クリスマスの朝

2008-12-25 10:17:22 | Weblog
 「数年前、『もしキリストが生まれなかったならば』と題した珍しいクリスマス・カードが出版された。……そのカードは一人の牧師がクリスマスの朝、その書斎で短い眠りに落ちた時、キリストがお出でにならなかった世界を夢見たのである。
 彼はその夢の中で家中を見回したが、暖炉の上には一足の小さい靴下もなく、クリスマスの鐘、ひいらぎの枝、慰めたもうキリスト、私たちを喜ばせまた救いたもうキリストを発見しなかった。彼は屋外に出て町を歩いたが、天をさしてそびえ立った尖塔をもつ教会もなかった。……
 ドアのベルが鳴って一人の使いが、彼に、貧しい死にかかっている母を訪ねてくれと願った。彼は泣きじゃくっているその使いの子どもと一緒に、急いでその家にいった。彼はすわって「私はあなたを慰めることばを持っています」と言った。彼は聖書をあけて、よく知っている神の約束を探した。しかし聖書はマラキ書が一番終わりになっていて、福音書も希望も約束もなく、彼はただ頭を垂れて絶望のどん底にある母と共に泣くばかりであった。
 二日の後、彼は彼女の棺の側に立って葬式を司ったが、そこには慰めのメッセージも、栄光ある復活も、開かれた天もなかった。ただあるものは『塵は塵に、灰は灰に』ということと、永遠の訣別だけであった。牧師はついに『キリストがこなかった』ことを明白に認め、悲しい夢の中で涙を流して、いたく泣いた。」(『荒野の泉』より)

 もしイエス・キリストが地上に生まれてこなかったら、聖書は旧約聖書で終わっていたし、信じる者への天国も復活もなかった。クリスマスなんてTVでもデパートでもやっているし、あるのが当たり前だったけど、「もしなかったら」を考えると、想像もできないほど殺風景な、荒廃した人生を送る人がどれだけ多かったことか。私もそうだった。
 メリークリスマス。