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**アカシアの木蔭で**

流れていく時間と逆らわずに流れていく自分を、ゆっくりペースで書いて行こうと思います

許せるウンチ・許せないウンチ

2005年06月16日 | 病棟
先日のうんピー事件につづき。
・・・ちょっとくどい?

あの謎のうんピーを、同僚に報告した。
えみちゃん げらげら笑った後、言った。
「でもさ、なんでそのうんピーがそんなに嫌われるのかなあ。」
「なんで?って、他人のうんピーだよぉ?」
「・・・説得力ない。今さ、あんたうんこ掘ってるじゃない?
 たくさん取れて嬉しそうだし、言わせて貰えば手首に付いちゃってる・・」

うんこ堀りっていうのは、便秘でどうしても出ない人に施す摘便のこと。
う~~~ん、ほんとだ。あんまりイヤじゃない。
手首に付いたことより、たくさん出たことへの幸福感が勝ってる。
この間なんて あんまりいい固さの立派なうんちが出たから
好奇心に負けて おむすびに握ってみたくらい。
(勿論手袋してですけど・・)
「・・・ってことは、許せるウンチと許せないウンチの境界線は
 ≪見ず知らずかどうか≫あたりにあるのかなあ」
「いいや違う!隣のおじさんのブツだったら、もっと許せないよ!」

結局 使命感を発揮すべき相手かどうか がポイントという結論になった。
我ながら 鉄壁の使命感だなあと感心したよ。

 
 

会いたい・・・

2005年06月11日 | 病棟
「・・あなた 初枝を知ってますか?
   初枝を呼んでくださいよう。
   美津子でも登でもいいですから、
   松はここにいるって 電話してくださいよう。」

家族がお見舞いを終えて部屋を出た途端、松さんが言い始めました。
廊下でエレベーターを待つ初枝さんが 切ない表情をしました。
初枝さんだって70歳を過ぎています。
老=老介護なのです。
電車を乗り継いで ようやくやってくるのです。

高齢化の辛さ・苦しさです。

りうさんのひまつぶし

2005年06月11日 | 病棟
先日りうさんに皇室の本をプレゼントしたこと、書きました。
りうさんは 毎日毎日本を眺めて暮らしています。
大きく書かれた文字を たどたどしく読んだり、
美智子様のご成婚の写真には 「きれいだった・・」とつぶやき。
飽きないようにと持っていった家庭画報は、料理のページがお気に入りです。
本格的イタリアンの写真を丹念に眺めているりうさんをみて、
あやちゃんが「りうさん、こんなスパゲッティなんて食べたことないよねえ」と言いました。
「食べたら美味しいって言うかな?・・・亡くなるまでに食べさせてあげたい気持ちになるね」
本当。秒読みの始まっただろうりうさんの時間を想うと、
出来ることは何でもしてあげたくなるのです。

皇室

2005年06月06日 | 病棟
お年寄りにとって 皇室は計り知れない影響を持っています。
畏れ多くも賢くも・・・といいつつ、ゴシップの対象であったします。
美智子妃殿下と天皇の恋路・・・・
昭和天皇と皇太后の穏やかな愛情・・・・
嫁姑問題や自分の人生を重ねてみたり、それはそれはかしましい。

夕方になると不穏になるりうさんが 
週刊誌の皇室記事を熱心に読んでいたと助手さんに聞きました。
それを聞いて思ったの。
もしかしたら興味のある楽しいことがあれば
あの不穏は減るかもしれない・・・。
楽しみも変化もないベッド上の生活が何年も続く苦しさ、
想像できるでしょう?

思い立って BOOK OFF へ行って来ました.
「皇后様」「皇太子殿下と雅子様」「崩御・昭和天皇」Total4000円也。
高かったけど、りうさんの残りの人生の長さ・重さを考えると
これくらいどうってことないような気がして。

明日 りうさんがどんな顔するか、それだけを楽しみに行ってきます。

ぐるぐる・グルグル

2005年06月05日 | 病棟
今日は何もかもが順調に進んで、午後にぽっかりと時間が出来ました。
いつも時間に追われているのに なんだか気分も絶好調♪
・・・というわけで、スペシャルメニュー「お散歩」を用意することになりました。
対象者はりうさんのみというところは残念。
他の方は ハーゲンダッツのアイスクリームをおやつに出すことにしました。
(勿論スタッフの自腹。食事介助には時間がかかるので、いつもはおやつにまで手が回りません。
 なにしろ吸引器片手に 嚥下反射見ながらですもの)
私はおやつ係、エミちゃんが散歩係に決定です。

散歩から帰ってエミちゃんが笑い転げていました。
理由は・・・。

エミちゃん、りうさんを車椅子に乗せて玄関から出たものの、
駐車場にはお迎えの人がいて、物珍しそうにじろじろこちらを眺めてる。
かといって、病院から遠く離れるわけにはいかない。
仕方なく、直径5メートルほどの植込みのまわりを回り始めたそうです。
一周目、お花や樹を見ながら。二周目、思い出話。
三周目、鼻歌歌って・・・。
(あっ、りうさんも歌ってる!!)
よく聞くと、♪ぐるぐるぐるぐる♪と調子よく繰り返してる。
(受けてる受けてる!後一周で 反対回りしておわりにしようかな!)
晴れ晴れと歌うエミちゃんに 突然りうさんが言い放ちました。

「♪ぐるぐるぐるぐる♪・・・一体何回まわるんだろうねえ?今度は反対周りかい?」

ボケてるとは思えない冷静さで。
あまりのタイミングの良さと見透かされたショックで、笑いが止まらなくなったみたい。
「なめちゃ いけないねえ」・・・ほんとだね!!

帰らない!

2005年05月01日 | 病棟
ショートステイでやってきていた富さん、家に帰る日になりました。
なるべく長い時間預かって欲しいという家族の希望もあり、
三時半に病院を出て家に送り届けます。
準備は万端、忘れ物もないし薬も二週間分持たせた。
・・・けれど、ああまた始まった。
「もう帰れと言うのかい?
 そんな話は聞いてないよ!
 あんたあたしを追い出そうって魂胆だね?
 あたしが何したって言うんだい!
 年寄りだと思って だます気か!!」
・・・・杖、振り上げちゃってます。
なだめつすかしつ玄関へ連れて行くと、先生に挨拶しないと帰らないといって動きません。
しょうがないので外来に顔をだしたら やってくれました。
「せんせ~!!この鬼看護婦が病院から出てけ~って言う~!!
 助けてくださ~い!あたしゃなんにも悪いことしてないのに!鬼~!鬼~!」
まあ、外来の患者さんたちも半分笑ってましたけどね。
そんなに来るのが楽しみなんですかね。
なんの娯楽施設もなく、日に二回お茶タイムに付き合うだけなのに。
わたし=鬼看護婦、定着したらどうしよう。
帰ってきたら、おなじみの患者さんに
「いよっ!鬼看護婦のお帰りだね?」って ニヤニヤされちゃったよ。


初めての時・・・

2005年04月27日 | 病棟
看護婦にだって 初めての本番があります。
と言っても、注射・採血の話ですよ。
(そ、そんなに動かないで・・
 痛いって言わないで・・・
 じっと見つめちゃ イヤ・・・)
初々しくていいよ なんてツワモノも中にはいますが、
びくびくしながら 指先を震わせてするんですから
されるほうは さぞかし・・・。

看護学校で もちろん注射の練習はありました。
友達に聞くと 材料はこんにゃくだったりオレンジだったり
それを相手に 位置・角度・声掛け等教官に厳しくチェックされながら練習するのです。
でもいくら練習したって 物と人とじゃ大違い。
学生同士で採血しあう最終テストでは、人選がものを言います。
血管の太さ・出具合でランクを付け、相手と交渉したり。
幸い 私は駆血帯無しでもいける程良い血管持ちなので、みんな優しかったなあ・・・。
ミスド食べ放題を取引条件に臨んだテストなのに
友達は 緊張のあまり採血後に駆血帯を外すのを忘れ、
さらに震える手で操作したために注射器が針から抜けちゃって
血がピュ~と飛んでしまいました。
もちろん再テスト。
ケンタッキーのバレルの追加で手を打ちましたヨ♪

そんなに苦労したのに 就職してからはあまりチャンスがなかったんです。
大きな病院だったので 採血だって点滴だって大抵ドクターがしていたのよ。
IVH入っている人が殆どだったから 抗生剤も三方活栓に繋ぐだけだったし。

ところが 今の病院に勤めだしたら、採血は必須なのよ。
(・・・ああ とうとう採血しなくちゃいけない日が来てしまった。)
去年の私は 毎日ビビりまくり。
なにしろ13年ぶり、それも翼状針しか扱ったことのない甘ちゃんの私。
意を決して 患者さんのところに行きましたっけ。

・・・・・おじいちゃん、血管細すぎるよ~(泣)
なんとか 刺して血が引けてきました。
ところがあと4ccというところで ウンともスンともいわなくなって。
(お願い 誰かこの手をしごいて~~!!)
じりじり注射器の内筒を引いて やっとの思いで10cc採ったら、
最初のほうの血液が固まり始めていて やり直し。
申し訳なくて 情けなくて、一日中手が震えていました。
「心の中で手を合わせて 患者さんに経験積ませてもらうしかない」と 先輩が言う。
・・・患者さんには 迷惑な話ですよね。
やらねば上手くならない、でもやれば失敗もある。
(ほんとに ごめんなさい。許してね。)

そうやって もうすぐ一年が経ちます。
どきどきするのは今も変わらないけれど、成功率は格段に上がり
留置針も入れられるようになりました。
失敗しても笑って許してくれた患者さんたちに 大感謝!!!です。




辞めようかな・・・

2005年04月19日 | 病棟
この病院でのお勤め、辞めようかな・・・。

スタッフも患者さんもその家族も みんな好き。
忙しいのだって 乗り越えてきた。
時間的な条件もいい。

・・・院長と衝突してしまうの。
気持ちの面で。
直接激しいけんかをするわけではないけれど
彼がスタッフの誰をも信用していないこと、
人に攻撃的な気持ちを向けることで 自分を保とうとすること、
まずお金という言葉を持ち出すこと
仕事をしていて しんどいのです。
良いところもあるしね、知らん顔していることも出来るけれど・・・。



カマを持った黒装束の・・・

2005年04月13日 | 病棟
カマを持った黒装束のナニモノかが、病院を襲っています。
ここ三日間、立て続けに患者さんが亡くなり、
ベッドが空くとすぐに予期せぬ重症者が運び込まれてきます。
今日も エンゼルケア。
昨日もエンゼルケア。

春なのにツキまくり。
どうせツクなら 幸運やら金運やら男運につきたいものです。

患者様って・・・?

2005年04月11日 | 病棟
烏丸さんの、先生って呼ばれることへの違和感に 思ったこと。

最近他の病院で 患者様 って呼ぶのを聞く。
丁寧なつもりかもしれないけれど、
違和感バリバリ感じる。
呼び方変えたからって 患者さんに優しい看護が出来るとも思わないし
患者さんが心地良さに酔うとも思えない。
そんな上っ面だけ変えても、だめ。
もっと見るべき基本があると思う。
くだらないルールを作ると 大事なところが見えなくなる。
人間対人間として向き合うのが怖いから
患者に様なんか付けて安心しちゃうんじゃないのかな?

うちの病院は入院患者さんを家族が呼んでいるように 呼び掛けています。
苗字でなく名前で呼ぶことが多い。
・・・よしはるさん、りうさん、ハルちゃん、おとうさん・・・
勿論家族の了承は得ますけれど、患者さんのリラックスした様子を見て
みなさんOKします。
そして、呼ばせていただいているからには
自分の家族を看るつもりで、介護しているんです。
お誕生日には写真撮影してカードをプレゼントしたり
自腹で美味しいお菓子を買ってきて 食べさせたり、
冬には入浴剤を楽しんでもらったり。
小さな病院で経過の長い患者さんが多いから出来るのかもしれませんが、
「小さいけれど家庭的なこの病院で看てもらって良かった」
と言われた時が一番うれしい。
それにね、患者さんや家族からスタッフもニックネームで呼ばれるよ。
めがねちゃん、ピンクさん、おちびちゃん、すだれさん・・

きっとうちの病院は このままだと思います。
だってね、院長先生が入院患者さんの頭をなでながら
「ハルちゃん、長生きしてね」「りうさん、美味しいものいっぱい食べてるかい?」って
話しかけているの 聞いちゃったもの。

烏丸さんのBlogはこちら。
http://blog.goo.ne.jp/kureha_bw