アルバニトハルネ紀年図書館

アルバニトハルネ紀年図書館は、漫画を無限に所蔵できる夢の図書館です。司書のWrlzは切手収集が趣味です。

『週漫スペシャル』10月号

2009-09-03 | 青年漫画
 
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10月号は初めて読む作家さんの作品が巻頭カラーでした。
『破戒坊・源界みだれ行脚 其の一「毒婦」』/ケン月影。
時は江戸時代、鬼の面を被る女の辻斬りが男を漁っては斬り捨てる。没落しかかった家の、飢えた後妻。女郎蜘蛛のような義母に生き胴を試せとそそのかされる長男の長七郎。通りがかり辻斬りの真相を暴く粗暴な僧侶。次号から前後編スタート。
私は初めて知った作家さんでしたし、私が『週漫スペシャル』を読み始めた2006年からは初めて本誌に登場された方です。「官能劇画の巨匠」とのこと。1941年生まれ。
『週漫スペシャル』の執筆陣って、貸本漫画時代、あるいは「劇画」の黎明期をリアルタイムで体験されてきた方々なのでしょう。「萌え」とか「BL」といったジャンルが大きく成長してきた今の漫画界ですが、それは「多様な作品が楽しめる」ようになったということで、本当に嬉しいことです。しかしかつてこういう漫画(劇画)の全盛期が存在したんだということを知ることは今の漫画をより深く楽しむ上でも必要なことですし、そういう文化(土壌)の上に今の様々な漫画が存在するんだという背景を大切にし、現在にも伝えてくれる芳文社を素晴らしいと思います。
戦後、手塚治虫が「漫画の神様」と崇められ広く読まれてきたのとは対照的に、「官能劇画」「エロ劇画」はどこか影の存在だったという印象ですが、こういう作品も読まなくてはならないねと思います。
この一作を読むためだけでも、10月号は買う価値があります。


『「秘密」の扱い方』/美和剛
雨の中、風に飛ばされた大切な契約書を拾おうとして、社長の浮気の「真っ最中」を目撃してしまった主人公。左遷・クビを恐れる主人公、一方、逆玉社長で妻にばらされたら身の破滅と怯える社長。美和作品の「バカバカしさ」はやはり魅力ですね。開き直ったかのように登場人物が全員「バカ」。「バカ」であることは「才能」なんだと思わせてくれる。そんなバカバカしさ全開。
社長室の額の中に1921年のイタリア切手が。注意してないと気付かない、にやり(笑)


『風俗記者どぶねずみ』#48/佐々木久・武守仁
ある夜、盛り場で思い詰めた目をした女性を見かける鮎原。歌舞伎町には似つかわしくない雰囲気。
声をかけた鮎原は、彼女から自分によく似た女性のビデオが売られていると聞かされる。今では20軒ほどに減った歌舞伎町の裏ビデオ専門店だが作品数は減っていない。結婚を前提に交際している恋人もいる女性の、母に売られ、ホストに裏切られた過去。母の遺品の日記を読んで真相を知った彼女の暗い決意。

鮎原さんはかっこいい。「都会の下水道に棲みついた『どぶねずみ』」(第1話)が真実を暴き最後に人を幸せにしてくれる。なんと皮肉なことだろう。


『Love Crisis』part.4/かわだ寛・八神新
絵がダメ…と散々言ってきましたが、今回のお話は良かったですね。
結婚12年目で妻がそっけなくなってきた主人公、そして妻から離婚を切り出された義弟。義弟の話を聞くと、原因は浮気ではなく、40になったし離婚して次のステップへ進みたいという妻の言葉。「結婚」って、「幸せ」ってなんだろうね?
Part.4でひとまず終わりのようです。原作は良いので、次回は作画は別の人がいいなあ。


『の・ような女』トンボ目:トンボ/熊谷くにを・おみまこと
明るく自分を立てるのは外面だけで家庭ではその反対の妻、その妻の友人と不倫している主人公。子供の頃、父にトンボ観察に連れて行かれていた主人公は、トンボは頭上に太陽がないと飛べない昆虫だと知っている。その話を聞いた不倫相手は、自分は太陽がないと駄目な女だと言う。
いつしか妻が消える妄想に取り憑かれる主人公。控えめでいじらしい不倫相手と一緒になることを夢みていたが、彼女にとっての太陽は自分ではなかったと知る。


『ラブルーム』room.15/間宮聖士・狩野あづさ
すべてを手に入れたいという野心の代償、こわいというより哀れです。
恋人を義理の父である社長と結婚させてこれですからね。

というかこの女が怖いです。


『沿線不倫恥図』~完熟ツアー/北野信・小田はるか
休日出勤の代休に、家にいても妻がうるさいからとバスツアーに参加した主人公。旅先で美女に声をかけられ…って、いくらなんでも上手く行きすぎだろう(笑) まあ、妻に飽きてる夫と夫に飽きてる奥さん連中ならそういうのもアリか。
と思ったら妻たちも旦那に知られずに松茸狩りを楽しんでいた次第。


『壁に耳あり…』part.2/作麻正明・鷲津俊
32歳の飢えたOLさん。毎日物足りないけど、向かいの部屋のたくましい男が気になる。こっちが覗いてるんだから向こうも覗いてるはずよね。
その男が実は連続殺人犯の次の犠牲者を見守っていた刑事さん。「セックスが下手」と言われたり思われたりして相手を次々殺していた犯人。
どうでもいいことですが「32歳」、いいなあ(笑) 女性が一番魅力的な年頃じゃないでしょうか。私先月35になったんですが、最近「スーパーモーニング」の赤江珠緒キャスターが魅力的に見えます。かわいらしい。選挙が終わってからまた少しテレビを見るようになったので知ったのはここ数日なんですが、知的な感じがして素敵です。


『愛を売る女』love.4/藍沢翔
ネットで気に入った男を選んで一夜のアバンチュールを売る女リリコ。今夜の相手は過激な思想を持つ、覗きが唯一の楽しみの変態さん。覗きをすることによって世の中が見えてくる。「地球の汚物」を始末してやろうと不倫する近所の奥さんに脅迫状を送るが…。男の悲惨な結末を知らずに、リリコはソファーにくつろぎたばこを薫らす。
リリコが徹底して「傍観者」で、真相は知らないままというのがいいですね。


『女子大生・乱れた就活』/宮内かずみ・万平
芳文物産に内定が決まった女子大生。その矢先、芳文物産の突然の倒産を知り、同じ店内にいた秀満商事の人事部長の名刺を持つ男においしい話を持ちかけられる。就職も決まって彼氏もいる友達にはこの気持ちは分かりませんね。しかしそこはやはり親友です。変態オヤジを探し出し、報復の昏睡強盗までしてくれますが…。
不況の中でもたくましい女の子は微笑ましいというか。


次号、『罠』三部作の2回目が載ります。大葉康雄先生の『ハートパートナー』も再開。
そういえば先月号の記事を書かなかったんですが、前回の『ハートパートナー』良かったです。


↓毎月29日発売です
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