民法には、失踪宣告による不在者の死亡擬制という制度がある(30~32条)。住所を離れてすぐ帰る見込みのない者(=不在者)が7年間にわたって生死不明のとき、家庭裁判所がその者の失踪を宣告すると、その不在者は死亡したものとみなされる。
この制度については「短答式試験に出るかも」くらいの認識しかなかったが、最近、次のような質問をされたため、恥ずかしながら大慌てで調べた。
〔質問〕:甲が死亡して、相続人はA・B・Cの三人です。遺産分割協議をしたいのですが、Cが2年前から行方不明です。どうしたらよいでしょうか。
〔誤答〕:失踪期間が満了するまでどうしようもありません。あと5年待ってください。
〔正答〕:Cの不在者財産管理人を選任して(民法25~29条)、その管理人と遺産分割協議案を作成し、再び家裁の審判を受けてください。
何が言いたいかというと、わが国の相続制度はなかなかよくできている。