パンダとそらまめ

ヴァイオリン弾きのパンダと環境系法律屋さんのそらまめによる不思議なコラボブログです。
(「初めに」をご一読ください)

COP12・COP/MOP2

2006-11-21 23:48:25 | 環境ネタ
 先週末までやってたCOP12・COP/MOP2が終わったそうで、お疲れ様でした(長文注意)。けど一歩引いてコレってどれくらいメジャーなんでしょうねぇ(・ ・?)
 ○国際会議らしいと分かる
 ○コップ トゥウェルブ コップモップ ツー と読める
 ○温暖化? オゾン? 生物多様性? と???となる
 ○気候変動枠組条約第12回締約国会議及び京都議定書第2回締約国会議だと分かる
 ○何となく京都議定書の先の国際枠組(Beyond Kyoto)の話をしていると知っている
 ○Conference of the Parties と Conference of the Parties serving as the meeting of the Parties だと分かる
 ○細々としたイシューまで知っている(ベラルーシとかprivileges and immunitiesとか)
の順ぐらいにマニア化していくのかなぁ~。
 
 なんだか変な前置きになりましたが、そう、ナイロビで気候変動枠組条約第12回締約国会議及び京都議定書第2回締約国会議が行われて、2012年に終わっちゃう京都議定書の削減義務の後をどうしようという話をメインに国際交渉が行われていたのでした。メインのアウトプットは京都議定書9条に基づく議定書のレビュー(検討)を2年後再度行うことにした、ということなのですが、一部報道の見出しがちょっと楽観的な方向で誤解されそうで(朝日「COP閉幕、「京都後」08年見直し決着」、読売「京都議定書会議が閉幕、08年見直し合意…中国が譲歩」)ちょっと心配。と思ってたら代表団のいつもの概要と評価でも
特に、今回初めて議論された京都議定書第9条に基づく同議定書の見直しについては、その成果が各方面より注目されていたが、我が国が目指した同見直しのプロセス化について、第2回目の見直しを2008年のCOP/MOP4にて行い、それに向けた作業スケジュールが合意されたことで、我が国の基本方針である実効ある将来枠組の構築に向けた議論の具体的な道筋をつけるものとなった
ってな感じで異例じゃないかと思うほど積極的な評価をしててビックリ。熱気もないも伝わらないアメリカにいるせいかという気がしないでもないけど、行方をウォッチしてそれなりな期待もあったのでその反動だったのかなぁ。面白いのが、New York Timesの記事の見出しが閉幕直後は"Climate Change Meeting Ends Without Pact"だったのに記事が修正されてて(注:よくあること)"Big Conference on Warming Ends, Achieving Modest Results"、終わった直後はガッカリしたけどよ~く考えるとちょっとは前に進んでいるってことですかね

 でも、去年から始まった議論とあわせて、議題ごとにバラバラに(fragmented)検討が進むことになってハナハダ分かりにくいのではと懸念。何でこうなるかというと、条約・議定書の根拠条文が違っててそれぞれに検討プロセスが立ち上げることになっちゃった、ということで、去年京都議定書3条9と9条の違いについてのエントリも立てましたし、CASA(日本のNGOです)のエントリでサクッと以下のようにまとめてあってこれはこれで結構分かりやすいのですが、
(略)2013年以降の枠組み議論は、既報のように3つのプロセスで行われます。
 ①先進国の2013年以降の削減義務に関する議論を行う「特別作業グループ(AWG)」
 ②議定書9条の議論;現在の議定書の見直しを行うプロセス
 ③条約のもとでの「長期的な共同行動についての対話(ダイアログ)」
なんとなくそれでもややこしいのでポンチ絵風なものを描いてみた↓(画質が粗いですが)

 
 ※条約下にもとづくいかなる将来の交渉、約束、過程、枠組、又は指令も予断しない。
  新しい約束につながるいかなる交渉も開始しない。


んで、去年始まったのがAWGとDialogue,今回決まったのが議定書見直しプロセスですよ、ということ。ちなみに議定書未締結国は当然ながら議定書締約国会議での議定書見直しプロセスには関与できませんので(オブザーバー扱い)、引き続いてDialogueは重要です。
 こうやって交渉プロセスが断片化(fragmented)すると困るのはタイムスケジュールがズレてくることです。これも絵解きしてみた↓
 
実はというか、G77+ChinaはAWGの議論を2008年までに終わらせろと主張して、先進国側が反対して(特に日本が猛反対)期限設定は見送られたようです。んでCAN(NGO連合)から化石賞をもらったようなのですが、「だが待ってほしい」(笑)、頑張る人を増やす観点からすると現在削減義務を負う国の削減義務のみを先に決めると今決定する必要もないんじゃないか。ましてアメリカの次期大統領としてそれぞれの党で今有力視されている2人(マケインとヒラリー)は何れも温暖化対策推進派で、わざわざ08年に扉を閉じる必要もないでしょうよ(米現政権の態度が変わらないことを見越して「だってアメリカもやってないじゃん」と言いたいがための口実じゃないかと勘ぐってしまう)。ちなみに会議後の中国の声明(新華社)→China Calls for Deadline for Post-Kyoto Talks
 また紹介して恐縮ですが、ミリバンド英環境大臣大臣は今後のスケジュールに関してこんなことを言ってます(強調そらまめ)。 Two Cheers for Nairobi
京都議定書後の長期的取組ーと言っても中期的だけどーに関して言うと、一応進展はあったけど、科学や経済学の要求と国際政治がもたらすものにギャップが残っている。鍵となる2007年は、このギャップに焦点を当てなければいけない。ほとんどの専門家は第一約束期間と第二約束期間に間が空く危険を避けるには2009年末までに最終合意が必要と一致している。これは国連プロセスを加速させるだけじゃなくてG8とか他のプロセスを使って首相・財務相・外相を巻き込んでいく必要があるってことだ。
へぇ~。途上国の態度とも合わせて、何となく08-09年が山で、それに向けて頑張るってことになりそうですね。条約Dialogueは来年のCOPに報告する所までしか決まってなくて、これをどうするか、結構大変なことになっていくのではないでしょうか

他にも面白そうなイシュー(ベラルーシ!)はたくさんあったようですし、そもそもこういう大会議そのものに対して言いたい事は山ほどあるのですが、まぁこのヘンで。


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6 コメント

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いつも勉強になります (r_shi2006)
2006-11-22 23:58:10
一応Greenwire見て追っかけてはいたのですが、中々全体が掴みきれなかったので助かりました。

Yahoo!やGoogleも見てますが、日本では殆ど報じられていませんよね。御紹介されたNew York Timesの記事が一番長い気がします。
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連続コメントすみません(v_v) (猫だぬき)
2006-11-23 04:41:22
○国際会議らしいと分かる 
 分かる。
○コップ トゥウェルブ コップモップ ツー と読める
 読めない。というか音にして読むものと思ってなかった。
○温暖化? オゾン? 生物多様性? と???となる
 そういうテーマだということは、なんとなく…
○気候変動枠組条約第12回締約国会議及び京都議定書第2回締約国会議だと分かる
 京都議定書うんぬんだということは、なんとなく…
○何となく京都議定書の先の国際枠組(Beyond Kyoto)の話をしていると知っている
 「知っている」とまではぁ…
○Conference of the Parties と Conference of the Parties serving as the meeting of the Parties だと分かる
 まさか(笑)
○細々としたイシューまで知っている(ベラルーシとかprivileges and immunitiesとか)
 

って感じです。どれほどメジャーか? ということなので、調子に乗って答えてみました
日本で環境問題について報道されることは稀ですね。あってもごくごく小さく。 真夏に環境大臣が水撒きした、とかってのなら映像付きで大きく出てきますが…
先日、産経新聞のコラムに環境の話が出てました。
が、すみません、このレベルです。(ってなんで私が謝るんだか…?)
http://www.sankei.co.jp/news/061120/col000.htm
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RE; r_shiさん (そらまめ)
2006-11-23 14:41:14
うーん、気にして追っているせいかCCSイシューまで取り上げられたり、閉幕後は産経除いて記事になって読売は社説まで書いてたので「結構報道されてるんじゃン」と思って、その楽観的なトーンを懸念したのですが、全体的な印象からすると(猫だぬきさんのコメントもそうですが)どうも私の勘違いかもしれませんね 
ちなみにENBやPewのラップアップ記事が結構まとまってました。
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RE; 猫だぬきさん (そらまめ)
2006-11-23 15:10:53
ひゃぁ~、答えていただけるなんて 読み方のハードルが私が思ったよりも高いようですね。
  
あの手の会議が特に浮世離れした世界なのは間違いないし、何とかミスリードなく分かりやすく噛み砕いていかないと、なんとなく残っている印象と違う/知らない間に決まっちゃったみたいな感がして後々よくないことになりそうだ(そりゃマズイ)と思っています。
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Unknown (猫だぬき)
2006-11-27 12:38:31
>閉幕後は産経除いて記事になって読売は社説まで書いてたので

あらららら… 「日本で報道されるのは稀」だなんてバカなことを書いてしまいましたけど、どうやら産経ばかり読んでる者の偏った意見だったようで。
あらためてメディアリテラシーの重要性を痛感

>読み方のハードルが私が思ったよりも高いようですね。
もしかしたらテレビニュースでは「コップ トゥウェルブ コップモップ ツー」と言ってたかも知れません。テレビをあまり見ないので、ちょっと世間知らずなんです/face_ase2/}
ということで、「どれだけメジャーか?」についてはあまり参考にならないコメントでした、というオチ…
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RE; (そらまめ)
2006-11-28 15:01:03
 いやいや、会議がある一時期だけフォーカスが当たるってことでいいのかっていうそもそものモヤモヤがあるので、何となくの印象って大事だと思ってるんです。
 専らネットで情報を得る層も増えているので、マスコミと結託してどうこうっていう時代じゃななくなるのでは云々と考えているところもあってぇ。
 まとまりのないグルグルがずーっと続いているんですが、しっかり参考になってるんですってことなんです 
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