法事に出席するため、週末実家に帰ってきた。
2年前、88歳の誕生日に大往生を遂げた父方の祖父は、その鷹揚な性格と、
小さくて丸いコロボックルのような可愛らしい容貌で、常に親戚一同から愛される
存在であった。
その大好きな祖父の三回忌。
そして出席するのは、異様なほど「集まり好き」な父方の親戚一同だ。
ここで盛りあがらずして、いつ盛り上がろうというのか。
親しい友人なら多少知っているが、私の父方の親戚は、どういうわけか昔から
「おもしろエピソード」に事欠かない愉快な人々の集合体である。
特に、父の妹が嫁いだY家に関するネタは尽きることがなく、いつか機会が
あれば一冊の本にまとめたいぐらいだ。
さて、法事当日はぬけるような青空で、絶好の墓参日和である。
さすがの面々も法事中は神妙な様子であったが、墓参りをする頃にはいつもの
調子に戻り、祖父のお墓を取り囲んでひとしきりしゃべり倒す。
完全に身内だけなので、施主の挨拶もへったくれもなく、自由気ままな墓参で
ある。
墓参りの後、「あー、お腹すいたねえ」と一同が向かったのは、どこぞのお上品な
料亭ではなく、寺の近所の『藍屋』だ。
一応和食レストランではあるが、言ってみればファミレスである。
予約もしてない喪服の集団がいきなり「11人なんですけど~」とやってきたわけで
『藍屋』的にもやや困惑、といったカンジであった。
「あいにくお座敷はご予約のお客様が入っておりまして・・・・」とかしこまる店員に
「いいのいいの、一般席で」と伝え、店内ど真ん中のテーブル席を占領することと
なった。
ここで、我が家のゴッドマザー(祖母)からの
「みんな何でも好きなもん頼みな。一番高いもんでもいいよ」
の一言に、一同狂喜乱舞。
「松茸!松茸!松茸御膳で!あと、クリームソーダも!」とか
「じゃあ私、このステーキ丼の天ぷら御膳セット、あと食後にチョコパフェね!」
とか、もう大騒ぎである。
これで法事の会食。
いいのだろうか?
周囲の一般客は、確実にひいていた。
うちの父(施主)も、大喜びで好物のクリームあんみつをオーダーしつつ、
<女性専用の甘味処に上司と入ってしまった昔のドジ話>を性懲りもなくまた
披露している。
皆もう百万回は聞いたくせに、お約束のポイントでちゃんと爆笑しているところが
このメンバーのすごいところだ。
ベテラン芸人と長年ついているファンみたいな阿吽の呼吸である。
さんざん飲み食いして満腹になったが、まだまだしゃべり足りない一行は、その
まま父の妹その2のアパートになだれ込み、延々としゃべり続けた。
6畳一間に喪服が11人。
それが、おかしな昔話を次々に持ち出しては涙を流して笑っている。
異様な光景かもしれない。
それからかれこれ3時間はしゃべり続けたであろうか、誰からともなく
「なんか腹減った」
とか言い出し、何故かゾロゾロと近所のデニーズへ。
しつこいようだが、皆まだ喪服である。
しかもヨレヨレ。
いい大人が11人もいて、「いやもう解散しようよ、喪服だし」と言い出す常識人が
何故に皆無なのか。
ちょっとだけ不安になり祖母の様子を伺ったが、またものすごく嬉しそうに
「あたし、スパゲッティー」
とか言ってるので、なにか私もふっ切れた気がした。
この自由気ままでガサツな面々だが、元をただせばその頂点にいるのが祖母で
あり亡き祖父である。
こんな過ごし方がきっといい供養になるのであろう。
そうだよね、お爺ちゃん。
お願い、そうだと言って。
2年前、88歳の誕生日に大往生を遂げた父方の祖父は、その鷹揚な性格と、
小さくて丸いコロボックルのような可愛らしい容貌で、常に親戚一同から愛される
存在であった。
その大好きな祖父の三回忌。
そして出席するのは、異様なほど「集まり好き」な父方の親戚一同だ。
ここで盛りあがらずして、いつ盛り上がろうというのか。
親しい友人なら多少知っているが、私の父方の親戚は、どういうわけか昔から
「おもしろエピソード」に事欠かない愉快な人々の集合体である。
特に、父の妹が嫁いだY家に関するネタは尽きることがなく、いつか機会が
あれば一冊の本にまとめたいぐらいだ。
さて、法事当日はぬけるような青空で、絶好の墓参日和である。
さすがの面々も法事中は神妙な様子であったが、墓参りをする頃にはいつもの
調子に戻り、祖父のお墓を取り囲んでひとしきりしゃべり倒す。
完全に身内だけなので、施主の挨拶もへったくれもなく、自由気ままな墓参で
ある。
墓参りの後、「あー、お腹すいたねえ」と一同が向かったのは、どこぞのお上品な
料亭ではなく、寺の近所の『藍屋』だ。
一応和食レストランではあるが、言ってみればファミレスである。
予約もしてない喪服の集団がいきなり「11人なんですけど~」とやってきたわけで
『藍屋』的にもやや困惑、といったカンジであった。
「あいにくお座敷はご予約のお客様が入っておりまして・・・・」とかしこまる店員に
「いいのいいの、一般席で」と伝え、店内ど真ん中のテーブル席を占領することと
なった。
ここで、我が家のゴッドマザー(祖母)からの
「みんな何でも好きなもん頼みな。一番高いもんでもいいよ」
の一言に、一同狂喜乱舞。
「松茸!松茸!松茸御膳で!あと、クリームソーダも!」とか
「じゃあ私、このステーキ丼の天ぷら御膳セット、あと食後にチョコパフェね!」
とか、もう大騒ぎである。
これで法事の会食。
いいのだろうか?
周囲の一般客は、確実にひいていた。
うちの父(施主)も、大喜びで好物のクリームあんみつをオーダーしつつ、
<女性専用の甘味処に上司と入ってしまった昔のドジ話>を性懲りもなくまた
披露している。
皆もう百万回は聞いたくせに、お約束のポイントでちゃんと爆笑しているところが
このメンバーのすごいところだ。
ベテラン芸人と長年ついているファンみたいな阿吽の呼吸である。
さんざん飲み食いして満腹になったが、まだまだしゃべり足りない一行は、その
まま父の妹その2のアパートになだれ込み、延々としゃべり続けた。
6畳一間に喪服が11人。
それが、おかしな昔話を次々に持ち出しては涙を流して笑っている。
異様な光景かもしれない。
それからかれこれ3時間はしゃべり続けたであろうか、誰からともなく
「なんか腹減った」
とか言い出し、何故かゾロゾロと近所のデニーズへ。
しつこいようだが、皆まだ喪服である。
しかもヨレヨレ。
いい大人が11人もいて、「いやもう解散しようよ、喪服だし」と言い出す常識人が
何故に皆無なのか。
ちょっとだけ不安になり祖母の様子を伺ったが、またものすごく嬉しそうに
「あたし、スパゲッティー」
とか言ってるので、なにか私もふっ切れた気がした。
この自由気ままでガサツな面々だが、元をただせばその頂点にいるのが祖母で
あり亡き祖父である。
こんな過ごし方がきっといい供養になるのであろう。
そうだよね、お爺ちゃん。
お願い、そうだと言って。
Mushiさんもその血を引いてんだ。。。
お盆やお正月、その中に放り込まれるMオ氏の気持ちを想像してみてください。
かなり可哀相です。