気分次第で早々に終わってしまう噺家もいると聞いているが
古今亭志ん輔に限ってはそんなことはない三席たっぷり伺った
志ん輔さんがテレビに出ていたころからだいぶ経ち 今は60歳の還暦
島田には最近3年連続来てくれているので もうおなじみになった
枕話から本題に入る業も見事で 酒 汁粉 モツ焼 などの顔芸で楽しませた
そのあとに続く本題の酔っ払いの話「変り目」にすんなりと入っていく
「変り目」は 家の玄関先から人力車に乗り 移動せずに降りる酔っ払い
使いに出たと勘違いして 女房を誉める所で終わり オチが2回
2席目「七段目」歌舞伎かぶれの若旦那 何をやっても芝居のせりふ
小僧の定吉と忠臣蔵の七段目を演じる 熱が入って真剣を抜く若旦那
あわてて逃げて二階から落ちる定吉 どこから落ちたか七段目
歌舞伎のセリフがさすがにうまい
3席目「唐茄子屋政談」遊びが過ぎて勘当させられた若旦那が唐茄子を売り歩く
そこで出会った母子を助け 勘当から解かれる「情けは人のためならず」という美談
限られた時間で三席だと1話が短くなるのは仕方がない
1席目の「変わり目」 おでんを買いに行くまでの下りも聞きたかったし
女房が使いに出た後に 主人はうどん屋を呼び止めお燗をつけてもらう
そのお燗の変わり目まで演じないと 演題も理解できないがそこまでは時間が足りない
この日は昼間は鈴本演芸場に出演されてからこちらに駆けつけた
三席とも熱演で 90分間観客を楽しませてくれた 古典は好い