『別冊マーガレット sister』創刊号

　　

とりあえず、ぶ厚い。
本当に読みたい作品は数作ですが。

『Honey Coming-ハニカミ-』/中原アヤ
オールカラー8枚の、変形ページの読み切り。
オールカラーなのになぜか、モノクロで始まる。半年間想い続けた女の子に話しかけることができた瞬間、世界がフルカラーになる。
それだけのことなんですが、オレは中原アヤ先生の信者なのでこの8ページを読むために喜んでカネを払います。


『隣の彼方』/香魚子
オリジナルの長編。
「好き」を理解していなかった頃に自分に告白してくれた幼なじみを拒否してしまい、離れてしまったあやが、高校で同じクラスになり、再び凌太(りょうた)と昔のようになれるかもしれないと希望を抱く。欠席しがちで、素行も良くない凌太がある日、顔に傷を作り髪を切って登校する。
しかしあやが凌太の好きな飲み物を忘れていなかったように、彼もあやの好きな飲み物を忘れていなかった。
香魚子さんの描くお話が綺麗で好きです。


『友だちの話』Final/原作: 河原和音・漫画: 山川あいじ
一番読みたかったこの作品が傑作だったので満足です。このコラボは最強だ。
もえと英子の友情を、「親友にカレシができるかもしれない」というもえの視点から描いた長編。どこまでもどこまでも、もえを尊重する英子のことを好きな、鳴神は引き下がらず、ついに英子に告白する。その時に英子は、もえがいつも言っていたのと同じ言葉を言うが、それを立ち聞きしていたもえは、自分のは勝手な呪文に過ぎなかったのだから英子はいいんだと、ドアを開けて告白の現場に踏み込む。
これは是非、単行本化してほしい。


『彼氏のお手本』/美森青
デラマ7月号に掲載された、『生徒のお手本』の続編。続きを読みたいとなんとなく思っていたので、またこの二人が見られて嬉しいです。
藤井さんと紅谷先生のカップルはなかなかお似合いなんじゃないでしょうか。
美森さんの描く女の子はみんなとても良いんだけど、『なにしてあそぶ？』(別マ2009年3月号)を超える面白さの読み切りにはまだ出会えてません。


『君に届け』トリビュート。
袋綴じになっていますが、これを目当てにお金を出すほどの物ではありません。
いくえみさんの描くKENTと、河原和音先生の描く幼稚園の爽子先生は良かった。
でも、これを袋綴じにしている編集部はある意味、新作を描いた他の作家さん達に対して失礼だ。

以下、面白かった作品だけ羅列します。


『青い小鳥』/藤井明美
温室のように甘い匂いで誘い、近寄ると扉を閉じてしまう先生に恋に落ちる女の子。アサガオを育てたいんだと言い張る小鳥が良かった。


『そして　きみしかいなくなる』/逢沢雪名・吾妻リナ
自分を殺した男に恋に落ちてしまった女の子のお話。死んでから後悔する様が痛々しい。原作が良い。


『ロンリーガールとスペースボーイ』/吉井マリ
暗くて狭いトコが苦手な子が、宇宙人のような男子と親しくなって、トラウマを克服する話。「閉塞感」がわりとリアルでした。勢いのあるテンポと、コミカルな絵柄も好きです。


『drops.』/安藤ゆき
天気予報が外れて雨が降ったことにより起こる、様々な人間模様を連作でユニークに描いていて読みごたえありました。思わぬ拾い物でした。


面白かったのはこの3作。


他もわりといろいろ面白かったんだけど、オレとしては中原アヤ先生に50ページくらいの新作を描いてほしかった。


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