アルバニトハルネ紀年図書館

アルバニトハルネ紀年図書館は、漫画を無限に所蔵できる夢の図書館です。司書のWrlzは切手収集が趣味です。

それはきっと本当のこと

2008-09-19 | 漫画・アニメ・ゲーム
 
手塚治虫『新寶島』(新宝島)と云う、戦後漫画史に一大センセーションを巻き起こした「名作」と呼ばれている原作付き漫画があります。藤子不二雄A先生の『まんが道』の中で満賀と才野の運命を決めたあの一冊、戦後、多くの漫画家志望者に影響を与えたと言われてます。
今でもAmazonで修正のある物(手塚治虫漫画全集)の新品が定価で売ってます。
私も一応漫画好きの端くれなので友達に借りて読みました。オリジナルと違うからというのもあるんでしょうが、読んだけど私の感想は「手塚治虫初の単行本」「結構面白いなぁ」という程度のものでした。
つまり面白かったけど満賀と才野(安孫子先生と藤本先生)の受けた「目もくらむようなショック」は得られなかったということです。
その事と関連するんですが、以前TVで漫画に関する座談会をやっていて、たまたま『新宝島』の話題が出ました。
ある人が、あの感動は今復刻版で読んでも絶対に理解できない、戦後の焼け野原の何もなかった時代に戻りでもしなければ絶対に分からない、というようなことを言ってました。

それはきっと本当のことなんだと思う。


例えば現在10代の子達(女の子だけじゃなくて男も)に池野恋『ときめきトゥナイト』を文庫か何かで読んでもらったら、それなりに楽しんではもらえるはずです。でも、私達が20年前に感じたようなものは理解してもらえないと思います。
「時代(の空気)」という要素も漫画作品の評価を左右する一つですね。
それは決して駄作は時と共に「淘汰」されてゆく、という一方的に否定的な意味だけではなく。
今私は日渡早紀 『ぼくの地球を守って』を21年のブランクを経て愛蔵版で買い始めていてそれに近いような状態ですよ。今読んでももの凄く面白いんだけど、中学生時代にリアルタイムで読んでいたらもっともっと新鮮だったと思います。

巨匠、さいとう・たかを先生の『ゴルゴ13』も、今でこそ私はゴルゴ喫茶の副管理人でござい、などとやらせてもらってますが、『ゴルゴ13』の第1話が「ビッグコミック」に掲載された40年前、私はまだこの世にいなかったんです。
もちろん私は『ゴルゴ13』の第1巻は持ってるし(「おshi」が「聾唖者」に差し替えられてるけど)、10年前、20年前、30年前、40年前、そして現在のこの作品の総てが大好きです。
小学生の時に叔父さんの家で初めて読んだ『キャサワリー』(第13巻/1972年作品)、レズビアンのベッドシーン、海水のために弾送りができなくなった拳銃を突き付けられて顔色一つ変えず次からはリボルバーを使えと言うゴルゴ、脳裏に焼き付いて離れなかった。その後『ゴルゴ13』がちゃんと理解できる歳になって単行本を揃えだしてそれなりの「衝撃」も受けてきたつもりでした。
だけど以前、現役の漫画家の先生に「振り向きざまにいきなり女を殴りつけるキャラクターが当時もの凄い話題になったんだよ」なんてことを教えてもらった。
これもリアルタイムで読んでいないと分からないことだなぁ。
もし自分があと20年早く生まれていて、ティーンエイジャーの頃に当時の『ゴルゴ13』に出逢っていたら私の「ゴルゴ観」も今とは違う物になっていたと思います。

「名作」と呼ばれている漫画はやはり読むべきです。でも「名作」と揺るぎない評価の定まった作品ばかりを読むだけでは能がないですね。
今現在「みんな」、つまり「普通の人達」が熱中して読んでいる物を読むこともとても大切なんだと思います。ミーハー的に流行を追う、というのとは違います。その境界は曖昧なんだけど、多くの人達に支持されている作品にはそれなりの理由があるわけです。
漫画作品は評論家や専門家に褒められるために創り出されているわけではありません。漫画家の先生達は「普通の人達」に楽しんでもらうために漫画を描いているんです。
レビューを書いたりする時は別ですが、漫画を最大限に楽しむには、漫画を読んでいる間は自分の持っている特技や資格の事など全て忘れて「普通の人」になることだと思います。
「普通」になるのは難しいし何が「普通」なのか分からないというのなら、言い方を変えて「素直」。
この場合、この「素直」が「普通」の同義語。
あら探ししたり、「この場面はこうすべき」とか批判めいたこと考えずに真っ白な気持ちで読もうということです。例えば私は昔自分でも漫画を描いていたけど、「ここのコマ運びはこうした方が良い」とか「ここのトーンはもっとこうすべき」なんて事は一切考えずに読みます。そんなこと考えながら読むのはつまらないですよ。

私自身が楽天に何件もレビューを書いたりブログに漫画感想記事を200件以上も書いてるのでこれはちょっと矛盾なんだけど、漫画と云うのは「娯楽(「芸術」に限りなく近い娯楽)」なので本来「漫画のレビュー(評論)」というのは不要なんじゃないかと思う時があります。
極論すれば「面白い」か「つまらない」かの一言だけでいいのかもしれないし、少し具体的な処で「少女漫画だけど男性にもお勧めですよ」くらいでいいのかもしれません。
私は楽天ブログの方にコミックス記事一覧(五十音順)のページを作成して今も更新してます。多すぎてなかなか進まないけど。
初めてその作品を読む人のための道標のような物になれば良いと思って続けてます。最近は、以前のようにダラダラ長く書かずに簡潔にまとめるようにしてます。
しばらく漫画記事書いてなかったらにほんブログ村 漫画ブログ コミックス感想へでの順位がずどーんと落ちてました(笑)
20日に7冊どかんと届いてしばらく漫画記事が続くのでまた上がるんでしょうね。

コンビニエンスストアが街中に乱立している現在に生きている私達はある意味幸せです。
コンビニの漫画コーナーに行けば少年漫画誌から少女漫画誌、四コマ誌から成年コミック誌、レディコミ誌までよりどりみどり、どれもせいぜい数百円。最近はページ数は新書版単行本と大差なく紙質だけ落として税込300円きっかりの廉価版単行本も多く店頭に並んでますね。
気になる作品や好きな作家の名前を見かければ買い物ついでに一冊買い物かごに突っ込めばいい。
「男なのに少女漫画買うのは恥ずかしい」「レジが女の子だとエロ漫画が買いにくい」とか思うのはもったいないですよ。
ああ、早く明日にならないかなぁ(「花とゆめ」20号発売日)。
嗚呼、新刊が読みたいなぁ(楽天ブックスからコミックス7冊届く)。

思い付くままにだらだら書いてたら話題があちこちに飛んでしまいましたね(笑)
手塚治虫『新宝島』の話でしたね。

それはきっと本当のことなんだと思う。

本当のことだと、私は思う。


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