本件は,被告に契約社員として雇用されていた原告らに対し,被告が平成21年3月31日限り,予備的に平成22年3月31日限り,上記雇用契約を更新しない旨の通知をしたことについて,原告らは,主位的に,原告らと被告との雇用契約は更新が繰り返された結果,期間の定めのない雇用契約に転化しており,上記の雇止めは無効であると主張して,予備的に,期間の定めのある雇用契約であったとしても解雇権の濫用にあたると主張して,被告に対し,雇用契約上の地位にあることの確認(主位的に期間の定めのない雇用契約,予備的に期間の定めのある雇用契約)と賃金の支払を求めた事案です。
地裁判決は,まず,原告らと被告との間の雇用契約が期間の定めのない雇用契約に転化した,あるいは実質的に期間の定めのない雇用契約と異ならない状況になったといえるかについて検討し,これを否定しました。
次に,原告らが雇用継続の合理的期待を有するに至ったかについて検討し,「期間の定めのある雇用契約は3年を超えて更新されないというルール」(3年ルール)について説明をしたことを理由として原告らにおいて契約期間満了後も雇用継続を期待することは合理的ではなかったとする被告の主張は採用できないとした上で,
・ 契約期間が原告Aについては勤続年数7年9か月,更新回数10回,原告Bについては勤続年数4年11か月,更新回数は4回に及んでいること
・ 原告らの業務は,広告記事の作成やイベントの運営など,新聞編集等の業務と比べると軽いものではあるが,ほぼ自分の判断で業務を遂行しており,誰でも行うことができる補助的・機械的な業務とはいえないこと
・ 原告らは,契約の満了時期を迎えても,翌年度に継続する業務を担当しており,当然に更新されることが前提であったようにうかがえること
などからすると,原告らとしては,契約の更新を期待することには合理性があるといえるとしました。
その結果,「したがって,原告らと被告との間の雇用契約については,期間の満了により直ちに雇用契約が終了するわけではなく,使用者が更新を拒絶するためには,社会通念上相当とされる客観的に合理的な理由が必要であると解される。」という流れになりました。
合理的理由の有無についてのあてはめ,検討の部分は,以下のとおりです。
論理の流れからすると,「被告についての経営状態が明らかではなく,」という部分が,主な理由となっているようにも読めます。
被告は,この点について,被告を含めた京都新聞社グループの経営状態が極めて厳しく,原告らとの契約を更新しないことについて合理的な理由がある旨主張する。
確かに,京都新聞社における主要な収入源の一つである広告収入が大幅に減少しており,京都新聞社の営業利益は,平成20年度は赤字となり,平成22年度の正社員の募集をしなかったなど,解雇もやむを得ないことをうかがわせる事情はあるが,被告についての経営状態が明らかではなく,これまで原告らに対し3年ルールを十分に周知せずに契約の更新が重ねられてきたことなどからすると,3年ルールの告知がされてから未だ3年に満たない時期にされた本件雇止めを相当とする合理的理由があるとまではいえない。
したがって,本件雇止めは無効であるから,原告らは,現在も被告において期間の定めのある契約社員としての地位にあるといえる。
地裁判決は,まず,原告らと被告との間の雇用契約が期間の定めのない雇用契約に転化した,あるいは実質的に期間の定めのない雇用契約と異ならない状況になったといえるかについて検討し,これを否定しました。
次に,原告らが雇用継続の合理的期待を有するに至ったかについて検討し,「期間の定めのある雇用契約は3年を超えて更新されないというルール」(3年ルール)について説明をしたことを理由として原告らにおいて契約期間満了後も雇用継続を期待することは合理的ではなかったとする被告の主張は採用できないとした上で,
・ 契約期間が原告Aについては勤続年数7年9か月,更新回数10回,原告Bについては勤続年数4年11か月,更新回数は4回に及んでいること
・ 原告らの業務は,広告記事の作成やイベントの運営など,新聞編集等の業務と比べると軽いものではあるが,ほぼ自分の判断で業務を遂行しており,誰でも行うことができる補助的・機械的な業務とはいえないこと
・ 原告らは,契約の満了時期を迎えても,翌年度に継続する業務を担当しており,当然に更新されることが前提であったようにうかがえること
などからすると,原告らとしては,契約の更新を期待することには合理性があるといえるとしました。
その結果,「したがって,原告らと被告との間の雇用契約については,期間の満了により直ちに雇用契約が終了するわけではなく,使用者が更新を拒絶するためには,社会通念上相当とされる客観的に合理的な理由が必要であると解される。」という流れになりました。
合理的理由の有無についてのあてはめ,検討の部分は,以下のとおりです。
論理の流れからすると,「被告についての経営状態が明らかではなく,」という部分が,主な理由となっているようにも読めます。
被告は,この点について,被告を含めた京都新聞社グループの経営状態が極めて厳しく,原告らとの契約を更新しないことについて合理的な理由がある旨主張する。
確かに,京都新聞社における主要な収入源の一つである広告収入が大幅に減少しており,京都新聞社の営業利益は,平成20年度は赤字となり,平成22年度の正社員の募集をしなかったなど,解雇もやむを得ないことをうかがわせる事情はあるが,被告についての経営状態が明らかではなく,これまで原告らに対し3年ルールを十分に周知せずに契約の更新が重ねられてきたことなどからすると,3年ルールの告知がされてから未だ3年に満たない時期にされた本件雇止めを相当とする合理的理由があるとまではいえない。
したがって,本件雇止めは無効であるから,原告らは,現在も被告において期間の定めのある契約社員としての地位にあるといえる。