中国新聞「決別 金権政治」取材班によって書かれた、「ばらまき:河井夫妻大規模買収事件全記録」(集英社)を読了しました。ボクの頭の中では、既にかすかな記憶となりつつあるあの事件。法務大臣の夫と参院選に立候補した妻が夫婦で行った、大規模な金銭ばらまきによる買収事件でした。本を読みながら、あの当時の報道の記憶が少しずつ蘇ってきました。事件が発覚した当時、被疑者夫婦は揃って国会議員。マスコミにずいぶん取り上げられていましたよね。だけど、この本を読んで初めて知ったことがとてもたくさんありました。
カバーの写真は2019年7月4日、参院選の公示日です。広島選挙区に立つ出陣式で聴衆に語りかける河井案里と、それを見つめる夫の克行です。素知らぬ顔で明るい未来と自身への支持を訴える案里候補ですが、しかしこの時すでに2人は手分けをして数多くの地方議員や後援者への買収工作を進めていました。
地元の広島のみならず、日本中を大きな政治不信の渦に巻き込んだ「大規模買収事件」。それはどういったものだったのか?“買収夫妻”は何者なのか?この事件は政界に何を残したのか?そして、本当の“巨悪”は誰なのか?その全貌を広島の地元紙・中国新聞が総力を挙げて取材した、執念のノンフィクション!その全取材記録が本書です。
元法相で衆院議員の夫と、元参院議員の妻。この2人による選挙買収事件を、地元広島の中国新聞が丹念に追って特集した記事をまとめた本書。本書は被買収者との接点のあった記者の苦悩も書かれていて人間味を感じました。当時の報道ではなかなか報じられなかった河合夫婦の買収に関する経緯、および裁判から判決までが網羅されていて、グイグイ引き込まれました。それに地方新聞(中国新聞)の意地と存在意義が満載の記録も生々しく、「映画やドラマにもなりそうだなぁ…」とさえ思えました。まぁ胸糞悪い内容だけどね。