やおよろずの神々の棲む国でⅡ

〝世界に貢献する誇りある日本″の実現を願いつつ、生きること、ことば、子育て、政治・経済などについて考えつづけます。

【教育討論】22  望ましい子供(国民)像 ~教育基本法(2) ただの建前? ~

2011年12月31日 | ~h27 教育/小学校

教育討論】=【義務教育改革についての(模擬)討論】 進め方:論題の決定(済)2論題ごとの討論(前提ー論述ー反論ー裁定) 3結論(提案) ~各段階で読者参加

■論題2 望ましい子供(=国民)像はどんなものか? (14)
2 論述

[資料3] 「教育基本法(昭和22:1947年公布~平成18:2006年改正) (2)

 前回は、改正の経緯について簡単に述べました。
 教育基本法とは、言わば《日本国民育成の基本設計図》。(憲法の次に)とても大事な基本法なので、論題の範囲を超えて、この法全体ときっちりと勉強・検討していきます。その方法として、現実との比較、旧法との比較などを考えています。

■「基本法」の位置づけ

 
独断ですが、国民の多くは(憲法と同様に?)教育基本法(以後「教基法」と略す)を読んだことはないと思っています(?)。きちんと読んだのは、教育に関係する仕事か、教育に特に興味・関心のある方々がほとんどではないでしょうか?

 なぜなら、(少なくとも私が34年間経験した佐賀県の公立小中学校の)教育現場では、教基法が話題になることも仕事上利用されることもなかったし、一般の方と教基法の話をしたことはなかったからです。

教員と教基法

・教員が読むのは、おそらく、「採用試験と管理職試験」を受ける前だけではないでしょうか。
 しかし、そのときは、(多くは「穴埋め」や「正誤選択」などの形式の)試験用に勉強するので、条文の意味や「現実・現場との関係」を意識することはあまりないでしょう。要するに、ただの記憶用暗記勉強をすることになりがちです。
 (※「問題」が、例えば「教基法は学校や社会でどのように具体化されているか説明せよ」とか、「憲法・教基法・学校教育法・教特法の関係を説明せよ」とか、「教基法と戦前の教育勅語について比較検討せよ」などであれば、真剣に法の意味を考えるでしょうが…)

・なぜ仕事上教基法を必要としないのか・・・現場で必要とされるのは、例えば《教基法の下位法の学校教育法の下位規定である「学校教育法施行規則」》などの、《仕事の内容や方法を実際的・具体的に規定した法令》や、《学校教育法の下位の「学習指導要領」の下位:それに基づいて作られた「教科書」》などなのですから。

 ※<おまけ> 学校にはその「規則」などが記された「教育法規集」が校長室などに1,2冊常備されているし、変更・改正があった場合は新法例が送られてきますが、「通常の仕事」をするうえでは、まったく読む:利用する必要はありません。
 なぜなら、通常は、管理職は《教育委員会の指示通りに仕事する》から。つまり、法令変更の際に教委が通知する「変更のための指示・命令文書・説明書」さえあればことたりるからです。
 ですから、私が教育法規集を利用したのは、《県教委はわが校への職員配置を適正に(=法令通りに)行っているのか?》とか、《なんとか我が校独自のことができないのか?》とか、《日教組:佐教組:支部・分会》が主張していることは本当か?》などについて調べたり勉強したりするときだけでした。(教頭・校長を15年間つとめましたが、私はかなり「変人」だったようです…)

 誤解を恐れずに言えば、(ほとんどの?)学校現場で教基法(などの教育の根本にかかわる法令)が真剣に話題・問題にならないのは、(1)管理職も教員も《人事異動や「出世」などの不利益(=教委・教育長の報復)を恐れて、異見を言えない、(2) 忙しすぎて日々の仕事に追われているだけ、などの理由ではないかと思います。

 本来なら、教育現場では、《どのように教えるか(=技術)》についての研修や議論だけでなく、何を教えるか(=内容)についても議論・検討すべきなのです。教育の「現場」なのですから、「机上の空論」が幅を利かせては困るのです。

 しかし、実態として、戦後60有余年をかけて、現場の異論を許さない「官僚主義型中央集権体制」ができあがっていました(す)。<断言>
 現場のトップ:校長が何を言っても(※それが文科省の方針と少しでも違うところがあれば。もともと「同じ」なら意見を言う必要はないのだが。)地教委(市町村や県の地方教育委員会)は受け入れません。指示・命令の大元は文部科学省なのですから。

 それどころか、この数十年、地教委も文科省も、《現場の声・意見を真摯に聞く》という態度はほとんど感じられませんでした。聞けば、変えなければいけなくなるからでしょうね。例えば《先進国中ではとても多い学級定員数》などのように。
 ※ですから、実際、地教委主催の校長会で、「批判的」あるいは「創造的」意見・異見を言う(言える)校長はほとんどいませんでした。(思っていても、です。)

・教職員組合の活動家の一部は、憲法や教基法を熱心に読んでいたようです、反対や抵抗をするために。


~本当はとても大事な基本法~

 教育現場では「軽視」される教基法ですが、実は、教科書編集の基本方針・内容を決めたり、各自治体(教委)の「生涯学習」などの施策の根拠になったりする、とても重要な法律なのです。

 ですから、これを読んでいる先生方にはもちろん、皆様と共に 《これからの日本の教育》について少しでも考えていければと思い、教基法の全文について勉強していきたいと思います。

~次回から、教育基本法の内容について~

 参考になりましたらクリックをお願いします