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『サバイバル』(文庫)第4巻~第5巻/さいとう・たかを

2010-08-17 | 少年漫画
 
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半分まで買い揃えました(文庫だと全10巻+1)。

東京に辿り着いた少年は、虎から逃げ回っていて銃声を聞き、生き残っている人間がいるのだと確信する。しかしその出会いは残酷で、酒をあおり、野心のために金をかき集める粗野な男は、野菜を育てる術を知り、物覚えが良く便利な存在である少年を奴隷扱いする。
形だけの「共同生活」の中で、少年も男も互いに名乗ろうとはせず、少年にとっては孤独よりもつらい状況だった。
そして文明の途絶えた都会では、自分達を怖れさせた猛獣も餓死する。
迫り来る飢えを乗り切るために、少年はハム(無線)で生存者に向けて発信を始める。

ようやく探し当てた生存者。しかしそれは目の見えなくなった老人で、男にその存在を知られたら役に立たないと殺されてしまう。心が通い合った少年と老人は名前を教えあい、サトルは志賀老人に今までのことを話して聞かせる。「女」をかくまっているのだと疑われて男に追い回されながら、サトルは懸命に志賀老人に食べ物を届ける。そして男に銃で傷付けられた志賀老人は、最期にサトルに会えたおかげで満足して死ねると、穏やかに息を引き取る。

あの男を許せないと復讐に燃えるサトル。そのさなか、ネズミの大群が路上を埋め尽くして逃げ、街を浸蝕していた海水が引く。危険を察知して広い球場のマウンドに立つサトル、それを撃ち殺そうと客席で銃を構える男。すでに壊滅していた東京を叩き潰す、巨大地震に全てが飲み込まれる。

津波が来ないのを確認して、少年は志賀老人から聞かされた話を頼りに、富士山へ向かう。その道中は死骸で埋め尽くされており、家族の安否はまだ分からない。

第5巻。


竹林を抜け、少年は登山に入るが、母の田舎の方角は海の中にあり、強風で荷物もなくしてしまう。太平洋側に位置しているはずの富士山に起こるフェーン現象。岩盤の凹みに溜まっている水は、毒性があって飲むことはできない。
富士山が噴火するのではという不安の中、飛行機とそこから降下してくる人間を見て少年は狂喜して手を振る。
しかし降下した二人の米兵は自分を救助しにきたのではなく、助けて欲しいのはこっちだと悪態をつく。日本語が出来るほうの米兵はロバートと名乗り、その上官であるウイリアムは日本語ができない。
二人はペンタゴンから命じられた調査のことは告げず、サトルを調査団に加えてやるとしか言ってくれず、不信感が芽生える。飲み水のない危機が険悪な雰囲気を加速させ、空洞に落ちたサトルが這い上がり、二人に追いついた時、ウイリアム中尉は毒水を飲んで死んでいた。

渇き、合衆国にも見捨てられたという絶望。極限状態でサトルとロバートとの間には信頼が芽生え、サトルの「美人のねえさん」を探そうと二人は毛虫を食べて歩き続ける。



お薦め度:★★★★☆
『ゴルゴ13』のSPコミックス第27巻『芹沢家殺人事件』巻末の特集でさいとう・たかをが語っていた言葉がようやく理解できました。
「ゴルゴと『サバイバル』の少年の共通点は、まさに社会の持つ価値観と無縁の地点に個人の価値観を持つということだといえる」。

世界一の大国だったアメリカ合衆国すら前線の兵士を見捨てたという展開が残酷だ(滅びちゃったのか?)。この作品から三十余年後、21世紀の今日に生きるオレはとりあえず目の前の猛暑を乗り切ることが課題です。


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