れ際に涙こそ見せませんでしたが、家族みんなで手を振ってくれました。
 サトルは、工場長の家を出ると、リリと二人で、空の彼方に飛び去っていった天馬を、大きな声で呼びました。
 帰ってこないかも、なんて心配は必要ありませんでした。どこか遠くから見守ってくれていたのか、「おーい」と言い終わる間もなく、光が瞬くような早さで、翼を広げた天馬の姿が、空に現れました。
「――工場長」と、サトルはリリを天馬の背に乗せると、振り返って言いました。「じゃあ、行ってきます。いままで、ありがとうございました」
 天馬に跨がるサトルを見ながら、工場長は大きくうなずきました。
「気をつけて行けよ――」
 サトルは、こくりとうなずくと、前を向いて言いました。

「行こう、魔笛の谷へ――」

 天馬は、サトルが言うやいなや、あれよあれよという間に、青い空の向こうに飛び去っていきました。
「リリ、大丈夫……」と、サトルが、後ろに乗っているリリに聞きました。
「ええ、わたしは大丈夫」
「――あのまま、工場長の家にいればよかったのに。ぼくは一人でも、十分やって行けたのにさ」
「ううん。わたしだって、力になってあげたいもの。だからいいの」と、リリは気にしないで、というように言いました。
「ありがとう」と、サトルは言うと、唇を噛みながら、天馬の進んでいく先に目を凝らしました。
 夢見の町が地平線の奥に消え、懐かしい希望の町を通り過ぎ、サトルとリリを乗せた天馬は、鋭い剣先のような山々が連なる峡谷に、やって来ました。
 夕暮れ近く、薄暗くなったお日様の光に照らされた山々は、巨大な怪物の口の中を思わせました。二人は、あまりの景観に目を奪われ、すぐにでも引き返したい衝動に駆られましたが、勇気を奮い起こして、突き進みました。
「――ここが、魔笛の谷」
 と、サトルがつぶやきました。その名のとおり、この谷間を吹き抜けていく風は、悪魔の奏でる楽器のような音を立て、キンキンとした歌声は、まるで飢えた魔女の呪文のようでした。
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よもよも

2020-07-13 06:11:10 | Weblog
いやはや。

寒い。

先週、ひさびさ体育館に集まって汗流してきた。

って書けば聞こえはいいけど、

体ガタガタ。

想像はしてたけど、

スポーツ畳ってこんなに硬かったっけって

目を疑った。

さすがに人も少なくって、

最後は自分達だけになったけど、

時間の大半は座って雑談して終わった・・・。

このまま徐々に感染症対策も緩くなってくのかな、

なんて思ったけどさ、

どうもやっぱり無理みたい。

とほほ。
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