ⅲ 江戸時代の身分制度 1/3
「差別問題の状況」も、「同和教育の内容」も、この十数年のうちにかなり変わってきた。
と、珍しく断定文で言えるのは、私自身の小学校奉職34年の経験から・・・昭和51(1976)年から平成22(2010)年の間に12校で勤めたが、そのうち「同推(=「同和教育推進教員)」配置校、つまり校区内に「地区」がある学校が7校。
そこで、いくらか《教育現場の生の体験=一次資料》を思い出しながら<脱線>もさせていただきたい。
ただし、すべて上記の時期の佐賀県でのこと(現在の状況は不明)であることをお知りおきください。
1 名称
学び舎の一部を除いて、各社共通している。 ※他にも地方独自の名称はかなりある。
<脱線> 実は、この「名称」(=「賤称語」)が大問題。
《(学問や授業、関係会議の場等以外の)多くの学校内や地域で、どんな理由であれ、この名称を口にしただけで、解放同盟や全日本会などが問題にする》という仕組み(システム)があった。
これは、大人社会では、差別防止のための《絶大な抑止力》として有効だった。
ところが、中学校では毎年と言っていいほど「賤称語事件」が起きた。※毎年該当学年の中学生にわざわざ歴史教科書で教えるのだから、無くなることはなかった。
当然、当該校と教育委員会と上記「組織」では「大問題」となり、何度も対策会議がもたれた。しかも、「改善」が確認されるまで何年も続いた。
◆ある先生の提案を聞いたことがある。
もしも、《中学生が口にしただけで問題化する》のならば、教科書の記述は「賤称語とされている固有名称」を使わず、「さらに下の身分の人々」や「差別された人々」などの一般的な言い方をしたらどうだろうか? (※小学校社会科ではそのような表現をしてある)
そのほうが、現場の中学生やその親や先生方には親切な配慮だと思う。なかにはびくびくしている人もいると聞く。
◇反論1
歴史学においては、《当時の「文献」にあり、かつ、社会的に広く使用されていた(歴史的)名称は、そのまま使う》というのが原則だ。
◇反論2
中学生は、その名称の、「学問的用語」としての要素と「差別用語」としての要素を、明確に認識して使い分けることのできる発達段階にあるはずだ。したがって、教育現場でしっかり教えるべきだ。
◇反論3
現実にまだこの賤称語を使って差別する事象が起きている。事実から目をそむけてはいけない。寝た子は起こさなければならない。
そのほかにもいろんな反論がありそうですが、皆様はいかがお考えですか。
~次回もつづく~
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