ほんわか亭日記

ダンスとエッセイが好きな主婦のおしゃべり横町です♪

「青い鳥」の行方(1)

2024-03-18 | エッセイ
2024年3月18日(月)

 ウィステたちは、青い鳥という読書会を長年、続けて来たけれど、それ関連の
エッセイを初めて書いたので、今日は、そのエッセイを。
ただ、長いので、今日と明日、2回に分けました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「青い鳥」の行方(1)

 今日は、読書会「青い鳥」の月一回の例会日なのだが、朝、阿部さんから
メールがきた。
「眩暈がするので、お休みします。」
「青い鳥」は、もう五十歳になる長男が十歳くらいの時のママ友たちに声をかけて
始めたから、かれこれ四十年続けていることになる。
初めの頃は三十代だった私たちは、育児や家事の合間に自分自身の時間が持てる
嬉しさで、先生も頼まず、仲間だけの手探りでスタートしたものだった。その際、
「日本の女性のことを知りたいね。」
と、話しあい、女性の話を中心に読んでいった。
現代語訳の『源氏物語』、古屋信子『女人平家』、永井路子『北条政子』、
さらに、お市の方とその娘たち浅井三姉妹といった過酷な戦国時代を生きた
女性たちの話に夢中で感想を話し合い、読書ノートを回したりした。
時代は下り、円地文子の明治の女性を描いた『女坂』、宮尾登美子『櫂』などの
戦前戦後の女性たちに心を痛め、林真理子さんの描く若い女性にも、
みなで目を見張ったのだった。その後は、直木賞や本屋大賞の受賞作品、その他の
話題作などを読んでいる。
 今年一月、ニューヨークタイムズが選んだ「行くべき旅行先」二千二十四年版で
山口市が第三位に選ばれたことが一月の例会で話題になったのは、
今から約六百年前、戦国の世の迫る室町時代後期に、その地に瑠璃光寺が建立された
由来の小説をみなで読んだことが懐かしかったからだった。
それは、久木綾子さんが二千八年に出された八十九歳での処女作
『見残しの塔 周防国五重塔縁起』で、国宝となった瑠璃光寺に行ったことのある
方たちが、塔が素晴らしかったことを語り、さらに、平家の落ち武者の子孫の
上級大工・番匠と源氏の姫との一夜の恋が、落成したばかりの五重塔へ魂を入れ、
人々の国の統一と平和への願いを守る存在になっていったのでしょうと話しあった
ことも思いだされた。
ただ、「青い鳥」は、初めの十年くらいは、十名ほどいて活気があったけれど、
会員の出入りはあったが、だんだん減り、最近は七名、そのうち例会の出席者は
三、四名くらいなのだ。
今日の阿部さんの欠席は残念だけれど、眩暈なら、しかたない。
お大事にと返信すると、伊藤さんからも、用事で休むとラインが来た。
続いて、上野さんからも電話で、
「なんか体調が悪くて、気力が出なくて、今日、お休みします。」
と、言ってきた。上野さんとは一緒にこの会を立ち上げ、彼女が、長い間この会の
代表をしてくれている。しかし、彼女は、かれこれ九か月近くも体調がはっきりせず、
お休みを続けていた。コロナのことがあった三年で、じっと我慢でストレスが溜まっていたのかもしれない。私も、コロナの流行で読書会もあったり無かったりの間に、
(いつまで続けていてもねえ。潮時かしら。)
という気分に陥っていたのだが、三人続けての欠席の連絡に、その気持ちがはっきり
表に出て来た。一応、私が副代表なので、上野さんに、話を切り出した。
「続けて行く気が無くなってきた。欠席も多いし、もう読書会を止める時期なのかなあ。」
上野さんも、
「予約とか、いろんなこと引き受けてくれているのあなただし、仕方ないかも。」
と、言ってくださると、読書会への不満が一気に出てくる。
                    (文中仮名)  (続く)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 大腿骨 | トップ | 「青い鳥」の行方(2)  »

コメントを投稿

エッセイ」カテゴリの最新記事