分け入っても分け入っても本の森

本読む日々のよしなしごとをそこはかとなく♪

●Yukio YASHIRO

2005年12月14日 23時53分16秒 | 文学
先月の、「福田恆存を語る」講演会のことです。
風邪気味なのに出かけて行った、みか5さいちゃんを心配するぼくに、「カエルコール」が鳴りました。
ゲコゲコ♪
「ヨンダくん、みか5さいです。今から帰ります」
「はい、気をつけて」
「みか5さいが着くまでに、調べてほしいことがあります――」

佐伯彰一による講演は、福田恆存の思い出よもやま話のように始まり、途中から三島由紀夫を絡めて語る福田、そして三島の思想的問題を福田はどう見ていたか、福田と三島、ともに劇的な二人の、そのドラマのエッセンスの違いは何か、という路線でシンポジウムに突入したそうですが、長老仙境の風格は脱線を恐れず、流れに付いていけない進行が的を外すので、みか5さいちゃんは、それはじれったい思いで聴いていたそうです。

中で、三島外遊の誘致計画に、前代の芥川の例をひいたところで、矢代幸雄の名に聞き及び、みか5さいちゃんの中に触れるものがありました。
佐伯は、芥川全集にそれが載っているかもと言ったのですが、「芥川全集には載っていない」(と、みか5さいちゃんはほぼ断言)「(芥川に外遊の誘いを)手紙―という形―にして出したのは(矢代ではなく)恒藤では」

「――でも、未定稿までちゃんと調べてくださいね」
「はい~w」

やはり、その件では、矢代の出した手紙も、それに対する芥川の返事もありませんでした。


あれほどまでに、「日本であること」「日本人であること」を強調し続けた三島の思想とは、果たして「本当に」日本的なものであるのか、その問いは、依然タブーのままでありましょうか。(そこに、福田の目は鋭く切り込むのです)