整理解雇は,普通解雇(狭義)や懲戒解雇と比較して,有効となりやすいですか,無効となりやすいですか?
業績不振による事業場閉鎖,企業経営の合理化等,経営上の理由から人員削減を行う整理解雇 は,労働者に帰責性のない解雇 のため,その有効性は厳格に判断されます。
考慮すべき要素が異なるため一概には言えませんが,一般的には,整理解雇の有効性は,普通解雇 (狭義)や懲戒解雇よりも無効と判断されやすい傾向にあります。
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業績不振による事業場閉鎖,企業経営の合理化等,経営上の理由から人員削減を行う整理解雇 は,労働者に帰責性のない解雇 のため,その有効性は厳格に判断されます。
考慮すべき要素が異なるため一概には言えませんが,一般的には,整理解雇の有効性は,普通解雇 (狭義)や懲戒解雇よりも無効と判断されやすい傾向にあります。
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整理解雇 が有効となるかどうかを判断する際に検討する事項は,以下のとおりです。
① 就業規則の解雇事由に該当するか
就業規則がない場合に民法627条により整理解雇できるのは,狭義の普通解雇 と同様です。
② 解雇権濫用(労契法16条)に当たらないか
③ 解雇予告義務(労基法20条)を遵守しているか
④ 解雇 が制限されている場合に該当しないか
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普通解雇 の有効性は,試用期間 中の本採用拒否がなされた場合に問題となることが多く,多くの裁判例が存在します。
普通解雇の有効性が争われた裁判例を判例集からピックアップしてみれば,試用期間中の本採用拒否の有効性の問題として争われるケースが非常に多いことに気付くことと思います。
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普通解雇 が社会通念上相当であるというためには,労働者の情状(反省の態度,過去の勤務態度・処分歴,年齢・家族構成等),他の労働者の処分との均衡,使用者側の対応・落ち度等に照らして,解雇 がやむを得ないと評価できることが必要となります。
同じような状況にあるにもかかわらず,ある者は解雇し,別の者は軽い処分にとどめるといった対応をしたような場合に,問題となることが多い印象です。
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普通解雇 に客観的に合理的な理由があるというためには,労働契約を終了させなければならないほど能力不足,勤務態度不良,業務命令違反等の程度が甚だしく,業務の遂行や企業秩序の維持に重大な支障が生じていることが必要となります。
会社経営者が主観的に解雇 する必要があると判断しただけでは足りません。
通常は,客観的に合理的な理由の存在を証明するための客観的証拠が必要となります。
会社関係者の証言,陳述書も証拠となりますが,証明力が低く評価される傾向にあります。
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普通解雇 (狭義)では,当該労働契約を終了させなければならないほど勤務成績,勤務態度等が不良で職務を行う能力や適格性を欠いているかが問題となり,
① 当該企業の種類,規模
② 職務内容,労働者の採用理由(職務に要求される能力,勤務態度がどの程度か)
③ 勤務成績,勤務態度の不良の程度(企業の業務遂行に支障を生じ,解雇しなければならないほどに高いかどうか)
④ その回数(1回の過誤か,繰り返すものか),改善の余地があるか
⑤ 会社の指導があったか(注意・警告をしたり,反省の機会を与えたりしたか)
⑥ 他の労働者との取扱いに不均衡はないか
などを総合検討することになります(労働事件審理ノート参照)。
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労契法16条は,「解雇 は,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合は,その権利を濫用したものとして,無効とする。」と規定しており,解雇権を濫用すると解雇は無効となります。
解雇が無効と判断されれば,解雇したはずの社員が在職中であることが確認されてしまったり,実際には働いていないにもかかわらず,解雇後の期間(解雇期間)について賃金の支払が命じられたりすることになります。
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普通解雇 した時点で既に存在していたものの使用者に判明しておらず,当初は解雇理由とされていなかった事実が後から判明した場合,後から普通解雇事由として追加主張することができるとする裁判例が多いところです。懲戒解雇 の場合は,特段の事情がない限り懲戒事由の追加主張が許されないのとは対照的です。
もっとも,解雇理由証明書(労基法22条)を交付している場合は,解雇理由証明書に記載されていない解雇理由に基づく解雇は社会通念上相当でないものとして解雇権濫用(労契法16条)と判断されるリスクが高まりますし,事案によっては追加主張自体認められないリスクもあるものと思われます。
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懲戒解雇 事由に該当していれば普通解雇 事由が存在すると考えるのが一般的ですので,懲戒解雇事由に該当することを理由として普通解雇することができるケースが多いものと考えられます。
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