今の歌声は

ohtaと申します。M!初演の中川晃教さんに感動してこのブログをはじめました。ゆるゆると更新中。よろしくお願いします。

長距離走者の孤独

2006-06-26 21:21:36 | akinori nakagawa
ミュージカル『our house』 を観て…
昔読んだ小説 アラン・シリトーの「長距離走者の孤独」を思い出しました。

主人公の少年が鉛管か何か、を盗むんですね。
で、彼は『our house』 で中川晃教くんが演じるジョー・ケーシーと同じように少年院(感化院)に送られる。
少年はマラソンが得意で、成績がいいんですね。
で…走らされるんです。
そして、それを逆手にとって、彼はある方法で‘大人’=‘社会’ に対して‘復讐’をするんです。

OUR HOUSE で言えばリーシーに近いかも。

題名は長距離だけど、短編ですぐ読めちゃいます。
文章もリズミカルで。
作者出身のノッティンガム地方の言葉が使われてるそうです。
日本語訳もとってもいい。
生き生きしてて、不良少年なんだけど、潔さが漂ってる感じで。

シリトー…
好きな作家です。

「土曜の夜と日曜の朝」も好きだった。
こっちもour house の少年たちのような労働者階級の学校を卒業して工場で働く青年の話。
シリトー自身も14歳で学校を出て、工場労働者として働いたらしい。
16歳の試験は受けなかったみたいです。

この話は主人公の彼が結婚を決意するまでの話なんです。

our house ではジョーが‘良いジョー’と‘悪いジョー’に別れるけど、現実には‘良い部分’と‘悪い部分’は背中合わせのようになってると思います。
切っても切れない…
どの少年(少女)の中にもジョーがいるし、リーシーがいるし、エモやルイスがいる…


「土曜の夜と日曜の朝」の最後は主人公が一人で釣りをしながら、これから結婚してからの自分の人生をいろいろ思い巡らせる…
そのモノローグ風の最終章が私は大好きでした。

関係ないけど…
イギリス人って釣りが好きですよね。