〈川俳会〉ブログ

俳句を愛する人、この指とまれ。
四季の変遷を俳句で楽しんでいます。「吟行」もしていますよ。

気になる一句

2016年04月29日 07時08分58秒 | エッセイ
明治34年の正岡子規は死の床にあった。動けない体の唯一、歌の視線なるものを用いて、和歌を作る。
ホトトギス、藤の花などの連句の素晴らしさと凄み。
牡丹もそうだが、一句だけ不思議な句がある。春の雨に打たれないよう、傘で牡丹を保護している庭先を歌う11の句の中に、
「夕くれにくもりかしこみあらかしめ牡丹の花に傘立つる人」
さてこの「人」とは誰なのか。誰何すると同時に子規その人と思えてならなかった。
横たわり五月の苦悶のさなかの子規は、自分自身を見ているように感じられる句。
自分の分身を見る…ドッペンベルガーを見た者は早晩死する運命にあるという奇説を、子規は知っていたのか。
この句のみ暗然と連句の中に輝いているように感じられた。


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2 コメント

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明治34年 (富翁)
2016-04-29 11:45:52
こほろぎや物音絶えし台所
柿くふも今年ばかりと思ひけり
驚くや夕顔落ちし夜半(よわ)の音
(「子規句集」 高浜虚子選 岩波文庫)
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うーん (安楽)
2016-04-29 21:48:08
やはり子規はいいなあ。
正岡のひろしはいずこはひふへほ
(寝ぼけてマス)
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