ニカーヤ/阿含経典

2016-11-23 14:31:25 | 政治史・思想史

[ニカーヤ=阿含]

・「パンチャ・ニカーヤ(パーリ五部)」とは、パーリ語で書かれた長短さまざまな5000以上の経典の集合体。成立は前1世紀頃であり、数ある経典の中で最古のものに属する。インドから南方仏教諸国(スリランカ、タイ、ミャンマー、ラオス、カンボジア等)に伝わった。

・同じ経典がインドからシルクロードを通って中国にも伝わった。「伝承するもの」という意味の「アーガマ=阿含」と呼称されて漢訳された(漢訳四阿含)。概ねパーリ五部と対応する。

・日本仏教には、阿含経典を奉じる宗派はない。

 

[構成]

(1)ディーガ・ニカーヤ【長部経典】/長(じょう)阿含経

・両者の経数や内容はほぼ一致。

・邦訳(抄訳)として、増谷文雄編訳『阿含経典3』[ちくま学芸文庫版2012]。

 

(2)マッジマ・ニカーヤ【中部経典】/中阿含経

・両者の経数や内容はほぼ一致。

・邦訳(抄訳)として、増谷文雄編訳『阿含経典3』[ちくま学芸文庫版2012]。

 

(3)サンユッタ・ニカーヤ【相応部経典】/雑阿含経

・ニカーヤ/阿含の中では、もっとも素朴な経典であり、初期仏教経典の原初的な形態を残すと言われる。原語(パーリ語)と漢訳の経数はかなり異なるが、主要な経典は一致。

・邦訳(抄訳)として、増谷文雄編訳『阿含経典1〜2』[ちくま学芸文庫版2012]、中村元訳『ブッダ神々との対話』『ブッダ悪魔との対話』。

 

(4)アングッタラ・ニカーヤ【増支部経典】/増一阿含経

・両者は一致。

 

(5)クッダカ・ニカーヤ【小部経典】

・パーリ五部の中ではもっとも後期のものでさらに15にわかれる。若干のものが漢訳されているが、全体に相当するまとまった漢訳はない。

・いちばんよく読まれているものが、2ダンマパダ/法句経。

・ダンマパダより古いものが、5スッタニパータ/経集。邦訳として中村元訳『ブッタのことば』[1984]。

 

中村元「解説」『ブッダのことばースッタニパータ』[1984]

呉智英『つぎはぎ仏教入門』[筑摩書房版2011、ちくま文庫版2016]pp

立川武蔵「解説」増谷文雄編訳『阿含経典1』[ちくま学芸文庫版2012]

佐々木閑「解説」増谷文雄編訳『阿含経典2』[ちくま学芸文庫版2012]

宮崎哲弥、呉智英『知的唯仏論』[サンガ版2012、新潮文庫版2015]p126

佐々木閑『本当の仏教を学ぶ一日講座 ゴータマは、いかにしてブッダとなったのか』[2013]pp182-3

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