施設が決まるまでの保護入院のSさんもそうでした。
認知症で気難しく暴言・暴力のみられるSさんは、
冷たい手が大嫌いでした。
ケアや検温時は 馬鹿野郎!冷たい手で触んな!と怒鳴り
拳骨で殴って来る。
気に入らないとすぐに手が出るタイプ。
でも、寂しがり屋の威張りん坊でもあることが少しづつ分かってきて
だいぶ病棟に馴染んで来ていましたが
あと3日で施設入所というタイミングで 急変しました。
夕食も全部食べ、消灯前に体を整えた時には
私の手を握って「合格」と笑いました。
人が居ないと大声を出しナースコール連打するために
付き添いさんに付いてもらっていましたが
ありがとね、と手を合わせて拝むので
付き添いさんが 初めてSさんにお礼言われたわ〜と茶化すと
「バーカ!」と笑いました。
今日はご機嫌だねえ!
その15分後に突然呼吸停止してAEDにも反応せず逝ってしまいました。
エンゼケアをしながら、付き添いさんが言ったの。
「あのね、夕方Sさんが窓の外に向かって
一生懸命両手を伸ばして、手招きしてた。
声掛けても聞こえないみたいに一生懸命だった。」
「母が迎えに来たのかもしれない。もう直ぐ1回忌なんです。
ここの病院に馴染んで施設に行きたくないから
急いで付いて行っちゃったのね。」
と言ったのは娘さんでした。
翌日 他のスタッフが急変にビックリしつつ言いました。
「昨日さ、変だったんだよ。
ケアの時、両手で冷たい手を包んで温めてくれた。
いつもなら拳骨パンチなのに」
「えっ!!私も同じ事された!」
何と無く死期を察して、みんなにお別れしてたのかもしれないね。