40歳からの子育て~テキトウ編~

縁あってスピード結婚&スピード出産×2。
仕事も子育てもマイペースでゆるく暮らしてます。

文盲(L'Analphabete:Recit autobiographique)

2006-03-01 23:45:50 | その他の本

悪童日記」の作家、アゴタ・クリストフの自伝。
ただし、悪童日記のような実に簡素かつ奥深い文章はそのまま。
ハンガリー人の彼女はスイスに亡命、以来フランス語で小説を
発表している。翻訳者の堀氏言うところの、この「自伝的物語」も
クリストフの一ファンとして、とても面白く読めた。

難民として他国に渡ったときの心情が、
まるで難民ビフォー・アフターと言えるくらい(がさつな言い方だが)
の変化で興味深い。亡命中は、とにかくも先に行けばどうにかなると
希望をもっているが、いざ難民収容センターで仕事や住処を
見つけて生活が始まると、なんの驚きもない平坦な日々
待ち構えていたというくだりが印象的。

驚きというか、極度の不安を避けて獲得したはずの
生活だったのに、まさかそれがこんなものだったとは
想像さえしなかったという作家の大きな失望が読み取れるが、
そこでその日常に甘んじていたら、作家アゴタ・クリストフの
名著「悪童日記」その他の名著は生まれてなかったんだよな。
完璧すぎる安全」もまた、人を失望させるらしい。

敵語」フランス語で書き続け、
独自の世界を生み出すその精神力がすごい。

文盲 アゴタ・クリストフ自伝

白水社

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